会社設立時の資本金は、多ければ対外的な信頼が上がるのでなるべく多くの金額を設定したいとよく相談されます。
本来は資本金にできないお金を、あたかも資本金のように手続きする「見せ金」についてどんなリスクがあるのか整理しておきましょう。
>見せ金のリスクに注意しながら自分で会社をつくろう!会社設立freee
▼どこまでが資本金の見せ金になってしまうのか。
▼見せ金を使って会社設立したときのリスク。
◆資本金を見せ金で会社設立するとは?
会社設立時の資本金や、手続き内容を知ることで見せ金の範囲を見極めていきたいと思います。
(1)会社設立時の資本金について
資本金には色んな意味があります。会社の信頼を測るものさしとして使われたり、会社運営のために最初の資金だったりします。
また許認可と言われる特別な仕事をするときにも、資本金の額が要件になったりします。
人材紹介会社をするには資本金500万円以上ないとダメなんだよね。
この会社を良く見せようとしたり、許認可をなんとか取りたいということで見せ金で会社設立しちゃう危険な人がいたりするのです。
本来は、ちゃんと自分の身の丈にあった金額で資本金を設定しないといけません。
資本金の金額を決めるのにはコツがあります。
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(2)会社設立時の見せ金とは何でしょうか?
見せ金とは、本当には無いお金をあたかもあるかのように見せることです。
実際にどのように、こうした見せ金という方法が使われるのかについても見ていきましょう。
1、会社設立時の資本金の手続きの仕方について
まずは会社設立時の資本金の扱い方から考えていきましょう。会社を設立する人を発起人と言います。会社の設立を企てる人です。
合同会社の場合は、出資をする人を社員と言うんだよね。
発起人は株式会社のことについて色々と決めて、資本金も発起人が出します。会社設立時には、まだ法人の口座が無いので、発起人個人の口座に資本金の金額を振り込んでおくのです。
たとえば私が資本金100万円の会社を作ろうと思ったら、発起人がプライベートで使っている銀行口座に100万円を振り込みます。その通帳の印字したページを証拠書類として法務局に出すわけです。
法務局は、資本金があるという証拠をこの通帳のコピーしか確認しないんじゃ。
2、見せ金で株式会社設立をするということはどういうこと?
見せ金を使って会社設立するってことは、この通帳に一時的に入れるお金を大きくすることです。
しかも本来は資本金にできないお金を、資本金にしているわけなので問題が出てきます。
たとえば私が100万円の資本金で会社を作りたいと思いましたが、100万円が手元に無かったとします。
仕方がないので友人にスグに返すという約束で一時的に100万円を借り、それを自分の口座に振り込み会社設立をしました。
会社が出来た後に、その100万円をそのまま友人に返すとき、それは見せ金というかたちになるわけですね。
資本金を払込む手続きについて詳しく理解しておくと、見せ金の件もさらに深く理解できます。
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◆見せ金で会社設立をするとどんな問題があるのか?
見せ金でも、借りているお金を売上の中から少しずつ返していけば問題なさそうですが、具体的な問題点について整理しておきます。
(1)税務的な処理についての問題やリスク
私が借りた100万円を資本金にして会社を作ったとします。設立後スグに100万円すべて返してしまったときは問題があります。
100万円の資本金で会社設立をしたということは、そのお金は会社のものということです。それを私が100万円引き出して、友人に返したとします。それは私が会社から100万円を借りて、友人に返したという扱いになるのです。
設立当初から社長が会社から100万円を借りている状態。そんな会社は滅多にありません。金融機関からは、社長が会社を私物化しているとして、融資を受けられなくなる可能性だって高まります。
また、会社が社長にお金を貸しているという扱いなので、いつまでも返済されないでいると、会社から社長に100万円が支給されたともみれますよね。それが社長への賞与として課税される可能性も考えなくてはいけません。
(2)会社法上の問題やリスク
本来あるべきお金がないわけで、それをあたかもあるかのように会社設立の手続きをするということは、最悪の場合、公正証書原本不実記載等罪にあたってしまうかもしれません。そうした件の責任については、会社法でも明文化されています。
(出資の履行を仮装した場合の責任等)
第52条の21、発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
一 第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払
二 第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)2、前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
3、発起人が第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
4、発起人は、第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第六十五条第一項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。
5、前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
資本金をあたかもあるかのように、している場合はちゃんとその分の資本金を払い込んで下さいということが書かれています。
そして罰則としても5年以下の懲役又は50万円以下の罰金ということです。
(3)見せ金をすることで創業融資が受けられなくなるリスク
本当は無いお金を、資本金として扱っているわけなので、金融機関に見せたらスグにバレます。
特に創業時に融資を受ける先は、日本政策金融公庫になるでしょう。
日本政策金融公庫であれば、自己資金がどれぐらいあるかによって融資の金額や、成功確率が変わります。
そのため公庫も、自己資金をどうやって貯めてきたのか、通帳を見せて欲しいと言ってくるのです。
その時におかしなお金の動きなどがあると、見せ金として自己資金に扱ってもらえないわけです。また平気で違反するような人に、公庫はお金を貸してくれません。
誰かに借りた100万円がいきなり通帳に振り込まれていたら、誰でも怪しいって思うよね。
◆「見せ金で会社設立するリスク」まとめ
会社設立時の資本金を見せ金で何とかすることはできません。会社法上でも禁止されている行為ですし、仮にバレないとしても会社の数字として辻褄が合わなくなってしまいます。
結果的には代表が、会社から見せ金分のお金を借りている扱いになりますし、ちゃんと会社にお金を返さないと会社が役員に報酬を渡したという扱いになる危険性すらあります。
そうなると所得税や社会保険料も本来の金額よりも大きな額を取られるリスクだってあります。
もちろん見せ金で、創業融資を受ける可能性もゼロになってしまうわけです。たぶん会社を大きく見せたいとか、融資を受けるにあたり有利に見せないなどの動機があると思いますが、見せ金をすることで全てがマイナスに働いてしまうわけです。
思い付きで起業をするよりも、会社勤めの時からコツコツと事業用の資金を貯めておくことが一番の信頼になります。間違っても見せ金で会社設立をしないよう気を付けてください。
資本金が決まれば、あとは設立の手続きへ一直線。もし自分で会社を設立するならネット上で初心者でも対応できる会社設立freee
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