MENU
スポンサードリンク

中小企業も個人事業主もわざと赤字にして大丈夫?赤字で税金対策するメリットとデメリット!

会社設立・独立・起業アドバイザーのごはんつぶです。これまで400件を超える会社設立や起業、さらには採用や社員教育・コーチングのお手伝いもしています。

国税庁の調査によれば263万社ある会社のなかで赤字の会社は169万社もあります。実に64.3%もの会社が赤字だということで、日本の将来が不安になります。

ただ、この赤字企業はすべてが純粋な赤字なのでしょうか。中には何らかの理由でわざと赤字にしている企業もあると思います。実際に税金対策上わざと赤字にすることで受けられるメリットもあります。

とはいえ、経営の本質に立ち戻ると本当にわざと赤字にすることが良いかどうかは検討の余地がありそうです。まずは税金対策上でわざと赤字にすることによるメリットとデメリットから整理していければと思います。

目次

◆わざと赤字にするってどういうこと?

会社を経営するからには利益を追求していかなくてはいけません。会社がずっと赤字であれば資金は回らなく、ゆくゆくは倒産するという事になります。そんな中、わざと赤字にする会社がある事すら信じられないのですが、常にわざと赤字にするというよりも、税金対策のために今期はわざと赤字にする!といった温度感の会社の方が多い気がします。

◆わざと赤字にすると税金対策上どんなメリットがある?

それでは、わざと赤字にすることで税金対策のメリットは何があるのでしょうか。

1、法人税がかかりません

会社の法人税は、会社の利益に対して課せられます。わざと赤字にするという意味に本来経費に出来ないものを経費に入れて赤字にするのはNGですが、将来必要な設備投資や売上が少ない時に来期の売上を上げるための豆まきのための投資であれば問題がないでしょう。上手に経費を使って赤字を出すことによって法人税をかからなくすることは可能です。

2、繰越欠損金を使うことが出来る

会社が赤字であれば、その赤字を来期以降に繰り越して、将来の黒字と相殺することが出来ます。そうすることによって支払う税金を少なくして、税金対策が出来るというわけです。

赤字は今だと9年間繰り越すことが出来るので思いがけない赤字や、大規模な設備投資などで赤字になる時には将来取り戻せるような仕組みになっているわけですね。わざと赤字にする会社もこの繰越欠損金があるからこそ、赤字に舵を切れる面が大きいかと思われます。

3、法人税の繰戻し還付を受けることが出来る

会社が今期赤字で、前期は黒字によって法人税を納めているような状態であれば、前期に支払っている法人税が還付される仕組みがあります。これを利用することで結果的に税金対策としての効果があったとすることも出来そうです。

・中小企業で青色申告をしないといけません

ただし、この仕組みを利用するためには「1、資本金1億円以下の中小企業」であり、「2、青色申告の届出」を提出済みであるという条件をクリアしておかないといけません。ほとんどの中小企業であれば難しいことなく、対象になるかと思います。

・繰越欠損金か繰戻し還付か、どちらかを選びます

会社が赤字になった時には、繰越欠損金か繰戻し還付を受けるかどちらかを選ぶことが出来ます。繰戻し還付金を受ければ目の前の現金が手に入るので資金繰りに困っているようなら有効でしょう。それよりも、将来大きな黒字が見込めそうというのであれば繰越欠損金で税金対策の準備をするのも良いでしょう。

繰戻し還付の申請をすると税務調査のリスクがありますので、わざと赤字にして税金対策をしている場合には調査官からの突っ込みどころが無いように注意して下さい。

◆税金対策でわざと赤字にすることのデメリット

次にわざと赤字にして税金対策をすることでどんなデメリットがあるのかを確認しておきましょう。

1、役員報酬を引き上げてわざと赤字にしている時は要注意

わざと赤字にする事を考える時に、やりやすい方法として役員報酬の引上げがあるかと思います。期が変わり3ヵ月以内に役員報酬の変更手続きをしなければいけませんが、役員報酬を大きくしてその分経費が上振れた結果わざと赤字にするといったイメージです。

・所得税、社会保険料の負担が増えてしまう!

ただし、このやり方ですと報酬額によって変わる所得税や社会保険料が大きく負担としてのしかかって来るので注意が必要です。わざと赤字にするためだけに役員報酬を適正な金額以上にするのはおススメ出来ません。

2、わざと赤字にして税金対策しても法人住民税は払います

わざと赤字にする理由が税金対策であれば、業績が赤字でも必ずかかる税金が存在します。法人住民税の均等割と言われるものです。最低でも7万円を市区町村に支払わなければなりません。

3、状況によっては消費税にも注意

また、もし会社が消費税の課税業者であれば要注意です。消費税は会社がお客様から預かっているという立ち位置の税金ですので、赤字であろうと何だろうと必ず納めるべき消費税が発生しているのであれば納めなければいけません。

4、金融機関から融資を受ける時には要注意

金融機関から融資を受ける場合には、わざと赤字にすると融資を受けれないリスクが高くなります。金融機関は会社の業績を数字で判断する割合が大きいですから、数字上が赤字であれば当然ながら考慮されます。

5、従業員のモチベーションダウン

もし従業員を雇っているようであれば、わざと赤字にすることによるモチベーションの低下にも気を使わなければいけません。頑張っているのに赤字であれば、そうした環境に奮起する人もいるかもしれませんが転職理由になったり等の事業を進める上での阻害になりかねません。

◆わざと赤字にして税金対策するメリットとデメリット、のまとめ

いかがでしたでしょうか。会社経営のお話をしていて、わざと赤字にしようなんてお話はほとんど聞いた事はありません。ただし、税金対策という観点でいくと売上の小さい期に設備投資等大きな出費をしてわざと赤字にするなんて事が起こり得るかもしれませんね。

また、繰戻還付金を受ける際には税務調査が入る前提で準備をしておいた方が良いかもしれません。簡単な調査で終わることもありますが、税務調査自体はいつどのタイミングで来るかは誰にもわかりません。還付金を受けるに値する正当な理由があれば大丈夫です。

ちなみに、少し上級なお話になると赤字の子会社を利用して税金対策なんて方法もあったりします。詳しくは、こちらの「子会社を利用した税金対策を基礎から理解!」という記事で紹介していますので、良かったらご覧ください。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次
閉じる