個人事業主は、会社員と違い「確定申告」をして税金を納めます。
利益が出てくると、税金が多くなるので何とかして税金対策をしたいのが人の常。
「これってどこまで経費で認められるの?」みたいなことや、「こんな税金対策やっても大丈夫なの?」なんてことありませんか?
実は税金対策には大まかなルールは法律で決まっているけど、1から100までルールが決まってるわけじゃありません。
節税対策したいけど、グレーゾーンを攻めすぎて税務調査で問題視されても本末転倒です。
そこで節税として、グレーゾーンはどこまで大丈夫なのか考えていきたいと思います。
グレーゾーンとか言わず、税金納める人たちが困るんだから、法律で明確にした方が良いんじゃない?
ただでさえ膨大な情報量の税金のルールに対して、めちゃくちゃ細かくルールを設定すると逆に運用が大変なんじゃ。
◆個人事業主の確定申告と税金対策に関する基礎知識
(1)超ざっくりな確定申告の説明
会社に所属せずに自分で事業を行なっている人は、個人事業主と言います。
個人事業主は毎年1月から12月までの売上や経費を計算して、翌年3月15日までに税金を確定して申告するのです。
これが確定申告。
(2)個人事業主以外の人たちは税金をどうやって納める?
・法人は決算の申告
法人の場合は、会社ごとに決められた事業年度に従って決算の申告をします。この時は法人の利益によって法人税を納めることになるわけです。
・お給料もらっている人は天引き
会社で働いている人でお給料をもらっている人たちは税金が天引きされているはずです。基本的には所得税や住民税がお給料から天引きされる税金の代表ですね。
・みんな納めている消費税
消費税は誰もが物やサービスに対してお金を支払った時に払う税金ですよね。一番身近な税金なのではないでしょうか。
(3)税金対策の基礎知識
次に税金対策に関する基本的な考え方について確認しておきましょう。ここで考える税金対策はグレーゾーンではなくあくまで王道の税金対策と言われるものです。
税金対策を整理するにあたり、様々な分け方がありますが、ここでは経費をしっかり使うという軸と、控除をしっかり使うという二軸で説明できればと思います。
1、経費をしっかり計上して税金対策
一つ目は経費をしっかり計上して税金対策という事が挙げられます。経費を多く計上できればその分、利益が少なくなるので税金対策としての効果が見込まれます。ただし、事業に紐付かない経費を計上してしまうのは法律違反ですから、本来は経費計上できるのにされていないものを漏れなく経費計上していくことが税金対策の第一歩です。
経費をしっかり計上することについては、個人事業主に関する経費をしっかり計上する内容でまとめた記事があります。経費という観点で理解するには参考になると思いますので、こちらの「個人事業主が経費を最大限活用して税金対策する方法」をご覧ください。
2、控除をしっかり活用して税金対策
税金対策の王道として次に控除をしっかりと利用し尽くすことが挙げられます。税金を計算の仕方を大まかに説明すると、まず売上から経費を引きます。出てきた利益から、さらに所得控除と呼ばれる特別ルールでさらに利益から決められた金額を差し引きます。そこに税率をかけると税金額が出ますが、税額控除という特別ルールを使えばさらにそこから税金額を少なくすることが出来るわけです。控除の条件を把握して漏れなく利用することが税金対策となるはずです。
控除を活用した税金対策については、種類がたくさんあるので自分が何に当てはまるのか全て把握するのは中々難儀なものです。詳細についてはこちらの「安心して暮らせる貯蓄を手に入れる控除を活用した税金対策の方法」も参考になるかもしれません。
3、その他の税金対策
最後にその他の税金対策というくくりでまとめてみました。例えば役員報酬として奥様に所得を振り分けてみるとか、経費の中でも、一年分を先払いして目の前の利益を少なくする工夫をしてみるなどのテクニック的な部分になります。
法人に関わるそうした税金対策の方法については、こちらの「【決定版】スグできる!法人の税金対策を完全網羅」の記事を参考にしてみて下さい。
◆グレーゾーンを攻めすぎると脱税になる!?
次にグレーゾーンを考える前に、先に脱税に関する情報を整理しておくことで、比較しながら理解が出来ると思います。
脱税とは何か?
税金に関するルールは税法という各種法律で枠組みが決まっています。それに背いて違法に税金を安くする行為のことです。利益が出ているのに申告をしなかったり、わざと売上が低くなるように操作したり、経費を水増ししたりするような事が主な脱税行為となります。これに対して税金対策や節税は合法的に税金を低く抑える取り組みを指します。
脱税が発覚する主なルート
脱税はうまくやっているつもりでも税務署はあの手この手で調べてきます。周りの経営者がやっているからという感覚で手を出したらあとで後悔するのが目に見えていますのでよしておきましょう。実際に税務調査は数年に一度入るかもしれないですし、不自然なお金の使い方をしていればそれこそ怪しまれるでしょうし、密告されることもあるようですね。
脱税をするとどんなペナルティがあるの?
・刑罰
有罪判決を受ければ、一般的に10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金という事になります。
・過少申告加算税
本来の金額よりも低く申告した場合に発生する加算税です。追加で課税される税金の10%から15%が課税されます。
・無申告加算税
期限内に申告しなかった時に加算されるもので、基本的には納税額の15%から20%が加算税となります。ただし、申告期限から二週間以内であれば加算税は発生しません。
・不納付加算税
源泉所得税を期限を過ぎて納める時に加算されることがある加算税です。基本的には納付金額の10%です。
・重加算税
申告する内容に隠蔽や仮装が見られる時に課されるのが重加算税です。悪質なものに対して実施されるイメージですね。だいたい35%から40%が課されることになります。
・延滞税
税金を期限までに申告しない時に、その日数に応じて税金が上乗せされるのが延滞税というものです。日数に応じて金額が変わります。
◆王道の税金対策とグレーゾーンの税金対策
それでは、メインテーマの税金対策におけるグレーゾーンを見ていくことにしましょう。これまでにご紹介した税法に乗っ取った適法な税金対策と脱税の間のどちらにも属さない微妙なラインの事をグレーゾーンと言います。他の言葉では租税回避という言葉で表現されたりもします。
グレーゾーンとは
税金のルールが法律で決まっていると言っても、その法律は完璧ではありません。日々新しい世の中の仕組みやサービスが生まれる中で法律がそれに追いつかない場合や、法律が定められた時には想定していない事もあったりします。そうした法律の間をすり抜けて、脱税とは言えないまでも、王道の税金対策としては場合によって税務調査で突っ込みどころが満載のようなものをグレーゾーンや租税回避と言ったりします。
グレーゾーンはどこまで攻めて大丈夫?
税金対策におけるグレーゾーンをどこまで攻めるかどうかに関してですが、最終的には納税者の自己責任でギリギリのラインを攻めるのであれば、止めることは出来ません。ただし、今は税金対策として機能するグレーゾーンの税金対策だったとしても、法律が後から修正されて意図した税金対策としての効果が見込めなかったなんて事が起こる可能性があるのでおすすめはあまり出来ません。現にタワマン税制何て言われるものだったり効果的だと思われていた税金対策が後から法律で変わるなんてことは良くあることです。
◆「確定申告のグレーゾーン」まとめ
税金対策をする中でグレーゾーンをギリギリまで攻めて納める税金を最小限にしたいという気持ちは経営者であれば誰しもが持つ感覚なのではないでしょうか。
もちろんそのためのノウハウを知る事は大事なのですが、今一度「そもそも何のためにグレーゾーンを攻めてまで税金対策をする必要があるのか?」という点を是非、自分に問いかけてみて欲しいです。どんな答えが返ってきますか?
税金対策におけるグレーゾーンは脱税という違法行為には無いにせよ、ある意味ではゆくゆく法整備がされて禁止されるかもしれない事や、法解釈によっては玉虫色で税務調査が入れば危険な可能性があることが否定できないものがあるの事実です。後から法律が変わって使えない税金対策になってしまったなんて事になったら、こんなに悲しいことはありません。
是非そうした点も加味しながら、自分の税金対策のスタンスを明確にしていきましょう。
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