「会社をつくりたいけど、自己資金が足りない…」「資本金って借りたお金でもいいの?」
そんな疑問や不安を抱えているあなたへ。
実は、資本金は必ずしも“自分の貯金だけ”で用意しなければならないわけではありません。
しかし、借入や融資を使う場合には、注意すべきルールや落とし穴があることも事実です。
この記事では、資本金の基本から、借入や融資を使った調達方法、そしてよくある誤解まで、起業初心者でもわかりやすく解説していきます。
あなたが「安心して起業の第一歩を踏み出す」ための情報を、専門家の視点から丁寧にお伝えします。
資本金はどう準備する?自己資金・借入・融資の違いと実態
会社設立を考えるとき、まず最初に立ちはだかるのが「資本金、どうやって用意しよう?」という悩み。自己資金でまかなう人もいれば、借入や融資で調達しようとする人もいます。でも実は、資本金にしてよいお金と、してはいけないお金があるんです。
資本金の準備には、法律・税務・銀行との関係など、いくつかの落とし穴があるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
そもそも資本金とは?自己資金との違いを正しく理解しよう
「資本金=自己資金」と考える方も多いのですが、実は少し違います。
資本金とは、会社を設立する際に「このお金を使って事業を始めます」と会社に入れるお金のこと。これは定款に記載し、設立登記時に証明が必要です。
一方、自己資金とは、起業を考えている人自身が自由に使える手元のお金のこと。
自己資金を資本金に充てることは可能ですが、「誰かから借りたお金」「会社の売上を見越したお金」などを資本金として入れる場合は、正しいルールを守る必要があります。
たとえば、100万円のうち50万円は自分の貯金、50万円は友人から借りたとします。この全額を資本金にしていいかというと…後述する注意点があります。

「資本金=自己資金」という誤解、よくあるんだよね。設立時に「通帳にいくら入れました」という証明が必要になるから、“どこから来たお金か”も重要なんだよ。
借入で資本金を用意するのはOK?法的・実務的な注意点
結論から言えば、借入金を資本金に充てることは“可能”ではあるけれど、注意が必要です。
その理由は、「返済義務がある=純粋な出資とは言えない」ためです。
法的には、資本金の払込時に「誰が、どのように出資したか」が大事になります。親から借りたお金を資本金にする場合、その借入契約書の有無や、利息・返済条件が明確でなければ、後々税務署から「これは見せかけの資本金では?」と疑われる可能性も。
また、一時的に借りて口座に入れてすぐ返すという行為は、脱法的と見なされ、設立そのものがトラブルになる可能性があります。



「設立登記通ったからOKでしょ?」と思いがちだけど、税務調査や金融機関の審査では“資本金の出どころ”も見られるよ。安易に借入で資本金を作ると後で痛い目に遭うかも。
創業融資や親族借入は「資本金」にできる?具体例で解説
たとえば、創業融資(日本政策金融公庫)を受けて、その資金を使って資本金に充てたいという方もいます。しかし、創業融資の入金は会社設立後が一般的。つまり、設立資金としては使えないケースが多いです。
一方、親族からの借入で資本金を用意する場合は、「借用書を作成」「無利息ならその旨明記」「返済条件も具体的に記載」など、“借入の事実”を証明できる書類の整備が大切です。
事例:Aさんは、自分の貯金30万円に加え、親から70万円を借りて計100万円を資本金にして会社設立。借用書を作り、毎月1万円ずつの返済を始めたことで、税務上も問題なく認められました。



「親からもらったからOKでしょ」と思っていても、贈与とみなされたり、あとで親子間で揉めることも。契約書や証明書類って、信頼関係があるほど必要になるんだよ。
借入や融資を活用して資本金を調達する方法
資本金を自己資金だけでまかなうのが難しい場合、「借入」や「融資」という選択肢もあります。ただし、調達の仕方によっては後々問題が起きることも。ここでは、安心して使える方法とその注意点を整理しておきましょう。
創業融資(日本政策金融公庫)で資本金を準備する仕組み
創業者にとって強い味方になるのが「日本政策金融公庫」の創業融資制度です。これは設立直後でも利用できる可能性がある無担保・無保証の融資で、金利も比較的低めです。
ただし、実務上は「会社設立後」でなければ融資は受けられません。そのため、設立時の資本金として創業融資を使うのは難しく、**「資本金を自己資金で用意→設立後に創業融資を申し込む」**という流れが一般的です。



「融資を使って資本金を…」と考えがちだけど、実際は“あとからお金が戻ってくる”というイメージで考えた方がスムーズだよ!
親や知人からの借入はどう扱う?注意すべき契約や証憑
親や知人から借りたお金を資本金にする場合、気をつけたいのは「きちんとした証拠を残すこと」。どれだけ信頼関係があっても、税務署や金融機関はそれを知りません。
以下の点を押さえた借用書を残すのが理想です:
- 借入金額
- 返済方法(毎月〇万円ずつなど)
- 返済期日
- 利息の有無
- 印鑑・日付の記入
書類がないと、「本当に借入なの?」「実は贈与じゃない?」と指摘されるリスクがあります。



特に贈与とみなされると“贈与税”が発生することもあるから要注意。お金の話は証拠を残すのが一番の安心だよ!
出資と借入の違い|トラブルを防ぐには「見える化」が鍵
出資は「返さなくていいお金」、借入は「返さなきゃいけないお金」。この違いを混同するとトラブルの元です。
設立時に「出資」として受け取ったのに、後で「実は借りてた」と主張すると、税務上も登記上も整合性が取れなくなります。これが原因で銀行の融資審査が通らなくなる例もあります。
お金の流れと関係性を“見える化”しておくことが、経営者としての信頼にもつながります。



「お金をもらった・借りた」は口約束じゃ通じないよ!見える化=“証拠を残す”が起業家の信用を守るカギだね。
資本金の調達でよくある誤解とトラブル事例
資本金の調達に関する誤解や落とし穴は意外と多いもの。ここでは、実際によくある勘違いや、失敗しがちな例を紹介します。事前に知っておくことで、トラブルを未然に防ぎましょう。
実はNG?「借りたお金を入れてすぐ返す」は脱法行為に近い!
設立時に見かけの資本金を作ろうとして、「借りたお金を入金→通帳コピーを取得→すぐ返す」というケースがあります。しかしこれは、**資本金としての実態を欠く“見せかけの出資”**とみなされ、法務局や税務署で問題になる可能性があります。
金融機関の融資審査でも、「こんな資本金の会社に貸せるのか?」と疑われてしまいます。



見せかけの資本金、バレたときのダメージはかなり大きいよ!“誠実に資金を用意する”って、何よりの信用だよね。
代表者と出資者が異なるとどうなる?融資審査で落ちた事例も
たとえば、資金を出すのは別の人(親やパートナー)で、設立者本人が資本金を一切出していない場合。形式上は問題ないように見えても、創業融資の審査で「代表者がリスクを取っていない」と判断され、落とされることがあります。
創業融資では「本人の本気度」「資金計画の妥当性」が重視されるため、自分自身の資金を入れておくことがポイントになります。



“自腹を切る”って、実は見られてるよ!創業時の熱意や覚悟は、資本金の出資割合から読み取られたりするんだ。
「資本金ゼロで設立」は幻想?信頼・融資・税務上のデメリット
会社法上、資本金は1円からでも設立可能。でも実際には、資本金が少なすぎると以下のようなデメリットがあります。
- 信用が得られにくい
- 創業融資の審査が不利になる
- 社会保険加入義務の判断にも影響
- 節税対策の幅が狭まる
「最低限でいいでしょ」と思うかもしれませんが、設立後に困ることが多いのが現実です。



“1円起業”って、たしかに夢はある。でも現実には「こんな資本金で大丈夫?」と疑われて損することも多いんだよね。
まとめ|資本金の調達は「正しく・安心して」進めよう
ここまで見てきたように、資本金の調達にはさまざまな方法がありますが、法律的にも実務的にも“信用を落とさない方法”を選ぶことが最重要です。
自己資金が少なくても、親族の協力や、設立後の創業融資などをうまく活用することで、信頼を損なうことなく会社を立ち上げることは十分可能です。
繰り返しになりますが、次の点を押さえておけば安心です:
- 借入は証拠書類を必ず残す
- 創業融資は設立後に申し込むのが基本
- 資本金は“自分の覚悟”を示すシグナル
- 少額設立には将来のデメリットもある
会社設立はゴールではなくスタート。その後の経営や融資、採用、行政対応まで見据えた“正しい一歩”を踏み出しましょう。



“資本金=信頼の証”っていうのは本当。大切なのは「いくら」じゃなくて「どうやって集めたか」なんだよ。焦らず、正しい方法でスタートを切ってね!
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