日本一の高さを誇るスカイツリーや、オリンピックのメイン会場となる新国立競技場。これら日本を代表する建築物を裏から支える業界が建設業界です。
大規模な建築物でなくても、マンションを建てたり、戸建ての家を建てたり、リフォームなんていうのも大枠で考えたら建設業界のお仕事です。
建設業界は少し特殊なビジネスモデルで、元受けの大手のゼネコンや工務店が仕事を受けたら、下請けの会社に仕事を流していきます。
一次請けだけでなく、二次請けや三次請けにいき、最終的には一人親方の個人事業主まで仕事が行きわたるようなイメージです。
実は工事の規模によっては、会社でないとダメだったりします。最近だと仕事を流してもらうのにも個人事業主ではなく、法人でないと契約できないと言われるケースもちらほら。
そんな建設業界で働く人たちが、会社設立をするときに気を付けるべきポイントを整理してみました。
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・建設業界で会社設立するときの注意点。
・建設業の許可を受けるために会社設立する上で対応すべきこと。
◆建設業界で会社設立するときの注意点
建設業で会社を作るときに一番注意が必要なのは許認可が必要かどうかです。
請け負う工事の内容と大きさによって、建設許可の許認可の有無が決まります。
請け負う仕事が許認可を必要とするかどうかで、会社設立時に注意しないといけないことが出てくるんだね。
(1)大きな仕事の案件を受けるために必要な建設業許可とは何?
大きな建設案件を受けるときには、国から許可をもらっている会社しか対応できないのです。
事前に手続きをして、国から許可をもらっている状態を建設業許可と言うんじゃ。
そもそも、なぜ建設業許可という仕組みがあるのかといえば、私たちの生活を守るためです。人が住む建物や、仕事をするビル、ある意味で私たちの人生と一番多くの接点を持っているのは建物だと思います。
この建物を作ったり、整備したりするのは建設業の人たちです。でも家を建てたりする会社が利益追求しすぎて、違法な建築なんかしたら私たちの命の危険がありますよね。
そこで一定の規模の工事については許可制にして、国側でも工事の質や安全を担保できるようにしているわけです。
(2)建設業を始めるには株式会社と合同会社のどちらが良い?
建設業で独立する人は、株式会社と合同会社のどちらを設立すれば良いのでしょうか?
株式会社と合同会社のそれぞれに良い悪いがあるので、ご自身の状況に合わせて判断してください。
1、建設業で合同会社設立するときの検討ポイント
個人事業主から法人成りをする建設業の人で、小規模の案件をメインに手がけている人は合同会社を選ぶ人が多いように感じます。
大きな仕事の案件を手がけないので、今スグに建設業許可も必要ないし、法人にする理由は取引先からの要望といった感じの方々です。
今まで個人事業で仕事を受けていたのに、これからは法人にしないと仕事を発注できないと言われることが多々あります。そこで急いで会社設立するという感じですが、なるべく早く、なるべく安く会社設立をしたい。この要望を全部叶えてくれるのが合同会社なわけです。
合同会社は株式会社と比べて設立費用がすごい安いです。自分で合同会社設立するなら約6万円ぐらいでOK。
さらには株式会社と比べ、公証役場への定款認証という作業が必要ないので、その分早く会社設立ができます。
2、建設業で株式会社設立するときの検討ポイント
株式会社は一般的に多くの人に知れているので、認知度から来る安心感もあります。信頼性という面では問題無いでしょう。
ただし、株式会社設立する際の費用が合同会社よりも多くかかってきます。法務局に支払うお金で15万円、公証役場へ支払うお金で5万円、電子認証をしなければ印紙代で4万円が追加でかかります。
建設業で株式会社を設立する人は、どちらかというと建設業許可を必要とするような規模の大きな案件を手がけたり、代表取締役と名乗りたい、みたいな感じの人が多い気がしています。
◆建設業許可を受けるための会社設立手続きの注意点
大きな仕事の案件をもらうため、建設業許可をもらわないといけない会社があります。
実は許認可を申し込む前提で、会社設立時の要件を設定しておかないと、会社設立後に改めて変更することになってしまうかもしれません。
(1)会社設立時の事業目的を建設業許可をもらえる状態にしておく
会社設立時には定款という会社のルールを決めた書類を作成します。この定款には事業目的というかたちで、仕事内容を明確にする項目があります。
建設業は法律で29種類が決められています。つまり29種類の仕事は法律で建設業と設定するので、大きな案件を受注するときには建設業許可をとってください!というわです。
そのため事業目的には、自分たちが行う建設業の仕事内容と、将来行うかもしれないものも全て記載するようにしましょう。
1、土木一式工事業(土木工事業)
2、建築一式工事業(建築工事業)
3、大工工事業
4、左官工事業
5、とび・土工工業
6、石工事業
7、屋根工事業
8、電気工事業
9、管工事業
10、タイル・レンガ・ブロック工事業
11、鋼構造物工事業
12、鉄筋工事業
13、舗装工事業
14、しゅんせつ工事業
15、板金工事業
16、ガラス工事業
17、塗装工事業
18、防水工事業
19、内装仕上工事業
20、機械器具設置工事業
21、熱絶縁工事業
22、電気通信工事業
23、造園工事業
24、さく井工事業
25、建具工事業
26、水道施設工事業
27、消防施設工事業
28、清掃施設工事業
29、解体工事業
参照:建設工事の種類
(2)受ける仕事の大きさによって最低でも500万円の資本金を用意
建設業の許可をもらうには、資本金が500万円以上必要な場合があります。
請け負う工事の案件が500万円を超えるなら、建設業許可が必要です。中には、建設一式工事業だったり、土木一式工事のように工事の元請けとしての立場でなら1500万円以上の工事に建設業許可が必要になるのです。
なるほど。細かい要件はあるものの、最低でも500万円を超えるお仕事もらうなら、建設業の許可が必要ってことだね。
そうじゃな。資本金に500万円以上あれば問題なしじゃ。資本金500万円ない場合は、500万円の資金をいつでも調達できることを別途証明しないといけないんじゃ。
(3)会社設立後に建設業許可を受けるための要件を満たしておく
資本金500万円以上で会社を設立したからといって、スグに建設業の許認可を取れるわけではありません。
他にもスムーズに建設業の許認可を受けるためには、そろえておくべき条件があるので確認しておきましょう。
1、経営業務管理責任者が必要
建設業許可をもらうためには、経営業務管理責任者なる人がいないといけません。
これは建設業をするにあたり、その会社や事業主がちゃんと仕事を受けれることを担保するためにハードルが高く設定されているなぁと思う要件です。
経営業務管理責任者になれるのは、過去5年間に受けようと思う建設業の種類の役員や個人事業主の経験がないといけません。
従業員としての経験ではなく、あくまでも株式会社であれば取締役とか、個人事業主の経験です。ポジションと経験を要件にすることで、この人はちゃんと建設業を法律に乗っ取ってできるか判断するんですね。
これだけ経営業務管理責任者のハードルが高いと、なかなか簡単には建設業許可を取ることはできません。
それだけ本当に安全やモラルが重要な仕事なんですけど、中には名義貸しで経営業務管理責任者の要件をクリアしようとする人がいるみたいです。
経営業務管理責任者は常勤でないといけないので、名義貸しのような行為には注意してください。
建設業界の存在する意義に立ち戻って、自分だけの利益だけでなく、他人の幸せを追求できる人でありたいですね。
2、専任技術者が必要
10年以上の実務経験を持った人が専任技術者です。従業員という立場で構わないので、その業務における10年選手を用意しておかないといけません。
こちらの方も常勤で働いてもらわないといけません。経営業務管理責任者と同じく、人材を準備するのが大変なので名義貸しは絶対ダメですよ。
許認可を受けるときに専任技術者の情報も定時するおで、行政庁にすぐバレてしまうはずです。
3、営業所や事務所の有無
建設業の許認可を受けるためには営業所が必要です。よく会社設立するときに、自宅を本店所在地にするとか、バーチャルオフィスで会社を作ろう!みたいな人がいますが要注意。
実体があれば問題ないので、会社の本店所在地以外にちゃんと機能していr営業所があれば大丈夫です。
小規模の会社設立をする人のほとんどが、本店所在地と営業所を同じにしている気がします。
4、不正な行為や不誠実な行為をしていないこと
会社の役員や事業主で過去に法律違反をした人は5年間は建設業許可を受けることはできません。
建築士法や宅地建物取引業法などにおいて違反したことのある人がいないか整理しておきましょう。
法律違反で禁錮以上の刑を受けた人なんかは、刑の執行を受けて5年以上経過していることが条件となります。
当たり前だけど反社会勢力なんかもダメだよね。
◆「建設業で会社設立」まとめ
建設業で会社設立するときは、500万円以下の工事を受けるなら建設業許可はスグには必要ないかもしれません。
もし将来的に500万円以上の工事を受けたりする予定があるなら、今のうちから建設業許可を取れるような会社の要件で設立するのもありだと思います。
建設業界の人で、綿密な事業計画を立てる人は少ないのですが、会社設立前の今だかこそ計画的に事業をどうやって発展させていくのか青写真は描いておいた方が良さそうです。
資本金のこともそうだし、経営業務管理責任者もそう簡単に見つかるものでもないでしょう。専任技術者だって同じです。
建設業で会社設立をして、安定的に業績を伸ばしていくのであれば、その点もしっかり計画を立てておくことをオススメします。
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