民間給与実態調査なるものを国税庁が毎年出しています。これは国民がお給料をどれぐらいもらっているのかを国が把握して、いくらぐらい税金があつまるのか予測を立てたり、税金について今後の検討に役立てるといった統計情報です。
ここで年収が1000万円以上の会社勤めの人たちは十分に高給取りだと思うのですが、それに伴い納める税金も増えていきます。そのため、個々で税金対策の必要性を感じる人も多いと思いますので、今回は年収1000万円の税金対策ということで情報をまとめてみました。
◆年収1000万円の人は高額所得者?
国税庁は毎年「民間給与実態調査」という情報を出しています。平成28年に出された調査結果によると1年を通じて働く人の平均年収は420万円でした。男女の内訳でいくと男性年収521万円、女性が年収276万円です。実感として、周りの人たちを見回しても男性平均で年収521万円ももらってるのかな?と疑問もあるのですが、年齢別で大きくギャップがあるようですね。年齢別の平均年収をみると年齢によってだいぶギャップがあるようですね。
このグラフのように、年齢が上がるにつれて平均給与は伸びていきますので自分の年齢と照らし合わせて考えると平均給与の額は納得感が高くなっていくと思います。とはいえ、このご時世、終身雇用が崩壊して同じ場所で長く働き続けることもなければ、ステップアップの転職も本物のスキルや能力を持っていないと難しくなってくると思われます。それだけに年収1000万円プレーヤーは、全体の約5%ほどしかいないわけですので稀な存在といって過言でないと思います。
◆年収が増えていくにつれ重くなる税金の負担・・・年収1000万円プレイヤーは?
日本の税金は累進課税制度といって、収入が増えるにつれて納める税金も大きくなる制度です。さらに手当や補助金、控除なんかも年収1000万円を超えてくると適用されなかったり、受けれる恩恵が少なくなったりします。これは税金というものが、世の中をうまく回すために必要なお金であるという点と、収入に応じて大きな格差をなくすという意味でたくさん稼いでいる人は、少しばかり低い人よりも多めに負担して下さいねということなんですが、それでも出来れば納める税金は安いに越したことはありません。具体的な年収1000万円の税金対策をみる前に、年収1000万円の人はどんな税負担があるのか整理しておきましょう。
知らないうちに年収1000万の人への増税、上限が設定された所得控除
所得控除とは、会社勤めの人たちが稼いだお金から所得税を計算する時に、ルールに沿ってあらかじめ差し引ける金額の事をいいます。所得控除の金額が多ければ多いほど、所得税を計算する対象となる数字は少なくなるので、その結果、計算される所得税額は小さくなるわけですね。これに対して、年収の金額に応じて上限を設定するようになり、年収1000万円以上稼ぐ人たちには実質増税というかたちになりました。
具体的には、平成28年分までは年収1200万円以上の人たちの所得控除は一律上限230万円で、平成29年以降になると年収1000万円以上の人たちの所得控除は一律上限220万円というかたちです。つまり、平成29年以上は年収1000万円以上稼ぐ人たちは、稼げば稼ぐほど所得控除の恩恵が薄くなっていくことになります。
年収1000万円は減らされる児童手当
児童手当とは子どもを育てるために国から支給される手当のことです。実際は0歳から15歳(中学卒業)まで受け取れるもので、子どもの人数などで月1万円~月1万5000円受け取れる金額が変わってきます。年収が1000万円を超える方(実際には年収960万円を超える方)は、受け取れる金額が一律で月5000円となってしまいます。ちなみに共働きの家は、合計年収ではなくて、金額の高い方の年収が要件の対象になります。
高校の学費が年収1000万だと無料でなくなる
高校生の子どもがいる場合、学費の有り無しが年収1000万円で変わってきます。具体的には「高等学校等就学支援金制度」というもので高校の授業料について国が支援してくれるものでした。ただ、計算は複雑なのですが世帯年収910万円程度の人たちは支援の対象からはずれてしまいます。世帯年収ということなので、共働きの家庭は両方の年収の合算値が要件の対象となります。
年収1000万円の配偶者控除は今後どうなる?
配偶者控除とは、配偶者が一定の条件を満たしていれば所得控除をして税金のメリットを与えましょうというものでした。平成29年にこちらが改正になり、年収に応じて控除される金額が少なくなってしまいます。配偶者控除は基本的に38万円が給与所得から控除(差し引く)されるのですが、年収が1000万円を超えてくると年収によっては配偶者控除を使えないなんてことも起こり得てきます。
[ad#co-1]◆年収1000万円の人のための税金対策
それではメインの年収1000万円の人のための税金対策としてどんな事が出来るのか確認していきましょう。実は会社勤めで給与もらう人が税金対策で打てる手立てはそんなに多くないんですね。なるべく多くの人が出来るものをピックアップしてみました。サラリーマンのための税金対策として、より詳しく紹介しているのがこちらの「独身サラリーマンの税金対策9選!」になりますので、良かったらご覧ください。
特定支出控除
基本的に仕事にかかるお金は会社側が負担して、会社の経費としています。ただし、それ以外の支出で仕事に紐づくもので会社側がお金を出してくれていないケースもあるのではないでしょうか?そうした仕事に関わる支出の中で、本当に仕事に紐づくものだと認められる場合には一定のルールに沿って所得控除することが認められています。会社から、これは仕事に関係ありますよ、と証明をもらわなければいけない点がハードルかもしれません。
特定支出控除の計算方法
まず会社勤めの人たちが税金の計算をする時にはそれぞれの年収に国税庁の情報によれば給与所得控除は以下のように計算されます。
特定支出控除となる金額は、この所得控除の金額の2分の1を超えた分が対象の金額となるわけですね。
特定支出控除の対象となる経費
それでは、特定支出控除の対象となる経費にはどのようなものがあるのでしょうか。一つずつ見ていくことにしましょう。会社からお金が出ている場合は、国からの給付金を受けているようなものは対象にならないので注意して下さいね。
1、通勤費
通勤にかかるお金で、会社が負担していない内容のものは特定支出控除の対象となります。
2、転居費
会社の都合で引っ越しが必要なケースは、転居費が特定支出控除の対象となります。
3、研修費
仕事をする上で必要な能力やスキルを手に入れるための研修は、それにかかるお金も特定支出控除の対象となります。
4、資格取得費
仕事をする上で必要な資格を取得するときは、その資格取得にかかるお金は特定支出控除の対象となります。
5、勤務必要経費
「本や新聞や雑誌を購入したお金」「制服や事務服や作業着にかかったお金」「交通費」のこれら仕事に関係のある支出に関しては上限65万円まで特定支出控除として認められます。
確定拠出年金
確定拠出年金とは国が行う公的な年金ではなく、個人のお金を積み立てていきそちらを運用して将来の年金に充てる制度のことを言います。会社で行っている確定拠出年金もありますが、そうでなくても個人でも加入できる個人型確定拠出年金(iDeCo)というものもあります。
年収1000万円の会社勤めの人が税金対策をするにあたり、この個人型確定拠出年金(iDeCo)の仕組みが活用できるのではないかと思っています。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の仕組みとは?
毎月いくら掛け金にするかは自分で決めることが出来、それを60歳まで積立てていきます。それを株などの金融商品で運用していくことになるわけですが、掛けた金額が全額所得控除となる点で税金対策を考える年収1000万円プレイヤーには大きな魅力です。状況によりますが、大体の人が厚生年金までの加入だと思いますので、そうすると月2.3万円まで全額経費として計算することが出来ます。
ふるさと納税
ふるさと納税とは、自分で住民税を納める場所を決めれる制度です。納めた分、最低2000円は自己負担ですが、残りは住民税や自治体によっては所得税も安くなり税金対策となる可能性が出てきます。
実際には自己負担の2000円で、各自治体のお礼の品が2000円を超える分には利益を得ているという考え方ですね。そして、ふるさと納税出来る金額は年収によって決まりますから年収1000万円の方、さらに年収1000万円でもこれまでに紹介した目立たない増税によって納める税金が増えるとふるさと納税できる金額が微増しますので、これを活用するのも税金対策として考えてよいかと思います。
ポイントは自分がどれぐらいふるさと納税として寄付することができるのか金額を明確に把握することと、各自治体の行う返礼金が自己負担分の2000円を考えて元が取れるところを探すことですね。たとえばふるさと納税の返礼としては以下のようなものがあります。
|
|
|
|
副業による損益通算(注意)
これはあまりお勧めが出来ないのですが、副業による損益通算というものも年収1000万円の方の税金対策の可能性が出てきます。具体的には本業とは別に副業をしていて、かつその副業が赤字の場合には本業の給与所得と副業の赤字を相殺できるというものです。相殺できるので、本業で納めるべき所得税や住民税が安くなるという理屈です。ただ、お勧めできないのがいくつかリスクがあるからです。
副業の損益通算、会社にバレるかも
最近は副業について政府も後押ししているかもしれませんが、それでも各会社では副業を制限していたり、禁止しているところがほとんどです。そのため、バレないように工夫して副業をしている人も多いと思います。それなのに赤字にして損益通算して、本業で納める税金が安くなるということは本業の会社にバレるリスクがあるという事です。周りの人と比べて税額が小さいとか、色んな可能性をはらみます。
本当にそれは副業ですか?
次に何をもって副業なのかという点が問題です。副業でも一時的な収入だったり金額が小さいと雑所得という区分になります。雑所得は損益通算が出来ないのです。それに対して本格的に事業として副業をしている場合は事業所得となり、これが赤字なら損益通算することが出来ます。事業所得の条件として「収入の大きさ」「売上は上がり続けるか」「本業とのバランス」「趣味ではないか」「節税目的ではないか」「それなりの労力を割いているか」など総合的に判断されます。法律で雑所得と事業所得の線引きが決まっているわけではないので、すべては税務署側の判断によります。自分では事業所得のつもりで損益通算していたけど、数年後の税務調査でこれは事業所得ではなく雑所得だから損益通算は不可!なんてことがないように、実情と照らし合わせて、税金対策のためだけに無茶をすることはよしておきましょう。
[ad#co-2]◆増税なの!?年収1000万円プレイヤーの税金対策、のまとめ
年収が高くなるにつれて税金が重くのしかかってきたり、補助金や手当が対象にならなかったりとありますが、手取り額が逆転することは無いので安心して下さい。税金の割合が変わるだけですね。とはいえ、年収1000万円を超える方に対する税金の負担は大きいのも事実です。
今回紹介した税き対策として「特定支出控除」や「確定拠出年金」、「ふるさと納税」「損益通算」を挙げましたが、その中から自分に出来るものからスタートしてみるといいでしょう。どれも、計画的に慎重に行う必要のあるものですから、自分の現状をしっかりと整理した上で、生活費で節約できていくら貯金に回せるのか、その上で将来的に子どもの教育費としてどれぐらい?老後の資金としてどれくらい?という計画も重要です。出来ることなら専門家と一緒にそうした計画を綿密に立てるようにしていきましょう。
日本人で加入する人の多い生命保険でもサラリーマンの人が税金対策として使うとしたらどんな仕組みになっているのでしょうか。こちらの「誰でもわかる!サラリーマンの生命保険による税金対策」にて詳しく説明しているので、良かったらご覧ください。
Not found the post.
コメント