起業してしばらく経つと、事業の成長や外部との取引を通じて
「資本金を増やしたい」「変える必要が出てきた」と感じる場面が出てきます。
けれど、「資本金ってどうやって増やすの?」「税金や登記の手続きはどうなるの?」といった疑問を持つ方も多いはず。
この記事では、資本金の「増加」「変更」「変動」という言葉の違いから、
実際に増資するときの手続き、会計処理、登記、税務の対応までをわかりやすく解説します。
経営判断のタイミングを見誤らないよう、実務的なポイントを押さえておきましょう!
資本金の「増加」「変更」「変動」の違いとは?
資本金を「増やす」とはどういうことか?
「資本金を増やす」とは、会社が新たにお金を受け入れて、その金額を資本金として計上することをいいます。
たとえば、会社が成長のために新しい設備を導入したいとき、外部からの出資を受けて資本金を増やすことで、金融機関からの信用度を上げられることがあります。
実際に、ある製造業の会社は、事業拡大にあたり、資本金300万円を新たに追加し、100万円だった資本金を400万円にしました。この増資により、取引先との信用が向上し、大手企業との契約につながりました。

資本金を増やすのは「見せ金」ではなく、実際に事業を支える資金としての意義が大きいよ!必要なときにしっかり使える準備をしておこう。
「資本金の変更」「変動」との違いと使い分け
「資本金の変更」は法律用語ではなく、実務上「資本金の額が変わった」ことを指す言い方です。正確には「増資」や「減資」などの用語を用います。
一方、「資本金の変動」は、増資や減資といった具体的な資本構成の変更全体を指す表現です。



「変更」よりも「増資・減資」という具体的な言葉で理解すると、手続きやリスクもつかみやすいよ!
資本金に関する法的な定義と位置づけ
資本金とは、会社が事業を始めるために用意する“元手”のようなもの。会社法では「設立時に出資され、会社が受け取った金額のうち、資本金として計上する額」とされています(会社法第445条)。
注意すべきは、「すべての出資が資本金になるわけではない」という点です。一部は資本準備金として計上されることもあります。



たとえば100万円の出資があっても、そのうち50万円を資本金、50万円を資本準備金にすることも可能なんだ。柔軟に設計できるのがポイント!
資本金の増加が必要になる場面とその理由
資本金の変動事由とは?よくあるケース5選
資本金の変動には、以下のような事由があります:
- 事業拡大に伴う資金調達(新規設備投資など)
- 金融機関や取引先からの信用向上を目的とした増資
- 資本金1,000万円超で消費税の免税対象外にする戦略的判断(※判定基準日は事業年度の開始日時点)
- 株主構成の変更(第三者割当など)
- 認可業種での資本金要件を満たすため(例:建設業=500万円以上、人材派遣業=2,000万円以上)



とくに3番の「免税外し」は戦略的な増資パターン。税理士さんと相談してね!
増資の背景にある経営戦略とは?【事例あり】
たとえば、あるITベンチャー企業は、資本金を500万円から2,000万円に増資。目的は、大手取引先との契約条件として「資本金1,000万円以上」が求められていたからです。
この増資により、信用力が上がり、融資枠も拡大。社内のエンジニア採用にも弾みがつきました。



資本金は「見た目の数字」でもあるからこそ、タイミングと戦略がカギ!
資本金を増やすメリットと注意点
メリット
- 対外的な信用向上
- 融資審査での有利性
- 取引先からの信頼獲得
注意点
- 資本金が1,000万円を超えると、設立2年間の消費税免税が受けられない(事業年度開始日に判定)
- 登記や税務申告など、手続きコストがかかる



「増やせばいい」わけじゃなく、「今、増やす必要があるか?」の見極めが大事だよ!
資本金を増やす手続きと会計・登記の実務
募集株式の発行による増資の手順と登記方法
増資の基本は「募集株式の発行」です。手続きの流れは次のとおり:
- 株主総会での特別決議(発行条件の決定)
- 募集事項の通知
- 出資金の払い込み(金融機関口座へ)
- 登記申請(※株式発行の効力発生日から2週間以内、会社法第915条)



登記は期限があるから、忘れずに!特に2週間以内って地味に短いから注意してね。
出資金の入金処理と会計処理のポイント
増資時の入金は、会社名義の銀行口座に振り込まれる必要があります。個人口座への入金はNGです。
会計処理では、「資本金」と「資本準備金」に分けて仕訳します。
たとえば1,000万円を出資された場合、資本金500万円・資本準備金500万円という設定も可能です。



「全額資本金」じゃなくてもいいんだよ。節税の観点でも分け方は大事!
登記後にやるべき税務・行政の届け出一覧
登記が完了したら、以下のような届出が必要になります:
- 資本金等の異動届出書(税務署)
- 都道府県税事務所への届け出
- 社会保険の変更手続き(資本金1,000万円以上かつ常時5人以上雇用で強制適用)



税務署と都道府県で書類が違うから、ダブルで提出することを忘れずに!
まとめ|資本金の変更は経営判断。計画的に進めよう
資本金を増やすことは、会社の信頼性を高めたり、戦略的な意思決定に結びつく重要なステップです。
でも同時に、消費税の免税要件や社会保険の加入要件など、思わぬ影響が出ることもあります。
だからこそ、増資を考える際は、司法書士・税理士・行政書士・社会保険労務士などの専門家と連携し、計画的に進めることが成功のカギになります。



増資は「会社の見た目を変える魔法」みたいなもの。けど魔法は使いどころを間違えると逆効果!信頼できる仲間と一緒に戦略的に動こうね。
コメント