お給料をもらっている人なら12月ぐらいに年末調整と言われて、会社から配偶者についてや、子どもについて確認される書類を提出したりしていませんか?
これは会社側が従業員が収めるべき適切な税金を計算するために使う情報です。会社員だと、税金のことはほとんど会社がやってくれるのでラクな反面、税金に対する意識が薄くなってしまいがちです。
そこで自分たちの税金にダイレクトに影響をする、配偶者控除や配偶者特別控除について、できるかぎりわかりやすく紹介したいと思います。
・配偶者控除や配偶者特別控除に関する基礎知識について。
・改正のあった配偶者控除や配偶者特別控除の内容。
◆配偶者控除について基本事項を整理
配偶者控除とは、配偶者が一定の条件を満たせば税金を安くしてくれる制度です。配偶者特別控除は、配偶者いるけど条件満たしていなので配偶者控除ほどではないけど、少しばかり税金を安くしてくれる制度です。
(1)配偶者控除について
配偶者控除とは、配偶者の稼ぐ金額によって一家の大黒柱である世帯主の税金が安くなる制度です。
たとえば私が世帯主であり、サラリーマンとして毎月お給料をもらっていたとします。お給料から天引きされているのは、所得税と住民税です。
この時、妻の稼ぎが年103万円以内であれば、配偶者控除という税金を安くする特別ルールが適用となります。私の所得税を計算するときの元の金額から38万円を差し引いた状態で、所得税率をかけてくれるので所得税が安くなるのです。
その節税効果は住民税にまで及ぶので、所得税と同時に住民税も安くなるわけです。
(2)配偶者控除の対象になる配偶者の条件は?
国税庁のホームページでは、配偶者控除ができる対象として4つの条件を挙げています。
1、民法の規定による配偶者であること。(内縁関係の人は該当しません。)
これは当たり前のことだと思うのですが、配偶者控除というくらいだからちゃんと配偶者として法律的に認められていないといけないんですよね。
ただ、最近は事実婚みたいに籍をいれなかったり内縁関係のまま生活している人も少なくないはずです。こうした人たちは残念ながら配偶者控除を使うことができません。ちなみに、社会保険上の扶養には配偶者だけでなく、内縁関係の人も含めてOKなので混乱しないようにしたいですね。
2、納税者と生計を一にしていること
納税者というのは税金を収める立場の人だから、一家の大黒柱の方ですね。それと配偶者が生計を一にしている。つまり一緒のお財布で生活していることが条件なわけです。
配偶者でもパートとかで少し働いていることもあると思いますが、お互いに生活費を出し合ってやりくりしているイメージですよね。
3、年間の給与所得が103万円以下であること
これがよく言われる103万円の壁というやつですね。お給料だけの収入がある人が前提ですけど、年間で103万円の稼ぎを超えてしまうと配偶者控除の対象にはなりません。まぁ、超えてしまっても配偶者特別控除という、もう一つの制度でフォローはされているんですけどね。
給与以外にも収入がある人は、いくらまでなら配偶者控除の対象になるのかは大切なことなので、税務署に直接問い合わせるなどして確認をしてください。
4、青色事業専従者としてその年にお給料をもらっていないこと
これはサラリーマンというより個人事業主の注意点です。個人事業主は基本的に身内に払うお給料は経費にできません。ただし、青色事業専従者という届出を提出しておけば、とくべつに家族に払うお金も経費として認めてくれるのです。
配偶者控除を使うには、この青色事業専従者としてお給料をもらっていたらNGなわけです。よく似たものに白色専従者というものもありますが、これもNGです。
(3)配偶者控除で差し引ける金額について
基本的に配偶者控除といえば38万円を控除できる、つまり所得税を計算する元に金額から38万円を引いて、所得税率をかけると理解されています。
ただし、最近は法改正があり、一家の大黒柱の収入によって控除できる金額が代わりました。
見にくいかもしれないですが、控除を受ける納税者の所得が900万円以下なら38万円を控除できます。養われる人が老人なら48万円の控除です。
収入が900万円を超えて950万円以下なら、26万円の控除です。養われる人が老人であれば32万円の控除ですね。
収入が950万円を超えて1000万円以下なら13万円の控除です。養われる人が老人であれば13満円の控除です。
残念ながら収入が1000万円を超える人は、法改正によって配偶者控除を受けられなくなりました。
えー!1000万円を超える人は、配偶者控除受けられないなんて残酷だね!
◆配偶者特別控除の基本事項を整理
配偶者控除について説明しましたが、よく似た制度に配偶者特別控除があります。特別という文字がついているかですけど、これは配偶者控除で対象にならない人をフォローするような制度です。
配偶者控除は要件に当てはまれば38万円控除してくれる嬉しい制度でした。奥さんの収入は103万円以内でしたよね。
中には、どうしても生活のために103万円を超えることもあると思います。そこで配偶者特別控除とは、配偶者の収入が103万円を超えても良いけど、増えるほど控除できる金額が少なくなるよ!という仕組みです。
控除金額が少なくなったとしても、税金対策するには控除されるに越したことはないですよね。
(1)配偶者特別控除の仕組み
配偶者特別控除の対象になるための条件を一つずつ確認していきましょう。
1、控除を受ける納税者の年収が1000万円以下であること
今回の法改正によって年収1000万円を超える人は配偶者特別控除は受けられません。配偶者控除も年収1000万円を超える人は対象でないので、高収入の人は残念ながら配偶者に関する節税範囲は小さくなってしまいました。
2、配偶者の要件を満たすこと
配偶者だからこそ受けれれる税金上の特典だからこそ、客観的に配偶者と呼ぶための条件をそろえておかないといけません。
それが「民法の規定による配偶者であること(内縁関係は認められません)」「控除を受ける人と生計を一にしていること」「青色専従者として給与をもらっていないこと(白色専従者も同じ)」「年収が103万円を超えて188万円以下であること」の四つを満たしていないといけません。
(2)配偶者特別控除で控除できる金額
配偶者特別控除を使うことができれば、配偶者控除ほどではないけど、税金を安くする特典を受けることが可能です。
1、控除できる金額は夫と妻の収入の組み合わせで変わる
配偶者特別控除は一家の大黒柱である夫の収入と配偶者である妻の収入の組み合わせてで、控除できる金額が決まってきます。
説明がわかりやすくなるように、夫の収入と妻の収入という分け方をしているのじゃ。一家の大黒柱は、状況によって妻とかに置き換えると良いぞ。
配偶者特別控除の金額はこの表に照らし合わせて計算します。
↓配偶者の収入↓ | 世帯主年収 1120万円 (所得900万円) | 世帯主年収 1170万円 (所得950万円) | 世帯主年収 1220万円 (所得1000万円) |
103万超〜150万以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
150万超〜155万以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
155万超〜160万以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
160万超〜166.8万以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
166.8万超〜175.2万以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
175.2万超〜183.2万以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
183.2万超〜190.4万以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
190.4万超〜197.2万以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
197.2万超〜201.6万以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
一家の大黒柱が、世帯主とするとその年収によって控除できる金額が変わります。年収1220万円を超えると、配偶者特別控除ができなくなってしまうのですね。
次に配偶者の収入によっても控除できる金額が変わります。103万円未満は「配偶者控除」として38万円を控除できるので、配偶者の収入が103万円を超える段階から「配偶者特別控除」が適用されるようになります。
最大で配偶者の収入が201.6万円までは配偶者控除できるようですね。
◆「配偶者控除と配偶者特別控除」まとめ
配偶者を養っているということで一家の大黒柱(納税者)の税金を安くしてくれるのが配偶者控除という仕組みです。
配偶者控除には、収入の条件があるので中には当てはまらない人もいるでしょう。当てはまらない人の中でも、ランク付けはあるけど少しだけ税金を安くしてくれる制度が配偶者特別控除です。名前が似ているので混乱しないようにしてくださいね。
配偶者特別控除にも当てはまらないぐらい、夫や妻に収入があるのであれば配偶者控除も配偶者特別控除も諦めるしかないですね。
その代わり、扶養控除が使えないか?ふるさと納税は使えないか?寄付金控除は使えないか?などの可能性をさぐってみましょう!
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