失敗するリスクを最小限に!別会社を立ち上げて税金対策する時の注意点

会社を設立して売上が順調に伸びているのであれば、税金対策について積極的に考えるのは当たり前の事です。世の中には王道のものから、グレーゾーンまで様々な税金対策手法がありますが、その中の一つに別会社を設立して税金対策をするというのがあります。

状況によって、別会社を設立することで税金対策の効果は抜群に上がるかもしれません。しかし、やり方を間違えてしまったら想定していた税金対策効果が出ないかもしれないリスクも十分に含んだ方法である事を知っておくべきでしょう。

だからこそ、別会社を設立する事による税金対策のメリットやデメリット、失敗しないための注意点をまとめてみましたので、少しでも別会社設立を検討している方がいれば参考にしてみて下さい。

◆別会社を設立して税金対策をする仕組み

それでは、早速別会社を設立することが、どのような税金対策としての効果を生み出すのか、その仕組みを見ていく事にしましょう。

1、別会社での消費税が最高で2年間免除となる

会社が納めなくてはいけない税金に消費税があります。甘く見ていると痛い目をみる税金の一つですが、一定の条件に当てはまれば消費税の納税が最大で2年間免除となる特別ルールがあります。別会社の場合はどのように適用されるのか順を追って見ていきましょう。

・消費税が課税される時のルールについて

まず、どんな時に消費税を納めなくてはいけないのか確認しておきましょう。消費税はお客様から商品やサービスを提供した時に預かっているものです。100円のものを売れば108円を消費税込みの金額で預かるわけです。その8円はあくまでも一時的に預かっているだけですので、消費税の申告(計算)をし直して基本は一年分の払うべき消費税を国に納めるんですね。

それで、会社がその年に預かった消費税を国に納めるかどうかは、二年前の売上(課税売上)が1,000万円を超えているかどうかが一つのボーダーラインになります。つまり、二年前の課税売上が1,000万円を超えていれば今期は消費税申告をして消費税を納めないといけないし、二年前の課税売上が1,000万円を超えていなければ消費税申告の必要は無いし、消費税も納めなくて良い(受け取っている消費税は売上に含めて良い)という事になるんですね。

・新規で会社を設立すると最高で2年間が消費税免除

新規で会社を設立すると、2年前の売上は無いわけですから自動的に消費税は免除されるわけです。ただし、この特別ルールが適用されるのが資本金1,000万円未満の会社ですので、資本金が1,000以上なら設立一期目から消費税を納税しないといけません。他にも、半年の売上かつ人件費がそれぞれ1,000万円を超える場合は二期目から消費税課税になるなど気をつけたいポイントはいくつかあります。詳しくはこちらの「株式会社設立後に消費税免税を受けるポイント」という記事にまとめていますので、参考にしてみて下さい。

・別会社が消費税免除となるために気をつける事

別会社を設立して税金対策をするために消費税免税する点で気をつける事がいくつかあります。まずは、株主に関してです。株主の中に二年前の売上が5億円を超える会社の持ち主がいると、いくら条件が揃っているといっても設立時から消費税課税となってしまいます。

もう少し詳しくお話すると、会社設立時に会社の株50%以上をAさんが取得したとします。そのAさんが別の会社の100%株主であり、その別の会社の二年前の売上が5億円を超えているような状態だと、設立時に消費税の課税免除とはならないのです。

・既存の事業を分割して別会社設立しても消費税の税金対策にならないので注意

すでにある会社とは違う別会社を作る時、消費税免税の恩恵を受けるには注意点があります。それが、すでにある会社を分割したような形で別会社を作っても消費税免除にはならいのです。そうしたら、全ての会社が新しい会社を毎回作って税金対策してしまいそうですよね。

たとえばAさんが8,000万円の売上のある会社を持っていて、すでに消費税を納める状況にあるとします。取引先の一部を担当する会社を別会社として設立しても、今までの事業を分割しただけなので、消費税の免除にはならないというわけです。

2、別会社を設立する事で低い税率を適用して税金対策が出来る可能性がある

・軽減税率を意識することが税金対策につながる

法人の税金には、会社の利益(正確には所得)の大きさによってかかる税率が変化します。別会社を作ることによって会社の利益が分散されれば低い税率を適用できる可能性が出てくるため、結果として別会社を作ることが税金対策になることがあるわけです。

ボーダーラインとしては利益が800万円をこえるかどうかで、軽減税率と呼ばれる安い方の法人税率を利用して計算が出来ます。別会社を組むことで、本来は本社と一本で売上が立つところを分散されるので軽減税率の枠内に収まれば結果として税金対策となるわけです。

・売上の大きな会社は新規事業を別会社で行う事で税金対策になるかも

この軽減税率の情報を知っていれば、たとえば売上が大きな会社が新規事業を行おうと考えた時、自社で行うよりも別会社を新規設立した上で、その会社で行えば軽減税率を適用して税金対策になる可能性が出てくるわけです。

とはいえ、別会社を持つ事による税金対策や組織上のメリットだけでなく、デメリットもありますので、その点も考慮して別会社を検討するのが良いでしょう。

3、別会社を設立する事で退職金を複数箇所から受け取る事が出来る

・退職金は普通よりも取られる税金が安く設定されている美味しい制度

退職金に対しても、お給与と同じように所得税が取られます。通常の給与に対する所得税の計算方法だと、とてつもない税金になってしまうので、所得税用の計算方法があるのです。

ざっくりと計算すると通常の給与にかかる所得税よりも半分ぐらいになるイメージです。とはいえ、退職金は受け取る金額が多額ですのでそれでも所得税は大きいという印象を持つかもしれませんね。

退職金として積み立てておいたお金を受けとる事で、給与として受け取るよりも所得税が安くなるのは、税金対策として大きな魅力の一つです。

・本社から別会社へ転籍させることで退職金支給

本社から別会社へ籍を移すことを転籍と言います。前の会社を辞めて、出向先や関連会社に移ることを指すわけですね。勤めている会社を一旦辞めるわけなので、退職金を支給する事が出来るわけです。

・別会社を作ることで、その会社からも退職金を受け取る

別会社を設立した時に、その役員に自分がなることで、退職金を受けとる対象となる事が出来ます。もともとの会社と別会社での退職金の二カ所から退職金を受け取る仕組みを作ることも可能です。

4、その他の別会社による税金対策

・関連会社との共同購入による税金対策

青色申告というルールを適用している会社であれば年間で30万円のものであれば、一括で経費計上する事ができます。別会社との共同購入というスタイルであれば折半してお金の支払いをするわけですので、合計金額が60万円までなら30万円ずつ支払っているということで、各会社でそれぞれ30万円ずつ一括で経費計上する事ができるのです。これが出来ないと、購入した金額を数年に分けて経費計上しなくてはいけなくなります。

・中小企業に認められている特例を受けることが出来る

中小企業には様々な特例が認められています。法律で年々変わるのですが、別会社を作ることによって、その会社が特例による税務的な恩恵を受けられるであれば結果的に税金対策となると言えると思います。

◆別会社を設立して税金対策をする時の注意点

最後に、別会社を設立して税金対策する時のリスクだけ確認しておきましょう。税金対策になるという部分だけ見て美味しい話に飛びついて、おいおい後悔しないよう注意点を整理しておきます。

税務署から目を付けられるリスク

別会社を設立したからといって、税務調査が入るわけでは無いのですが、別会社を設立することで税務署から突っ込まれる余地が出来たとも言えなくはありません。それが、税金対策を目的とした別会社設立であれば、無理のある税金対策をすれば租税回避として税務署から狙わるかもしれません。

別会社を設立すること増えるコスト

別会社を設立すると増えるコストがあります。一時的なものに目を向ければ設立費用もそうですし、長い目でみれば小さな額かもしれませんが法人住民税は利益が出ていなくても最低7万円支払わないといけません。また、税理士や会計士に顧問をお願いするならそのコストが必要になったりと、一社だけで行えば必要なかったコストが別で発生する点には要注意です。

◆失敗するリスクを最小限に!別会社を立ち上げて税金対策する時の注意点、のまとめ

いかがでしたでしょうか。順調に事業が伸びてきて、新しい事業にもぐいぐい手を出していける環境であれば別会社を設立することも一つの税金対策の効果が見込めそうです。

ただし、消費税の課税を免れるために別会社を設立するなど、税務署から目を付けられるような事は控えておいた方が良いでしょう。

別会社の中には、子会社も含まれます。子会社だからこそ出来る税金対策の種類もありますので、その点についてはこちらの「子会社を利用した税金対策を基礎から理解!」の記事でまとめていますので、良かったらご覧ください。