株式会社にせよ、合同会社にせよ、自分で会社設立しようとすると似たような言葉の意味に混乱する事があります。
会社設立日と登記完了日もその一つです。これに登記申請日がさらに複雑にします。似たような意味に聞こえますが、本来は全く違うタイミングを指します。もちろん対応すべき事項も全然違いますから、まずは正確に情報を把握して間違いのないスムーズな会社設立手続きに臨んでもらえればと思います。
・会社設立日と登記完了日の違い
・会社設立日・登記申請日・登記完了日など日付の違いを整理
◆会社設立日と登記完了日と登記申請日の違い
似たような文言で混乱しやすい「会社設立日」「登記完了日」「登記申請日」の違いについて整理します。
(1)会社設立日と登記申請日は同じ意味
結論から言うと会社設立日と登記申請日は同じ意味です。どちらも会社がこの世に誕生した日という意味で使います。
1、会社設立日とは登記の申請をした日
会社設立とは法務局へ設立の手続きを行うことです。法務局に申請をすることでこの世に会社が誕生することを認めてもらいます。これを法務局への手続きを登記申請と言います。設立書類を法務局に受け取ってもらった日が会社設立日となるので、登記申請日が会社設立日なわけです。
登記とは公に記すことを意味します。国がうまく機能するには目に見えない権利関係を整理整頓する必要がありました。例えば「この土地はAさんのものです」とか「Bさんを法人とみなします」とかの関係性は目に見えないですよね。土地にAさんのものと書いているわけじゃないし、Bさんの体に私は法人ですと書いているわけじゃないんです。
そこで昔は登記簿という書類に「この土地はAさんのもの」とか「Bさんを法人にします」とか記していたんですね。「登」という文字には公の書類って意味があります。それに記すから登記なんですね。今は登記簿という書類ではなくて電子データでパソコン使って管理されて登記情報というかたちで存在します。
2、登記事項証明書(登記簿謄本)の成立した日として会社設立日が載る
登記申請日と会社設立日は同じ意味です。そのため登記簿謄本に載る会社設立日は「成立した日」の項目の中に載ります。詳しい会社設立日を知りたい人は、謄本の成立した日を確認すれば一番正確な情報になります。
会社設立日に関する情報をさらに深く知りたい時は「後悔しない会社設立日の決め方!いつが会社設立日、いつが良い?占いで決める?」という項目を参考にしてください。
(2)会社設立日と登記完了日の違いとは?
次に会社設立日と登記完了日の違いを明確にしていきましょう。
1、登記完了日とは登記が完了する日のこと
登記完了日とは会社設立日から約1週間ぐらい後の登記が完了する日のことです。法務局に会社設立書類を提出した日が登記申請日(会社設立日)です。この日はまだ登記が完了していないので、法務局では提出された書類をチェックしたり登記簿謄本を作ったりと作業が発生します。
この作業が終わる日を登記完了日と言います。登記完了日以降は会社がこの世に存在する証明書である登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することができるようになります。
2、登記完了日以降は履歴事項全部証明書だけでなく印鑑カードや印鑑証明書も
登記完了日以降になれば登記事項証明書である履歴事項全部証明書が取得できます。社会保険に加入する時や、銀行口座を開設する時に使うので必要な部数を購入するようにしてください。
会社設立後であれば必ず印鑑カードも法務局で受け取るようにしましょう。法人の印鑑証明書も取得できるので、こちらも必要な枚数を受け取るようにしましょう。
◆会社設立が終わった後の登記完了予定日の調べ方
会社設立が終われば登記完了の予定日を調べて印鑑カード、法人の印鑑証明書、履歴事項全部証明書取得の準備を行います。
具体的な手順について紹介しますね。
(1)法務局のサイトから登記完了予定日を調べる
会社設立日(登記申請日)は法務局に会社設立書類を提出して受け取ってもらった日です。普通は郵送や直接手渡しで申請しますので会社設立日は明確です。
1、法務局のホームページから登記完了予定日を確認
各都道府県の法務局のサイトから登記完了の予定日を調べることができます。例えば東京都の法務局のページには右側にメニューバーがあります。下側に「登記完了予定日」を見ると申請日と登記完了予定日の一覧を見ることができます。
2、登記申請日(会社設立日)から登記完了予定日を調べる
例えば品川区に登記申請した場合は以下のような一覧で表記されます。登記の申請日は会社設立日のことです。申請日の日付を右側にスライドしていくと一番右端に「商業・法人登記」の日付が出ていると思います。この日付が登記完了予定日となります。
登記完了予定日はあくまで目安として長めに設定されているので、この日付より早く登記完了が為される場合があります。早めに登記完了を希望している人は登記完了予定日より数日前から登記完了の確認をするようにしましょう。
様々な理由で早めに登記完了をしなければいけない人がいると思います。そんな時、少しの工夫で通常より早めに登記完了まで進めてくれるかもしれません。詳細は「最短1日!なるべく早く登記完了をして登記事項証明書を手に入れる方法」の記事をご覧ください。
(2)直接法務局から登記完了予定日を教えてもらう方法
ウェブ上で登記完了予定日を調べる方法がありますが、直接法務局から登記完了日を教えてもらうこともできます。管轄の法務局に電話することで登記完了予定日を聞くことができます。
また、登記申請を郵送ではなく直接法務局の窓口に持っていくと、受付では登記完了予定日を記した用紙をくれるので、そこで把握することは可能です。登記完了が確認できたら印鑑カード、法人の印鑑証明書、履歴事項全部証明書を必要な部数取得しましょう。
法務局で登記申請をした後に裏側で登記簿謄本などの準備をする期間が通常約1週間です。そのため会社設立日から登記完了日までは約1週間というのが普通ですが、たとえばお盆休みや、会社設立がたて混む4月、年末年始などは登記完了予定日までの日数が多くなりがちで2週間ぐらいは見ておいた方が良さそうです。
登記完了予定日がわかれば残るは登記完了しているかどうか確認すれば良いだけです。登記完了予定日の数日前から検索して調べておくのがベストだと思います。詳細は「会社登記の情報を検索する方法」の記事をご覧ください。
(3)履歴事項全部証明書が必要になるケース
登記完了後に履歴事項全部証明書を取りにいくと「何枚ぐらい必要ですか?」という質問を良く受けます。そこで一般的に履歴事項証明書が必要になるケースを整理してみました。
1、法人口座を作成する場合
会社設立をして登記完了が済んだら金融機関で法人口座を作らないといけません。金融機関によっては法人口座の作成時に履歴事項全部証明書の提出が必要な場合があるので必ず事前確認しましょう。
2、社会保険に加入する場合
法人で役員報酬や従業員を雇う場合は基本的に必ず社会保険に加入しないといけません。社会保険加入時には履歴事項全部証明書が必要になります。
3、法人として物件の契約をする場合
法人としてオフィスや事務所の賃貸契約を結ぶ場合には履歴事項全部証明書を求められることがほとんどです。契約前に必ず必用書類について整理しておきましょう。
4、許認可の申請をする場合
仕事の中には行政への手続きをしないとできない仕事があります。行政へ許認可の申請をする時に、履歴事項全部証明書を求められることがあるので、注意してください。
5、その他取引先などへ提出する場合
その他に会社ごとで取引先から履歴事項全部証明書の提出を求められているなどケースバイケースの事態があると思うので、それに合わせて必用な枚数を法務局で取得するようにしましょう。
登記完了が終われば会社設立手続きについてはひと段落したと思って大丈夫です。次に会社運営のための準備に入るわけですが、今なら様々なツールを活用することで劇的に生産性をあげることができます。
たとえば会計ソフトfreeeなら簿記を知らなくても経理や会計書類が作れるようになります。わざわざ何十万円と専門家にお願いしなくても良くなるわけですね。
同じようにペライチも無料で初心者でもホームページが作れるという優れもののです。起業は初期投資をなるべく安く抑えるのがセオリーですから、こうした便利なツールの有効活用は最初に検討しておくと良いでしょう。
◆「会社設立日と登記完了日の違い」まとめ
自分で会社設立をしていると本当に似たような言葉がたくさん出てきて困ります。
ポイントは会社設立とほとんど同じ意味の言葉は、登記申請日や法人登記日や法人設立日といった感じです。会社がこの世に産み落とされた日で、登記簿謄本の中には法人成立の日として表記されています。
そして会社設立日から約1週間後に登記完了日があるわけですが、登記の申請が終わって法務局で準備が完了して登記簿謄本等を取得できるようになる日のことです。これだけ抑えておけば無駄に混乱せずに自分で会社設立に臨めると思います。
・会社設立日と登記申請日は両方とも会社ができた日という同じ意味で使われる。
・会社設立日と登記完了日は、会社設立してから約1週間後のことを登記完了日と言う。
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