世の中には星の数ほど仕事の種類がありますが、中には「許認可」というものを受けないとできない仕事が存在します。
もし、あなたのやろうとしている仕事が許認可を必要とするものだったら、会社設立時点で気をつけないといけないポイントがいくつかあります。
許認可の種類によっては、資本金の金額や事業目的の内容について条件が付いていたりするのです。このルールを無視して会社設立を進めてしまうと、あとで登記の変更をしなければいけません。
ムダな手間とお金をかけないように、会社設立のタイミングで許認可についても最低限の知識は備えておいた方がよさそうです。そこで今回は会社設立時に注意するべき許認可のルールについてまとめておきたいと思います。
・会社設立時に気を付ける許認可に関する基本事項
◆会社設立時に注意しておくべき許認可の基本情報
(1)会社設立時に必要な許認可ってどんな意味があるの?
許認可とは特定の仕事をするために、行政機関に対して手続きをすることを言います。
例えば、リサイクルショップを開業ようとしたとします。リサイクルショップは「中古品を買い取って売る」というビジネスモデルです。中古品を買いとって売るためには『古物商』という許認申請を警察署にしないといけません。
盗品などがリサイクルショップなどに持ち込まれる危険性を考えると、警察が管轄となって古物商という許可制にしておけば犯罪の温床となることを防げるわけですね。
他にも、家やビルなど建物を作る事業を始めようとした時に工事の規模にもよりますが、市区町村へ建築業の許認可が必要になったりするのです。建物については手抜き工事や何か欠陥があれば人の命に関わることですよね。そうした直接的に国民の権利に関わることについて許認可にして国として関われる余地を残しているんです。
このように、一部の仕事内容については、国や地方自治体が私たち国民を守る意図もあって、行政機関への手続きをしなければいけない事業を指定しています。そのため会社設立の際は、株式会社でも合同会社でも許認可は必要なのかどうかについて意識するようにしてください。
(2)許認可の内訳を詳しく見ていきましょう。
ひとくちに許認可と言っても、詳しく見ていくとさらに細分化されます。具体的には「届出」「登録」「認可」「許可」「免許」となっています。会社設立には直接的に影響するわけではないですが、それぞれどんな違いがあるのかぐらいは知っておくと良いと思います。
1、会社設立時に知っておくと良い「届出」の基礎知識
「届出」とは、行政機関に届け出ることで対象の事業をスタートすることが出来ます。ある仕事内容をするには、管轄する行政機関(区役所とか、警察署とか国は運営している機関を指します)に対して届出をするというものです。行政機関に届出を出せばOKです。不備があれば再提出になりますが、要件さえ満たしていれば問題なくスタート出来るというのが届出になります。1
2、会社設立時に知っておくと良い「登録」の基礎知識
「登録」とは行政機関へ手続きをして一定の要件を満たせば認められるものです。定められた名簿に登録されることで事業を行うことが出来るので「登録」と言います。届出に似ているのですが、場合によって登録を取り消されることもあり得るので「届出」と次に紹介する「許可」の中間のイメージを持っておくとわかりやすいと思います。
3、会社設立時に知っておくと良い「許可」の基礎知識
「許可」とは禁止されていることに対してできるようにしてもらうことです。基本的に国が禁止している業務を厳しい基準をクリアして許可をもらえばできるようになるわけですね。身近な例でいけばお酒の販売なんかは誰もができるわけではなくて基本的に禁止されています。それを行政機関(お酒の場合は税務署)が許可を出して販売できる状態にするわけですね。
4、会社設立時に知っておくと良い「認可」の基礎知識
「認可」とは例えば保育園は認可をもらわなくても運営はできますが、認可をもらっておけば補助金を受けることができます。禁止されていることをできるようにするのが「許可」だとしたら、「認可」はそもそも別に禁止されていることではないわけです。例えば保育園は法律で補助金を受け取れるルールが決まっていますが、認可を受けることで法律の効力が発生すると思えば大丈夫です。認可を受ければ補助金をもらえるってわけですね。認可を受けなければ補助金はもらえないけど、保育園の運営自体ができないってことではないんですね。
◆許認可でこれだけは抑えておきたい会社設立の注意点
(1)許認可を受ける際に会社設立で注意したいポイント
会社設立時には、どんな社名で誰が役員になって場所はどこにするのなど「会社の要件」を決めないと手続きができません。細かい要件については「これだけで大丈夫!株式会社設立時に決めておくべき要件のすべて」の記事をご覧ください。
許認可という切り口で会社設立時に注意してみておきたいポイントは「事業目的」と「資本金」と「登記先住所」の三つです。
1、許認可のために会社設立時に注意すべき事業目的
許認可を取るために事業目的はとても大切です。事業目的とは会社の仕事内容を羅列した項目です。許認可のためにその書き方や、必ず入れないといけない文言などが指定されている場合があります。実際にどんな書き方なのかについては、管轄の行政機関に確認した方が安全です。
会社設立後に許認可の取れない事業目的だったりすると、改めて変更登記の手続きをすることになります。時間もかかるし、変更登記代も必要なのでこの事業目的については必ず確認するようにしてくださいね。
2、許認可のために会社設立時に注意すべき資本金の額
許認可によっては資本金にも条件があります。例えば労働者派遣業は資産が2000万円以上ないと取得できません。その場合、会社設立時には資本金として2000万円あった方が良いと言われることも多いです。実際に資金としていくら準備があれば良いのか、それともいくら資本金として準備しないといけないのか確認するようにしましょう。
3、許認可のために会社設立時に注意すべき登記住所
会社設立の登記住所は自宅だったりバーチャルオフィスやレンタルオフィスを設定する起業家もいます。ただし、業種によっては許認可を受けるために事務所として利用できる物件を準備しないといけないなどの要件があったりします。
事務所の広さや、設備として何を準備しないといけないのか等確認しながら進めると良いでしょう。
(2)会社設立後に許認可が必要な事業について
会社設立後に自分の行う仕事内容に許認可が必要かどうかは調べておく必要があります。行政手続きについては行政書士の先生が専門家なので必要であれば相談するようにしましょう。自分で許認可について調べたい人はこちらのサイトにまとめられていますので、活用してみてください。
◆「会社設立時に注意する許認可」のまとめ
会社設立するときはいきなり設立するのではなく、自分の事業が行政からの許認可が必要かどうかは必ず確認するようにしましょう。
特に会社設立の要件の中でも「事業目的」「資本金」「登記住所」については許認可の中でも条件を満たしていないとダメなケースが多いので注意して設定するようにしましょう。
1、許認可とは特定の仕事を行う上で行政に対して行う手続きでこれをしないと仕事を行うことができない。
2、許認可を詳しくみると「届出」「登録」「許可」「認可」がある
3、会社設立時に許認可が必要な業種については管轄の行政機関に確認しながら進める
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