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即実践!適切な役員報酬をシミュレーションして税金対策する方法

役員報酬を制するものは税金対策を制する。とは誰も言いませんが、でもそれぐらい役員報酬の設定金額によって節税の効果が全然違うのをご存知ですか?

とはいえ、社長でも取締役でも経営者に支払う報酬である役員報酬は、ルールでがんじがらめですから注意が必要です。

そうした役員報酬のルールや仕組みを理解した上で、税金対策としてベストな金額が決めらるように計算方法やシミュレーション方法を整理してみました。

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目次

◆役員報酬の基本事項について整理

ごはんつぶ
役員報酬の決め方には気をつけろ!って言うけど、具体的に役員報酬ってどんなルールや仕組みになってんのさ。

そうですね。まずは役員報酬の基本事項を整理してから、後半で税金対策になる役員報酬の決め方を見ていく事にしましょう!

役員報酬の基本ルール

会社の役員は従業員と違って、自分達で自由に報酬を決める事ができてしまいます。すると、「利益が出た分は報酬でもらって会社が払う税金を少なくしよう・・・」なんて事が容易にできてしまうわけです。そんな不平等なことが無いように、役員報酬にはいくつかルールがあるわけなんです。

(1)役員報酬は一年間同じ金額でないといけません

会社の経営者である役員が、自由に利益を調整できないように「最初に決めた役員報酬は基本的に一年間変更できません!」というルールがあります。なので、最初に役員報酬を年間で600万円と決めたら毎月50万円ずつ支払うわけですね。このルールを定期同額給与と言います。

ごはんつぶ
なるほどー、定期同額給与かー。文字通り「定まった期間に同じ額の給与を払わないといけない」って意味なんだね。でもさ、もし上の例でいくと月50万っていう役員報酬を超えて支給した場合にはどうなるのさ。

そうだね、会社の税金(法人税)を計算する仕組みを超ざっくり説明すると、会社に入ってきた金額(益金)から出て行くお金(損金)を差し引いた利益に税率がかかるんだ。上の例でいくと月50万円の役員報酬は損金になるけど、それをもし超えて支給したら超えた金額は損金にはなりませんってルールなんだね。だから、今月売上大きいから70万円支給しても、上ぶれた分の20万円は損金にはできないですから注意してくださいね。

(2)新しい事業年度が始まったら3ヶ月以内に役員報酬変更

役員報酬の決定は会社の事業年度がスタートして3ヶ月以内に設定しないといけません。新しく会社を設立した場合でも、設立してから3ヶ月以内には決定するようにしましょう。事業年度について詳しくはこちらのページで紹介していますので、理解を深めておいて下さい。

ごはんつぶ
3ヶ月以内って事は、4月から新しい事業年度がスタートする会社は6月までに新しい役員報酬を決めて手続きを踏まないといけないって事だね。

業績悪化の場合でも役員報酬の変更をできる!?

基本的なルールについては上でお伝えした通りなのですが、他にも役員報酬を変更できる場合があります。それが業績が悪化した場合です。業績悪化というのは前年比で売上が落ちたとかいうレベルではなく、「倒産の危機がある」「会計上の数字がもの凄い悪化した」「会社の経営悪化のため取引先などに迷惑をかけるかもしれない」などの状態に陥った時です。しかも、何が原因で業績が悪化しているのか?その改善のために様々な手を尽くすがその一つの方法として役員報酬の変更であるという点を誰もが納得するように説明できないといけません。

(3)役員報酬変更の具体的手順

役員報酬の変更は会社法という法律でルールが決められているので、ちゃんとした手続きを踏まないといけません。具体的には新年度のスタートから3ヶ月以内に株主総会を開き、そこで役員報酬変更について決めて、議事録を作成する流れです。詳細についてはこちらの記事をご覧下さい。

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◆要注意!役員報酬にしなければならない人たち

会社の経営層は給与ではなくて、役員報酬にしないというルールがあるのだけれど、じゃあ経営層ってどこまで含めるの?という問題があります。しかも、役員報酬にしないといけない人も出てくるわけで、その辺がごちゃごちゃになりやすいので一旦は整理しましょう。

(1)基本的な会社の役員

国税庁のホームページでは「法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人」がまずは役員報酬の対象とされています。基本的にここでピックアップされている人は会社の経営にダイレクトに関わっているイメージがあるし、一応立場が明確なので判断しやすいですよね。

(2)みなし役員に要注意

会社の取締役や代表取締役だから役員報酬のルールが適用されるというのは良くわかります。しかし、それ以外でも役員とみなされて、役員報酬のルールに当てはめないといけない人がいるので注意して下さい。

1、使用人じゃないけど実質的な経営に関わっている人たち

使用人という言葉は聞きなれないけど、ざっくり説明してしまうと会社から時間的に拘束されて業務をしている人。従業員と同じようなイメージです。そんな使用人ではないけど、役員の様に実質的に経営に携わっているとされるのは、顧問とか、会長とか、相談役などが当てはまります。

2、同族会社の使用人で一定の条件を満たす人

同族会社に勤めている使用人(≒従業員)の中で、以下の条件を満たす場合はみなし役員として、役員報酬と同じルールを適用しますよ!となっています。

  • その会社の株主グループをその所有割合の大きいものから順に並べた場合に、その使用人が所有割合50%を超える第一順位の株主グループに属しているか、又は第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属しているか、あるいは第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属していること。
  • その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
  • その使用人(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%を超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5%を超えていること。
ごはんつぶ
いやいや、いきなり小難しい文章を引用されてもわかるわけないじゃん。オレ、ごはんつぶだぞ!

そうだね、確かにこの取り決めは一目みただけじゃ、ほとんど何を言っているのかわかんないよね。それじゃ順を追って見ていきましょう。

ごはんつぶ
そもそも同族会社が意味わからん

同族会社っていうのは、株式会社でいうところの株主が3人以下で半分以上(=議決権が50%以上)が家族や親戚になっている会社って事です。厳密に言えば、「特殊な関係」とされていて、家族や親戚がイメージしやすいと思いますが、株主の使用人とか色々細かくルールがあるわけですが、ざっくりとここでは家族経営の会社とでも抑えておいて下さい。

ごはんつぶ
オッケー!じゃあ、次に株主グループを順に並べるってどういう事さ?株主グループ自体わからん。

株式会社には必ず株主がいるよね?一人だけの場合もあるけど、二人とか三人とか複数の場合もあるよね。そのうち使用人とかじゃなくて、親族で持っている株主

「経営に従事」の示す経営に範囲に注意

みなし役員かどうか色々説明してきましたが、そもそも前提になるのは、その人が「経営に従事」しているかどうかです。ただし、どんな仕事をしたら「経営に従事」している事になるのか定められてはいません。そこで、過去の判例などからどんな事をすると経営に従事しているとみなされるのか注意が必要です。

・判例から読み解く「経営に従事」の範囲

基準が曖昧なので、これはもう過去の判例から読み解くしかありません。端的に伝えてしまえば、経営に従事という意味は一般的に「人事・資金繰り・技術・販売戦略など」が含まれていると言います。中小企業では個別に一つ一つ見ていき経営に従事しているかどうか判断するようです。親族は普通よりも経営に従事していると見られやすいですが、経営者の方針に従って実務の作業をしている程度であれば経営に従事とは言えないとされます。自分で裁量を持って人事や営業戦略やらに関われば話は別です。社長に意見したり、口を出してたりしたら経営に従事とみなされる可能性が高そうです。非常に曖昧な部分ですので、判断に迷う時は専門家に力になってもらいましょう。

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◆税金対策となるような役員報酬の設定の仕方

それでは本題の税金対策のための役員報酬の設定について具体的にみていきましょう。

経営に関するお金の考え方

法人の場合、明確に会社のお金と個人のお金が区別されます。これからの人生をどうするのか、によっても会社にお金を残しておいた方がいいか、それとも個人でお金を残しておいた方がいいのかが変わってきます。

まずは会社の経営者であるあなたの今後の経営の方針や方向性を明確にすることが役員報酬設定の第一歩となるわけです。

・なるべく個人でお金を持っておきたい

たとえば子どもの教育費としてまとまったお金が必要であるとか、家や車を購入する予定があるので個人として、いくらかお金を持っておきたいという方がいらっしゃるかもしれません。その時は役員報酬としてしっかりとお金を受け取って手元でお金を貯めておいた方がいいでしょう。

さらに、社長の方で会社経営に何かがあった時のために現金を持っておくというのはとても大切な事だと思っています。会社が順調に推移しているときは良いですが、先行きが不安定になってきたり、何かに大きな投資をしたいと思った時には金融機関からの融資だけではなく、社長のポケットマネーでもいくらか対応できるという安心感も経営上必要なことだと思います。

・なるべく会社にお金を残しておきたい

税金を払ってでも会社に多くのお金を残しておきたいという考え方の人もいるでしょう。たとえば金融機関から融資を受けるための会社の業績が良いことを証明して、有利な条件を引き出したいなどです。

他にも今後親族に会社を引き継ぐことを考えて、会社になるべくお金を残して引き継いだ人が会社に残ったお金を使って自由に自分のビジネスを出来るようにしてあげたいという方もいらっしゃいました。

・なるべく税金を少なくなるような役員報酬の設定にしたい

こちらの考え方の人がほとんどかもしれません。役員報酬の設定金額によってなるべく納める税金を安く出来ないかという考え方です。

これまでに紹介した三つの考え方のうち一つに限定出来るものではなく、これらの考え方がある中でバランスを取って税金対策となる役員報酬を設定することになるのでしょう。

法人税と所得税、社会保険料のバランスで一番良い数字を設定する

税金対策の効果が一番高い役員報酬額を設定する時は、会社経営をしているとかかる税金について簡単に理解しておくと良いかと思います。

1、会社の経営にかかる税金

A:法人税→法人の売上に損金(経費のようなもの)を差し引いた利益に対してかかる。

※厳密には事業税など他にも税金の要素はありますが理解のためにここでは法人税としてまとめています。

B:所得税→役員報酬の金額によって変わる税金です。役員報酬は会社の経費になるので、多く取ればとるほど、法人税を下げる効果がありますが、その代わり所得税が上がってしまいまう。ちなみに役員報酬を増やすと住民税も増えることになります。

C:社会保険料→厳密には税金ではないのですが、役員報酬の額によって毎月支払う健康保険料や厚生年金の額が大きくなります。

2、昔は法人税は高かったけど今はそうでもない事実

上記のように役員報酬が少ないと会社の黒字が大きくなって法人税が高くなってしまいます。逆に役員報酬を高くすれば所得税や社会保険料が高くついてしまします。

法人税は今どれぐらいなのか見ておきます。

法人税は昔は一時期43%を超えることもあったのですが今は利益が800万円までに中小企業の法人税率は15%ぐらいで、他の事業税等をのっけても大体25%ぐらいが税金の割合となります。

3、所得税率はだんだんと高くなっていく(住民税はだいたい10%)

ちなみに所得税は累進課税の制度をとっていて、受け取る役員報酬が多ければ所得税率も大きくなっていきます。最大で45%です。これに住民税が10%かかるので、合計してたくさんの役員報酬をもらっている人が納める所得税・住民税は55%という計算になります。

4、社会保険料もバカにならない

さらに役員報酬の金額が大きくなると、社会保険料の負担ががかなり大きくなってきます。会社が半分折半といえども、ここは経営者の視点で考えるので、実質全額自分で負担しているのと同じ考えですよね。

健康保険料と厚生年金ですが、以下の表を見ていただくとわかる通り、たくさんの役員報酬を受け取れば最大でも東京では健康保険料は月16万円以上、国民年金でも月11万円以上を払わなくてはいけないほどのインパクトがあります。

5、事業年度がスタートして3ヵ月以内の役員報酬を決めないといけないので、効果的な収支計画を立てることが大切

このように法人税だけを抑えようとバカ高い役員報酬を設定してしまえば所得税・住民税・社会保険料の負担が重たくのしかかってきます。

とはいえ、役員報酬が低すぎれば社長個人で自由に使えるお金が少ないばかりか、法人税として結構な税金を納めないといけなくなるかもしれません。

そのためにも事業がスタートしたら速やかに、今期はどのような収支になるのかなるべく正確なシミュレーションを立てる必要があるでしょう。収支計画を丁寧に立てることによって、今期はこれぐらいの売上見込で経費としても、だいたいこれぐらいになるから役員報酬をここで設定すれば市場低い税率で全て対応できるみたいなお話が出来るのです。

一緒に生活している人にも役員になってもらい役員報酬を支払う

さらに効果的な役員報酬による税金対策を考えるとするならば、たとえば奥さんを役員にして役員報酬を支払うことで、自分一人で役員報酬をもらっていた時よりも大幅に税金対策となります。

・給与所得控除が大きな役割を果たします

たとえ会社社長が2,000万円を一人で役員報酬として受け取ると、それに紐づく所得税率をかけてその後に給与所得控除というものを差し引きます。控除が279万6,000円なので

これが奥さんを役員にして経理などの事務作業や人材募集などを手伝ってもらって役員報酬を700万円支払って、自分は1,800万円の役員報酬を払うとします。

自分:2,000万円→税率:40%・給与所得控除:279万6,000円=所得税520万4,000円

自分:1,300万円→税率:33%・給与所得控除:153万6,000円=所得税275万4,000円
奥さん:700万円→税率:23%・給与所得控除:63万6,000円=所得税97万4,000円

これを計算して頂ければわかる通り奥さんに役員報酬を振り分けることで、この例でいけば150万円ぐらいの税金対策になることがわかると思います。

・家族に役員報酬を支払うときには実態に気を付けましょう

上記のように家族を役員にして、役員報酬を分散させることで大きな税金対策としての効果が見込めます。ただし、名ばかりの役員で何もさせていないのに奥さんに700万円も年収を渡していたらどうでしょうか?税務署からしたら、税金を安くするためだけに奥さんを役員にしていると思われかねません。

ですので、実態として奥様には経理や事務や人材採用など仕事をしてもらいつつ、世間一般的に大きくかけ離れない程度の役員報酬額を設定するように気を付けて下さい。

◆即実践!役員報酬の設定で税金対策する方法、のまとめ

いかがでしたでしょうか。役員報酬の設定によって納める税金の額が大きく変わることはご理解いただけたかと思います。

役員報酬として自分で受け取る金額を設定した上で、さらに発展して税金対策を検討するのであれば退職金を検討してみたり、小規模企業共済の積み立てをしたり、生命保険への加入なんかも検討すると良いかもしれません。

もし保険を利用した税金対策を考えているのであれば、こちらの「初心者でもわかる!保険を使った法人と個人の税金対策」という記事で詳細を整理していますので、ご覧ください。

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