相続税対策のために会社設立する・・・よくある設立理由の一つです。
でもなんで会社を作ることが相続税対策になるのでしょうか?
相続税を抑えるために会社設立するときの注意点を整理します。
会社を作れば相続税が安くなるってこと?
普通に相続税を計算するよりも、会社を利用して計算した方が税金が安くなるかもしれないっちゅーことじゃな。
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◆法人設立が相続税対策になる理由
相続税対策のための会社設立のポイントをより深く理解するために、相続税・会社設立の基本事項をまおめておきます。
(1)相続税とは?
相続税とはよく耳にする言葉ですけど、なんで財産を相続するだけで税金が課せられるのか考えてもみませんでした。
そうだよ!頑張って財を成したのに、税金で持っていかれるなんてあんまりだよ!
1、相続税は相続する財産にかかる税金
現金、不動産、株など価値があるものをたくさん持っていても、それらは天国へは持っていくことができません。
それら財産は家族などに引き継がれていくわけです。相続する財産の金額が大きくなる時に、国がそれに税金を課しているので、それを相続税として納めないといけないのです。
財産を渡す側を被相続人と呼び、財産を受け取る側を相続人と呼んだりするんじゃ。
2、なぜ相続税が存在するの?
それにしても、せっかく親なり家族が残してくれた財産に税金を課すのでしょうか。
当事者からしたらたまったもんじゃないよ!
理由としては、富や財産が一カ所に集中することを防ぐためです。
- 何もせずに手に入る財産の偏りをなくす。
- 家柄による富の集中を防ぐ。
汗水たらして働いて稼いだお金ならまだしも、家族が亡くなったことによって、たまたま受け取った財産。何もせずに受け取るお金に偏りが出ることを相続税によってバランスを取りたいのです。
また親がすごい資産家で、その資産が代々子どもたちに引き継がれていってしまうと、その家系はずーっとお金持ちのままで、貧乏な家系はずーっと貧乏なままです。
こうした富の集中を防ぐためにも、相続税によって富の再分配を意図しているとも言えるのです。
(2)法人(会社)とは?
相続税の対策になんで会社設立?
なんて思うかもしれません。節税になる背景を理解するために法人の特徴を整理します。
1、ある組織を人とみなすことを法人と言います。
会社のことを法人と言ったりします。
この法人というは、法律で人みなされている組織のことです。
例えば個人なら、私が家を借りたいと思った時に、不動産会社と私との間で契約を結んびます。私と不動産会社とで法律関係ができ、責任が生まれる。
複数の人たちで事業をすることがありますよね。組織で家を借りようと思っても誰と契約を結んでいいのかわかりません。
適当に誰かと契約しても、その個人に責任が重くのしかかってもおかしな話です。
そこで、組織を法律で人=法人とみなすことによって、不動産会社は組織(法人)と契約を結べるようになります。組織が法人として認識されることで事業活動をしやすくする目的があるんですね。
2、法人には事業が続く限り寿命はない
人間には寿命というものがあり、年齢を重ねるに連れ、体の自由がきかなくなり、やがて死を迎えます。
法人の場合には事業が続く限り寿命というものが無いので、半永久的に続くことになるのです。
たとえば、日本で一番長く続く会社は株式会社金剛組と言われており、578創業の神社仏閣を設計や施工をしている会社です。578年創業ということは、もう1500年近くも存続しているわけですね。
(3)会社設立をすることが相続税対策になる理由
正確にいうと、会社設立したからといって相続税対策になるわけではありません。
会社をつくって、事業を運営し、本来個人で持つような財産が法人が持つ(法人名義になる)ことによって相続税対策になるわけです。
1、法人は存在しつづけるので相続税は関係ない
個人が無くなれば、財産は相続税の対象となります。
たとえば不動産や車など個人の財産が、法人の持ち物だった場合には、会社が持ち続けるので相続税は関係なくなるのです。
2、役員報酬や退職金として家族にお金を振り分ける
生前にお金を受け渡してしまうと、贈与税がかかってしまう・・・。
家族を会社の役員に対して役員報酬として渡せば、所得税がかかるものの、本来相続される財産が事前に分配されていくので会社設立による相続税対策となるわけです。
退職金も経費となり、さらに普通のお給料や役員報酬と比べても所得税が優遇されているので、そのような制度を使っておくのも一つの方法ですね。
3、法に財産を残して後継者が利用できるようにしておく
法人は会社の売上から経費を差し引いて残った利益に法人税がかかり、残ったお金は会社のお金として新しい事業などに投資されたり、もしもの時のためのお金としていつでも使うことができます。
会社にお金を残すようにしておけば、将来会社を引き継ぐ家族がその会社の器を使って好きな事業をしたりするなんてこともできるわけです。
◆相続税対策で会社設立をする時の注意点とデメリット
税金のルールは毎年変わり、専門家でさえ追いきれないこともあるので、素人判断で相続税対策をほいほい進めるのは危険です。
まずは相続税対策に強い税理士を探して、相談しながら準備することを強くおすすめします。
一般的に相続税対策で注意が必要なことを整理しておきます。
(1)相続税対策で会社設立をするときの注意点
1、資本金は1000万円未満にする
会社設立時の資本金はいくらでも大丈夫です。資本金を1000万円未満にしておけば、最初の二年間(一期目と二期目)は消費税をお客様から頂いても、国に納めなくても良いとされています。
これを活用した方が無駄な税金を支払わずに済みます。
2、株主は相続人だけにしましょう。
株主はその会社の持ち主のことを言います。この株主の中に被相続人、つまり財産を持っている側の人が入ってしまうと、その方の持っている分の株式が相続の対象になってしまいますから節税の効果が減ってしまうわけですね。
3、相続人を役員にすることをお忘れなく!
会社設立をしたら、相続人を役員にすることで相続する財産を事前に役員報酬として分配することが出来ます。
相続の対象となる相続人を役員にするのを忘れないようにしましょう。
(2)会社設立をして相続税対策するデメリット
相続対策が目的ではありますが、すぐに株式会社設立をするのではなく、しっかりとデメリットやリスクを考えた上で準備をしていきましょう。
1、会社設立には設立費用がかかります
当たり前のことですが株式会社設立にはお金がかかります。
法務局に払う登録免許税と公証役場に払う認証手数料でだいたい20万円から25万円ぐらいでしょうか。
これに司法書士の先生に株式会社設立の代行をお願いすると、設立費用と合わせてもだいたい30万円前後ぐらいは必要になってきます。
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2、経理作業や決算の申告は専門家に依頼する
会社設立をすると、個人事業主のときと比べて経理や会計の処理が複雑になります。
こうしたことに詳しい人であれば問題ありませんが、苦手な人は税理士事務所や会計士事務所にお願いすることになるでしょう。
専門家の顧問料の相場は30万円から80万円ぐらいです。
3、会社設立後に売上がなくても法人住民税を払わなければなりません
会社を設立すると、売上がなくても、赤字だったとしても必ず支払わなければならない税金として法人住民税というものがあります。
これは最低でも7万円ですので、そうしたお金がかかることに注意しておかないといけません。
4、会社をやめる(清算する)のにもお金がかかります
相続対策をすることが目的ではありますが、会社設立をしたとしても何が起こるか誰にも未来は予測できません。
もし、事業が上手くいかなくなって、会社をたたむことになったら会社を清算するのにもお金が必要になります。税理士に支払ったり、弁護士に支払ったりと、トータルで考えると株式会社設立をした時よりも清算の方がお金がかかるかもしれません。
5、役員同士、株主同士でトラブルになってしまうかもしれません。
これは稀なケースかもしれませんが、株主の出資比率が会社に与える影響力の大きさになります。
また、その株の数が自分が受け取れる財産に紐付いているわけなので、相続人同士で、その会社をどうするのか意見が割れたりする可能性もゼロではないかもしれません。
お金に関わることなので、普段はいい人でも・・・なんてことが無いように気をつけておきましょう。
◆「会社設立して相続税対策」のまとめ
相続税対策は、専門家と一緒に長い期間準備をしながら進めるべきものです。
裏ワザ的なものに飛びかかって結局損をしたり、手間やコストをかけたのに意味がなかったなんてこともよく聞きます。
専門家である税理士の中にも得意・不得意があるようで、相続税対策の実績が十分で信頼ができる人を選ぶようにしましょう。
相続税に関するルールはよく変わるので専門家の意見を聞きながら慎重に進めていきましょう。
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