ベンチャー企業とスタートアップの違いってわかりますか?
両方とも立ち上げたばかりの会社…若い経営者の企業…などイメージは様々だと思います。
ベンチャー企業とスタートアップの違いが明確なことによって、これから事業立ち上げる人にとってはビジネスの方向性を決めるのに役に立つはず。
転職の予定がある人にとっては、ベンチャー企業かスタートアップ企業かによってキャリアの戦略が変わるかもしれない。
そんな大切な情報だからこそ、両者の特徴をわかりやすく整理します。
ベンチャー企業って言葉は昔から使っていたけど、スタートアップという言葉は最近よく聞くようになったよね。
比較的新しい言葉であるスタートアップはベンチャーと比べどんな特徴があるか知っておくと良いぞ。
◆ベンチャー企業とスタートアップ企業の意味や違いとは?
(1)ベンチャー企業の定義とは?
ベンチャーとは、企業として新規の事業へ取り組むことをいう。このような事業をベンチャービジネス(英:Venture Buisiness)という。
事業は新規に起業したベンチャー企業によって行われるものを指すことが多いが、既存の企業が新たに事業に取り組む場合も含む。
つまり新しい事業に取り組むことを「ベンチャービジネス」と言い、新しく会社を立ち上げて行うのであれば、それは「ベンチャー企業」ってことだね。
「ベンチャー」とは「venture」のことで、日本語にすると冒険とか投機という意味があるんじゃよ。
日本だと様々な切り口でベンチャービジネスとかベンチャー企業と使われるのですが、最低限の理解としては「今までにない事業を始める企業」というわけです。
その会社にとって初めてのビジネスという意味もあれば、世の中にとって初めてのビジネスという側面もあると思います。
「ベンチャービジネス」あるいは「ベンチャー企業」は、日本では1970年代前後から目立つようになった一群の中小企業に対する呼称である。
(中略)
最大公約数的な要件は、それまでになかった財やサービスを市場に導入したり、新たな市場を開拓する革新性、既存の垂直あるいは水平の企業間系列からの独立性、さらに、設立後長くを経過していない若さ(新興性)としばしばその結果としての企業規模の小規模性である。
ここで紹介されているように、違う切り口でベンチャーを見ると、今までにない新しいサービスってのはさっき紹介した通り。
今ある企業の一部としてなされるのではなく、ポンっと独立している状態。そして若い企業っていうのが共通項だと言うのです。
ベンチャーは「新しい(革新的)」「独立してる」「小さい」「若い」ってのがキーワードだね。
ちなみに「ベンチャービジネス」という言葉は和製英語だから外国人にベンチャービジネスと言っても伝わらないんじゃ。
(2)スタートアップ企業の定義とは
スタートアップという言葉自体は比較的新しいもので、最近になってよく使われ始めました。
広義のスタートアップ(Start-up)という意味には「起業」とか「立ち上げ」という意味があります。
たとえばアップルがiPhoneによって人々の生活を変えたように、グーグルがインターネットの在り方を変えたように、世の中にイノベーションを巻き起こす企業がシリコンバレーから次々と生まれました。
スタートアップが意味するものは、ただの創業期の会社というものではありません。
今までにない技術やサービスで業界に革新をもたらすような事業を展開することを指します。イノベーションや新しいビジネスモデルにより新しい市場を生み出すこととも言えそうです。
スタートアップ企業って、できたばかりの会社って意味で捉えてたわ。
もちろん創業して間もない企業ってのは、スタートアップの一つの要因だけど、他にも革新性などいろんな要素が組み合わさっているんじゃぞ。
でも、ここまで整理したベンチャー企業とスタートアップ企業の意味だと、ほとんど同じように思えますよね、
ベンチャー企業とスタートアップ企業の具体的な違いとはどこにあるのでしょうか?
(3)ベンチャー企業とスタートアップ企業の違いとは?
ベンチャー企業とスタートアップ企業の特徴がでそろったところで、具体的な違いを比較してみましょう。
私たちを混乱させるのが、ベンチャーやスタートアップを「起業」とか「事業の新規立ち上げ」のように使うとき。
この場合、ほぼ同じ意味で使われていることになります。
あえてベンチャー企業に違いを求めるのであれば、「イノベーションの要素」と「出口戦略の違い」に注目するとわかりやすいと思います。
1、イノベーション要素の強さがベンチャーとスタートアップの違い
ベンチャーよりもスタートアップの方がイノベーションの要素が強いと言われています。
イノベーションとは技術・製品の革新であるという、非常に狭い範囲で捉えられている。だが実は、イノベーションは技術分野に限らず、それを含む社会的に広く影響を与えるプロセスであり、(中略)知識創造を通じて社会的な変革を導き「よりよい未来を作る」ことだと思う。
引用元:『イノベーションの本質』野中郁次郎
ベンチャーという概念や、ベンチャー企業にイノベーションの要素がないわけではありません。
スタートアップという概念と比べたら、少しその要素が弱くなるといったイメージです。
例えば不動産会社が新しく介護事業を始めたとすると、その不動産会社にとっては革新的なことかもしれないけど、世の中的に見たらよくある事業展開だよねって話です。
このようなケースは社内ベンチャーのような要素が強く、社内スタートアップとは言いません。
2、ベンチャーとスタートアップでは出口戦略(EXIT:エグジット)が違う
ベンチャー企業とスタートアップ企業では、会社としてのゴールというか出口戦略が違います。
たとえばスタートアップ企業がゴールとするのは、自分たちの事業のバイアウト、つまり他の大手企業に買収してもらうか、株式上場するIPOを目指すことが多いです。
なんならバイアウトやIPOを目的として事業がスタートすることだってあります。
ベンチャー企業は必ずしも、このバイアウトやIPOだけが目的ではありません。
スピードについては言わずもがな、スタートアップ企業は技術革新や市場開拓が圧倒的に早いです。
バイアウトやIPOなど明確な目的があるからでしょうか。
技術開発の速さ、事業立ち上げの速さ、売上を伸ばす速さ、圧倒的な違いを感じるでしょう。
◆ベンチャー企業やスタートアップを経営する時の注意点
(1)ベンチャー企業やスタートアップ企業はどんな会社で始める?
法人として事業を始めるときは、合同会社と株式会社が王道です。
他にもNPO法人や一般社団法人などりますが、ベンチャー企業やスタートアップ企業を始めるという軸で考えると合同会社と株式会社で検討するのが良いでしょう。
1、株式会社でベンチャー企業やスタートアップを始める
ベンチャー企業やスタートアップ企業のほとんどが株式会社で事業を始めている印象があります。
特にスタートアップはベンチャー企業よりも、会社のゴールが株式上場や売却によっているはず。
IPOは株式会社じゃないとできないし、事業の売却も株式会社の方がスムーズだったります。
2、合同会社でベンチャー企業やスタートアップを始める
合同会社でベンチャー企業やスタートアップを始めることもNGではありません。
現にAmazonやGoogleも日本法人は合同会社です。
株式会社よりも合同会社の方が、取締役会や株主総会がない分、経営スピードが早いというメリットがあるのも大きなポイントです。
とはいえ、将来的に上場を視野にいれている場合には、どこかで合同会社から株式会社へ組織変更しなければいけません。
その手間を考えると、自社のゴールをどこに置くかによって組織形態を決める必要があるでしょう。
3、個人事業主でベンチャー企業やスタートアップを始める
個人事業主でベンチャーやスタートアップを始めるというのは、あまり聞いたことがありません。
個人事業主だと資金調達をしにくいし、優秀な人材も入りにくいなどのデメリットが大きいからです。
そのため、どこかで株式会社や合同会社へ法人成り(法人化)を前提として、準備段階で個人事業主を選択しているということはあるかもしれません。
(2)ベンチャー企業やスタートアップの資金調達について
ベンチャー企業もスタートアップも事業を推進していくのに資金は欠かせません。
特にスタートアップは世の中にない商品やサービスを開発して、世界にイノベーションを起こすことが目的になるはずですから多額の資金調達が必要になるわけです。
よく新聞やニュースで「●●億円調達!」みたいな見出しが載るの企業の多くはスタートアップです。
1、金融機関からの融資によって資金調達をする
すべての企業で資金調達の土台になるのが金融機関からの融資です。
立ち上げたばかりの会社だと普通の金融機関や創業融資をしてくれないですが、日本政策金融公庫や保証協会付融資が最初の選択肢になるのではないでしょうか。
他にも、大手ベンチャーキャピタルなんかが出資をしているようなら金融機関が出資してくれる可能性もググッと高くなります。
2、VCやCVCから資金調達をする
VCとはベンチャーキャピタルのことです。
CVCとはコーポレートベンチャーキャピタルのことです。
資金が潤沢な大手企業がベンチャー企業やスタートアップ企業に資金を提供することによって、自社で解決できない課題を外に解決策を求めるのです。
3、クラウドファンディングによって資金調達をする
クラウドファンディングは不特定多数の人が、会社の事業を応援するために資金的な援助をすることです。
資金をどういう形で援助するかによって、利用するプラットフォームも変わってきます。
有名なMakuakeやReadyforは、購買型のクラウドファンディングで、商品やサービスに共感する人が、対価を見返りに資金援助するものです。
また少額の出資をすることによって、資金を集める出資型のクラウドファンディングもあります。
→ファンディーノ
(3)ベンチャー企業やスタートアップで求められる人物像
一般企業や大企業とは、だいぶ毛色の違うベンチャー企業やスタートアップですが、求められる人物像も違います。
各々の企業によってもちろん変わりますが、共通項としては以下のような感じでしょうか。
1、ある分野に精通したスペシャリスト
ベンチャー企業やスタートアップ企業のような若い会社は人を育てる余裕はありません。
そのため新卒のような未経験者を採用するよりも、開発のプロフェッショナルとかマーケティングに精通している人、経理経験を持っている人など中途採用で即戦力を求めます。
◆「ベンチャーやスタートアップの違い」まとめ
今までにない新しい技術やサービスで世界を変えるベンチャー企業やスタートアップ企業が日本から産まれるのであれば、それはとても嬉しいことです。
事業譲渡やIPOを目指したスタートアップであれば株式会社として始めた方が良さそうですね。ベンチャー企業でも出口の展開を考えるのであれば株式会社の方が色んな道へ展開しやすそうです。
コメント
コメント一覧 (2件)
いつも大変参考になり、役に立っており感謝申し上げます。
1点文章の誤字がありましたので報告させていただきます。
「ベンチャー企業を始めるなら株式会社設立・合同会社設立・個人事業のどれがいい?」のページの
〉〉◆会社設立でベンチャービジネスを展開する注意点
〉〉ベンチャー企業を立ち上げるには株式会社?合同会社?個人事業?
〉〉ヒト
の中の文章で「合同会社」が「合同外車」になってます。
コメントありがとうございます。
誤字のところもご指摘ありがとうございます!修正させていただくと同時に記事も大幅にリニューアルしました。
今後とも宜しくお願い致します!