昔は株式会社設立をするにもハードルが高いので、司法書士の先生など専門家にお願いするしか方法がありませんでした。
現在は資本金も1円から会社設立が可能ですし、取締役も1名からで大丈夫です。ネットで調べれば簡単に株式会社設立方法がわかるようになりました。
今回は株式会社設立を自分で行う場合の全手順について紹介させてもらいます。
・自分で株式会社設立をする時の全手順
◆株式会社設立を自分で行う時の全手順(設立書類の準備)
株式会社設立を自分で行うために、まずは会社設立書類を自分で作成します。設立書類の準備に関する詳細を整理します。
(1)株式会社設立で必要なものを準備する
株式会社の設立をするために準備をしなければいけないものがあります。まずは設立書類を作る前にこちらの同時並行で準備をしましょう。
1、印鑑証明書を必要な人数分そろえる
株式会社設立には発起人になる人と取締役になる人の三ヶ月以内の印鑑証明書が必要です。これは個人の印鑑証明書ですので、発起人の分1通、取締役の分1通が必要です。
両方になる方は2通準備するようにしましょう。
2、会社の法人印を作成する
次に法人印を作成しましょう。普通は代表印と銀行印と角印がセットになっているものを準備する方が多いです。安すぎるものだと蓋が取れなくて押印できなかった人もいるので、ネットで購入する時は口コミなんかも参考すると良いと思います。
(2)株式会社設立の要件をまとめる
株式会社設立をするには様々な要件を決めないといけません。会社名をどうするのか?取締役を誰にするのか?資本金はいくらにするのか?など色々と決めないといけません。
1、商号・会社名を決める
株式会社の名前を商号と言います。同じ住所に同じ名前の会社を作れません。設立前には必ず同じ住所に同じ会社がないか調べておきましょう。
他にも会社名を付ける時に使ってはいけない文言やルールがあります。
2、事業目的を決める
事業目的は株式会社で行う仕事内容のことです。事業目的として載せていない仕事内容はできないので、会社設立時に行う仕事だけではなく、将来的に行う予定のある仕事も書いておくようにしましょう。
3、本店所在地を決める
株式会社設立時に住所を決めておかないといけません。自宅を登記住所にしたり、オフィスを借りたり、今だとレンタルオフィスやバーチャルオフィスを使う人も増えています。
注意をしないと法人口座が作りにくい場合も出て来るので下調べはちゃんとしましょう。
4、会社設立日を決める
自分で株式会社設立をする時は、会社設立日をいつにするか決めて準備をします。手続きをする法務局が手続きをしてくれる日が会社設立日となりますので、土日祝日は会社設立日にできません。
5、事業年度&決算月を決める
株式会社設立時には事業年度と決算月についても決めないといけません。自由に決めて大丈夫ですが、通常は丸々一年間になるように設定します。税金に関わることがあるので慎重に決めましょう。
6、発行可能株式総数を決める
発行可能株式総数とは、将来増やせる株の数の上限を決める項目です。株式会社設立時期は100万円の資本金で一株1万円だとしたら100株発行している状態です。この資本金を増やす時は、新しく株を発行すうわけでですが、発行可能株式総数で決めた上限の内側でしか増やせないので注意しましょう。
7、取締役会を設置するかどうか決める
株式会社には取締役会を設置する会社と、取締役会を設置しない会社があります。取締役会を設置する時は取締役3名と監査役1名を置かないといけないので、小規模な株式会社設立をするときはほとんどが取締役会を設置しない会社となります。
8、取締役の任期を決める
取締役会を設置しない株式会社の場合は、取締役の任期を1年から10年の間で設定をできます。任期がきたら法務局に1万円を払って手続きをしないといけません。再任の手続きをするのにもお金が発生しますから、10年で設定する方も多いです。
9、資本金の金額を決める
資本金とは会社設立後の元手になるお金です。資本金の金額は会社の信頼性だったりしますが多すぎても税金のルールが変わってしまうので、よく考えて設定しましょう。
(3)株式会社設立書類を作成する
株式会社設立時の要件が決まったら次に設立書類を作成していきます。書類は自分でゼロから作成するわけにはいかないので、雛形などを上手に活用していきましょう。
1、株式会社設立書類の雛形を使う
株式会社の設立書類をゼロから自分で作成するのは大変なので法務局や公証役場にある雛形を活用しましょう。Wordなどでダウンロードして設立時の要件で決めた情報を当てはめていきましょう。
2、公証役場で定款の認証を行う
次に会社設立書類の一つである定款は公証役場で認証の手続きをしなければいけません。定款は株式会社のルールを決める大切な書類ですので、第三者の立場からお墨付きをもらわないといけないのです。
3、個人の通帳に資本金を振り込み書類を作成する
定款の認証が終わった後に資本金の振り込みをします。法人口座がまだないので、発起人個人の口座に資本金を振り込みます。複数の発起人がいる場合は手続きを間違えないように注意しましょう。
(4)管轄の法務局へ登記申請をする
株式会社の設立書類の準備ができたら管轄の法務局へ書類の提出をします。具体的な流れを見ていきましょう。
1、法務局へ支払う登録免許税を準備する
会社設立の手続きをする時には法務局に支払う費用として登録免許税を負担します。株式会社設立であれば基本的に15万円の登録免許税なので収入印紙を登記申請書に貼って提出します。
2、管轄の法務局へ準備した会社設立書類を提出する
これで会社設立書類を法務局に提出したらその日が会社設立日となります。管轄の法務局を探して提出しましょう。
会社設立のことを商業登記と表現したりします。必ず管轄の法務局が商業登記に対応しているか確認しましょう。時々、本局で一括で承っている場合があります。
◆自分で株式会社設立した後の具体的な流れ
自分で株式会社設立した後には他にも、行わなければいけないことがたくさんあります。誰も教えてくれないので、こちらで整理しておきましょう。
(1)法務局で登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得する
まず整理したいのが登記申請した日が会社設立日です。そして会社がこの世に存在することを証明する書類である登記簿謄本(正式には履歴事項全部証明書)を手に入れることができるのは、設立日から約一週間後です。
1、登記完了したかどうかを確認する
登記申請をしたら、法務局の方で登記完了の確認をしましょう。確認の仕方は直接法務局に問い合わせたり、ウェブ上で確認してみたり複数の方法があります。
2、法務局に代表印を持って法人カード・印鑑証明書・履歴事項全部証明書を取得
登記の完了が確認できたら、管轄の法務局へ行って法人カードを取得します。代表印を持って法務局に行けば法人カードが取得できますので、それを使って履歴事項全部証明書や法人の印鑑証明書を取得しましょう。
履歴事項全部証明書は物件の契約をしたり、法人口座を作るときなどに必要なので、使う枚数取得するようにしましょう。
(2)株式会社の登記完了後に行う諸手続き
登記完了したら次に行うべき手続きがいくつかあります。一つ一つ確認していきましょう。
1、法人口座の申し込みをする
登記が完了して履歴事項全部証明書が取得できたら次に法人口座を取得しにいきましょう。申し込み前には必ずネットや電話で必要書類を金融機関に確認しておいた方が良いと思います。
2、税務署な市区町村へ届出の提出をする
株式会社を設立したことを税務署や市区町村へ届出を出して報告しないといけません。会社設立の届出や青色申告の届出など会社の状況に合わせて複数の届出をします。
3、必要であれば社会保険に加入する
株式会社を設立して役員報酬を支払う場合は社会保険に加入しないといけません。従業員を雇う場合は労働保険の加入も必要です。
◆自分で株式会社設立した後に活用すると便利な起業ツール
自分で株式会社設立した後は、自分で会社運営の様々な環境を整えていかないといけません。健康な事業運営の王道はなるべく経費をかけないことです。
そこで自分で株式会社設立した後に知っておくと役立つツールについていくつか紹介しておきます。
(1)税務・会計業務を自分で行う場合はクラウドシステムを活用
今では会計・経理関係の処理はAIを活用したクラウドシステムでだいぶラクになった気がします。これからも凄いスピードで技術発展していく分野なので、なるべく対応できるようにしておいた方が何かと良いのではないでしょうか。
1、おすすめはお試し利用ができる会計freee
クラウド型の会計システムで一番有名なのは会計freeeです。レシートを写真で取れば自動的に情報を処理してくれたり、ネットバンクと繋げればその情報を自動的に処理してくれます。簿記を知らなくても対応できるように工夫もされているので、一度は試してみても良いと思います。今なら無料体験もできるので、無料体験できる会計freeeはオススメです。
2、ビジネス用のクレジットカードがあるとさらに便利
会社設立をした後にはビジネス用のクレジットカードを作成しておくと便利です。法人用のクレジットカードを作り、法人からの出費は全部そのクレジットカードに集約させるのです。ポイントも貯まりますし、クラウド型の会計ソフトに自動的に読み込ませることで事務作業効率を大幅に良くすることも可能です。経営者向けのビジネスカードとして法人カード「SBS Executive Business Card」は一枚は持っておきたいです。
3、税務・会計の専門家を探したい場合は気が済むまで探しましょう!
ここでは自分で税務・会計の処理をする前提でツールを紹介しましたが、仕事が忙しすぎて税務・会計・経理の作業は外部にお願いしたい場合は税理士にお願いすることになります。外部に優秀な税務スタッフを置くイメージになりますし、一度契約を結んだら長い取引きになりますので、納得のいくまで探すことが必要です。税理士ドットコムで最適な税理士選びなら心ゆくまで税理士選びに徹することができます。
(2)ホームページの作成や名刺の作成を格安で行う時に便利なツール
会社設立後は必ずホームページや名刺作成は必要だと思います。ホームページなら専門業者にお願いすると30万円から100万円ぐらいかかる事も多いです。ところがペライチなら簡単に自分でホームページが作成できます。しかも無料で立派なホームページが出来上がるのでオススメです。
名刺は会社の顔ですから、オシャレでオンリーワンの名刺を作ることで営業活動に活かしましょう。オシャレな名刺を簡単作成!カスタムデザイン名刺whooなら自分の気に入るデザインが見つかるはずです。
◆自分で株式会社設立をするときのメリットとデメリット
最後に自分で株式会社設立するときのメリットやデメリットを考えておくことで、本当に自分で株式会社設立するべきかどうかの判断材料にしてください。
(1)自分で株式会社設立をするときのメリット
まずは自分で株式会社設立するときのメリットです。
1、自分の会社を自分の手でつくるという思い出ができる
自分で株式会社設立をするときのメリットはまずは、自分の立ち上げる会社を、自分で作ったというエピソードが出来るということでしょうか。株式会社設立に詳しくなるというメリットもあるかもしれませんが、人生の中で会社をそう何回も立ち上げる人は稀だと思います。
2、費用は専門家にお願いするよりも安くなるが顧問契約前提の会計事務所が一番安い
株式会社設立は専門家に払う手数料がない分、自分で株式会社設立をした方が設立費用が安くなることが多いです。ただし、顧問契約を税理士と結ぶことを前提とするのであれば税理士事務所や会計士事務所に株式会社設立をお願いした方が設立費用だけなら一番安くなることが多いです。
(2)自分で株式会社設立をするときのデメリット
次に株式会社設立のデメリットです。
1、電子定款の認証ができないので収入印紙代4万円が必要になる
自分で株式会社設立をすると公証役場への定款認証は自分でやらなければいけません。収入印紙代4万円がかかります。司法書士や株式会社設立をしてくれる業者に頼めば電子認証をしてくれるので4万円はかからないんですよね。逆に司法書士や業者にお願いすると値段はピンキリですが手数料が必要です。自分で電子認証の環境をつくろうと思っても一回だけの設立にそこまでコストと手間はかけたくない方が多いのではないでしょうか。
2、ゼロから自分で書類を作ったりする手間とストレス
事務作業や書類作業が得意な方ならまだしも、私のように細かい作業が苦手な方は株式会社設立書類を作成する時点でつまづいてしまうかもしれません。初めてやることを調べながら、絶対に間違いの許されない書類を作成することは予想以上にストレスのかかることだと思います。わからない言葉が多い中で、本やインターネットで調べながら進めるのは結構時間がかかりますので注意しておきたいところです。
◆「自分で株式会社設立」まとめ
自分で株式会社設立をすることはもちろん大事なのですが、コストや手間などもしっかり考慮にいれて決めていきたいところです。特に苦手な方であれば手数料払ってでも専門家にお願いして、空いた時間は見込み顧客の獲得に注力するなど良いかもしれません。
また、株式会社設立後には税理士との顧問契約を前提としているのであれば、株式会社設立からお手伝いしてくれる会計士事務所や税理士事務所を探せば手数料無料で全部やってくれますので、ありがたいですよね。それらを全部踏まえた上で自分でやるかどうかを決めていただければと思います。
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