【年末調整のしかた】起業家・経営者が知っておくべき大切な実務

起業家のみなさんは会社経営者でも個人事業主でも従業員を雇っているのであれば、10月ぐらいから年末調整の準備をしないといけません。

税理士や社労士にお願いしている起業家の方であれば意識したことはあまりないと思いますが、自分で年末調整をしようと思うと意外と大変な作業だと気づくと思います。

とはいえ専門家にお願いするとコストも発生するので、なるべく自分で対応したいという方も多いと思います。そこで今回は自分で年末調整を行いたいという起業家に向けて、年末調整のしかたを紹介します。

◆10月にやるべき年末調整の準備

年末調整とはサラリーマンやアルバイトなど、働く人たちが納める所得税を最後に微調整する作業です。

(1)所得税とは何ですか?

順を追って説明すると、サラリーマンやアルバイトなど従業員としてお給料をもらっている人は「所得税」を毎月差し引かれていると思います。ざっくり説明すると、会社から所得税を天引きされて手取りのお給料が従業員の口座に振り込まれているのです。

そして天引きする所得税はルールに沿って計算しているのですが、ある程度ざっくりとした金額を天引きしているんです。ざっくり計算していた所得税を「年末」に個々人に合わせて再計算して「調整」するので、「年末調整」と言うんですね。

従業員個々人の状況を毎回確認しながらやると事務作業が膨大になってしまうので、効率を考えて今のような運用になっているのです。

(2)年末調整のために10月にやっておくと良いこと

年末にドタバタしないためにも、毎年10ぐらいから年末調整の準備をおススメします。まずは何から着手すれば良いのでしょうか?

1、自分の会社や事業で年末調整の対象になる人を確認

年末調整の対象になる人とならない人がいるので、自分のところで働く人が対象になるかどうかをまずは確認しましょう。

年末調整の対象になる人

(1)年末まで勤務している人(途中入社も含む)
(2)年の途中で退職した人のうち、次の人
◆退職理由が死亡・心身障害の場合
(後者は本年中の再就職が出来ないと見込まれる場合に限ります)
◆12月中に支給された給与を受取った後に退職した場合
◆給与総額が103万円以下の場合
(本年中の再就職をしないと見込まれる場合に限ります)
(3)年の途中で非居住者となった場合
(居住者であった期間について年末調整を行います)

年末調整の対象にならない人

(1)給与の収入金額が2,000万円を超えた場合
(2)災害により被害を受けており、源泉所得税の徴収猶予又は
還付を受けた場合
(3)年の途中で退職した人
(4)非居住者

2、給与所得者の扶養控除申請書を準備

会社勤めの時によく年末ぐらいになると「給与所得者の不要控除申請書」を出してと言われませんでしたか?年初に書いて既にに出している人は、年末に改めて変更箇所が無いか確認させられるアレです。

フォーマットなどの詳細はこちらの国税庁HPから確認・ダウンロードができます。この書類を年末調整の対象者には事前にもらっておきましょう。まだ書いてもらっていない時は事前に記載しておいてもらいましょう。

これが扶養控除等申告書ですね。右上に丸で囲まれた「扶」の文字が見えますか?そのため「マルフ」と言ったりします。

3、税務署から郵送で届く書類一式を手元に準備

毎年税務署から以下の書類がこの時期に届くので手元に準備しておいてください。人数が多い時には人数分コピーしてくださいね。

(1)給与所得者の配偶者控除等申告書
(2)給与所得者の保険料控除申告書
(3)給与所得者の扶養控除申告書(翌年分)

これらを必要に応じて対象者に配布して準備してもらいましょう。詳細は次の項目で説明しますね。

◆11月にやると良い年末調整の実施事項

次に具体的に年末調整の作業をスタートするために従業員からも書類を準備してもらうのが11月にやると良いことです。

(1)従業員の方に年末調整に必要な書類を準備してもらう

まずは従業員の方に協力してもらって、下記に当てはまる人はそれぞれ対象となる書類などを準備してもらいましょう。どれも所得税が安くなって税金が戻ってくる可能性があるので、その点を明確に従業員に説明してあげると動いてもらいやすくなります。

□年内に他の会社でお給料をもらって働いていた人
→前職の源泉徴収票
□住宅ローン控除を利用し始めて2年目以降の人
→住宅借入金等特別控除申告書/年末借入金残高証明書
□生命保険・地震保険に加入している人
→生命保険料控除証明書/地震保険料控除証明書等
□国民健康保険や国民年金を個人で直接支払っている人
→社会保険料控除証明書
□収入が1220万円以下で、配偶者の収入が201万円以下の人
→配偶者控除等申告書

(2)年末調整時に従業員の方に準備してもらいたい大切な書類を紹介

チェックリストだけではわかりにくいと思うので、従業員の方から必ずもらいたい書類も何点かるのでそちらを確認しておきましょう。

1、年末調整で必ず出してもらうもの(扶養控除等申告書)

今年分の扶養控除等申告書は必ず必要です。年初に書いてもらっている人で、住所変更があった時など修正してもらいましょう。必須ではありませんが修正する時には赤字などで書いてもらうとわかりやすいです。

年初に今年の分の扶養控除等申告書を出してもらっていないときには、改めて新しく記入してもらいましょう。

そしてこのタイミングで一緒に来年分の扶養控除等申告書も一緒に書いてもらうと二度手間にならずにすみます。つまり今年分の書類は変更あれば修正で、来年分の書類を新しく書いてもらうという流れですね。

2、年末調整対象の場合は書いてもらうもの(保険料控除申告書)

従業員が民間の生命保険などに加入していれば保険料控除が使えますので、年末調整をすることで税金が戻ってきます。

毎年この時期に保険会社から生命保険料控除証明書が届くので、それを一緒に添付して保険料控除申告書を書いて提出します。

3、年末調整で対象の場合は書いてもらうもの(配偶者控除申告書)

配偶者控除や配偶者特別控除を受ける場合にはこちらの書類を書いて出さないといけません。自分の年収が1000万円以下で、配偶者の年収が201万円以下の場合には当てはあるので税金が戻ってくる可能性があります。

配偶者控除や配偶者特別控除がわからない方はこちらの「《保存版》共働き夫婦が扶養などの仕組みを最大限活用して税金対策する方法」の記事をご覧ください。

◆12月に行うべき年末調整の実務

最後に12月で実施する年末調整の実務を見ておきましょう。

(1)従業員の年間のお給料の確定

働く人たちの所得税は毎年1月から12月の一年間の収入で決定します。そのため12月分のお給与が確定しないと正確な年末調整ができないのですね。まずは12月のお給料の額を確定させます。

(2)年末調整の具体的な計算をする

これで年末調整をするための具体的な情報や資料がそろったわけですから計算をしていきます。国税庁のこちらのページから簡単な手順が紹介されています。簡単な流れは以下のイメージです。

1、給与所得控除後の給与等の金額を「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」から計算する。
2、課税所得金額からもろもろの所得控除の金額を引いて対象となる所得税率をかけまます。
3、税額が出たら住宅ローン控除などの税額控除の金額を差し引きます。
4、100円未満は切り捨ててあげて復興所得税率をかけてあげると本来納める所得税が出ます。
5、すでに給与から天引きされている所得税金額との差額を導き出してあげます。

(3)年末調整をした後に還付が発生するなら税金を返してあげる

年末調整後の本来の税額と、すでに源泉所得税として徴収されている金額に差があれば調整します。多く徴収されていれば従業員に税金を還付してあげます。足りない場合は理由を説明して追加で徴収するのが年末調整です。

(4)年末調整の計算や事務手続きを劇的にカンタンにしたい方は必見

事務作業が苦手な人や、数字が嫌いな人にとってはここで紹介した年末調整を自分でやること自体苦痛かもしれません。とはいえ、専門家にお願いするとコストが高くかかってしまうのが悩みの種です。

無料でお試しから始められる【人事労務freee】という給与計算ソフトでは、今回紹介した従業員から集めないといけない情報や書類をペーパーレスで対応できます。ネットからサイトの案内に沿って各自入力するだけなので 従業員側も経営者側もストレスがないです。給与の情報お紐付いているので年末調整の作業も非常にカンタンに利用可能です。たくさんのコストはかけられないけど、自分たちで年末調整をしたいという方はお試しから始めてみてはいかがでしょうか。

◆まとめ

起業をして自分一人だけなら年末調整はそこまで大変ではないと思います。会社の代表であれば自分一人だけ年末調整すれば良いだけですし、個人事業主の方は年末調整をせずに確定申告で一気に税金の計算をしてしまうからです。

事業が成長して人を雇うようになった時、お給料から源泉所得税を差し引くのを忘れていたり、年末調整を忘れていたりすると痛い目に合うかもしれません。特にお給料から所得税差し引くの忘れていて後から徴収されて頭を悩ませている経営者を結構みました。

面倒ですけど、税金の手続きについては今回紹介して年末調整のしかたを始めとして一つ一つきっちりと対応しておいた方が長い目で見て一番面倒臭くない結果になるはずです。

●残業代と税金の秘密を知っていますか?
従業員の経営者も知っておいた方が良い税金と残業代の仕組みを「サラリーマンが税金対策をする時に知っておきたい残業の秘密」の記事をご覧ください。