日本での起業を考える外国人にとって、「資本金」は避けて通れないテーマです。日本の会社法では原則として誰でも会社を設立できますが、ビザの取得や銀行口座の開設など、外国人特有の課題もあります。この記事では、外国人が日本で会社設立する際の資本金の扱いについて、ビザや口座開設との関係も踏まえて、やさしく解説していきます。
外国人が日本で会社設立する際の資本金の基本知識
外国人が日本で会社を設立する場合、日本人と同じく「資本金1円」から設立可能です。ただし、実際の運用やビザ取得の観点からは、より高額な資本金を用意するケースが多くなっています。
外国人でも1円で設立できる?日本の会社法の基本ルール
日本の会社法では、2006年の改正以降、株式会社も合同会社も「資本金1円」で設立できるようになりました。国籍による制限もなく、法的には外国人でもこのルールが適用されます。
ただし、設立後の運営を考えると「資本金1円」は現実的ではありません。例えば、事務所の賃料や人件費、通信費など、初期費用はどうしてもかかるため、ある程度の資金を用意する必要があります。
また、定款に記載する資本金額と、実際に払い込む金額は一致している必要があります。たとえば「資本金100万円」と記載したら、必ず100万円を払い込まなければなりません。

形式上は1円でもOKだけど、ビジネスを続けるには「生活費1ヶ月分で海外移住」みたいな話。現実的には数百万円の資本金が必要になるよ!
資本金と出資の違い|在留資格取得に影響するのはどちら?
資本金とは、設立時に会社に払い込まれたお金のうち、会社の元手として登記される金額を指します。一方、出資とは会社にお金を提供する行為そのもので、出資=資本金ではありません。
ビザ(在留資格)取得の際には、「資本金」が審査対象となります。特に「経営・管理」ビザを取得したい場合、資本金500万円以上が原則条件となるため、ここは非常に重要なポイントです。
また、資本金の金額によっては税務上の取り扱いも変わります。たとえば、資本金が1,000万円以上になると、設立1期目から消費税が課税されます。さらに、資本金が大きすぎると法人住民税の均等割や外形標準課税の対象になることもあります。
事業目的や業種によって資本金の目安は変わる?
たとえば、飲食店を開業する場合と、IT系のサービス会社を立ち上げる場合では、必要となる初期費用がまったく異なります。
- 飲食業(例:居酒屋):内装工事・厨房機器などで500万〜1000万円
- ITサービス(例:WEB制作):パソコン・サーバー・人件費で100万〜300万円
業種ごとの資本金の目安は、ビジネスモデルや設備投資の有無によって異なるため、事前にしっかりと試算しておきましょう。



たとえば、あなたがカレー屋さんを開きたいとしたら、キッチンの設備や内装工事で最初から数百万円は必要になるよね?資本金=準備資金と考えるとイメージしやすいよ!
ビザ(在留資格)と資本金の関係|経営管理ビザとのつながり
外国人が日本で起業する場合、「経営・管理」ビザの取得が必要になるケースがほとんどです。このビザの取得要件に「500万円以上の資本金」が明記されており、設立時の資金計画がビザ審査に直結します。
「資本金500万円以上」は本当に必要?要件の背景と実務上の対応
法務省の基準によれば、経営・管理ビザの要件として「500万円以上の出資」が必要とされています(※厳密には、設備投資等で同等額の実績があれば代替可)。
しかし、現実には「設立登記時の資本金が500万円未満」の場合、ビザ取得審査で不利になる可能性が高いため、最初から500万円以上を資本金として登記するケースが多くなっています。



「ビザは別問題」と思ってる人、意外と多いけど、設立時の資本金がそのままビザ申請資料になるケースもあるよ!戦略的に考えていこう!
出資者が外国人だけの場合に注意すべきポイント
出資者(発起人)がすべて外国人というケースでは、以下のような点で追加の対応が必要になることがあります。
- 日本語の定款に不備がないか(翻訳と内容確認)
- 印鑑証明書の代替書類(宣誓供述書など)の準備
- 本人確認書類や住所証明の取得方法
とくに、日本に住民登録がない非居住者の場合は、法務局の審査も慎重になる傾向があります。
ビザ取得と会社設立、どちらを先にすべき?順序とスケジュール感
基本的には「会社設立→ビザ申請」の順番になりますが、資本金払込やオフィス契約など、設立前に動かないといけない準備も多いため、同時並行で計画を立てる必要があります。
一部の外国人起業家は、すでに他の在留資格(留学や技術・人文知識)を持っている場合、その間に会社を設立し、あとから「経営管理ビザ」に切り替える方法を選んでいます。



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資本金払込と法人口座開設の注意点|外国人ならではの壁とは
会社設立時には、資本金を“いったん個人口座に振り込む”という手続きが必要になります。その後、会社設立が完了してから「法人口座」を作るという流れですが、外国人の場合、この口座開設で大きな壁に直面することがあります。
設立前の資本金払込は「発起人個人口座」で行うのが原則
会社設立時には、資本金を代表者(発起人)の個人口座に一時的に入金し、その通帳コピーを登記時に提出するという方法が一般的です。外国人であっても、日本国内に銀行口座を持っていればこの方法で問題ありません。
ただし、海外の銀行口座は使えません。また、口座名義が本人であることや、振込日・金額が明確にわかるようにしておく必要があります。
法人口座の開設で審査落ち?よくある原因と対応策
最近では、マネーロンダリング対策の強化により、銀行側の審査が非常に厳しくなっています。
外国人が法人口座を開設できない主な原因は以下の通り:
- 代表者が日本に居住していない
- 在留カードがない
- 電話番号・住所などの連絡先が不明瞭
- 事業内容があいまい、具体性に欠ける
これらを回避するためには、設立時から「明確な事業計画書」や「オフィス契約書」など、実態のある書類を整えておくことが重要です。



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非居住者・在留カードなしでも設立可能?各金融機関の対応事例
日本に住所がない非居住者であっても、登記は可能です。ただし、銀行口座開設やビザ取得が難航するため、実務上は「日本に住所を持つパートナーと共同設立」や「行政書士等のサポート」を受けながら進めるのが現実的です。
実際に、外国籍の経営者が日本人と共同で合同会社を設立し、信頼性を確保しながら法人口座を開設したという事例もあります。
まとめ|外国人起業における資本金設計のポイント
外国人が日本で会社を設立する際は、単に「資本金がいくら必要か?」だけでなく、ビザ取得や口座開設など、複数の要素が密接に絡み合っています。
そのため、資本金の金額だけを考えるのではなく、以下の3つをセットで計画することが重要です:
- 資本金の金額と使い道(設備、運転資金など)
- 経営管理ビザとの関係性(500万円要件)
- 銀行との信頼関係構築(書類・計画書の整備)
さらに、設立後に従業員を雇う予定がある場合は、社会保険や労働保険への加入義務が発生する点にも注意が必要です。法人設立後すぐに、所轄の年金事務所や労働基準監督署などへ必要な届出を行う必要があります。
特に日本語に不慣れな場合や、書類の整備に自信がない場合は、司法書士・行政書士・税理士などの専門家に相談しながら進めることを強くおすすめします。



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