会社設立の資本金の払込み方法!通帳振込のタイミングは?すぐ引き出して大丈夫?ネットバンクはOK?

会社設立・独立・起業アドバイザーのごはんつぶです。これまで400件を超える会社設立や起業、さらには採用や社員教育・コーチングのお手伝いをしてきました。

会社設立の手続きでは資本金の証明をしないといけません。昔は払込証明書が必要でしたが今は通帳に資本金を入れるだけの簡単な作業です。

資本金を入金するだけの作業ですが間違いが多いです。資本金を振り込むタイミング、誰の通帳に振込むのか、振り込んだ資本金はすぐに引き出して良いのかなど資本金の払込みに関する疑問点をすべてクリアにしていきます。

この記事でわかること

・会社設立時の資本金の払込み方法と通帳への印字するポイント
・資本金の払込みが終わった後の資本金の使い方

◆会社設立時の資本金の通帳への払込・振込のやり方

株式会社でも、合同会社でも資本金が1円以上必要です。資本金は法人口座に入れたいところですが、設立前は会社が存在しないので個人の通帳に資本金があることを証明します。

(1)株式会社設立時は発起人の個人通帳に資本金を振込む時の基本事項

会社設立時の資本金の証明書作成は個人通帳への振込みが基本動作です。誰の通帳に振込むかといえば株式会社であれば発起人です。

発起人は会社設立を企てる人の意味です。発起設立の場合は設立後に株主になる人と言い換えても良いかもしれません。

発起設立と募集設立の違い

株式会社設立の方法には「発起設立」と「募集設立」があります。ほとんどが発起設立なのですが、詳しくは「株式会社設立は発起設立と募集設立のどちらを選べば良いですか?」の記事をご覧ください。

1、複数の発起人がいる場合の通帳への払込・振込方法

複数の発起人がいる場合はどなたか代表する人の通帳に資本金を集めます。たとえばAさん、Bさん、Cさんという三人の発起人がいたとします。それぞれの出資金額は以下です。

発起人Aさん:100万円
発起人Bさん:100万円
発起人Cさん:100万円

三人で合計資本金300万円の株式会社設立をするということです。そこで代表して発起人Aさんの個人通帳に資本金を集めます。まずAさんは自分の通帳に100万円を自分の名前で振り込んでも良いし、一度出金したのを入金(預け入れ)という方法でもOKです。次にBさんが100万円を自分の名前でAさんに振込み、さらにCさんが100万円を自分の名前で振込ます。

※Aさん以外は必ず振込名義人の名前を自分の名前とわかるように表記されるよう注意しましょう。

通帳に印字されるイメージ

通帳がこんな風に印字されたら問題ありません。

(Aさんの通帳)
4/1:Aさん 預入 1,000,000
※預入だとAさんの名前印字されません。
4/1:Bさん 振込 1,000,000
4/1:Cさん 振込 1,000,000

2、発起人が一人だけなら振込でなくても大丈夫

発起人が自分一人だけなら個人の通帳にわざわざ振込まなくても、一度出金して入金という作業で大丈夫です。もちろん振込みをして自分の名前が振込名義人として印字されるようにしても問題ありません。

3、大きな金額の資本金を払込む・振込む場合は複数に分けてOK

たとえばATMなどで振込みをする場合は、振込み金額に上限があることがあります。その時は複数回に分けて振り込んで問題ありません。

たとえば100万円の資本金を振込みたい時に、40万、40万、20万と分けても大丈夫ということです。日付も同日の方がわかりやすいですが、ずれていて構いません。

(2)株式会社設立時の資本金払込み・振込みの具体的な流れ

それでは全体を通して資本金を払込む・振込むときの流れを整理しておきます。

1、発起人の個人通帳を準備

まずは発起人の個人の通帳を準備して下さい。まだ会社が出来ていないので、個人の通帳に資本金を集めて証明書類を作成することになります。通帳は金融機関のものであれば何でも大丈夫です。都市銀行でも、地方銀行でも、信用金庫でも、信用組合でも問題ありません。昔は郵便貯金はダメだったらしいのですが、ゆうちょ銀行になって大丈夫になりました。

2、発起人の通帳に資本金の金額を振込む

通帳が準備できたら発起人の通帳に、出資する資本金の金額を払込みます。基本的には振込をして、振込人の名前が通帳に印字されるのが理想的です。振込みを受けると誰からの振込みか印字されますよね。「振込 ヤマダタロウ」みたいな感じです。発起人自身の通帳であれば、預け入れという形での入金でも問題ありません。

3、発起人が複数いる場合は代表の発起人の通帳に出資金額を振込む

株式会社設立時の場合、株主が複数いるという事は発起人が複数いるということです。(発起人は株式会社設立後に株主となります)。複数の発起人がいる場合は、基本的に代表となる一名の発起人の通帳に資本金を集めます。つまり一人の通帳に、他の発起人はそれぞれの出資金額を振込むわけです。振込みをすると通帳に振込人の名前が印字されると思いますので、発起人がそれぞれ出資する金額を振り込んで自分の名前が印字される状態にしておきます。

4、資本金の払込証明書を作成し、押印する

資本金の払込みが終わったら、払込証明書を作成します。通帳のどの部分を利用するかと言えば、「1、通帳の表紙」「2、通帳の表紙を開けた見開き1ページ目」「3、通帳の資本金額が振り込まれた印字面」この3ページをそれぞれA4サイズでコピーをして、資本金の払込証明書を表紙にしてホチキスで綴じます。払込証明書の該当箇所に会社印を押し、綴じたページ全てに割印を押しておきます。

(3)合同会社設立の資本金の振込み・払込みの流れ

合同会社設立の場合は株式会社設立と同じく、会社を立ち上げる作業を行う人が出資をします。株式会社設立では発起人と言いましたが、合同会社設立では社員と言います。(従業員という意味の社員ではないので注意!)。

社員の個人通帳に振込みを行なって名前が印字できるようにします。複数の社員がいる時の対応方法などは株式会社と同じです。

◆会社設立時の資本金払込・振込でタイミングなどの注意点

会社設立時の資本金の払込み・振込みは意外と間違いの多い作業です。よくある間違いや注意点をまとめておこうと思います。

(1)資本金を払込・振込むタイミングには細心の注意を払おう!

会社設立時の資本金の払込み・振込みで一番気をつけないといけないのはタイミングです。時期を間違えてしまうと法務局から払込み・振込み直してくださいと注意されてしまいます。

ポイントは定款を作成した日以降で資本金の払込み・振込みをすること!

1、まずは株式会社設立の流れを整理

株式会社設立の流れをざっくりと説明してしまえば要件を決めるところから始まって、法務局に登記申請をするところまでがゴールです。

1、株式会社設立の要件を整理
2、株式会社設立書類を作成
3、株式会社設立書類の該当箇所へ押印
4、定款を公証役場で認証
5、資本金の払込
6、資本金の払込証明書作成・押印
7、株式会社設立書類をそろえて法務局へ登記申請

さらに詳しく株式会社設立の流れを知りたい方はこちら

株式会社設立の流れを具体的に詳しく知りたい方は「無駄なコストを削減!株式会社設立の費用と流れを徹底解説」の記事をご覧ください。

2、基本的には資本金は定款認証後に払込みます

定款を作成すると、次に公証役場で認証という手続きをするんですね。資本金の払込みはこの定款認証が終わった後にするのが基本ルールなんですね。

公証役場での定款認証について詳細はコチラ

公証役場にて株式会社設立の定款認証について知りたい方は「誰でもわかる!株式会社設立するときの公証役場で定款認証するときの全手順」の記事をご覧ください。

3、定款認証前に資本金の払込みをしても大丈夫!

基本ルールとして定款認証後に資本金の払込みをすると言いましたが、ぶっちゃけ資本金の払込みは定款認証前でも大丈夫です。だから、定款作成して、資本金払込んで、定款認証するでも手続き上はすんなりいけるって事なんですよね。

4、定款作成前に資本金の払込みしても定款作成日を払込み以前にする

最後に気を付けておかないといけないのは、定款の払込みは、定款作成日以前だとダメって事です。法務局に出しても突き返されてしまいます。定款作成日は何で判断しているかっていうと、定款に日付載せるんですが、その日付(定款作成日)以降に資本金を支払っておくわけです。

裏技ではないですが、資本金を先に払込んでしまったとしても、資本金払込日以前に定款作成日となるように日付を調整しておけば大丈夫です。

合同会社も同じ考え方でOK

定款作成日の後に資本金を振込むという基本概念は合同会社設立時も同じです。上記を参考にして間違いのない資本金払込み・振込みをしてください。

(2)ネットバンク・ウェブ通帳に資本金を払込む際の注意点

最近の金融機関ですと、紙の通帳を発行せずに全部ウェブ上で管理するウェブ通帳というものもあるようですね。あとはインターネットバンクだと紙の通帳が発行されることはほとんど無いようです。

・ネットバンクやネット通帳の時に準備したい情報

それでは、紙の通帳ではなくてこうしたウェブの通帳の場合にはどのように資本金の払込み証明書として準備をすればいいのでしょうか。

1、金融機関名
2、支店名
3、口座名義人
4、口座番号
5、資本金の振込みをした日付と金額がわかる箇所

上記の1〜5の該当箇所をインターネット上から印刷をしまして、あとは紙の通帳の時と同じように資本金の払込み証明書と一緒に閉じて該当箇所に押印をすればいいわけです。1〜5の項目が入っていれば、複数のページに渡ってしまって構いません。その時は払込証明書と全て綴じて全ページに会社印によある押印をするようにして下さい。

(3)会社設立時に払込んだ資本金はすぐに引き出して大丈夫なの?

会社設立のサポートをしていて、よく相談を受けるのは資本金を払込み・振込みした後にすぐ引き出すのは大丈夫か?という質問です。

基本的に資本金は会社のために使って良いお金なので問題はないのですが、いくつか注意点があるので紹介します。

1、会社設立時の資本金にはどんな意味があるのか

まず資本金は会社を立ち上げた時の元手になるお金です。家賃とか人件費とか仕入れとか、通常は会社が売上を立てる前に資金が出て行きます。

この資金をまかなうのが資本金であり、それでも足りない金額は融資を受けたりするわけです。そのため会社設立時に資本金として払込み・振込みしたお金は事業のために使って全然大丈夫です。

2、事業に使う資金であれば払込・振込みの作業が終われば引き出して大丈夫

資本金を使って良いのはわかったけど、どのタイミングから利用可能なのかについて知っておくと良いでしょう。基本的に法務局は資本金の払込み・振込みされた日付と金額しか見ていないので、その日以降にお金が使われたり、引き出されていたりしても問題はありません。

つまり資本金の振込み・払込みの作業を行なって通帳に印字されている状態を作ったら、その後すぐに資本金を引き出してしまって大丈夫なのです。

3、見せ金のように資本金を準備すると痛い目に会う

こんなお話をすると、資本金を見せ金のように使って、大きな金額で会社設立してしまおうとする人がいるかもしれません。それはやめておいた方が良いと思います。

何の目的で資本金を大きく見せたいですか?営業活動のため?信頼を得たいため?融資を成功させたいから?いずれの目的にせよ、見せ金を資本金にするのは結果的に自分のクビをしめてしまいます。

会社のお金は最終的に辻褄が合わないといけません。例えば誰かから借りたお金を資本金と見せかけてスグに返してしまえば、そのお金は会社の帳簿上どこに行ったとされるのでしょうか?だいたいは社長が会社からお金を借りているみたいな扱いで処理します。

そうすると、会社を社長が私物化しているように思われます。融資にしても、対外的な信頼の指標にしても、会社を社長が私物のように使っているように見せてしまうのはマイナスの影響しかないので注意しましょう。

資本金の見せ金について詳細はコチラ

会社設立時の見せ金を使った資本金については「要注意!見せ金を資本金にして会社設立する時のリスクと注意点」の記事をご覧ください。

◆会社設立時の資本金の払込み・振込みに関するQ&A

最後に会社設立時の資本金払込み作業に関して、よくある質問に答えていければと思います。

1、発起人の通帳には残額が出資する金額以上に残っていれば大丈夫ですか?

株式会社設立時の資本金払込み作業は、発起人の通帳の残額が出資金額以上あれば良いわけではないので注意して下さい。必ず発起人の個人通帳に出資金額を発起人の名前で振込むか、入金をして「日付・金額」が印字されるようにして下さい。

2、通帳に出資金額以上のお金を振り込んでしまいました大丈夫でしょうか?

基本的に振込み金額が資本金より大きくても大丈夫です。万が一のことを考えて、念のため管轄の法務局に事前に確認しておくようにしましょう。基本的には資本金の金額と同じ金額を通帳に払込みます。払込んだ金額が出資金額以上でも、資本金の払込み証明書に正確な出資金額と資本金額で書類を作れば大丈夫です。

3、通帳に金額を分けて資本金を払込んでしまいましたが大丈夫でしょうか?

一人の発起人が複数に分けて資本金を払込んでも大丈夫です。たとえばAさんが50万円を出資した場合に3月10日に20万円の資本金を払込み、3月15日に30万円の資本金を払込んで合計で50万円ということで株式会社設立をして大丈夫です。

4、通帳を複数に分けて資本金を振込み、その間に違う処理の印字がされても大丈夫ですか?

通帳に資本金の払込みをする際、分けて振り込んでも大丈夫ですし、その間に他の印字が挟み込まれても特に問題ありません。ただ、複数に分けて払込がされて、かつ他の振込や入金の印字とゴチャゴチャになりがちなのであれば、蛍光ペンなどでしるしを付けておくと良いのではないかと思います。

5、資本金を払込むための個人通帳は新しく作った方がいいですか?

新しく通帳を作ってもいいですが、通帳はこのタイミングのみでしか使いません。わざわざ新しく作る必要はないと思います。

6、発起人でない人の通帳に資本金を払込んでも大丈夫ですか?

発起人でない人の通帳に資本金を払込む時には、委任状を作成する必要があります。手間が増えてしまうので、あまりオススメはできませんが実際に委任状を作成してそのような処理をしたい場合には法務局へ事前に確認した方が良いでしょう。

そもそも会社設立時の資本金はいくらにした方が良いのか?

会社設立時に意外と頭を悩ませるのが資本金をいくらに設定するのがベストなのか?についてです。具体的な対応方法は「会社設立時の資本金は最低でもいくら必要?資金繰りに困らずスタートできる資本金の決め方!」の記事をご覧ください。

◆「会社設立時の資本金の払込み・振込み」まとめ

資本金の払込み・振込みは会社設立の手続きでは必ず必要な作業です。登記申請した後に法務局から作り直しと言われないために要点はおさえておきましょう。

無事に資本金の金額を設定して設立の手続きが終わったら、事業が継続するように丁寧にお金の管理をしましょう。手間をかけずに、安価で経理作業を行うには無料で試せる会計ソフトfreee(フリー)が使いやすいです。

その他、資本金に関して知っておいた方が良い情報は以下にまとめています。

会社が資本金を出資する時の注意点

人間だけでなく会社も資本金を出資することができます。その時の注意点は「法人が発起人として資本金を出資するときの会社設立方法について整理!」の記事をご覧ください。

資本金を工夫して消費税免除にする

会社設立時の資本金を工夫すれば、消費税の納税を免除することができます。具体的な方法は「資本金1000万円未満で会社設立をして消費税免除する具体的な方法&注意点」の記事をご覧ください。

まとめ

・資本金の払込みは発起人の代表に出資額をそれぞれ振込み通帳に印字されるようにする。
・資本金を払込むタイミングは定款を作成した日付以降に必ずする。

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