相続対策のための株式会社設立について徹底解説

株式会社設立をする背景は、節税とか事業拡大だとか、取引先からそうしろと言われたとか様々だとは思います。節税のひとつになるとは思うのですが、相続税の対策として株式会社設立を検討される方も中にはいらっしゃいますので、今回は相続対策のための株式会社設立とはどんなものなのかを考えていきたいと思います。

◆相続税とは何ですか?

相続税は相続する財産にかかる税金です。

私がたくさんの財産を持っていたとします。現金だけでなく、不動産や株など資産としての価値があるものをたくさん持っていても、それらは天国へは持っていくことができません。それら財産は家族などに引き継がれていくわけですね。相続する財産の金額が大きくなる時に、国がそれに税金を課しているので、それを相続税として納めないといけないわけです。

この例でいくと、死んで財産を渡す側である私のことを被相続人と呼び、死んだ私から財産を受け取る人のことを相続人と呼んだりします。

なぜ、相続税なんてものがあるのでしょう。

それにしても、せっかく親なり家族が残してくれた財産に相続税なるものを国は課すのでしょうか。当事者からしたら、国の搾取とも思えてしまうこうした相続税ですが、実はしっかりと理由があります。相続税は相続人が汗水たらして働いて稼いだお金ではなく、家族の誰かが死亡したことによって、たまたま受け取った財産なわけです。いわば不労所得と言えるものですが、何もせずに受け取るこうしたお金が一つのところに集中するのを避けるために相続税があると言われます。また、ほとんど同じ理由なのですが、親がすごい資産家で、その資産が代々子どもたちに引き継がれていってしまうと、その家系はずーっとお金持ちのままで、貧乏な家系はずーっと貧乏なままだとも考えられます。そうした富の集中を防ぐためにも、相続税によって富の再分配を意図しているとも言えるのです。

◆法人とは、どういう意味でしょうか?

相続税の対策になんで株式会社設立?なんて思うかもしれませんが、まず先に法人についてそれがどんなものなのか理解しておくと、相続税の対策と法人の関係が見えてくると思います。

ある組織を人とみなすことを法人と言います。

株式会社設立をすると、その会社のことを法人と言ったりします。この法人というは、法律で人みなされている組織のことを指します。どういうことかというと、例えば個人であれば、私が家を借りたいと思った時に、不動産会社と私との間で不動産契約を結んで家を借りるわけです。私と不動産会社とで法律関係ができ、責任が生まれます。これが会社組織だと、複数の人間がそこには存在するわけで、会社が家を借りようと思った時に不動産会社は誰と契約していいのかわからないですよね。一人の個人を選出したとしても、その個人に責任が重くのしかかってもおかしな話です。そこで、その組織を法律で人=法人とみなすことによって、不動産会社は法人と契約を結べばいいわけです。こうして会社を法人とすることによって、その会社が世の中で事業活動をしやすくする目的があるんですね。

法人には基本的に事業が続く限り寿命は無いのです。

人間には寿命というものがあり、年齢を重ねるに連れ、体の自由がきかなくなり、やがて死を迎えます。法人の場合には事業が続く限り寿命というものが無いので、半永久的に続くことになるのです。たとえば、日本で一番長く続く会社は株式会社金剛組と言われており、578創業の神社仏閣を設計や施工をしている会社です。578年創業ということは、もう1500年近くも存続しているわけですね。そして、法人には相続税がかからないという点が今回の株式会社設立と相続税の節税についてのキモとなる考え方になります。個人事業主や個人が亡くなったら、その財産に相続税がかかりますが、法人の代表取締役が亡くなっても、法人は残り続けるわけですからその財産に相続税がかかるわけではないのです。

◆株式会社設立をすることで、相続税の対策をする!

ここまでの話で、法人を作ることでなぜ相続税の対策になるのかをざっくりとつかんでもらえたかと思います。今度は株式会社は法人ですので、株式会社設立によって、相続税の対策がどのようになされるのかを具体的にみていくことにしましょう。

株式会社設立時に相続人を役員に入れる。

普通に財産を持っている人が亡くなって、相続人に財産が引き継がれると相続税がかかってしまいますので、株式会社設立をして役員に家族(相続人)を入れることによって、その人たちに支払う役員報酬によって財産を事前に分配してしまうわけですね。生前にお金を受け渡しだと贈与税なるものがかかってしまいますが、会社の役員に対して役員報酬として渡すことについては所得税がかかるものの、本来相続される財産が事前に分配されていくので株式会社設立による相続対策となるわけです。また、退職金も経費として考えていけるわけですし、退職金は普通のお給料や役員報酬と比べても所得税が優遇されているので、そのような制度を使っておくのも一つの方法ですね。

法人の器に財産を残しておいて、後継者が利用できるようにしておく。

法人は会社の売上から経費を差し引いて残った利益に法人税がかかり、残ったお金は会社のお金として新しい事業などに投資されたり、もしもの時のためのお金としていつでも使うことができます。株式会社設立をして、会社にお金を残すようにしておけば、将来会社を引き継ぐのが相続人となる家族だった場合、その会社の器を使って好きな事業をしたりするなんてことも、大規模な会社でなく小さな会社だからこそできる相続のかたちかもしれません。

◆相続対策のために株式会社設立をする時の注意点

それでは、相続対策を念頭において株式会社設立をする時に、気をつけておくポイントはあるのでしょうか?具体的にみていきましょう。

資本金を1000万円未満にすることで節税をする。

株式会社設立のための資本金はいくらでも問題はありません。資本金が1000万円未満であれば、最初の二年間(一期目と二期目)は消費税を売上としてお客様から頂いても、国に納めなくても良いとされていますので、これを活用した方が無駄な税金を支払わずに済みます。また、資本金が1000万円を超えると法人住民税が高くなってしまいますので、注意しましょうね。

株主は相続人だけにしましょう。

株主はその会社の持ち主のことを言います。この株主の中に被相続人、つまり財産を持っている側の人が入ってしまうと、その方の持っている分の株式が相続の対象になってしまいますから節税の効果が減ってしまうわけですね。

相続人を役員にすることをお忘れなく!

すでにお伝えしましたが、株式会社設立をしたら、相続人を役員にすることで相続する財産を事前に役員報酬として分配することが出来ます。相続の対象となる相続人を役員にするのをお忘れずにしましょう。

◆株式会社設立によって考えられるデメリット

では、最後に株式会社設立をすることによるデメリットを考えていきましょう。相続対策が目的ではありますが、すぐに株式会社設立をするのではなく、しっかりとデメリットやリスクを考えた上で準備をしていきましょう。

株式会社設立には設立費用がかかります。

まず、当たり前のことですが株式会社設立にはお金がかかります。法務局に払う登録免許税と公証役場に払う認証手数料でだいたい20万円から25万円ぐらいでしょうか。これに司法書士の先生に株式会社設立の代行をお願いすると、設立費用と合わせてもだいたい30万円前後ぐらいは必要になってきます。

設立費用に関する詳しい紹介はこちらのページでもお伝えしています。
株式会社設立を司法書士にお願いした時の費用の相場をまとめてみました。

株式会社設立後には経理作業や決算の申告をしなければなりません。

個人事業主の確定申告であれば、頑張って自分で申告することもできたかもしれませんが、株式会社となるとそうはいきません。日々の経理処理からしっかりと作業をしつつ、確定申告より複雑になる決算の申告をしなければなりません。こうしたことに詳しい人であれば、問題ないかもしれませんが、だいたいの人が自分で行うには無理があるので、税理士事務所や会計士事務所にお願いすることになるでしょう。だいたい顧問料を毎月支払って、別途決算の申告料を支払うというイメージでしょうか。相場としては年間で、だいたい30万円から80万円ぐらいだと思います。

株式会社設立後に売上がなくても法人住民税を払わなければなりません。

株式会社を設立すると、売上がなくても、赤字だったとしても必ず支払わなければならない税金として法人住民税というものがあります。これは最低でも7万円ですので、そうしたお金がかかることに注意しておかないといけません。

会社をやめる(清算する)のにもお金がかかります。

相続対策をすることが目的ではありますが、株式会社設立をしたとしても何が起こるか誰にも未来は予測できません。もし、事業が上手くいかなくなって、会社をたたむことになったら会社を清算するのにもお金が必要になります。税理士に支払ったり、弁護士に支払ったりと、トータルで考えると株式会社設立をした時よりも清算の方がお金がかかるかもしれません。

役員同士、株主同士でトラブルになってしまうかもしれません。

これは稀なケースかもしれませんが、株主の出資比率が会社に与える影響力の大きさになります。また、その株の数が自分が受け取れる財産に紐付いているわけなので、相続人同士で、その会社をどうするのか意見が割れたりする可能性もゼロではないかもしれません。お金に関わることなので、普段はいい人でも・・・なんてことが無いように気をつけておきましょう。

◆相続対策のための株式会社設立について徹底解説、のまとめ

いかがでしたでしょうか。相続対策の株式会社設立について、少しでもイメージが湧いてもらえると嬉しいです。実際い株式会社設立をすることによって、家族や子どもたちに好きなことさせて上げる土台が出来るかもしれませんね。

今回お伝えした相続対策の株式会社設立は、普通に株式会社設立をするよりも本当に相続対策となりうるのかは様々な角度で検証しなければなりません。関わりのある税理士の先生に相談をしながら慎重に進めるようにしてください。

こちらの記事もご覧ください。
株式会社設立時に知っておきたい節税のポイント