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現物出資で会社設立をするときに必要な「定款・調査報告書・財産引継書」の作り方

会社をつくる時に、お金を出資するのではなく物を出資することを現物出資と言います。

パソコンとか自動車なんかを現物出資する会社が多いですよね。他にもお金に換算できるなら、土地でも有価証券でもなんでもあり。

そもそも現物出資とは?から始まってメリット・デメリットみたいな基本情報を知りたい人は以下の記事も参考にしてみてください。

>現物出資とは?メリットとデメリットはこちら

ここでは、現物出資をして会社設立するときに必ず準備しないといけない「定款」や「財産引継書」や「調査報告書」の作り方を紹介。

目次

現物出資するモノの価値や情報を整理する

モノを資本金と出資する。つまり、現物出資するモノが一体いくらで出資できるのか?を決めることから始まります。

実は厳密なルールがあるわけではなく、一般的に言われるのは世の中に流通する金額が目安ということ。え?そんなんで大丈夫?みたいな感じですよね。

本来は専門家が、その価値を調べて、金額を決めた方が良いはず。でも、少ない現物出資額でそんな手間をかけるのもいかがなものか・・・。

そこで500万円未満の現物出資は、自分たちで決めた金額で登録しちゃおうってことになったんですね。

具体的な現物出資金額は何を参考にするの?

現物出資とは、お金の価値があるものであれば、ほとんど資本金として扱うことができる。

だから客観的にお金に換算できないものは現物終始ができないので、要注意。

「私の持っているどんなストレスにも打ち勝つノウハウを出資」とか「私の生涯年収には3億円の価値があるから私自身を出資したい」みたいな現物出資はできないわけです。

お金の価値に換算できるものを現物出資するとして、たとえばパソコンを見てみましょう。

Apple社のMacbookを現物出資します。2年前に買ったんだけど、まだまだ使える。新品で買った金額を現物出資すれば良いのかな?と思うのですが、時価を出資金額にしなければいけない。

中古で同じパソコンを買ったらいくら?という視点で金額を決めるんですね。

私のパソコンが「MacBook Air (Retina, 13-inch, 2020)」なので中古品価格をネットで検索して参考にします。あくまで時価ですから、厳密に証拠情報を探す必要はなく、参考にする程度。

調べるとだいたい8万円〜9万円だから、とりあえず「8万円」を現物出資額にしようといった具合です。

これを勝手に「20万円」みたいな現実離れした金額を設定するのはやめた方が良いわけです。

現物出資をするためにそろえるために製品名や型番などを準備

現物出資するモノとその金額が決まれば、会社設立書類に情報を反映していきます。

そのために、どんなモノかを特定するための情報を整理してください。

・製品名
・製造年月日
・型番
・金額

といった情報が必要です。もし、土地とか建物とか有価証券とか現物出資するときは、法務局の電話相談を活用した方が絶対にいい。

>法務局に会社設立について無料で相談する

余談だけど、時間があるなら会社設立なんて法務局で書類の雛形があるし、電話で相談できるし、なんなら窓口で直接相談できる。便利な世の中です。

現物出資で会社設立するときの「定款」のつくり方

現物出資するときは、定款も普通の書き方ではなく、現物出資モードに変更しないといけません。

定款は会社の基本ルールを決めたものでして、そこに資本金を書く場所があります。現物出資するなら、そのことを定款に記載してくだいとなってこと。

会社法の二十八条に定款に現物出資について記載しようと書いてある

第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。

一、金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)

参考:GーGOV法令検索「会社法第二十八条」

こんな風に法律の文章を読むと、脳みそから煙が出てきます。

ここに書いているのは、何度もお話したように「現物出資するなら定款に、出資する人の名前とモノとその金額を書いてね」ということです。

具体的には会社設立時の定款にはどうやって現物出資を書く?

普通の定款の書き方は以下のページでまとめていますので、その定款をベースにして現物出資モードを紹介します。

>株式会社の定款の雛形を紹介

では具体的に手を加える箇所をみていきたい。次の文章を定款の中に加えるだけです。

(発起人)

第27条 発起人の氏名,住所及び発起人が設立に際して引き受けた株式数は,次のとおりである。

○県○市○町○丁目○番○号 発起人名 ○○株
○県○市○町○丁目○番○号 発起人名 ○○株

(現物出資)

第◯条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的である財産、その価額及びこに対して割り当てる株式の数は、次のとおりである。

(1)出資者

発起人 ●●

(2)

(3)

現物出資で使う調査報告書の作り方とは?

調査報告書は現物出資で会社をつくる時に必要となる書類。

昔はすべての株式会社設立で調査報告書をつくらなければなりませんでしたが、法律が変わり現物出資をするときに出さなけばいけないように内容が変わりました。

株式会社設立時に必要な調査報告書とは何なのでしょうか?

かんたんに説明すると、株式会社設立のときに、ちゃんと出資してくれた人に株が割り当てられているか、とか資本金のお金や現物出資としてのモノが出されていて、ちゃんとルールを守られて出資されているのか等を取締役が調査をして報告書としてまとめたものを言います。

基本的に現物出資をして株式会社設立をするときに、調査報告書を一緒に出すのですが現物出資のモノがちゃんとした金額で設定されているかどうかなどを、しっかりとルールにのっとって進められたかを調査し報告する必要があるんですね。

それでは次は具体的に現物出資をして株式会社設立するときにつくる調査報告書のつくり方・書き方をみていきましょう。

株式会社設立時に必要な調査報告書の雛形とつくり方

それでは、実際の調査報告書の雛形と書き方をみていきましょう。雛形はこちらのページの法務局の会社設立書類のまとまっているページに存在します。下にも引用させて頂きますね。

ちなみに、現物出資で株式会社設立する場合は、現物出資の金額が500万円以内であれば、調査報告書だけで大丈夫ですが、500万円を超えると検査役という専門家にお願いしなければならないなど、少し面倒になります。今回の調査報告書のつくり方は現物出資500万円以内を想定しています。

 調査報告書

調査報告書

平成○年○月○日○○商事株式会社(設立中)の取締役に選任されたので,会社 法第46条の規定に基づいて調査をした。その結果は次のとおりである。

調査事項

1 定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項(会社法第33条第10 項第1号及び第2号に該当する事項)
定款に定めた,現物出資をする者は発起人○○であり,出資の目的たる財産, その価額並びにこれに対し割り当てる設立時発行株式の種類及び数は下記のとお りである。

イ 何県何市何町何番何の 宅地  ○○㎡  
定款に記載された価額 金○○円
これに対し割り当てる設立時発行株式 普通株式 ○○株
ロ 何株式会社普通株式 ○○株 価額 金○○円
これに対し割り当てる設立時発行株式 普通株式 ○○株

① 上記イについては,時価金○円と見積もられるべきところ,定款に記載した 評価価額はその約4分の3の金○円であり,これに対し割り当てる設立時発行 株式の数は○○株であることから,当該定款の定めは正当なものと認める。
② 上記ロにつき,当該有価証券の価額は,時価○円以上であり,当該定款の定 める価額は相当であることを認める。

2 発起人○○の引受けにかかる○株について,平成○年○月○日現物出資の目的 たる財産の給付があったことは,別紙財産引継書により認める。 

3 平成○年○月○日までに払込みが完了していることは株式会社○○銀行の払金 受入証明書により認める。 

4 上記事項以外の設立に関する手続が法令又は定款に違反していないことを認め る。

上記のとおり会社法の規定に従い報告する。

平成○年○月○日 

 ○○商事株式会社 
設立時取締役 法務 太郎 ㊞
同 法務 一郎 ㊞

株式会社設立時の調査報告書の書き方

上に記載した雛形をもとに、それぞれの項目や空欄の書き方について解説していきますね!

①日付、会社の名前を入力してください。今回は取締役が作成する調査報告書というかたちで書類の例を出しています(場合によって監査役などを含むときにはそちらを記載します)。

②現物出資をする発起人(出資をする人)の名前を書いてください。

③今回現物出資をする財産とその金額を書く項目です。財産引継書というものもつくるのですが、それと同じ内容を書いてください。

④財産引継書に書いてある日付と同じになるようにしてください。

⑤払込証明書と同じ日付を入れるようにしてください。

⑥調査報告書を作成した日付を入れてください。④と⑤の手続きが終わったあとに調査報告書をつくるわけですので、その日より後ろの日付にしましょう。

⑦設立するときの取締役全員の名前を書いて、印を押すようにして下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか。株式会社設立時の調査報告書を書くのは、このように現物出資をするときぐらいです。

もし、自分の設立を予定する会社で、なにかモノとかを資本金にして入れたいなという場合には通常の株式会社設立で準備する書類とは変わる部分があるので注意してくださいね。

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