合同会社の代表社員を決める上での注意点

会社法と呼ばれる会社の法律が変わって、合同会社という会社組織を作れるようになりました。最初の頃は認知されずに設立件数は伸びていなかったのですが、西友やアップル・ジャパンも合同会社であるという点や、合同会社のメリットが浸透してくると少しずつ設立する件数も増えてきたようです。

今では国内で設立される会社の約2割が合同会社で、この割合も年を追って増えている傾向にあります。今後も会社設立が活発になれば、合同会社の設立を選択する人が増えるのかもしれませんね。

今回は合同会社の中で、代表社員を決める上での注意点について整理してみようと思います。会社を代表する社員なわけですが、どうも社員とつくと従業員と勘違いする方もいるようです。そうした情報を整理しつつ、これから合同会社を設立する人の助けになればと思います。

◆合同会社の特徴

それでは、合同会社の代表社員について確認する前い、そもそも合同会社って何?みたいな所からお話を整理していければと思っています。

合同会社は設立に必要な費用が安い

・登録免許税が安い

会社を作るというのは、法務局という役所に会社の存在を認めてくださいという書類を出して認めてもらうという手続きのことを指します。私たちもこの世に生まれた時に出生届けを出しますよね。それと同じイメージです。そして、法務局へ行う手続きにお金がかかるのですが、登録免許税と呼ばれる手続きのお金は株式会社だと15万円かかりますが、合同会社であれば6万円で安くて済みます。

・定款の認証手数料がかからない

さらに会社を作る時に、根本的な会社のルールを決めた定款という書類があります。とても大事な書類なので、株式会社は公証役場というところでちゃんと作られていますよ、というお墨付きをもらわないといけません。ところが合同会社の場合は定款を公証役場に通す手続きが必要ないので、公証役場に支払う手数料の5万2,000円ぐらいがかからずに済みます。

他にも誰に会社設立をお願いするか等でかかる金額に変動がありますが、その点に関しては、こちらの「株式会社設立の流れと費用に関して」という記事の中でも詳しく説明していますので、良かったらご覧ください。

利益や損益に関して自由に調整できる

株式会社の場合は、利益が出たら株主の持っている株数、つまり出資している金額の比率に応じて分配します。しかし合同会社の場合は定款で決めてしまえば、自由にその分配を決めてしまうことが出来るので、出資割合にとらわれない自由な仕組み作りが出来るんですね。

取締役会や株主総会など面倒な手続きがない

株式会社の場合は、会社の大事な事柄を決める時には取締役会を通したり、株主総会という集まりでOKをもらわないと進まないことがあります。合同会社はそのような手続きを踏む必要がないので、会社経営をする立場の人たちでサクサクと会社を運営できる点はメリットかもしれません。

役員の任期がない

株式会社の経営する立場の人(役員)を取締役と言います。合同会社では、会社を経営する立場の人を「社員(正確には業務執行社員)」と表現します。これは一般的に使われる従業員としての社員という意味ではないので、混乱してしまいそうなので気をつけて下さい。合同会社では、その社員を代表する人という意味で代表社員と名乗ったりしますので、その点に関しては後半でご紹介します。

そして株式会社の場合は取締役に任期があるので数年に一回更新をしないといけません。同じ人が役員になり続ける場合も再任の手続きをしなくてはいけなく、法務局に1万円を支払って手続きをしなければいけません。手続きの手間もかかれば任期が来るたびに1万円を支払わないといけないのです。合同会社の場合は社員には特に任期がないので、そのような面倒な手間をかける必要がありません。

◆代表社員とは?

それでは、代表社員について詳しくみていくことにしましょう。

合同会社を代表する人が代表社員

合同会社の代表社員とは、株式会社でいうところの代表取締役にあたる人の事を言います。合同会社に社員が複数いれば、その中から一名の代表社員を選ぶのが一般的です。ときどき、複数の代表社員を設定する合同会社もありますが、対外的に見え方が良くないのであまりおススメはしていません。

そもそも何で合同会社の役員を社員っていうの?

合同会社の代表社員を考えるにあたり、そもそも会社の経営に携わる人を社員(正確には業務執行社員)と表現すると従業員と混乱してわかりにくいという声があると思います。そもそも何で合同会社では社員と表現するのでしょうか。

・会社法での社員とは出資をした人のこと

株式会社でも、合同会社でも、会社をつくる手続や運営の仕方などルールを決めた法律を会社法と言います。この会社法で「社員」のことを「会社にお金を出資した人」と定義づけているわけですね。一般的にいう従業員という意味での社員と会社法で使われる社員とでは意味が違うのです。ですから、株式会社でいば株主は社員ということになりますし、合同会社に出資している人は社員となるわけです。

・合同会社では出資する人と経営する人は同じ

株式会社では出資する人を株主、経営する人を取締役、というように分けて運営することが出来るのが特徴です。逆に合同会社の場合は基本的にお金を出資した人は、そのまま経営に携わる形になります。つまり合同会社で経営に携わる場合には、かならずお金を出資しなければいけないわけですね。ちなみに会社経営に携わる社員のことを合同会社では業務執行社員と言います。

・合同会社では社員は経営に携わらないことを選択できる?

先ほど合同会社の経営に携わるためには必ず出資をしなければいけないとお伝えしました。お金を出資すると社員になるのですが、逆に出資だけして経営に携わらないと選択することが出来るのです。会社経営に携わる社員(出資をした人)のことを業務執行社員と言い、会社経営に携わらない社員(出資をした人)は社員と言います。

※業務執行社員のことを、ただの社員と言ったりするので念のため気を付けておいて下さいね。

業務執行社員については、こちらの「業務執行社員について」の記事でも紹介させて頂いております。お時間のある時にでも参考にしてみて下さい。

◆合同会社の代表社員をする気をつけておきたいポイント

これまで説明してきた通り、合同会社では出資をした人が社員になります。そして、基本的には社員は経営に関わりますが、経営に携わる人を業務執行社員と呼んだりしますね。

業務執行社員が複数いる場合には代表社員を選出します。この経営に携わる代表社員も社員も、会社経営の権限を持つと同時にいくつか気を付けたいポイントがあります。

善管注意義務

善管注意義務とは、そのままの意味でいけば「善き管理と注意をする義務」ということになります。民法では「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と示されています。つまり会社の規模や業種によって、これだけは普通押さえておきましょう、という注意や管理を怠らないように、という義務があるわけですね。

忠実義務

会社法では「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない」と定められています。取締役も業務執行社員も会社経営を担うという意味で、この忠実義務を担うわけですね。

報告義務

代表社員や業務執行社員は会社自身や社員から請求があれば、自分の職務状況がどうなっているのかや、任されている職務が終わった際など、結果や経過を報告する義務が定められています。

利益相反取引の制限

代表社員や業務執行社員は会社経営の権限を持っているので、その権限を利用して不当に利益を得る危険性もなくはないわけです。会社経営に携わる人と、会社側で利益が相反する時には他の経営に携わる人たちから承認を得なくてはいけません。

競業避止義務

代表社員や業務執行社員は、会社の大事な取引先と懇意にしてたり、大切な機密情報を持っていたりします。やろうと思えば同じような会社を作って、お客さんを持って行ってしまうことも可能なわけです。ただし、会社経営をする立場であれば、そのような行為を禁止されていて、それを競業避止義務とよんでいます。もし、そのような取引や状況が発生する場合には業務執行社員から承認を得なくてはいけません。

競業避止義務に関してはこちらの「代表社員と競業避止義務」という記事でも詳しく紹介していますので、良かったらご覧ください。

損害賠償責任

代表社員も業務執行社員も経営に携わる上で一定の損害賠償責任を負うことになります。もちろん、その任務を怠って会社や取引先に損害を与えたとするのであれば、その損害を賠償する責任を負うわけですね。代表社員だけでなくとも、連帯責任として負わないといけないケースもあったりするので、他の経営に携わる人たちも自分たちは関係ないとしないよう注意したいところですね。

◆合同社員の代表社員を決める上での注意点、のまとめ

いかがでしたでしょうか。合同会社はやっと認知されてきたといった感じでこれからも増えていくと思います。料金や会社の運営面からも選びやすい法人のかたちだと思います。

合同会社の代表社員を務める上でいろんな義務や責任を負うということも合同会社設立前には知っておきたいことですよね。

ちなみに合同会社の代表社員は代表取締役と名乗ることが出来ません。株式会社であれば代表取締役と名乗れるのですが、合同会社の場合は名刺に書く肩書きも代表社員です。これがダサいと言って株式会社設立を選択する方もいらっしゃいますし、合同会社の代表社員の中でも名刺に代表とだけ書いている人もいたりします。

株式会社設立と合同会社設立のメリットとデメリットを知りたい場合には、こちらの「株式会社設立をするメリットとデメリットとは?」の記事を参考にしてみて下さい。