私たちが生まれてこのかたずっと存在していた年金制度。意識しはじめるのは、就職して社会に出たころでしょうか?
それでも毎月、年金保険料がお給料から差し引かれている程度にしか考えていませんでした。会社を辞めて個人事業主として独立する時に、初めて厚生年金と国民年金の二種類があることを知りました。
会社員を夫に持つ専業主婦も、旦那さんの扶養に入っていれば国民年金に加入しているのと同じ待遇を受けられるのを知ったのもつい最近です。
「え、国民年金とか厚生年金とか、立場によって何が適用されるのか超複雑じゃん・・・」そう感じている人も多いと思います。
今回は、最低限知っておくべき国民年金と厚生年金の違いについて、なるべくわかりやすく整理しようと思います。
・国民年金と厚生年金の違いについて。
◆年金制度の基礎のキソを整理
国民年金と厚生年金の違いを理解するために、そもそも年金って何なの?ってところから理解していきたいと思います。
年金制度について詳細をわかろうとすると日が暮れてしまうので、あくまで国民年金と厚生年金の違いを明確にするための、基本を紹介しておきます。
(1)年金制度は働けなくなった人の生活を保障するための仕組み
私たちは、働いてお金を稼いで生活をしています。一般的なモデルで言えば、大学を卒業して会社で働いて60歳で定年退職して、65歳から年金をもらい始めるのが良くイメージされる年金の姿ではないでしょうか。
年金制度は、すごいざっくり説明してしまえば何らかの理由で働けなくなって稼ぎがなくなった人の生活を守るたまえの仕組みです。
老後は定年退職して、体力的にも働けなくなる時期だから65歳から年金をもらうことができるんだね。
そうじゃな、ちゃんと働いている時に年金保険料を払っていれば、65歳になってから老齢年金というものをもらえるんじゃ。
(2)年金の特徴は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の三本柱!
定年退職して、老後は65歳から年金がもらえることを「老齢年金」と言いました。この他に、「障害年金」「遺族年金」も加わり、この三つが年金の持つ大きな役割になります。
老齢年金は、老後に体力も落ちて完璧な状態で働けなくなることを前提に、年金という形で生活を支えてくれるものです。
他に、若くして事故や病気で体が不自由になって働けなくなることがありますよね。そんな時は障害年金というかたちで、障害を負ってしまった人たちの生活を支えてくれるのです。
一家の大黒柱が何らかの理由で死亡してしまったら、残された家族はどうなるのでしょうか?子どもの学費や生活費は、奥さん一人だけの稼ぎでまかなうのは厳しいことが多いです。そこで遺族年金という形で、残された遺族をサポートする年金の仕組みがあるのです。
年金といっても、老後の年金だけでなく、もっと幅広く働けなくなった人を支援してくれているんだね。
◆国民年金と厚生年金のわかりやすい違いはコチラ!
本題の国民年金と厚生年金の違いについて見ていきましょう。
年金には、大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」の二種類があります。国民年金は一階建ての年金とか、厚生年金は二回建ての年金とか、建物の階数でよく説明されます。
私は、この説明をされた時、はっきり言ってよくわかりませんでした。一階が国民年金で、二階が厚生年金ってどういうこと?って感じです。
(1)国民年金は20歳以上の国民全員が加入している年金制度
国民年金は、20歳以上のみんなが加入している年金制度です。会社員の人でも、大学生でも、専業主婦でも、アルバイトでも20歳以上ならみんな国民年金に加入していることになっています。
国民年金が建物の一階部分という表現をされるのは、みんなが入っているからという事なんですよね。
普通は、住んでいる地域の役所にいって国民年金加入の手続きをします。でもサラリーマンの人たちは、そんなことした覚えがない!と思っていませんか?
会社勤めの人は厚生年金にも加入するのですが、会社が一緒に手続きをしていると考えてOKです。(厳密には、厚生年金に加入すると自動的に国民年金に入っている状態になります。)
(2)厚生年金は会社勤めでお給料をもらっている人が入る年金制度
厚生年金は、会社勤めでお給料をもらっている人が追加で入る年金です。たとえば大学を卒業して新卒で就職したら、会社側で勝手に厚生年金加入の手続きをしてくれます。
厚生年金には国民年金がくっついているので、新卒学生はこれによって自動的に国民年金と厚生年金の両方に加入している状態になるわけですね。
支払う金額も、国民年金保険料に加えて厚生年金保険料を払っている状態ですから、将来もらえる年金も厚生年金は国民年金に上乗せされて受け取れます。これが厚生年金を二階と表現しているわけです。
◆国民年金と厚生年金は納める金額も違えば受け取る金額も違う
超おおざっぱに説明すれば、会社員やサラリーマンは厚生年金で、それ以外の人は国民年金ってことです。
そして、厚生年金に加入している人は同時に国民年金にも入っていることになります。
(1)国民年金の保険料や支払い方
国民年金は収入に関係なく、加入している人には一律で同じ金額が発生します。たとえば2019年度の国民年金保険料は月1万6,410円です。
この金額を毎月支払います。期限は翌月末日です。大学生でも、アルバイトでも国民年金保険に加入するのであれば、お住まいの役場で手続きをして、この金額を期限までに払い続けるわけです。
たとえば国民年金保険に加入していなかったり、年金保険料を払っていなかったりすると、将来の年金がもらえないばかりか、自分の身に何かあったときに大変な目に会うかもしれません。
事故や病気で体に障害が残り働けなくなれば、国民年金に入っておけば障害年金がもらえます。これが入っていないとなると、せっかくの保障が受けれない可能性だって出てくる危険があるわけです。
(2)厚生年金の保険料や支払い方
厚生年金は所属している会社の方で自動的に手続きをしてくれます。自動的にといっても、会社の事務さんや総務さんが手続きをしてくれているわけです。
厚生年金保険料はお給料から天引きされているので、自分で納めている感覚はないかもしれませんが、けっこうな金額を支払っているはずです。今度機会があったら給与明細をじっくり眺めてみてください。
そしてこの、厚生年金保険料の中には、国民年金保険料も含まれていて、厚生年金に加入している人は自動的に国民年金にも加入している扱いになるわけです。
厚生年金保険料は国民年金保険料と比べると、もの凄い高い金額に設定されています。労働者の収入によって金額が変わります。
国民年金保険料が2019年度が月1万6,410円なのに対して、厚生年金保険料は2019年度の東京エリアで月30万円のお給料の人であれば月2万7,450円です。しかも半分は会社が負担してこの金額ですから会社負担分を合わせると月5万4,900円にものぼります。
厚生年金というか、健康保険も含めた社会保険料は半分が会社負担なんだよね。自分の社会保険料みて高い!って思っていたんだけど、会社負担分を考えると自分が払っている二倍の社会保険料を国に支払っているんだね。
(3)国民年金と厚生年金で将来受け取れる年金の違い
今みたように、国民年金と厚生年金とでは納める金額が全然違います。結果として受け取れる年金額にも大きな差があるので、どちらが良いか厳密に言い切るのは難しいです。しかも会社員であれば強制的に厚生年金ですから選択の余地はありませんよね。
国民年金を40年間ずっと加入していた場合は、平均月5万5,000円をもらえます。厚生年金であれば平均月14万7,000円です。
この数字は厚生労働省の平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況という報告書で示されている数字です。
あくまで平均数字で現在の目安ですが、もちろん将来はこの数字から少なくなる可能性もありますし、受け取れる年齢も65歳からもっと引き上げられる可能性もあります。
だからこそ一人一人、公的年金と民間の年金保険の組み合わせを工夫するなどして、今から準備しておくに越したことはありません。特に保険コネクトならプロに無料で気軽に相談をすることができます。
◆「国民年金と厚生年金の違い」まとめ
国民年金と厚生年金の大きな違いは、会社勤めでお給料をもらっている正社員は厚生年金に加入しています。それ以外の人たちが国民年金だという大雑把な理解でも良いと思います。
ポイントは厚生年金の人は、同時に国民年金に入っている状態であるということです。
さらには厚生年金は半分を会社が支払っているので、国民年金と比べものにならないぐらい多額の年金保険料を国に納めていることになります。もちろんそれによって国民年金よりも、将来もらえる金額や保障の充実度に雲泥の差があるわけです。
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