株式会社設立をする代わりに休眠会社を利用するメリットとデメリット

独立をして法人をつくることを考えた時、通常通りのプロセスで株式会社設立や合同会社設立をする方法と、休眠会社を復活させることも一つの方法として考えられます。ただ、あまり一般的な方法ではないため、今回は株式会社を設立する代わりに休眠会社を利用するメリットとデメリットについて考えていきたいと思います。

◆休眠会社とは何か

株式会社設立に休眠会社を利用するうんぬんの前に、そもそも休眠会社とはどいうことなのか?会社を廃業することとは何が違うのかを見ていきましょう。

株式会社の廃業に関して

株式会社設立をするというのは、株式会社という存在をこの世に産み出す手続きのことを言いました。登記簿謄本という書類で会社の存在が証明されていましたよね。廃業はその会社が死んでしまったということなので、死亡届を出して「もうこの世には存在しませんよ」という手続きをします。それを法人の清算の手続きとも言ったりします。

具体的には、廃業する日にちを決めて、その日に向け解散登記をします。その後、官報公告という告知方法を使って会社が廃業したことを世の中に知らせます。そして、清算の手続きとして例えば残った財産からは、借金を返したり、お金を支払うべきところへ支払い、それでも財産が残っていたら株主に分配したりなどの整理をします。そうやって、会社を廃業する手続きをするのです。

株式会社を休眠させるということに関して

会社を休眠させるということは、廃業させることとは違い会社は存在し続けます。休眠は休業とも言ったりしますが、何らかの理由で会社の活動が出来なくなるので会社を動かない状態にさせようという意味です。例えば私が一人で会社を運営していたとして、親の介護のために事業を一時的に出来ない状態になったとします、そういう時は税務署に休業届を出して、その会社を一時的に休眠状態にするのです。

また、廃業の手続きが面倒なので休業の手続きのみをして、ずっと会社を休眠状態にしている人なんていうのも存在しています。なぜ、そんなことになるのかは次の項目で考えていきます。

◆休眠会社にすることで、何がいいの?

廃業させる会社がある一方で休眠をさせる会社があり、これまでの説明で何となく廃業と休眠の違いは理解してして頂けたかと思います。ここで、本題からは少しズレますが廃業と休眠の違いやメリット・デメリットについて少し突っ込んでみていきたいと思います。

休眠会社にさせることによるメリット

法人住民税を払わなくて大丈夫かもしれない。

まず、休眠会社にさせることによるメリットは、色んなケースで考えられるのですが例えば税金面での負担が少ないことがあります。これは、会社を一時的にお休み状態にしておきたい人に当てはまるケースかなと思います。

例えば私が一人だけの株式会社設立をして事業をしていたけれど親の介護のために一時的に事業をストップしなければいけない状況になったとします。その時は何の手続きもせずに、そのまま売上がない状態でほっといてもいいのですが売上がない状態でも決算の申告をしなければいけないですが、会社の役員を変更するなど登記の変更をするような手続きはしなければいけません。

休眠の手続きをしても、実は基本的に決算の申告などの手続きをしなければいけないことは変わりないのですが、実は法人住民税を払わなくて大丈夫なケースがあるのです。法人住民税は会社が存在するだけで売上がなくても約7万円を納めなくてはいけないのですが、地域によってはこれを免除してくれるところがあるのです。具体的には自分の会社が存在する市区町村に確認することをお勧めします。

また復活させる手続きもカンタン

会社を休眠させるには届出を提出するだけで出来ます。税務署と都道府県税事務所、市町村役場に休眠の届出を出すようなかたちになります。

また状況が変わり事業を再開できるようになったら、わざわざ新しく株式会社設立する必要もなく事業を再開する届出をするだけで大丈夫です。

休眠中でも申告や登記はしなければいけません。

すでの少しお話しましたが、会社を休眠させたからといって何もしなくて良いわけではありません。売上がなくても毎年申告をしなければいけませんし、役員の任期が来たら法務局へ変更の登記をしなければなりません。

申告を二年間しないと青色申告を取り消されてしまいますので、途中で青色申告のメリットを享受できなくなってしまいますし、法務局への登記を12年間何もしなかったら勝手に会社を解散させられてしまいます。ですので、一時的に休眠してまた事業を復活させたいと思っている方はこうした諸々の手続きを忘れないように気をつけて下さいね。

廃業にはお金がかかるので、休眠で終わらせる。

この理由が、もしかしたら会社を休眠させる理由として一番多いかもしれませんね。廃業するには解散登記をしたり、財産を処理したり面倒な手続きが必要です。さらにそれらに費用もかかりますし、弁護士や司法書士、税理士に払う費用なども考えると労力おお金もかかります。そこで、休眠の手続きをすることでそれらコストを少しでも抑えようというのです。

みなし解散について少し解説しておきます。

みなし解散とは、会社を休眠させて12年間なにも法務局に手続きをしなかったら(本来であれば役員再任手続きが一定の期間ごとに必要になります)、勝手に会社を解散させてしまいますよという制度です。

ゆくゆくは会社を再開するつもりで休眠届けを出した会社はこのみなし解散について気をつけなければいけませんが、廃業を検討している方であれば休眠届けを出して、そのままにしておけば法務局がかってにみなし解散をしてくれるということで、廃業の手続きはせずに、休眠の手続きで済ませる方も中にはいるようですね。

◆休眠している会社を使って、会社を立ち上げる。

昔は株式会社設立するのにも、ハードルが高かったです。資本金が1000万円以上必要だったり役員の要件が厳しかったり。限られた人でないと株式会社が出来なかったわけですね。そこで、休眠会社を復活させて、その会社の器で新しい事業を始めるという裏技的なことがあったわけです。ですので、株式会社設立の代わりに休眠会社を利用するメリットとデメリットを考えていきたいと思います。

株式会社設立の代わりに休眠会社を利用するメリット

まず、休眠会社を利用することで会社の歴史を引き継ぐことが出来ます。今はそんなに重要視されないかもしれませんが、社歴が長いことによって取引先から信頼をもらえたり、お客様に安心感を与えることが出来るかもしれません。また資本金の情報も引き継げるので、大きな資本金だった場合はそれに紐づく安心感も与えることができるかもしれません。

次に許認可についてです。事業の中には市区町村に届出をして、許認可を受けないと出来ない仕事があります。人材派遣や建設業や、運送業など様々です。中にはその許認可を取るのが難しい場合でも、休眠会社がすでにその許認可を持っていれば引き継ぐことも可能なのです。

他には欠損金の繰越し控除が使えるかもしれないということです。これは、休眠している会社が青色申告をしていて、かつ休眠はしているけど毎年ちゃんと申告の手続きをしている時に有効活用ができるものです。会社は決算をして赤字の場合は、その赤字を繰越して利益がでた時にそれを相殺できるという特別ルールですが、休眠会社の場合はそれがまだ残っている場合があるわけで、それを使えば節税の効果が見込めるというわけです。

株式会社設立の代わりに休眠会社を利用するデメリット

まずは、株式会社設立の代わりに休眠会社を利用するということは、その会社の登記情報を変更するのにお金と手間がかかります。役員やら、本店所在地やら、事業目的やらの変更の手間がかかるということですね。

そして、もし休眠会社が休眠中に申告をしていなければ、青色申告のメリットを享受できないので、そういう場合にはデメリットになりますよね。

あと、もしの休眠会社が見えない借金を背負っていたらどうなるでしょうか?株式会社設立の代わりに休眠会社を引き継いだはいいけど、後で返さなくてはいけないお金があったとか、もしかしたら想定外のトラブルに巻き込まれるリスクもないわけではありません。

最後に、その休眠会社が金融機関のブラックリストに乗ってしまっている場合はリスクが大きいですね。過去に借金を踏み倒したなどの情報は金融機関では調べればその会社のことについては把握できるので、いざ融資を受けようと思ったら、それを理由に断られるなんてこともあるかもしれません。

◆株式会社設立をする代わりに休眠会社を利用するメリットとデメリット、のまとめ

いかがでしたでしょうか。昔は株式会社設立をするのに手間がかかったので休眠会社を利用するメリットが大きかったかもしれませんが、今ではカンタンに株式会社設立もできるようになり、自分で株式会社設立をした方が安心というケースが多いかもしれませんね。

とはいえ、株式会社設立の代わりに休眠会社を利用して事業を立ち上げる場合には、事前の下調べを含めて慎重に判断することをお勧めします。

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