扶養控除という言葉を聞いたことはありますか?
両方とも養うという意味で、誰かを養っていたら税金が安くなる仕組みです。結婚してから妻を養うとか、子どもを養うとかのイメージが強いと思いますが、夫を養うというケースがあるかもしれないですし、両親を養うということもありえます。
結婚している、していないに関わらずこの扶養控除については理解しておくと、税金対策の強い味方になるはずです。
・扶養控除の仕組みや活用方法。
◆扶養控除の基本を理解しよう
扶養控除の「扶」も「養」も「やしなう」という意味です。つまり、養う人がいれば税金を安くする仕組みが扶養控除というわけです。
税金が安くなるって、どういう仕組みで安くなるの?
基本的に所得税を計算するときの元になる数字から扶養金額の数字を差し引いてくれるんじゃよ。
(1)扶養控除は扶養している人数によって控除できる金額が変わる
お給料をもらっている人が納めている税金は所得税です。元になる収入に所得税率をかけて所得税が計算されます。
この元になる収入から、養っている人がいればルールに沿っていくらか金額を差し引いてくれるのです。元になる収入が小さくなれば所得税も少なくなりますよね。これが扶養控除のメリットになります。
扶養控除の対象になる人数によって、控除できる金額は変わってきます。基本的には一人につき38万円です。
たとえば私が17歳と19歳の子どもを養っていれば、扶養控除の対象となり「38万円×2名分」で合計76万円を、所得税を計算する金額から差し引くことができるのです。
(2)扶養控除の対象となる家族の範囲はどこまで?
家族であれば全員扶養控除の対象となるわけではありません。国税庁のホームページでは以下の4つの条件にすべて当てはまればOKとなっています。
1、配偶者以外の親族
扶養控除の対象は配偶者以外の親族です。配偶者には、「配偶者控除」という違う枠組みで特別ルールが設定されているので、扶養控除には含めないんですね。そして親族の範囲は「6親等内の血族及び3親等内の姻族」となっています。
2、納税者と生計を一にしていること
納税者というのは養っている立場の人のことですね。一家の大黒柱です。生計を一にしているということは、生活や家計を一つで考えているわけなので、生活を一緒にしていて一緒のお財布で生活していれば生計を一にしているという意味です。
私が結婚をして、子どもと一緒に生活していたら、子どもは生計を一にしていると言えるわけです。子どもが大学に通うため一人暮らししていて仕送りしているとか、単身赴任で自分だけ別で住んでいる場合も生計を一にしていると言えます。
3、扶養される人の収入が103万円以下であること
扶養される立場の人がガンガン稼いでいたら扶養控除の対象にはなりません。生計を一にしているからといって私の子どもが1000万円も稼いでいたら扶養から外れるわけです。
扶養に入るのであれば、養われる人は年間で103万円以内の収入でないといけません。
4、青色専従者や白色専従者でないこと
これは普通の会社員というよりも、個人事業主の場合に気をつけることです。個人事業主が家族にお給料を支払って経費として認めてもらうには青色専従者の届出を出しておかないといけません。
届出を出していないときは、白色の専従者としてメリットは少なくなりますが一定の範囲で家族に支払った給与も経費として考えることができるのです。
そして扶養控除の対象になる人は、生計を一にしていて、給与も年間で103万円以内だっとしても、専従者として給与をもらっている場合は扶養控除の対象にはなりません。
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青色専従者については、大切なキーワードなので、こちらの記事もご覧ください。
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5、控除の対象になるのはさらに16歳以上の人
これまでに扶養控除の対象になる人の条件をあげましたが、最後に養われる立場の人が年齢が16歳以上でないと扶養控除として税金を安くすることができません。
対象になる年が満16歳以上かどうかになるので、最後の最後で対象にならないということもあるので、注意しましょう。
◆扶養控除を活用する時の注意点
扶養控除の注意点といえば、上で紹介した要件に当てはまるかどうかです。特に
(1)扶養控除と社会保険の扶養って何か違いがあるの?
扶養と聞いて間違いやすいのが、扶養控除と社会保険の扶養についてだと思います。扶養控除は今まで説明してきた通り、家族を養っていれば税金が安くなるルールです。
社会保険にも扶養という言葉が使われるので、混乱しやすいです。社会保険は健康保険と厚生年金を合わせたもので、サラリーマンや会社員はみんな加入している制度です。
サラリーマンは社会保険入っているから、健康保険を使って安く治療を受けられるし、厚生年金入っているから老後もしっかり年金を受け取れるんだよね。
その通りじゃな。そして、この社会保険も養っている家族がいれば、その家族も対象になるのじゃよ。
社会保険は加入者の養ってる家族も含まれることがあります。それが養われる家族の収入が130万円以内のときです。
たとえば、私が社会保険に加入していれば、私の妻が年収130万円以内で働いてれば、私の社会保険を適用することができます。つまり私の妻は、わざわざ自分で健康保険に加入しなくても、私が入っている健康保険を使って病院に通えるし、将来は私の入っている厚生年金が適用されて年金も最低限ですがもらえるわけです。
実は「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」では交通費の扱いが違います。混乱しないように注意してください。
103万円以内と表現をした、税制上の扶養の上限年収には交通費は含まれません。
一方、130万円以内と表現をした、社会保険上の扶養は上下年収に交通費を含むのです。
(2)税金対策のために扶養控除を使うときの注意点
最後に扶養控除を使うときの注意点をまとめておきたいと思います。
1、親族で扶養控除に当てはまる人を漏れなく適用する
扶養控除の対象になる人かどうかを改めて確認してもれなく適用するようにしましょう。「6親等以内の血族・3親等以内の親族」「生計を一にしている」「扶養される人の収入が103万円未満」「青色専従者でない」「16歳以上」で養っているという状態といえるかどうかが大切です。
2、扶養する人の条件によって扶養控除額が変わる
扶養控除の金額(税金の計算するときに差し引ける金額)は基本的に38万円ですが、状況によって38万円以上が控除されることになります。
たとえば19歳以上23歳未満の子どもを扶養している場合は、63万円の扶養控除が適用されます。さらに、70歳以上の老人を扶養している場合は、同居していれば58万円の扶養控除で、同居していなければ48万円の扶養控除となります。
3、重複して扶養することはできません
当たり前ですが、養われる人は一人に対して1名分の扶養控除しかできません。たとえば共働き夫婦に子どもがいたとして、お父さんとお母さんのどちらが扶養控除の対象にするかは片方しか洗濯できないのです。
◆「扶養控除」まとめ
会社員やサラリーマンが扶養控除をフル活用するために、扶養控除の対象となる条件は性格に理解しておきましょう。
お給料をもらっている人たちは基本的に毎月のお給料から所得税や住民税が天引きされていると思います。扶養控除をどのタイミングで計算するかといえば、毎年12月の年末調整のタイミングです。
取りっぱぐれが無いように、国は毎月お給料から所得税や住民税を天引きして、一人一人の状況に合わせて扶養控除などを加味するのが一年に一回の年末調整なわけです。つまり扶養控除などで安くなった分、お金が戻ってくる仕組みと考えてください。
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