会社設立を検討している方の中には、「資本金っていくらにすればいいの?」「税金にどう関係してくるの?」と疑問を抱いている方が多いのではないでしょうか。この記事では、司法書士・税理士・公認会計士の視点から、資本金と税金の関係をわかりやすく解説します。設立時に意外と見落としがちな”資本準備金”や”登録免許税”についても、実際の事例を交えながら丁寧にお伝えします。

難しそうな言葉も出てくるけど、要所要所でフォローしていくから安心して読み進めてね!
資本金と税金の関係とは?基本の仕組みを理解しよう
資本金を増やすと税金はどうなる?



資本金が多いと税金も高くなる?と思いがちだけど、法人税には直接影響しないんです。
資本金とは、会社が設立時に出資を受けて得た運転資金のことで、登記簿にも記載される重要な情報です。では、資本金が多いほど税金も増えるのでしょうか?
答えは「一部YES」です。
法人税は原則として利益に対して課税されるため、資本金の額が直接法人税の金額を決定するわけではありません。ただし、資本金が1,000万円以上かどうかで、いくつかの税制上の優遇措置が受けられるかどうかが変わってきます。
例えば、資本金が1,000万円未満であれば、設立から2年間は消費税の免税事業者になれる可能性があります(※要件あり)。逆に1,000万円以上にすると、1期目から消費税の申告義務が発生するため、創業初期のキャッシュフローを圧迫するリスクがあります。
資本金1,000万円の壁と法人税・消費税の関係



「1,000万円の壁」って言葉、よく聞くけど何が違うのかをここでチェック!
たとえば、資本金1,200万円で設立した会社があったとします。資本金が1,000万円を超えているため、設立初年度から消費税の課税事業者になります。
このとき、仮に売上が1,500万円でも、実際に納める消費税は売上に対する消費税額から、仕入れや経費にかかる消費税(仕入税額控除)を差し引いた額となります。さらに、簡易課税制度を選択することができれば、実際の納税額は業種に応じたみなし仕入率を用いて計算されるため、税負担が軽減される可能性もあります。
つまり、「売上1,500万円だから消費税150万円を納める」といった単純な計算にはなりません。消費税は利益に対する税金ではなく、取引の課税性や仕入額により納税額が変わることを理解しておきましょう。
なお、資本金にかかわらず、2期目以降は「特定期間(原則、前々期)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になる」など、別のルールも適用されます。
赤字でも税金がかかる「最低限の法人住民税」とは



「赤字なら税金ゼロ」と思ってたら意外と落とし穴。均等割、忘れないで!
たとえ利益が出ていなくても、法人住民税の均等割という最低税額の支払い義務があります。資本金の額や従業員数によって異なりますが、最低で7万円程度(東京都の場合)です。
資本金1,000万円超の場合、この均等割が高くなる自治体もありますので、初期費用とのバランスを見て設定することが重要です。
税金対策として資本金を少なくするのはアリか?



資本金1円でも会社は作れる。でもそれが本当に得かどうかはケースバイケースです!
実務的には「税金を抑えたいから資本金を1円にする」という会社も存在します。たしかに制度上は可能ですが、対外的な信用力や融資の審査にはマイナスに働くことが多いです。
たとえば、日本政策金融公庫に創業融資を申請する場合、「資本金額=自己資金」と見なされるため、1円の資本金ではほぼ通りません。税務だけでなく、金融機関や取引先との関係も加味した総合的な判断が求められます。
資本準備金・資本剰余金とは?資本金との違いと会計処理
資本準備金とは何か?会社法に基づく定義と目的



資本金にしない分ってどうなるの?実はちゃんと「資本準備金」として扱われます!
資本準備金とは、会社が資本金以外に積み立てることができる自己資本の一部です。会社法では、株式の発行により得た払込金額の2分の1までを資本準備金とすることが可能とされています(会社法第445条第2項)。
つまり、たとえば1,000万円の出資を受けた場合、そのうち500万円を資本金、残り500万円を資本準備金とすることができます。
この仕組みを活用することで、登録免許税を抑えるといった実務的メリットも生まれます(後述)。
資本剰余金とは何か?利益剰余金との違い



名前が似てるからややこしいけど、「どこからのお金か」がポイントです。
資本剰余金は、資本準備金を含めた広い概念で、出資や自己株式の処分など、資本取引から生じた剰余金です。
一方で、利益剰余金は営業活動などによって得た利益から積み立てられるもの。つまり、出所が異なるわけですね。
たとえば、増資によって得たお金は資本剰余金に、事業で稼いだ利益は利益剰余金に分類されます。この違いは、配当や減資時の扱いなど、将来的な財務施策に大きく影響します。
資本準備金や資本剰余金への振替が行われる具体例



登録免許税を抑えつつ、財務を整えるテクニック!知ってると便利です。
あるIT企業が、株主から2,000万円の出資を受けました。このうち、実務的な登録免許税を抑える目的で1,000万円を資本金、残り1,000万円を資本準備金に振り分けたケースがあります。
このように資本準備金を活用することで、会社設立時のコストを抑えながら、会計上のバランスも整えることができます。
資本金とのバランスはどう考えるべきか



信用力とコストのバランス、迷ったらここを参考に。
資本金が多ければ対外的信用は高まりますが、税務やコスト面では負担も増えます。そのため、資本金と資本準備金のバランスを取りながら、必要に応じて専門家に相談するのが得策です。
資本金と登録免許税の関係|設立時・増資時の注意点
会社設立時の登録免許税は「資本金×0.7%」が原則



登録免許税は「最低額」が決まってるから、思ったより高くなることも!
株式会社を設立する際には、登録免許税として資本金の0.7%(最低15万円)が課税されます。合同会社の場合は最低6万円です。
たとえば資本金1,000万円で株式会社を設立すると、0.7%=7万円の計算になりますが、最低税額15万円が適用されるため、実際の登録免許税は15万円になります。
この制度を理解しておくと、無駄な税金を避けることができます。
最低税額はいくら?合同会社と株式会社で異なる点



「とりあえず安く始めたい」なら合同会社も視野に。ただし将来の変更コストも考えて!
- 株式会社:資本金の0.7%(最低15万円)
- 合同会社:資本金の0.7%(最低6万円)
たとえば資本金500万円であれば、株式会社なら3.5万円だが最低税額15万円が適用され、合同会社なら3.5万円で済みます。
また、合同会社であっても、たとえば資本金1万円でも、最低6万円の登録免許税がかかる点に注意が必要です。
増資するときの登録免許税も同様にかかる



増資のときも税金が発生するなんて、意外と知られていませんよね。
増資時にも、新たに加算される資本金の額に対して0.7%の登録免許税がかかります。
ある美容系企業が300万円の増資を行った際、資本金として150万円、資本準備金に150万円を振り分けたことで、登録免許税は150万円×0.7%=1万500円に抑えられました。
このように、資本準備金の活用が実務で有効であることが分かります。
資本準備金に振り替えた場合の登録免許税への影響



出資金をどう振り分けるかで、税金の金額が変わるのは大事なポイント!
会社法上、増資時の出資金のうち2分の1を資本準備金とすれば、その部分には登録免許税がかかりません。
したがって、税金を最小限に抑えたい場合は、資本金と資本準備金の割合を工夫することが重要です。
まとめ|資本金は税金・登記・会計に直結する重要項目
会社設立時は税務・登記・資金計画をセットで検討しよう



税金・登記・会計、全部セットで考えると失敗が減りますよ!
資本金の額は、法人税や住民税、登録免許税、さらには消費税にも影響する重要な項目です。また、資本準備金や資本剰余金とのバランスを調整することで、税金面だけでなく会計的な健全性も保つことができます。
専門家への相談で「将来の負担」を軽減できる



少しの相談で大きな安心が得られる。設立前にぜひ専門家と話してみて!
会社設立は「今のための判断」ではなく、「未来に向けた投資」です。資本金に関する最適な設計は、司法書士・税理士・公認会計士といった専門家と連携して行うことを強くおすすめします。
設立後に「こんなはずじゃなかった…」とならないためにも、ぜひこの記事の内容を参考に、納得のいく資本金設定をしていただければと思います。



最初の一歩を正しく踏み出せば、将来がぐっとラクになります。一緒に準備、がんばりましょう!
コメント