保険を使った税金対策は個人事業主と法人の違いは?メリット&デメリットを調査!

保険を利用した税金対策は個人事業主にも、法人にも適用されます。

保険については種類も複数種類ありますし、個人事業主と法人では税金対策として適用されるルールも少し違います。

保険に関する基礎知識や保険を使った税金対策のメリットやデメリットを整理します。個人事業主でも法人でも、より効果的に税金対策ができるように工夫できるようになりましょう。

◆法人&個人事業主で保険を使った税金対策の基礎知識

法人と個人事業主で適用される保険のルールを整理する前に、保険に関する基礎知識を整理しておきましょう。保険にはどんな種類があるのかなど、今まで何となく把握している内容を明確にしていきたいと思います。

(1)保険に関する基本事項を整理

保険とは将来の備えて保険料を支払っておけば万が一の自体に様々な保障が受けれるものです。どんな保障が受けれるのかは加入する保険の種類によって様々です。みんなで少しずつお金を出し合って、万が一の時にみんなで集めておいたお金を使って問題を解決するわけですね。

毎月の掛け金を支払って、病気したり、死亡したりするとお金が支払われたりしますし、保険の種類によっては一定の期間のお金を掛けておけば戻ってくるものもあります。そのようにして、何かあった時の安全を買っているということなんですね。

(2)公的保険と民間保険

保険の種類には公的な保険と民間の保険の二種類があります。公的な保険とは、国民全員が何らかの形で加入しないといけない保険です。これは健康保険と年金保険に分けられます。

1、公的保険に関して

簡単に説明すると法人は必ず「社会保険」と言われる健康保険&厚生年金保険に加入しなければいけません。個人事業主の場合は国民健康保険&国民年金保険です。働く人が必ず加入しているのが雇用保険です。何らかの健康保険や年金保険、雇用保険に入っていることを公的保険と呼んでいます。

この違いや手続きについては「会社設立をした後に加入する公的保険(健康保険と労働保険)について」の記事をご覧ください。

2、民間保険に関して

民間の保険は公的な保険と違い加入するもしないも自由です。そして個々人の状況や価値観に応じて様々なリスクに対する保険に加入すれば良いのです。

例えば死んだ後に家族が生活できなくなることを防ぐために一家の大黒柱が死亡保障の保険に入ることは多いと思います。毎月いくらかお金をかけて死亡したら何千万円と家族に支払われる保険です。

その他にもガンで一時的に働けなくなった場合を想定してガンになったらいくらかもらえる保険など様々な保険が存在するのが民間の保険の特徴です。個人事業主でも法人でも、この民間の保険に加入した時の掛け金が経費になるので税金対策として活用されます。次に個人と法人での保険に関する税金対策ルールの違いを見ておきましょう。

◆個人事業主が保険を使って税金対策をするメリット

まずは個人事業主が保険を使って税金対策をするメリットを整理しておきましょう。

(1)個人事業主は所得税として税金を納めている

個人事業主が税金対策として保険を利用することを理解するために、個人事業主が納めている税金のメインは所得税であることを知っておいてください。

個人事業主が確定申告で計算するのは所得税なわけですね。その確定申告の情報が住んでいる市区町村に知らされて各地で住民税が計算されて時間差で納めるわけです。

個人事業主が保険を使って税金対策をする時に、何の税金が安くなるかと言えば所得税ということになるわけです。

(2)個人事業主が加入する保険は控除として税金対策

控除とは「差し引く」という意味です。個人事業主が確定申告をするときは、売上から利益を差し引いた後に、さらに様々な控除の中から自分に当てはまるものを差し引いていきます。

個人事業主が保険を控除する時は、公的保険は社会保険料控除。民間の保険は生命保険料控除を利用することになります。

1、公的保険は社会保険料控除

まず先に説明した社会保険(健康保険・厚生年金保険)や国民健康保険や国民年金保険、雇用保険の保険料は社会保険料控除として税金を計算する時に控除(差し引く)します。

参照:国税庁のホームページ(社会保険料控除について)

これは全額控除できるのと、知ってトクする情報として世帯主が支払っている家族の分の公的保険の金額も世帯主の社会保険料控除として差し引くことができます。

たとえば個人事業主をしている歯医者の旦那さんがいます。奥さんもアルバイトで外で働いているとします。すると旦那さんも、奥さんもそれぞれ国民健康保険と国民年金保険を払っています。ここで旦那さんが奥さんの分の保険料も支払っておけば旦那さんの収入に対して二人分(旦那さん分・奥さん分)の保険料を控除できるわけです。

旦那さん・奥さんで分けて社会保険料控除するよりも所得税率の高い旦那さんの方で控除をしてあげた方がトータルで税金対策になる場合があるわけです。

2、民間保険は生命保険料控除

民間の生命保険に加入している個人事業主は生命保険料控除を適用します。

この生命保険料控除のルールには旧制度と新制度の二つがあります。平成24年1月1日以降に契約した保険であれば、新制度が適用されて、それより前ならば旧制度が適用されるというわけですね。

新制度の場合は最大で4万円が所得税から控除され、旧制度では最大で5万円が所得税から控除されるわけです。保険に入っておくだけで将来の安心が手に入り、所得税も安くなるのが個人で保険に入っておくメリットですね。

生命保険の税金対策についてより詳しく知りたい方は「生命保険を利用して会社や個人事業主が税金対策をする方法」の記事もご覧ください。

(3)個人事業主の場合は生命保険よりも小規模企業共済!

それぞれ5人以下の個人事業主と小さな会社の役員に限られてしまうのですが、保険よりも大きな税金対策になるのが小規模企業共済という仕組みです。

掛けた金額が全部、所得控除として所得税を低く抑えるための方法として利用できるのに加え、積み立てた金額は20年を超えていれば元本割れなく退職金支払うことも出来ますし、年金のように分けて受け取ることもできます。

生命保険の保障よりも税金対策としてどれだけ税金を安くできるかを重要視している場合は先に小規模企業共済を検討した方が良いかもしれません。

参考:中小機構の小規模企業共済サイト

(4)中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)もあり

取引先が倒産した時にそれによって経営が苦しくなることを防ぐために作られた制度が中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)です。

掛けた金額はすべて経費とすることが出来ます。年間で最大240万円までは経費として計上できますが、上限が800万円までしか掛けることができませんが掛けた金額が経費となるのは嬉しいです。ただし、解約するとお金が戻ってきますが利益に上乗せする形になりますので、あくまで利益の先送りという使い方です。出口戦略まで考えて使うようにしましょう。

参考:中小機構の経営セーフティ共済のサイト

◆法人による保険を使った税金対策のメリット

法人が保険に加入することで税金対策になることがあります。個人事業主に比べても経費にできる範囲が大きいので法人の方が保険加入した際の税金対策上のメリットは大きいと思います。

具体的に法人で保険に加入することはどういう点でメリットがあるのか見ていきましょう。

(1)法人が保険加入で税金対策をする仕組みを理解しましょう!

法人で加入する保険はその種類によて全部が経費になったり、半分が経費になったり、3分の1が経費など扱いが様々です。

ちなみに法人の税金を計算する時には、経費ではなくて損金という言葉を使います。なので、全額経費になる保険と言わずに全額損金と言ったりします。ここでは正確には間違っているのですがわかりやすさを優先して経費という言葉を使ったりしますのでご了承ください。

全額経費なるような保険はもちろん会社や経営者にリスクがあった時の安心を買うようなものです。その他に2分の1や3分の1の経費にできる保険は利益を先送りしている

(2)保険に入って利益の先送りをするってどういうこと?

法人は会社の売上から経費(損金)を差し引いた利益に法人税がかかります。法人税が少なくなればなるほど、かかる税金が減りますよね。利益が少なくなるような対策もある意味で一つの税金対策というわけです。保険に入ることで、その分経費にできますから利益を抑えることができますので抑える税金が低くなるのです。

本来の保険の役割は、将来何かあった時の保障でした。だからこそ、安心や安全を買っているというイメージだったでしょう。それが、保険のサービスも進化していき、掛けた金額の一部が返戻金(へんれいきん)として戻ってくるというサービスも出てきました。

極端な話をしてしまえば年100万円の保険に5年間入っていたとして、500万円の保険に入ったら数年後にそのまま500万円が返戻金として戻ってくるわけです。5年にわたって500万円分の節税効果があったわけですが、5年後に500万が返戻金で戻ってきたらそれが利益に乗っかってくるわけですね。

せっかく500万円のうまく経費として使ったつもりだったのに、それが5年後に戻ってきて利益に乗っかるのでは意味がないじゃん、と思うかもしれませんよね。次の項目でこの「利益の先送り」によってどんなメリットがあるのか、税金対策としてどんな事が考えられるのかを見ていきましょう。

(3)利益の先送りをすることでどんな良いことがあるの?

それでは、そんな利益を先送りしているだけの保険に入って、どんな意味があるのでしょうか?色んな角度から保険の良いところを見直して、税金対策としてもどんな手立てがあるのかを見ていきましょう。

1、保険の保障によって色んなリスクに準備ができる

本来の保険の意味合いでいけば、一番の役割はこの保障ですよね。法人を経営することでどんなリスクが考えられるでしょうか。まずは、法人の代表である経営者が死亡してしまった時は、そのまま会社存続のリスクが発生します。あとはガンなど病気で働くことが出来なくなることも考えられますよね。起こってほしくは無いけど、起きてしまった時に残った人たちが入ってくる保険で助けられることもあるかもしれません。これも保険の本来果たすべき役割なのかもしれませんね。

2。赤字が出た場合に補填することができる

保険の種類によっては、かけていた金額を数年後に返戻金(へんれいきん)として戻せる内容のものがあります。法人の業績が何らかの影響で赤字になったり、資金繰りが悪くなった時に保険を解約して返戻金をそのお金に充てることも出来たりしますよね。利益が出ている時に保険に入って掛け金として法人の損金(経費)として計上しておき、赤字が出たら返戻金を受け取って赤字と相殺してしまうのも一つの税金対策となります。

3、世の中の動きとして法人税が下がる傾向がある

これはあくまで可能性として確約できる内容ではありませんが、社会の動きとして法人税が下がる傾向があります。昔と比べて段階的に法人税が下がったといっても、まだまだ諸外国と比べて法人税は高い傾向があります。もしかしたら、法人税がこれからも下がる可能性はゼロではありません。そんな中であれば保険に加入して「利益の先送り」がなされることでメリットは十分に享受できると思います。本来払うべき利益を保険で少なくしておき、数年後に返戻金として戻ってきても、その時に法人税が下がっていれば、それはある意味で税金対策が出来たということになりますよね。法人税が上がるということは、あまり考えられないという前提でのお話ですけどね。

4、将来の退職金や大きな出費などを計画に入れて保険に入る

保険を使って合法的に税金対策をする、ということは正にこの事を言うと思います。法人に利益が残っている時に保険に入って経費を使います。そのまま返戻金が戻って来ると、利益に追加されるので意味がないのですが、その時に合わせて従業員への退職金を支払うとか、設備投資に使うとか、大きな出費を出すタイミングと同じにすることで税金対策となりうるわけですね。無計画に退職金を出したり、設備投資をするよりも、向こう何年かの計画をしっかりと立てることによって、保険の掛け金は経費となり、大きな出費については返戻金で穴埋めできるという税金対策も可能なのです。

とはいえ、これらはしっかりと計画を一緒に作ってくれ、かつ数ある保険の中で税務的な処理がしっかりと税金対策となりうるのかまで見てくれる税理士と、本当にお客様のことを考えて提案してくれる保険の営業の方と一緒に作り上げるようにした方が絶対に安全ですので、まずは関わりのある税理士や保険の営業の方に相談するようにしましょう。

◆法人で加入した保険を途中で個人に切り替える税金対策

法人が生命保険を使って税金対策する方法を調べていくと嘘のような税金対策もありました。注意喚起も含めてその内容と危険性を改めて紹介しておきます。

(1)保険を使って税金対策だけしたい法人の裏技

利益を先送るするかたちの保険に加入する法人は、将来赤字になるリスクを抱えていたり、将来退職金や設備投資など大きな出費の予定があればメリットがあります。そうした状況でない税金事務所、税金対策のためにウルトラCのような保険商品もあるようです。

それが、解約時に返戻金が出るタイプの保険に法人で入り、法人で掛け金を払い続けていき、数年後に個人へその保険を譲渡(引き渡す)するという税金対策です。法人で入って掛け金を払い、法人が返戻金を受け取ればそれはただの利益の先送りにすぎませんが、途中で法人から個人に切り替えて返戻金が個人に受け取られるようにすれば法人としても大きな節税の効果生まれるという仕組みです。

(2)法律の盲点をつつくような保険商品は意外とリスク!?

これが一応法律には違反しないということで、保険会社もあの手この手で色んな保険商品を考えるものです。ただし、これは完全に法律の隙間をつついたような商品になっています。ただ、これまでも法律を解釈する上での矛盾や盲点をついた税金対策の方法は、必ずどこかで改善されてしまいます。今までできていた事がカンタンに効力を失ってしまうことも十分ありうるのです。

実際に上で紹介した方法も吉澤大さんのブログで警告がされているので一部を引用させていただきます。

税務署は、おかしいと思えば何度でも税制改正をしてきます。
実は、その点について、ヤバそうな注意信号も出ています。
平成30年1月1日以降に行われた生命保険の契約者変更について、支払調書に記載することが義務付けられるのです。

(記載事項)
・その変更前の契約者の氏名、名称
・現契約者が払い込んだ保険料額
・契約者の変更回数

もちろん、今でも税務署は生命保険会社からデータの入手は可能ですが、この「契約者変更の支払調書記載義務化」は、税務署が生命保険契約の名義変更による節税策について注視していることの現れだといえるでしょう。

と、いうように税務署もこうした法律の隙間を縫うような税金対策については注目しているようなのです。

確かに、もし、税制改正がされたとしても、「以後締結する契約について規制する」というトンネルの”入口での改正”であれば、「じゃあ加入はやめよう」で済みます。

しかし、「以後解約する契約について規制する」という”トンネルの出口”での改正であれば逃げようがありません。

(中略)

一番可能性が高い改正は「会社から個人への譲渡時の時価を『適正額』にせよ」というものだと思いますが、解約返戻金受取時という”出口での規制”がされる可能性もないとはいえないでしょう。

この低解約返戻型逓増定期保険は、実需が全くない歪んだ商品であり、もし節税効果がなくなれば、不必要な保障のために資金を固定化した上で支払保険料の25%-50%も経費が差し引かれるというなんとも間抜けな金融商品になるはずです。

というように、法律の盲点をつくような税金対策はリスクと隣り合わせだということを十分に理解した上で検討するようにしましょう。

◆まとめ

税金は国の財源ですから、この日本で事業をしている以上ちゃんと税金は納めなくてはいけませんよね。法律を違反してまで納める税金はNGですけれど、合法の範囲内でしっかりと節税をして事業に再投資して健全な経営をしてくことはむしろ必要なことだと思います。

ネット上では様々な税金対策の方法が共有されています。税金に関する方法で、何が大丈夫で何がダメなのか白黒はっきり付けてくれたらラクなのですが解釈による部分が大きくてグレーな税金対策が存在してしまうのが悩ましいところです。

今回も触れている保険の法人から個人への移し替えも制度のスキマをついた方法です。これまでがそうだったように平等さを欠く税金対策手法は是正される可能性は十分あると考えた方が良さそうです。

リスキーな税金対策に手を染めるよりも、まずは専門家のすすめる王道の税金対策から始めた方が良さそうです。さらに発展させるのであれば税金対策専門の税理士が紹介している「絶対節税の裏技」がおすすめです。普通の税理士が教えてくれない節税方法を自分で理解するにはバツグンの情報です。

●保険で税金対策する以外にも様々な税金対策方法があります。詳しくは「【決定版】スグ出来る!法人の税金対策方法を徹底網羅!」の記事をご覧ください。