株式会社設立をするときの株数はどうすればいいですか?

会社を設立するにあたり理想的な株数はどれぐらいかご存知ですか?会社が発行できる株数に上限があるのを知っていましたか?

株式会社設立をまだ経験したことがない人も、すでに株式会社設立はしているけれど株についてあまりわからないという人も、改めて株式会社設立と株数について整理することで健全な会社の運営のお役に立てていただければと思っています。

とりわけ今回は株式会社設立時の理想的な株数(資本金の金額)や、意外とわかりにくい発行可能株式総数について解説していければと思います。

◆株式会社の株式ってどういう意味?

※株式の語源は「切り株」とも言われています。英語で「stock」

株式会社の特徴

まずは株式会社の特徴について考えていきましょう。

株式会社は「経営をする人」と「お金を出資する人」が分かれている会社と考えてみて下さい。

● 経営をする人=取締役(代表取締役)

その中で「経営をする人」のことを取締役と言います。

複数の取締役がいればその中で代表となる人を代表取締役と言うわけです。

● お金を出資する人=株主

次にお金を出資する人についてです。お金を出資した人たちのことを株主と言います。お金を出資するということは、株式を手に入れて株主となるわけです。お金を出資する=株式を持つ=株主ということですね。

余談ですが・・・昔はお金を出資した証拠として株券という書類を発行していました。今は発行しないことがほとんどです。

取締役と株主の関係

基本的な株式会社において取締役と株主の関係は、「株主から出してもらったお金で、取締役を中心として会社がモノやサービスなどを世の中に提供して利益をえる→その利益を会社がさらに大きくなることに使ったり、お金を出資してくれた株主にお礼として配当する」といったイメージです。

● 株主の持つ株数は会社への影響力の大きさです

お金を出資している株主は、株主総会という会議で会社についての大事な項目について決める権利を持っています。

決めるといっても多数決なのですが、株主の持つ株数によって投票数が違うわけですので株数を多く持っている人の方が会社への影響力が強いわけですね。

つきつめれば、会社へたくさんお金を出資している人が、取締役を決めたりするなどの会社への一番会社に関する物事を決定する力を持っているということです。

● 小さな会社は取締役と株主が一緒のことがほとんど

これまでの説明で、株式会社には株主と取締役という大切な役割を持った人が二種類存在するのがおわかりいただけたかと思います。

実はこの取締役と株主は同じ人が兼ねていて問題ありません。むしろ、日本の中小・零細企業のほとんどは取締役と株主が一緒のことがほとんどです。

そうした場合は株主として実質的に会社への影響力を一番に持っておきながら、実務でも会社の先頭に立って経営をしているわけですね。

◆株式会社設立する時の株数の決め方

なんとなく株に関するイメージをつかんで頂けたら、次に株式会社設立時に、一株あたりの金額はいくらにしたらいいのか、という点を考えていきましょう。

説明する必要はないかもしれませんが、株式会社設立時の株数の決まり方は「株数=資本金➗一株の金額」です。

100万円の資本金の会社が、一株あたりの金額が一万円であれば株数が100株の株式会社ということになります。では、改めて詳しく解説していきますね。

資本金の額をいくらにするか

資本金は会社を運営する元手となるお金です。意外と勘違いしている人がいるのですが、資本金は会社のためであれば使ってもいいお金です。

最低でもいくらぐらい資本金を出しておいた方が良いのかについては、こちらの「株式会社設立時の資本金は最低どのくらい必要か?」という記事の中で詳しく紹介しているので、良かったらあわせてご覧ください。

ポイントだけまとめておきますと、以下の点に気をつけてもらえば良いかと思います。

1、消費税が免除になるように1000万円以下にする。
2、行政への手続き上、条件があるのであればそれに従う。
3、半年ぐらい売上がなくても運転できるぐらいの資金が理想的。
4、対外的に信用が必要であれば資本金1円はなるべく避ける。

とりあえずはこれらに気をつけておけば何か不具合があるということは無いと思います。資本金をいくらにするか決まれば会社設立時の株数が決まるまでもう少しです。

一株あたりの金額と株数を決定しましょう

株式会社設立時の株数が決まるには、「資本金をいくらにするか」に加えて「一株あたりの金額をいくらに設定するか」が大切です。

実は昔は一株あたりの金額は5万円というルールがありました。さらに言うと資本金も1000万円ないと株式会社設立できませんでした・・・。今では、会社設立をしやすくするために、そのルールはなくなっていくらにでも設定できるようになりました。ただ、昔の名残で5万円に設定している企業は多いかもしれませんね。

一株あたりの金額を決めるには以下の二点だけ気をつけておけば良いでしょう。

● 複数の出資者がいるときはパワーバランスを考えて金額と株数を決定しましょう

会社で大切なことは基本的に株主総会という会議で決めます。この会議、多数決で物事を決めるのですが、株数というのは投票権と思って下さい。

多数決ですから半分以上の投票権を持っていれば結構自由に会社の大事なことを決めることができます。

ですので、株式会社設立時に複数の出資者がいるときには誰かに権限をよせるのか、それとも平等にするのか納得のいくまで話し合っておくことをオススメします。意外と時間が経つにつれて会社の方針のズレなどで決裂するなんてこともよく聞く話です。

● 将来資本金を増やす時にハードルが高くなりすぎないように注意!

これから先、順調に事業が成長していくとどこかのタイミングで資本金を増やすこともあるかもしれません。

株式会社の場合、資本金を増やすという事は会社が発行する株数を増やすことを意味します。

資本金100万円の株式会社の一株あたりの金額が1万円の場合は、株数が100株の株式会社ということですよね。この会社の資本金を150万円に増やすということは50万円分の資本金を増やす=50万円分の株式(50株)を発行する、と同じ意味です。

この一株あたりの金額が100万円だったらどうでしょう。本来は50万円出資したいのに一株100万円だと無駄に増資のハードルを上げてしまいますよね。細かいことですが、このような点を気にしながら一株あたりの金額や株数を決めるようにして下さい。

 ◆発行可能株式総数について

これまで株式会社設立における株数についてポイントを見てきました。最後に「発行可能株式総数」について確認しておきましょう。

発行可能株式総数とは読んで字の如く「発行できる株式の数の総数」ということですから、つまり将来的に発行できる株数の上限となります。発行する株式=資本金ですから資本金の額の上限と言い換えても良いかもしれません。

発行可能株式総数の決め方

発行可能株式総数は、その会社が発行できる株数の上限です。

ですので将来的に資本金をいくらにしたいのか何となくでもイメージがあるのであれば、発行可能株式総数は資本金を上回るようにしておきましょう。

将来のことなんてわからない!という人は、なるべく多めを設定しておきましょう。たとえば発行可能株式総数を1万株としておけば、一株1万円の会社の場合は「1万株✖️1万円=1億円」まで資本金を増やせる計算になります。

これから株式会社設立をしようという方のほとんどは恐らく譲渡制限会社をつくる人たちだと思います。譲渡制限会社(※注1)では特に上限設定にルールは無いので、好きな数を上限の株数として決めてもらって大丈夫です。

(※注1)
譲渡制限を設けていない会社は公開会社という形で自由にその会社の株の売買をすることができます。譲渡制限を設けない会社の場合、設立時に発行できる株数は発行可能株式総数で定めた株数の4分の1と定められてるので注意が必要です。とはいえ、ほとんどの会社は株式の譲渡制限をする会社だと思うで、この件は頭の片隅に置いておく程度でよいかと思います。

発行可能株式総数を超えて株式を発行したい場合はどうすればいいの?

発行可能株式総数は、将来的に増やせる株数の上限だからなるべく多めに設定した方がいい、という点はご理解いただけたかと思います。

それでは、この発行可能株式総数以上い株式を発行して資本金を増やしたい場合はどうすればいいのでしょうか?

発行可能株式総数は株式会社設立する時の要件となっているぐらいなので、法務局にその数は登録してあります。ですので、まずは法務局にこの上限となる株数を変更する手続きが必要になってくるのです。

発行可能株式総数の変更登記という手続きに3万円を法務局に支払わなければなりません。

あとは書類を作って手続きを踏んで、発行可能株式総数を変更する手続は終了です。とはいえ、こうした無駄な手間はお金をかけなくて済むようになるべく多めの株数に設定しておくことをオススメしています。

◆株式会社設立時に考えておく株数に関すること、のまとめ

いかがでしたでしょうか。株式会社設立時に決めておくべき株数について概要をつかんで頂けたのであれば嬉しいです。

ポイントは「資本金をいくらにするのか」という点と「一株あたりいくらにするのか」「発行できる株数の上限はどれぐらいにするか」の三点だと思います。

特に資本金をいくらにするのかについては消費税に関わる項目も出てきますので、なるべく納める税金を少なくして株式会社設立という方にはこちらの「株式会社設立時の資本金によって消費税はどのように変わるのでしょう?」という記事が参考になると思います。