会社設立時には、会社の名前を必ず決めます。この会社名のことを専門的な言葉では商号と言います。
商号は会社の看板ですから、自分の子どもに名前を付けるような気持ちで大切に決めてくださいね。
この商号は基本的に自由に決めて大丈夫ですが、最低限守らなければならないルールもあります。
私が起業家の相談に乗る中で、会社名を決めるのに役立った考え方やノウハウを共有します。これから会社設立予定の方は参考にしてみて下さい。
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▼会社設立時の会社名/商号を決めるときに守るべきルール
▼会社名で悩んだときの会社名/商号を決めるアイデアやヒント
◆会社設立時の会社名/商号を決める4つの基本ルール
よーし!会社名は何でも良いんだったら、めっちゃくちゃインパクトある名前にするぞー!!
ちょい待ちなさい!会社名を決めるのにも一応ルールがあるのじゃ。これを守らないと会社設立できないぞ。
会社名/商号を決めるときの4つのルール
1、会社名/商号に使える文字の種類に制限がある。
2、会社名/商号の前後に「株式会社」や「合同会社」を必ず入れる。
3、同じ住所に同じ会社名/商号の会社をつくることはできない。
4、会社名/商号に使えない言葉や表現がある。
(1)会社名/商号で使える文字に制限があるので要注意!
会社名/商号はどんな文字でも使えるわけではありません。
今まで会社設立をのサポートをした起業家には、使えない文字を会社名にしようとするムチャな人はいませんでした。
たぶん思いつく会社名なら使えない文字が入っていることはないと思いますが、念のため注意しましょう。
▼使える文字
漢字
ひらがな
カタカナ
ローマ字(大文字・小文字)
アラビア数字(0,1,2,3,4,5….)
▼使える記号
&(アンパサンド)
‘(アポストロフィ)
,(コンマ)
-(ハイフン)
.(ピリオド)
・(中点)
ちなみに記号は会社名の一番前と一番後ろにはつけることができないんです。会社名の途中に使うのであれば問題ありません。
じゃあ、「株式会社&おおもりくん」や「株式会社おおもりくん&」はダメだけど、「株式会社おお&もりくん」は大丈夫なんだね。
「髙」とか「﨑」のような文字を見たことありますか?パソコンで打ち込んでも一発で出てこない困った漢字です。
「髙」とか「﨑」は普段使われてる「高」とか「崎」という文字に対して異体字とか俗字と呼ばれています。
これらはパソコンで表示できれば基本的に使って大丈夫です。だけど、ときどきパソコンでも特別な書体で設定しないと出てこないような超難しい漢字があります。
念のため、少しでもヤバいなぁと思ったら、事前に法務局や公証役場に利用できるかどうか確認するようにしてください。
(2)株式会社や合同会社を会社名/商号の前後に必ず入れる
会社名/商号の前後には必ず株式会社とか合同会社をつけないといけません。
一般社団法人とかNPO法人など、法人はどれも前後に会社の形態がわかるように入れておかないといけません。
会社設立する人のほとんどが、株式会社か合同会社だと思います。つけるのは前でも後ろでもどちらでも大丈夫です。
じゃあボクが「おおもりくん」という株式会社を設立する時には、「株式会社おおもりくん」か「おおもりくん株式会社」のどちらかになるわけだね!
そうじゃな、会社名の途中に置いちゃいかんぞ。「おお株式会社もりくん」はNGじゃ。
タウンページなどの電話帳が紙の冊子だった時代は、ページの頭に来るように「A」とか「あ」で始まる会社名をつけて、株式会社や合同会社は後ろに付けることが多かったらしいです。
私が前に勤めていた会社に何で後株(あとかぶ:株式会社を後ろに付ける)なのか聞いたことがあります。営業電話で話しはじめるとき株式会社●●よりも●●株式会社の方が相手の頭に残ると思って後株にしたと教えてもらいました。
意外とちゃんと考えているんだね。
海外と取引きする時に使うために「●●Inc.」とか「●●Co., Ltd.」という会社名も登記したいと聞かれることがあります。
残念ながら会社名である「●●Inc.」とか「●●Co., Ltd.」は登記簿謄本には載らない情報です。
その代わり会社の基本ルールを定めた定款に「英文表記の場合は●●Inc.とする」というような文章を付け加えることができます。
まぁ、そんなことしなくても自由に英語表記である「●●Inc.」や「●●Co., Ltd.」を使ってしまって大丈夫です。
定款や謄本に英語の会社名がないから取り引きしない!なんて話聞いたことはありません。
(3)同じ住所に同じ会社名/商号の会社を設立できない
同じ住所に同じ名前の会社を設立することはできません。
昔は同じエリアに同じ会社名/商号で登記はできませんでした。今はルールが緩くなり、同じ名前でも住所でなければ設立OKということになっています。
会社を設立する手続き上は、同じ住所でもほんの少し名前が違えば登記できてしまいます。
なぬー!それなら超有名会社の近くに似たような名前で会社作ってしまえば、勘違いしたお客さんから問い合わせがくるかもしれないね。
ナイスな作戦思いついちゃったぜ!
いやいや、いくらなんでも騙すつもりで似たような会社名を付けるのはNGじゃよ。
会社設立の手続きはできても、あとから裁判でも起こされたらもっと面倒なことになるかもしれん。そんなズルい考えで経営なんてうまくいかんぞ。
同じ名前の会社があるかどうか調べることを、類似商号の調査と言います。事前に会社名を調べるときの注意点をまとめておきます。
1、まずは正しい方法で類似商号の調査をする
類似商号の調査は、まず登記情報のチェックから始めましょう。法務局の情報にアクセスして同じ会社名が同じ住所にないか確認します。
2、インターネットでも会社名を検索
同じエリアに似たような名前の会社がないか念のため確認します。悪い噂のある会社と同じような会社名/商号だったら、目も当てられません。
3、バーチャルオフィス・レンタルオフィスは慎重に調査
一つの住所にたくさんの会社が存在するバーチャルオフィスやレンタルオフィスは特に慎重に調べた方が良いです。
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(4)会社名/商号に使えない文言には要注意
会社名/商号として使えない文言があるのでうっかり使わないように注意です。
1、組織の一部を表現する言葉はNG
たとえば「支店」とか「出張所」とか「事業部」など、組織の一部を表す言葉は混乱させるので使ってはダメです。
株式会社おおもりくん米粒支店、みたいな感じはダメなんだね。
2、公序良俗に反する言葉はNG
公序良俗に反する言葉もダメです。公序良俗ってのは判断は難しいけど世の中的に道徳観を外れるような言葉です。
たとえば「株式会社犯罪集団」「株式会社麻薬大好き」とかは完全に公序良俗違反だからダメなんです。
3、法令で使うことに制限のある言葉はNG
国や公共施設や法律で行う人が決められた仕事や誤解を与える言葉は使えません。
例えば「株式会社ごはんつぶ銀行」とか「株式会社ごはんつぶ病院」「株式会社ごはんつぶ高校」みたいな会社名はNGです。
・病院/クリニック
・学校(小学校・中学校・高等学校・大学)
・保険
・信託
・銀行
・財団
・信用保証協会
◆会社名/商号が決まらない人に贈るアイデア一覧
会社名/商号を決める4つのルールはわかったけど、それでも会社名を決める時には色々悩んじゃうなー。
たしかに一度決めたら、そう簡単に変更するわけにはいかないのが会社名/商号に慎重になる理由じゃな。いくつかアイデアがあるので紹介するぞ。
(1)決まらない人のための会社名/商号を考える7つのアイデア
基本的にはあなたの会社ですから自由に好き勝手に会社名をつけてしまって大丈夫です。
ただ、営業活動や事業運営上、戦略的に会社名や商号を工夫することができるという事も知っておいてください。
1、検索されやすい会社名/商号にする。
2、ドメインが取得できる会社名/商号にする。
3、SEOで狙うキーワードを意識した会社名/商号にする。
4、創業の由来や経営者の想いを伝えられる会社名/商号にする。
5、個人事業主時代の屋号を会社名/商号に引き続き使う。
6、クラウドワークスで会社名/商号のアイデアを募集してみる。
7、占いで会社名/商号の吉兆を判断してもらう。
決め方1:検索されやすい会社名/商号にする
最近はほとんどの企業がホームページを持っています。
見込み客が会社の商品やサービスに興味を持ったら必ずネットで検索します。
その時に検索する文字が入力しにくかったり、なんて読むのかわからない、似たような会社名がたくさんあると大変です。
文字入力しやすい、読みやすい、特徴がある商号/会社名にするのは目立つための一つの戦術になります。
私もスマホで会社名検索する時に、記号や英語の大文字・小文字が複雑に絡まり合ったキーワードだと、途中で調べる気を無くしてしまいます。
ちなみに初心者でもカンタンに無料でホームページを作れるのがペライチというサービスです。数時間で作れる手軽さと、SEOにも強いので費用を抑えたい創業時には涙が出るぐらい嬉しいサービスです。
「株式会社おおもりくん」は英語も記号も使っていないし、ひらがなだけなので検索はしやすい言葉だね。
日本一多いと言われている会社名は「アシスト」らしいです。確かにIT企業に多そうな名前ですね。
試しに「株式会社アシスト」で検索してみたら、めちゃくちゃたくさんサイトが出てきました。目当てのアシストにたどり着くのは苦労しそうです。
決め方2:ドメインが取得できる会社名/商号にする
ドメインとはネット上のホームページの場所を示す住所のようなものです。
例えるとしたら、サーバーという土地の上に、ホームページという看板を立て、その場所を示す住所がドメインというわけです。
よくパソコン上でホームページを開くと「https://●●」と表示されますよね。これがドメインです。
このドメインは会社名や商品・サービス名で作ったりするとわかりやすいです。ブランディングにもなります。そしてドメインの取得は早い者勝ちです。
お名前.comというサイトでドメインを購入できます。欲しいドメインが空いていたら先に購入してしまいましょう。
じゃあ「株式会社おおもり」を作る時は、oomori.comとかoomori.jpみたいなドメインが良さそうだね。
決め方3:SEO対策で狙うキーワードを会社名/商号(サービス名)に入れる
これは今も有効かどうかはわかりませんが、今でもSEOで狙うキーワードをサービス名や会社名に強引に入れているのを見かけます。
特に会社設立関係だと「会社設立●●センター」とかはあからさまですよね。
あとは接骨院や歯医者とかだと地域を名前に組み込むことでSEO対策しようとしているところを見かけます。「(地域名)接骨院」とか「(地域名)歯科クリニック」とか多いです。
今は検索のルールも複雑なので、それだけで有利になるとも言いきれないです。あくまでの一つのアイデアとして検討してください。
決め方4:創業の由来や経営者の想いを伝えられる会社名/商号にする
起業家や経営者には自社の商品やサービスに関するストーリーを語れるようにして欲しい。そのきっかけとして会社名はアリなんじゃないかと思います。
今の時代はある程度の品質やサービスは低価格でも手に入るようになりました。
お客様は何を買うかよりも、誰から買うかの方が重要になりました。誰から買うかを決めるのが関係性や物語なのです。
信頼できる友達や知り合い、考え方やビジョンに共感する、そういった関係性の時代なんですね。そして関係性を深めるための手法の一つが創業の想いだったりします。
「この会社名の由来は?」と聞かれた時に共感してもらえるようなストーリーを語れるかどうかを是非大事にしてもらいたいです。
決め方5:個人事業主時代の屋号を引き続き使う
個人事業主から法人成りするときに、屋号をそのまま法人名にするケースも良くあります。
すでにブランディングされているので使いやすいです。会社名を違う名前にして、屋号は屋号のまま使い続けることもできます。
登記とは、法務局に登録をしてもらう手続きですから、会社設立のことを法人登記とか言ったりします。
実は、個人事業主の屋号も商号登記というかたちで手続きは可能です。
お金はかかりますが、信頼を少しでも上げたいとか、屋号を法人名に使われたくないときに商号登記をする人がいるみたいです。結構めずらしいケースです。
決め方6:クラウドワークスで会社名/商号を募集してみる
会社名が中々決まらないのであれば、クラウドワークスというサイトでそこでお金を出してアイデアを募集する方法もあります。
実際に新規会社の設立に際して社名募集をして様々なアイデアが集まっています。何十個も出てきた候補の中からあなたの気にいった会社名を採用するわけですね。
特に自分一人だけで会社名を考えるのにも限界がありますので、色んな人のアイデアを集結させて一番気に入ったものを探すのも良いかもしれません。
決め方7:占いや画数で縁起の良い会社名/商号にする
後ろの方で詳しく説明しますが、占いを重要視する経営者も多いです。
縁起をかついで、良い画数を調べたり、直接占い師に相談していたりします。
(2)世の中にある面白い会社名や商号の企業
参考になるかどうかわからないけど、面白い名前の会社はたくさんあります。中々社名が決まらない人の参考になるかもしれません。
1、世界一長い会社名でインパクト出す
株式会社あなたの幸せが私の幸せ世の為人の為人類幸福繋がり創造即ち我らの使命なり今まさに変革の時ここに熱き魂と愛と情鉄の勇気と利他の精神を持つ者が結集せり日々感謝喜び笑顔繋がりを確かな一歩とし地球の永続を約束する公益の志溢れる我らの足跡に歴史の花が咲くいざゆかん浪漫輝く航海へ
実はここまで会社名です。世界一長い会社名なのではないでしょうか。創業者の想いがそのままストレートに会社名に溢れ出しちゃっていますね。
2、会社名にギャグも盛り込めます
株式会社ドウゲンザッカーバーグ
会社名でギャグをぶっ放すなんて、ある意味で楽しそうな会社のイメージがあります。
3、擬音語も会社名になります
株式会社ギュギュギュギュギュイーン
会社名が擬音語!こんなんでも一応は会社名として登録できるんですからある程度冒険しても大丈夫ですね。
(3)占いや字画で縁起の良い会社名・商号を検討する
会社経営者の中には実は占いや縁起をかつぐ人は結構いるんです。会社名・商号が会社の大切な運命を決めると信じているのであれば、占いや鑑定によって吉凶や縁起の良い会社名を決めてもらうのも一つの手ですね。
1、印鑑作成時の字画などの吉凶判断
印鑑工房の来夢堂は会社名の吉凶判断をしてくれるプランが用意されています。候補となる会社名をいくつか提示して、そこから吉凶判断や縁起を占ってもらえます。
2、占い師に相談して会社名を決める
電話占いヴェルニなら自宅にいながら商号・会社名を占ってもらえるので便利そう。私は社名の吉凶判断以外で、電話占いを使ったことがありますが気軽に使えて、便利でした。
会社名が決まったら会社設立のために法人印セット(代表印・銀行印・角印)をまず作成します。
以前、超格安で法人印を作った方が会社設立書類に押印する時にフタが取れないというアクシデントがありました。結局フタを壊して押印はできたのですが、いくら安くても質が悪い印鑑は最悪です。
ハンコ屋ドットコムなら様々な素材から選べて、質に関しても安心ですよ。
◆「会社名/商号の決め方」まとめ
会社名/商号は会社設立時にたぶん一番最初に思いえがく事柄だと思います。慎重になりすぎてスグに決められない方もいますが、適当に決めるわけにもいきません。
途中で会社名/商号の変更はできますが、変更登記の手続きが必要なのでお金がかかります。
さらに改めて法人口座の変更手続きや、取引先などへの変更となると事務作業が膨大になって結構大変です。
会社設立のタイミングでしっかり吟味して決めるようにした方が良さそうです。
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