この記事でわかること
「副業サラリーマンは会社設立せずに個人事業主から始めた方が良い」
これがたくさんの起業家を見て出した私の結論です。
副業サラリーマンが起業するとき個人事業主ではなく、いきなり法人から始めようとする人がいてヒヤヒヤします。
ちゃんと理由があれば良いんですけど、本当に会社設立のリスク知ってんのかな?って人もいたりします。
もちろん一国一城の主になりたい!とか社長になりたい!って夢があるかもしれません。それはちゃんとリスクと向き合った上で決断してください。
絶対に後悔して欲しくありません。副業サラリーマンが陥りがちな3つのリスクを紹介します。
◆副業サラリーマンが失敗する会社設立3つのリスク
いきなり法人を作ろうとする猛者には、事前に三つのリスクについて把握しておいてもらいたいです。
「税金や設立費用に関するもの」「社会保険について」「事務作業に関するもの」の3つです。
そもそもリスクとは、「リスクマネジメントための意思決定モデルの考察」という論文の中では以下のように説明されています。
リスクとは、これから遂行しようとするプロジェク トの目的に対して影響を与える不確実な出来事であり、それによって引き起こされる結果と 影響度である。
たとえば安定した収入を得たいという目的で会社設立したのに、様々な要因によってそれが引き起こされないような要因のことを良います。
(1)税金や会社設立費用に関するリスク
副業しているサラリーマンにとって、会社設立は未知の世界。ウェブで検索すると、すごい安く設立できるように見えて、蓋を開けてみたら結局高い金額を払っていたなんてことはアルアルです。
設立してからも、意外なところで税金が取られたりするので焦らずじっくり下調べは大切です。
1、会社設立費用がけっこうかかる
会社設立という手続きにはお金が必要です。合同会社か株式会社かで必要な実費は違うけれども、それでも6万円から20万円ぐらいはかかります。
それ以外にも資本金を準備したり、会社のハンコを作ったり、細々したお金もかかります。
えーっ!でもネットで調べると「0円で会社でつくれる!」みたいな広告たくさん出てくるじゃん!
ああいうのは0円の「手数料」という意味じゃから、会社設立費用が0円というわけじゃないんじゃ。業者が問い合わせ増やすための大げさな手口じゃな。
2、法人住民税は利益がなくても発生
とりあえず会社だけでも作っておいて、売上が出なければ税金納めなくて良いんでしょ?なんて思っていたら痛い目を見ます。
会社に売上がないってことは、収入もないんだから税金なんて取りようはないじゃん。
みんな売上なければ税金払う必要ないと思いがちなんじゃが、会社を設立したなら法人住民税という税金が発生するのじゃよ。
私たちは住んでいる市区町村に住民税を払っていますよね。会社の場合も同じく住民税のようなものを払っているのです。
これは売上がなくても、最低年間7万円が発生します。個人事業主であれば発生しないのですが、会社を作ると必ず発生する税金と考えてください。
3、会社を廃業のにもお金が必要
会社を作ってダメだったらスグに廃業すれば大丈夫でしょ?そんな軽い気持ちで起業しようとする人がいます。
実は会社を設立してしまうと、キレイに廃業するのにもお金が必要です。
法務局に会社を廃業する手続きにお金がかかりますし、もし取引先に借金があれば返さないといけないし、資産はルール通りに処理しないといけません。
そんなの自分で、ちょちょいのちょい!でやっちゃえば良いじゃん。
そんなんできたら、それで飯食っていけるぞい。素人には無理じゃから、司法書士や税理士、弁護士の力を借りるから会社を清算するのに莫大な金額がかかるんじゃ。
(2)社会保険に関するリスク
会社設立をしたら基本的に社会保険には加入しないといけません。
本業のサラリーマンとして社会保険には入っているよ!
社会保険は複数からお給料をもらっていれば、それぞれで手続きをしないといけないんじゃ。
1、社会保険料が高い
いくらサラリーマンでも、新しく会社を作ってそこから役員報酬をもらうのであれば社会保険に加入しないといけません。
本業の企業で社会保険に入っているからといって、免除されるわけではないんですね。個人事業主であれば、このルールは適用されません。
今のルールだと、サラリーマンが副業で得た収入は個人事業主の扱いなら社会保険料に加味されません。何言っているかわからない人は必ずこの記事読んでください。
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2、副業禁止の会社なら身バレするリスク
もし副業が禁止されている会社のときは、いきなり会社設立は要注意です。
もちろん個人事業主でバレるリスクがゼロになるわけではないですが、会社にしてしまうと危険が一気に上がります。
会社設立自体にはあまり問題はありません。役員報酬をもらって社会保険に加入すると、本業の会社にも社会保険関係でお知らせがいくのです。そこで本業以外で働いていることがわかってしまうのです。
(3)法人特有の事務作業に関するリスク
会社設立をすると、会社運営における作業についてもリスクがあります。
1、個人事業主のように自分で確定申告はけっこう大変
個人事業主だと自分で経理処理して確定申告してる人はよくいます。コストは抑えたいということで自分でやる人もいます。
ただし、会社設立をすると経理処理の難易度が一気に上がります。そしてほとんどの人が税理士に税務・会計の処理を依頼することになるのです。
専門家にお願いするわけですから、年間でも結構な金額がかかります。個人事業主に比べたらそうした費用のリスクが考えられるのです。
もし自分で経理関係の作業をするのであれば、簿記の知識がなくても直感的に処理できるように作られている会計freee
2、決算の公告や取締役の任期についても意外と面倒
株式会社のケースですが、決算の公告や取締役の任期について、手間とコストがかかります。
会社を設立すると毎年決算内容を広告というかたちで官報に載せないといけません。手間と費用がかかります。
あと取締役も任期があります。取締役を置かない会社なら1年から10年で選ぶことができます。同じ人がなり続ける場合でも、再任の登記をしないといけないので、ここでも手間とコストがかかります。
個人事業主なら、これらをする必要はありません。
◆リスクを最小限にして会社設立する方法ってあるの?
そんなリスク、リスクって言われても、どうしても会社設立しなきゃいけない人もいますよね。
そんな時に何かあったときのダメージが最小限になるような会社設立の方法について検討したいと思います。
(1)費用を最小限にして会社設立
どうしても会社設立しなくてはならないのであれば、費用を最小限にして会社設立をしましょう。
たとえば株式会社であれば、次の費用が最低でもかかります。
- 登録免許税15万円
- 定款認証手数料約5万1000円
- 印紙税4万円(紙の定款を認証するとき)
⇒合計:24万1000円
株式会社設立では、自分でやろうとするとこれぐらいの費用がかかります。これに加えて司法書士などの専門家にお願いすれば、その分の手数料が数万円かかります。
合同会社は株式会社よりも安くて、以下が基本的な設立金額です。
- 登録免許税:6万円
合同会社は定款認証の必要がないので、認証手数料や収入印紙にかかる費用が発生しません。
設立だけを考えたら、合同会社の方がだんぜんおトクだね。
特にこだわりなく、法人を作りたいだけなら合同会社の方がオススメじゃな。
もし税理士に顧問をお願いすることを前提に考えているなら、さらに安く設立する方法もあります。
さらに少し時間をかけて大丈夫なら、会社を作る自治体でやっている創業支援に申し込むと登録免許税が半額になるかもしれませんよ。
(2)事業を撤退するときは会社を休眠させる
会社が存続できなくて、廃業や清算するのにも莫大なお金がかかると伝えました。その金額を最小限にできるかもしれないのが、休眠させてそのままにしておくという方法です。
1、会社の事業をしないときは休眠届を提出
このお話は、副業サラリーマンがいきなり会社設立して事業をスタートしていることを想定しています。
その上で会社設立して事業が立ち行かなくなってしまったのであれば、税務署に休眠届けを出して事業をストップする選択肢もあります。
会社を清算するわけではなく、あくまでも休眠なので機会がきたら復活させても良いわけです。しかも今は12年休眠状態だと、法務局の方でも「みなし解散」として扱うそうです。
2、復活させるときに青色申告が初年度から使えないリスク
休眠届けを出しても、普通は決算申告しないといけません。事業が動いていないから売上が0円でも、そのような決算書を作って出さないといけないそうなのです。
ただし廃業を前提とした休眠企業のほとんどがそんな面倒なことはせずに、ほったらかしです。
税務署のルールだと青色申告の会社は二期決算がされないと取り消されて白色になってしまいます。
3、法人住民税を支払えと言われるリスク
会社が存在するだけで発生する法人住民税のお話をしましたが、休眠会社にも課されるリスクが全く無いわけではありません。
東京23区は、全く活動していない休眠会社からは法人住民税は取らないと言われていますが、念の為市区町村に確認はした方が良いと思います。
東京以外でも、必ず自治体に確認して、休眠時の法人住民税の扱いだけは確認しといた方が安全です。
(3)会社設立をした人がかかえるリスクってどこまで?
最後に独立するリスクとして無限責任と有限責任という言葉を覚えておいてください。
1、株式会社や合同会社は有限責任
会社とは、経営者、従業員、そして出資者間の複雑な一連の契約上の名称にすぎない。会社はそれらの契約関係から、独立して存在しない。会社が存在しないことから、会社の責任は限られたものとなる。有限責任のルールは、会社に投資する者が、自己の出資額以上の責任を負わないことを意味する(会社法104条)。
法人の場合は有限責任です。責任を負うにあたって範囲が決まっているということ。
たとえば会社が借金を負っても、出資している範囲で責任を負えば良い。つまり株式会社の株主は出資している範囲で責任を負うわけです。会社が潰れたら出資しているお金が戻って来ないリスクがある分、それ以上の責任を負う必要はないわけです。
2、個人事業主は無限責任
個人事業主は無限責任と言われます。借金をしても、何かの負債をおったとしても、個人事業をやめたからといって責任がなくなるわけではありません。
死ぬまでその責任がついてくるリスクがあります。よく借金を背負って自己破産とかニュースになるのはそういう背景です。
連帯保証人になっちゃダメだよ、とか会社で借金しても個人保証をつけないようにと言われるのは、こういった内容が背景にあるわけですね。
こうした責任のリスクだけ考えると、会社の方にメリットがあると言えるかもしれません。
◆「会社設立のリスク」まとめ
起業家が増えるのは好ましいこと。リスクを取らないと欲しいものは手に入らないとよく言うけど、私は避けられるリスクは最小限にするべきだという考えです。
たくさんの起業家を見てきた中で、もっと慎重に行動していたら無駄な負債を負わないで済んだのに・・・と思うケースもありました。
会社設立も今はカンタンかつ低コストでできるようになった分、ちゃんとリスクを見つめて行動してもらえたらと思います。
今は自分で会社が作れちゃう時代。それを実現したのが会社設立freee
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