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会社設立の資本金の払込み方法!通帳振込のタイミングは?すぐ引き出して大丈夫?ネットバンクはOK?

この記事のまとめ

会社設立時の資本金。まだ法人口座が無いので、個人の口座にお金を準備します。

カンタンそうに見えて間違いの多い作業が、この資本金の払込み。スムーズに会社設立ができるように、わかりやすく手順を紹介します。

「資本金を振り込むタイミングはいつ?」
「誰の通帳に振込むの?」
「ネットバンク使って大丈夫?」
「振り込んだ資本金はすぐに使って良いの?」

このような資本金の払込みに関する疑問をクリアにします。

おおもりくん

資本金を通帳に振り込むだけでしょ?

しゃもじい

色んなパターンがあるから間違いが多いんじゃ。

会社設立するときの資本金の払込みは、この記事を読んでおけば大丈夫!ってぐらい詳しく紹介します。

目次

1.資本金の払込み方法を理解するための会社設立の登場人物

資本金の払込み方法を理解するために、登場人物を整理してきます。株式会社と合同会社で、登場人物が違うので混乱しないようにしましょう。

(1)株式会社設立の登場人物

  • 代表取締役:代表取締役とは、株式会社を代表する人です。取締役の中から選ばれます。
  • 取締役:株式会社の経営に携わる人たちです。役員とも言います。
  • 発起人:株式会社の設立を企て、手続きをする人たちです。設立時の資本金を出します。
おおもりくん

代表取締役や取締役はよく聞くけど、発起人はあまり聞かないよね。

しゃもじい

発起人とは、会社設立の実務をする人じゃな。資本金を出すから、会社設立後は株主になるんじゃ。

株式会社は、出資した人(=株主)が出した金額分の株式を発行します。私が100万円を出資したら、100万円分の株式を持つことになるわけです。

1株が1万円の株式会社だったら、100株を持つってことですね。

(2)合同会社設立の登場人物

  • 代表社員:合同会社を代表する人です。株式会社でいうところの代表取締役です。
  • 業務執行社員:会社経営に携わる立場の人を業務執行社員と言います。出資もしなければいけません。
  • 社員:従業員という意味ではなく、資本金を出した人を合同会社では社員と言います。
おおもりくん

合同会社には、株式というものは存在しないんだね。

しゃもじい

合同会社は、経営する立場の人たちがお金を出し合って資本金にするんじゃ。持分を出し合うという表現を使うんじゃよ。

持分会社は個人的な信頼関係に基づいて、少数の出資者から構成されることが想定されている事業形態である。持分会社では、この出資者は社員と呼ばれ(従業員の意味ではない)、この社員の地位のことを「持分」という。信頼関係に基づく組織が想定されているため、この持分は自由に譲渡することができない。社員が持分を譲渡するには原則として他の社員全員の承諾を必要とする(585条1項)。

引用元:北海学園大学法学研究『会社法と起業活動との関係について』

合同会社は持分会社というカテゴリーに入ります。合同会社は、株式を発行することはありません。お金を出している権利みたいなものを持分と言います。

たとえば私が一人で100万円の資本金を出して合同会社をつくれば、持分が100%と表現したりします。

そして合同会社の社員(=出資者)は、基本的に会社の経営に携わることになります。

2.会社設立時の資本金の通帳への払込・振込の手順とタイミング

株式会社であれば発起人が資本金を出します。合同会社であれば社員(従業員ではない)が資本金を出します。

この時点では、まだ法人口座がありません。そこで個人で使っている口座に資本金を準備するわけです。

「発起人」や「社員」が個人で使っている通帳に資本金を振り込むのです。振り込まれた金額の印字されたページが証拠となるのです。

(1)資本金を集める通帳に準備する

資本金は出資者個人の口座に集めます。株式会社は発起人が通帳を準備、合同会社は社員が通帳を準備するわけです。

株式会社と合同会社で出資者は誰になる?

  • 株式会社→発起人
  • 合同会社→社員

出資者個人の通帳なら何でもOK。この作業のために新しく通帳をつくる人がいますが、このタイミングでしか個人口座は使いません。わざわざ新しく作る必要は無いと思います。

日本の金融機関の通帳なら何でもOK

資本金を集める銀行口座は、国内の金融機関ならなんでもOKです。

  • 都市銀行
  • 地方銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • ゆうちょ銀行

おおもりくん

新しく通帳つくったら、それを法人用の口座にすれば良いんじゃないの?

しゃもじい

法人口座は会社設立後に作るんじゃよ。だから資本金を証明するための個人口座は、このタイイングでしか出番がないんじゃ。

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法人口座を作る時期になったら、知っておいた方が良いここだけのお話。

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(2)通帳にそれぞれ出資する金額を振り込む

発起人や社員が複数いる場合は、それぞれ出資する金額を振り込んでいきます。たとえば発起人が3人いて全員100万円ずつ出資する場合を見ていきましょう。

3名で100万円ずつ出資するとき

発起人(社員)Aさん:100万円
発起人(社員)Bさん:100万円
発起人(社員)Cさん:100万円

→合計300万円の資本金の株式会社を作る予定。

三人合計して300万円の資本金で株式会社を設立をするということです。代表して発起人Aさんの個人口座に資本金を集めることにします。

  1. Aさんは自分の通帳に100万円を入金。
  2. BさんがAさんの通帳に資本金100万円を振込む。
  3. CさんがAさんの通帳に資本金100万円を振込む。

こんな流れで作業をすれば完璧です。

通帳に印字されるイメージ

こんな風に通帳へ印字されたら問題ありません。

(Aさんの通帳)
4/1:Aさん※預入 1,000,000円
4/1:Bさん 振込 1,000,000円
4/1:Cさん 振込 1,000,000円

※預入だとAさんの名前は印字されません。

(3)資本金を振込むタイミングはいつ?

よく間違えるのが資本金を振込むタイミングです。間違えてしまうと、法務局から振込みをやり直すように言われるので気をつけましょう。

資本金を振込むタイミングは、定款設立後か定款認証後のどちらかです。

(おさらい)株式会社設立の流れ

念のため、定款作成日や定款認証日が、どのタイミングを指すのか整理しておきます。

  1. 株式会社設立(定款)の書類作成・押印←①ここ?
  2. 公証役場で定款の認証を受ける←②ここ?
  3. 法務局へ設立書類を提出して登記申請

定款作成日は、書類を作って押印した日。

その後に公証役場で定款認証をする流れだと理解してください。

1、会社設立時の資本金を払込むタイミング定款認証後?

資本金は定款認証をした後のタイミングで振込む。

基本スタンスは、②で示した定款認証をしたあとです。

第30条

1.第26条1項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。

引用元:WIKIBOOKS『会社法第30条』

公証役場で認証を受けて定款が意味を持ちます。定款で決められている発起人がいくら資本金を払って、どれぐらい株を受け取るのかはこの時点で正式決定となるわけです。

ちゃんと全部決まってから、資本金を払込む作業してくれたら個人通帳のお金の動きは資本金だとみなすというスタンスなんですね。

おおもりくん

あれ?でも友達は会社作るとき、定款作成したあとに資本金振込んでいたなぁ。これって定款認証前だからルール違反じゃないの?

しゃもじい

まぁ定款作成後の資本金払込みでも大丈夫な地域はあるんじゃな。詳しくは次の項目で見ていこう。

2、資本金を払込むタイミングは定款作成後でも大丈夫?

定款作成日以降の資本金払込みでも大丈夫なことが多い。

これは会社法32条の中にヒントがあります。

第32条

1.発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めのある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

一、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二、前号の設立時発行可能株式と引換えに払い込む金銭の額
三、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項

引用元:WIKIBOOKS『会社法第32条』

発起人が手にする株は、発起人全員の同意で正式に認められるというものです。定款作って押印すれば発起人全員同意しているという考え方です。

本来は定款認証後にして欲しい。でも実務としては、発起人が手にする株決まると同時に払込む条件は整ったとします。だから資本金払込んで大丈夫でしょ?となるわけです。

このことからも、多くの法務局では定款作成日以降の資本金の払込みで大丈夫と言われる可能性の方が高いと思います。

おおもりくん

地域だけじゃなくて、対応する人によっても判断が違うのかな?

しゃもじい

個人的な感想じゃが、年配の人や、頑固な人は定款認証日以降にしなさい!と言われることが多い印象じゃ。

ここまで調べていくと、資本金を払込むタイミングは定款作成後で良さそうですが、地域によっては定款認証後と言われることがあるのも事実です。

そこで最終的には、管轄の法務局に確認してから進めましょう!ということになっちゃいます。

管轄の法務局に電話で確認しよう!

安全に会社設立を進めるためには、これしかありません。

(4)払込証明書(払い込みがあったことを証する書面)を作る

銀行口座への資本金の振込みが終われば、あとは払込証明書(払い込みがあったことを証する書面)を作成し押印するだけです。

手順は以下の流れです。

払込証明書の作成手順

  1. 通帳の該当箇所をコピーする。
  2. 払込証明書の文面作成
  3. 通帳と払込証明書をホッチキスで綴じて押印

1、株式会社の払込証明書の雛形はどこにあるの?

※会社設立書類の雛形はコチラからダウンロードできます。

株式会社の雛形をダウンロードしてみてください。一度にすべての書類がダウンロードされてしまうので、該当書類を参照しましょう。

たとえば取締役会を設置しない株式会社をつくる時は、こちらが記載例になります。終盤に「証明書」という書類があると思います。

この書類の空欄を埋めていきます。100万円の資本金で1株1万円なら、設立時は100株発行する会社になるってことです。

すでにコピーを取っておいた通帳の3枚を一緒にホチキスで綴じて、表紙の印鑑と全ページに割印を押せば完成です。(捨印も忘れずに。)

2、合同会社の払込証明書はどこにあるの?

※会社設立書類の雛形はコチラからダウンロードできます。

合同会社も基本的に考え方は同じです。持分会社というカテゴリーの中にある合同会社の雛形を使います。

証明書と書いている書類を編集して、合同会社の払込証明書を作成します。

株式会社と同じように、すでにコピーした3枚の個人通帳を一緒に綴じて、押印すればOKです。

今は便利なサービスもあって、ネット上で情報を入力するだけでカンタンに会社設立書類を作ってくれるツールがあります。マネーフォワードの書類作成サービスは無料で使えて、もちろん払込証明書も作成できちゃう優れものです。

3.資本金をネット銀行・ネットバンクで払込む時の注意点

最近はエコ通帳みたいな感じで、紙の通帳を発行せずにウェブの通帳を利用させる銀行もあります。私も今は紙の通帳を使っていません。

また、ネットバンクやネット銀行だと紙の通帳ではなく、ウェブ上で通帳の管理をすることになります。

(1)ネットバンクやネット銀行に資本金を払込む際の注意点

ネット銀行やネットバンクなどで資本金の払込みをする時の流れは紙の通帳と同じです。定款作成日か定款認証日以降に資本金を振込みます。

ネット銀行やネットバンクでは、紙の通帳で出てくる同じ情報を印刷します。

資本金の払込み情報を印刷するときに反映して欲しい情報

1、金融機関名
2、支店名
3、口座名義人
4、口座番号
5、資本金の振込みをした日付と金額がわかる箇所

上記の1〜5の該当箇所をインターネット上から印刷をして、資本金の払込証明書と一緒に閉じて該当箇所に押印をすればいいわけです。

1〜5の項目が一つのページに入っていれば、そのページだけ印刷して大丈夫です。複数のページになってお大丈夫です。

たとえば1〜5の情報は別ページに載っているので2枚印刷したとしたら、払込み証明書と合わせて3枚をホッチキスで綴じて表紙へ押印と全ページ割印をしてくれたらOKです。。

(2)スマホでのネット銀行やネットバンクの払込みはどうする?

パソコンは使わずスマホでネットバンクやネット銀行を使っている人が時々います。こちらも基本的な資本金払込みの作業はどれも同じ。

印刷するページは、該当箇所をスクショしておきましょう。その画像を印刷しておきます。

払込証明書と一緒に綴じないといけないので、印刷する紙の大きさはA4サイズに統一しておいた方が綺麗です。

4.会社設立時の資本金の払込みに関するQ&A

最後に資本金の払込みに関するQ&Aすべてに答えていきます。

1、発起人や社員が一人のときは振込みじゃなくて、入金(預入れ)でも大丈夫?

→発起人や社員が自分一人だけなら個人の通帳にわざわざ振込まなくても、入金(預入れ)という作業で大丈夫です。

もちろん振込みをして自分の名前が振込名義人として印字されるようにしても問題ありません。でも振込手数料が発生してしまうのがもったいないですよね。

2、大きな金額を払込む(振込む)ときは複数に分けて振り込んで良いですか?

→複数回に分けて資本金を払込む(振込む)かたちでも問題ありません。

ATMなどで振込みをする場合は、振込み金額に上限があることがあります。その時は複数回に分けて振り込んで大丈夫です。

たとえば100万円の資本金を振込みたい時に、40万、40万、20万と分けてもOK。日付も同日の方がわかりやすいですが、ズレていても構いません。

3、出資金額以上のお金を振り込んで大丈夫ですか?

→出資するお金以上の額を振り込んでも大丈夫です。

資本金の振込みは、出資する金額と同額でないとダメと思い込んでいる人も多いのですが、多めに振り込んでいても問題ありません。

例えば資本金50万円を出資する予定の人が、100万円を振り込んで、その内の50万円分を資本金に充てるということで大丈夫なのです。

もちろん出資金額と振込金額が同額の方がわかりやすいですが、通帳の印字面は100万円の振込みで、書類上は資本金50万円で整えれば大丈夫です。

4、発起人の通帳には残額が出資する金額以上に残っていれば大丈夫ですか?

→改めて通帳に資本金を振込む必要があります。

資本金の証明には、個人の通帳を使います。そのお金が資本金に充てるお金を証明するためには、通帳の残金ではなく定款作成したあとの振込みされたお金が資本金の証明になるという考えです。

必ず発起人の個人通帳に出資金額を発起人の名前で振込むか、入金をして「日付・金額」が印字されるようにして下さい。

5、会社設立時の資本金にはどんな意味がありますか?

→資本金は会社を立ち上げた時に事業の元手になるお金です。

家賃とか人件費とか仕入れとか、通常は会社が売上を立てる前に資金が出て行きます。この資金をまかなうのが資本金であり、それでも足りない金額は融資を受けたりするわけです。

6、会社設立時の資本金は払込み後スグに使って大丈夫?

→資本金の払込み作業が終われば使って大丈夫です。

基本的に法務局は資本金の払込み・振込みされた日付と金額しか確認できません。払込み日以降にお金が使われたり、引き出されていたりしても問題はありません。

つまり資本金の振込み・払込みの作業を行なって通帳に印字されている状態を作ったら、その後すぐに資本金を引き出してしまって大丈夫なのです。

7、資本金を払込むための個人通帳は新しく作った方がいいですか?

→わざわざ新しい口座を作らなくても大丈夫です。

新しく通帳を作ってもいいですが、通帳はこのタイミングのみでしか使いません。わざわざ新しく作る必要はないと思います。

8、人から借りたお金を資本金にして大丈夫?

→人から借りたお金は資本金にできません。もちろん金融機関から融資を受けたお金も資本金はNGです。

借りたお金を資本金にして、会社をつくったとします。設立後に借りたお金を返してしまえば、本来あるべきの資本金がなくなってしまいますよね。

辻褄を合わせるために、社長がお金を借りているみたいな処理をしたりするのでおかしな話になってしまいます。

9、複数に分けて資本金を振込み、その間に違う処理の印字がされても大丈夫ですか?

→通帳に資本金の払込みをする際、分けて振り込んでも大丈夫ですし、その間に他の印字が挟み込まれても特に問題ありません。

ただ、複数に分けて払込がされて、かつ他の振込や入金の印字とゴチャゴチャになりがちなのであれば、法務局に書類を提出するときには、蛍光ペンなどでしるしを付けておくと良いです。

10、発起人でない人の通帳に資本金を払込んでも大丈夫ですか?

→発起人でない人の通帳に資本金を払込むときは委任状の作成が必要

発起人でない人の通帳に資本金を払込む時には、委任状を作成する必要があります。手間が増えてしまうので、あまりオススメはできませんが実際に委任状を作成してそのような処理をしたい場合には法務局へ事前に確認した方が良いでしょう。

たとえば海外に住んでいて、日本の銀行口座を持っていない人は資本金の払込みができません。そんな時は委任状を使って別の人に資本金を払込んだりします。

5.「会社設立時の資本金の払込み・振込み」まとめ

資本金の払込みは、発起人や社員の通帳に振込むだけの作業に見えがちですが、意外と複雑な作業です。

特に定款作成日より前に、資本金の振込みをしてしまって失敗している人がいたりします。人生に一度あるかないかの会社設立ですので、今回の記事を参考にスムーズに手続きを進めてもらえたらと思います。

もし自分で会社設立の手続きに挑戦するなら、ウェブ上で簡単にできる会社設立freeeというサービスがあります。

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