株式会社設立の際、最初の事業年度はどうやって決めますか?

株式会社設立の際に、最初の事業年度をどのように決めたらいいのか?と、質問をいただくことが良くあります。事業年度の決め方によって、税金や資金繰りに影響のあることもありますので、慎重に決めていきたいところです。今回は、以外と知らない最初の事業年度の秘密を解き明かしていきたいと思います。

◆事業年度の意味を確認しておきましょう。

事業年度とは、カンタンに説明すると会社の業績や税金を計算するための一区切りの期間を言います。

基本的に一年間となりますので、たとえば事業年度が4月1日からスタートすれば、その事業年度が終わるのは翌年3月31日となります。

つまり3月が決算月の会社というわけですね。この間の売上や経費を計算したりして納める税金の額を決めていくのです。

◆最初の事業年度に関して

定款の中に、「最初の事業年度」を決める項目があります。

定款とは、会社のルールを決めた例えば憲法のようなものです。会社が守るべきルールの根本的なものが定款にまとめられています。その定款の中に「最初の事業年度」を定める項目があるのです。定款の雛形から例文をひっぱってくると以下のような内容になります。

(最初の事業年度)

第24条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から〇〇年〇月末日までとする。

いかがでしょうか、最初の事業年度を「会社成立の日=会社設立日」から〇〇年〇月末までとするところがポイントですね。事業年度は一年以内であれば自由に決めることができるのです。

なぜ最初の事業年度を決める必要があるのでしょうか?

そうすると、なぜ最初の事業年度をわざわざ定款に決めて記載する必要があるのでしょうか。これは事業年度のルールの部分から整理していくとわかりやすいかと思います。

事業年度は基本的に一年単位

会社の事業年度は基本的に一年単位です。事業年度を自由に決められるといっても毎年毎年、事業の業績を測る基準がバラバラだと大変ですよね。なので、普通の会社は基本的に事業年度の長さは一年単位なのです。

事業年度は基本的に1日にスタートし、末日に終わる

会社の運営上の問題ですが、基本的に事業年度は一年の間で1日に始まり末日で終わります。会社を運営していると、色んな手続きが月で区切られると便利ですよね。事業年度もどこかの月で区切る方が会社を運営していく上で便利です。ちなみに、必ず事業年でおは1日で始まり、末日で終わらせなければいけないわけではありません。

最初の事業年度のスタートは会社設立日から

ただし、株式会社設立をした年の最初の事業年度はなかなか1日からというわけにはいきませんよね。会社設立日が1日でないといけませんので。そこで、定款の方には最初の事業年度は「会社成立の日から」という書き方をするわけですね。

最初の事業年度は自由に決めていいですけど、だいたい一年間を設定します。

これまで説明してきたように、最初の事業年度は会社設立日から始まるので、定款には改めて会社成立の日からと書くわけですね。そして、恐らくほとんどの会社が最初の事業年度は一年間を設定しますので、最初の決算月の末日までとなるわけで、それを定款に記載しているということですね。

◆株式会社設立時に最初の事業年度を決める時に注意すること

消費税を納めないくて良い期間をなるべく長く設定しましょう。

資本金を1000万円以下で設立すると、最初の一期目と二期目は消費税の課税は免除されます。つまり株式会社設立をして普通は売上をお客様からもらう時に消費税も一緒に受け取り、通常ならその消費税は国に納めるわけなのですが、最初に二期間はそれをしなくていいですよ、という特別ルールが適用されるわけですね。

そして、この特別ルールが適用されるのが最大二期間なわけでして、最初の事業年度を一年以内にした場合にはその分、この特別ルールが適用される期間が短くなるわけですので、その点も考慮して最初の事業年度を決めて下さいね。

消費税を納めなくて良い特別ルールが適用されない場合は最初の事業年度を7ヶ月以内にすることも検討してみて下さい。

ここで、一つ注意点があります。上で紹介した消費税を納めなくてい良いという特別ルールなのですが、適用されないケースがあります。その一つが株式会社設立後半年間の売上と、半年間に支給する人件費の合計(役員報酬含む)がそれぞれ1000万円を超えた場合には、この特別ルールが適用されなくなります。片方が超えるのではなく、半年の売上が1000万円を超え、かつ、半年の人件費の総支給額が1000万円を超える場合ですので、片方が超えて、片方が超えていない場合はセーフです。

そして、両方どうしても半年で1000万円を超えてしまう場合には最初の事業年度を7ヶ月以内にすることで回避できる裏技があります。最初の事業年度を7ヶ月以内にすることで、特別ルールを適用しないための条件を回避することができるのですね。ここでは、混乱させてはいけないと思うので難しい話はやめにして、株式会社設立後の売上と人件費が1000万円を超える場合は最初の事業年度を7ヶ月以内にすることで特別ルールが適用される、と考えておいて下さい。

つまり、一期目が7ヶ月+二期目が12ヶ月で合計19ヶ月が消費税を納めなくて良い特別ルールが適用となるわけです。フルフルの24ヶ月と比べたら少ないですけど、無いよりはマシですので、こうした点も最初の事業年度を決める時の参考にして下さい。

お金のあるタイミングで決算の申告と納税の時期が重なるように最初の事業年度を工夫しましょう。

最初の事業年度を決めると決算月が決まります。事業年度の最後の月が決算月となるわけです。会社が納める税金は決算の申告という作業をすることで決めて、税金を納めるのですが、この決算の申告は決算月の二ヶ月後となります。

つまり、売上がたくさんあって、利益がたくさんある会社は、たくさん税金を納めることになると思うので、この決算の申告の時期にはある程度まとまったお金があると良いでしょう。この決算の申告のタイミングと例えばボーナスの支給や、大きな仕入れなど、大きな出費の時期と重なってしまうと資金繰りが厳しくなってしまうかもしれないわけですね。こうした点も考慮して最初の事業年度を決めると良いでしょう。

繁忙期を避けるように、棚卸しが面倒でないように、最初の事業年度は気を付けましょう。

上の項目にも紐づくのですが、決算月から2ヶ月後までに決算の申告をしなければならないと伝えさせて頂きました。実はこの2ヶ月間は、税理士とのやりとり増えたり、色々と資料をそろえたりしなければいけないなど、通常うよりも少し忙しくなりがちです。また、期を締めるタイミングで棚卸しもしなければいけなく、このタイミングで仕入れをたくさんしたり、在庫がたくさんある状態だとそれこそ作業が面倒になってしまいがちです。この時期と会社の繁忙期が重なってしまうと結構大変なので、繁忙期などを避けて、最初の事業年度を逆算して決めるといいかもしれません。

◆株式会社設立の際、最初の事業年度はどうやって決めますか?のまとめ

いかがでしたでしょうか。最初の事業年度は、いろんな角度から工夫して決めることをお勧めします。一般的には丸々一年間を設定するといいでしょうし、それによってデメリットがあるようでしたら、株式会社設立後は決算月を変更もできるので、そうした事を頭に入れながら最初の事業年度を決めていただきたいと思います。

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