いきなりですが、競業避止義務って聞いた事ありますか?
まぁ、遠からずってところですね(笑)。合同会社を設立して代表社員になると、この競業避止義務ってやつがついてきます。この競業避止義務を知らないで合同会社の社長をやっている人が多いんですが、自分の身を守るためにも最低限の知識は身に付けておいた方が良いと思います。
そこで、今回は合同会社設立をした代表社員が知っておくべき競業避止義務の秘密についてまとめてみます。
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◆競業避止義務の基本情報を整理
合同会社を設立した後に代表社員が「競業避止義務」というものを負う事について詳しく見ていく前に、そもそも競業避止義務とはなんぞや、という点から考えていきましょう!
競業避止義務とは・・・
文字だけ見れば凄く難しい言葉の「競業避止義務」誤解を恐れず簡単に言ってしまえば「会社の経営に携わる人は勝手に事業立ち上げたり、競合他社に行かないでね」という事です。これが会社法の中で決められているわけなんです。
・なんで競業避止義務が取り決められているのでしょうか
会社の経営者は大切な顧客情報や大切なノウハウに触れる事になりますよね。そうした顧客情報やノウハウがあれば、容易に自分で起業できてしまいそうだと思いませんか?創業者がやっとの思いで立ち上げた会社の顧客やノウハウを一緒に頑張ろうとしていた役員の人に持って行かれたらフェアじゃないですよね。それなので、会社法ではそういう事を禁止しているって事なんです。
・ちゃんとした段取りを踏めば大丈夫
まぁ全部が全部、会社の中枢にいる人がやってはダメという事では無いんですよね。競業避止義務と仰々しい名前がつけられていますが、株式会社であれば取締役会もくは株主総会で承認をもらえば大丈夫ですし、合同会社も同じような感じで経営層からオーケーをもらえれば大丈夫なんです。
・競業避止義務は何をしてはダメなの?
それでは競業避止義務って何を禁止しているかというと法律では「会社の事業の部類に属する取引」はやってはダメだよとしています。「会社の事業の部類に属するような取引」の発生するような会社作っちゃダメだし、転職もしちゃダメだよって事です。簡単に言えば同じような仕事って事なです。
◆合同会社の場合は代表社員の競業避止義務は何を注意すべきか
合同会社の代表社員も、ちゃんと競業避止義務がありますよ、と定められています。合同会社を設立した人がこれを知らないと痛い目を見るかもしれないですよね。
合同会社の代表社員と業務執行社員について
合同会社の特徴はお金を出資する人は基本的に会社を経営する立場になります。それを社員と言うのですが、社員の中でも経営に携わる立場の人を業務執行社員と表現します。
・業務執行社員とは経営に参画する人のこと
つまり、ここで経営に携わる立場の人は業務執行社員なわけで、株式会社でいう所の取締役と同じ意味です。ちなみに、わざわざ業務執行社員と呼ばずに社員と言ったりもするので、日常会話で合同会社の社員と使う時には従業員という意味では無いという事と、業務執行権を持つ社員なのかどうかは明確にしておくとスムーズですよね。
・代表社員は業務執行社員の中から選ばれます
業務執行権を持つ社員が一人しかいなければ、そのまま代表社員になります。複数の業務執行社員がいれば代表社員を一人選んだり、複数で代表社員をやったりしますね。ですので、当たり前の話ですが代表社員は絶対に業務執行権を持つわけです。
・競業避止義務は業務執行権を持つ社員が担う
ですので、合同会社で競業避止義務の対象になるのは誰ですか?という意味では、業務執行権を持つ代表社員と業務執行社員です、という事なわけです。
合同会社の競業避止義務で気をつけるべきポイント
それでは、合同会社の競業避止義務について、何に気をつけなければいけないのかを具体的に見ていきましょう。
・どんな事が競業避止義務の違反になるの?
具体的にどんな事をすると競業避止義務違反になるんでしょう。上の例の通り私が代表者である合同会社について小顔エステをやっていたとします。業務執行社員のAさんが近くで同じ小顔エステやる会社を作ったらダメですよね。場所が競合しなければ良いのですが、Aさんが違う場所で営業しているとして私がその場所で営業する準備をしていれば競合するって事になってしまいます。
・代表社員や業務執行社員が競業となる取引をしてしまったら?
もし代表社員や業務執行社員が競業避止義務を違反していたらどうなるのでしょうか。例えば私が代表社員の合同会社に対して、もう一人業務執行社員のAさんがいたとして、私の会社のノウハウを使って新しい合同会社を作ってしまったとします。ましてや、お客さんまで引っ張っている。そんな時には私の合同会社からAさんに対して損害賠償請求をする形になります。また、違法行為差止請求や業務執行社員の退任を求める事になります。
◆同じような仕事で独立する場合の競業避止義務を踏まえた注意点
小規模で起業して早くに事業が軌道に乗る人って実は、過去にやっていた仕事を継続して行っているパターンもかなり多いんです。従業員として働いていた人が競業避止義務の違反となるなんて事は起こりうるのでしょうか?
従業員にも競業避止義務が適用される場合がある
競業避止義務は何も経営者とりわけ取締役や代表社員(業務執行社員)だけのものではありません。従業員である人でも対象となる可能性は十分あるんですよね。ただ、乱用してしまうと職業選択の自由と矛盾してしまうので注意しないといけません。
・従業員にも競業避止義務はある
従業員の競業避止義務違反は特に法律で定められているわけではないんですが、その会社に所属している間は雇う側と雇われる側の関係上、普通に考えて競業避止義務は発生するよねって事になっています。
・退職した従業員にも競業避止義務はあるの?
退職した従業員にも次の就職先を制限したり、会社を立ち上げたいという気持ちを達成させないとすると、少しかわいそうな気もしますが、退職後の競業避止義務は一般的に職業選択の自由と相反するので適用しないとされています。ただ、会社側も自分たちのノウハウや顧客が持って行かれる事を防ぐためにも、いくらか制限はしておきたい・・・
そこで弁護士の伊藤先生がお話してくれている内容がポイントになってくるんです。
競業避止義務違反にならないためにも独立する人には何が出来る?
合同会社の代表社員や業務執行社員が独立したりする時には、これまでに紹介したような競業避止義務に違反しないように注意しておく必要がありそうですね。ポイントだけ整理しておきましょう。
・人間関係を作っておく
たとえば通販の仕事に携わっていた方が、その仕事ぶりを取引先や雇われている会社から認められて、いくつかの仕入先や取引先とそのまま関係性を継続できたり、特定のお客様だけは自分でないと対応できないからこそ、その案件だけは外注扱いということで勤めていた会社から仕事をもらうなんてこともできるわけですよね。そういった支援を受けれるような働きぶりを普段からしておくこと、惜しまれて辞めていくこと、関わる人たちに貢献すること、当たり前の事を普段から続けていけば自然と応援してくれる人は増えていくわけですよね。
独立前にはこういう本も役に立つかもしれません「マル秘人脈活用術」
・ちゃんとした手続きを踏んでおく
競業取引をするにしても、ちゃんとした手続きを踏んで承認をもらっておけば大丈夫です。株式会社の場合は、取締役会があればそちらから承認をもらい、ない場合は株主総会で承認をもらう手続きです。ちゃんと議事録を作っておきましょうね。合同会社で承認を得る手続きも定款で定められているので、それに従う形で手続きは進めていきます。社員(業務執行社員)の全員の同意とか、過半数の同意とか定められていると思います。
◆合同会社設立をした代表社員が知っておくべき競業避止義務のすべて
今回は合同会社の代表社員が知っておきたい競業避止義務について整理させてもらいました。たぶん多くの合同会社を設立したばかりの人たちは知ら無いんじゃないかなと思います。特に代表社員や業務執行社員には知っておいて欲しい事ばかりですね。
こちらの本は島耕作シリーズで有名な弘兼さんがビジネス法務について平易な文章で教えてくれる本で会社経営者にはオススメの本です。
とはいえ、従業員にも競業避止義務は発生するわけで、従業員から経営者として独立される方も同じような事をする場合には、どうせだったら応援されるような辞め方が理想的ですよね。会社の人からも応援されて、取引先からも応援されるような働き方を続けていくと、その仕事自体きっと充実したものになると思います。
1、とりあえず会社をスムーズに立ち上げられそうなら、補助金を活用してみたら?
競業避止義務なんかの知識も得て、無事に会社を立ち上げられそうなら、次は補助金や助成金を活用してみたらいかがでしょうか?スタートアップの会社でも利用できそうな補助金・助成金をこちらの記事でピックアップしてみました。
2、そもそも代表取締役と代表社員の違いを知りたければ
みんなご存知の代表取締役と代表社員は両者とも会社を代表する立場の人ですが、細かく見ていくと違いをしれて面白いです。実務上、そんなに重要なことでは無いのですが、ご興味があればこちらの記事をご覧ください。
3、会社設立後に知っておくべき税金対策のすべて
利益が出ていないから自分のところは税金対策はまだする必要ない・・・本当にそうでしょうか。早い段階から知っておくべき税金対策のノウハウがありますし、全部税理士に丸投げというだけでなく、こちら側もお金を残すための武器をもっておくのは大切です。そうそうした情報をこちらの記事で整理しています。
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