会社を設立しやすくなっている今、共同経営をしようと思っているという声を良く聞くようにもなりました。共同経営の相手は家族や友達、ビジネスパートナーなど様々なケースが想定されます。
一方で共同経営は失敗する・・・という話を聞いたことはありませんか?
確かに会社設立の相談を受ける中で、共同経営をする人の失敗する確率が高いような気がしています。
そこで今回は、失敗しない共同経営をするためのポイントを整理します。会社設立時には気をつけたい共同経営のメリットとデメリットを確認しておきましょう。
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・失敗しない共同経営をするための会社設立時の注意点
◆共同経営の種類について基本事項を整理
共同経営には、いくつかパターンが考えられます。同じ会社の役員として働くことや、役員と従業員の立場、出資をしてもらうといったパターンです。
(1)会社設立をして役員の立場なら共同経営
共同経営とは、共同で経営に携わることです。会社で経営者といえば役員ですね。株式会社であれば取締役、合同会社でいえば業務執行社員です。
1、株式会社の経営層は取締役のこと
株式会社の経営陣は取締役です。取締役が複数いれば、その中から代表取締役を選びます。共同経営をする場合は、取締役として名を連ねる場合が多いです。
どちらかが代表取締役と名乗ることが多いですが、全て平等にしたいという共同経営者は、二人とも代表取締役になることもあります。
2、合同会社の経営層は業務執行社員のこと
合同会社の経営陣は業務執行社員です。社員と言ったりしますが、この場合の社員は従業員という意味の社員ではないので違いに注意が必要です。
業務執行社員(社員)が複数いるときは、その中から代表社員を選びます。株式会社と同じように、共同経営の場合は、二人とも代表社員に設定することもあります。
(2)出資者の影響力は株式会社と合同会社で違う
株式会社であれば資本金を出資している人を株主と呼びます。合同会社であれば、出資している人を社員と呼びます。
出資している人たちは、ある意味で会社役員よりも強い影響力を持ちますから、共同経営社がどれぐらいの影響を会社に与えるかは重要です。
1、株式会社への影響力は出資比率で決まる
株式会社設立する場合は共同経営者の出資比率に注意が必要です。株数の比率が株主総会の議決権が変わるからです。
もし取締役会を置かない場合は、会社の大切な事項はすべて株主総会で決めますので、共同経営者同士がどれぐらいの出資比率を持つのかが会社の影響力に違いをもたらすわけです。
2、合同会社への影響力は出資比率ではなく定款で決まる
合同会社設立の場合は出資をした人が経営の権利も一緒に持つことになります。株式会社と違う点は、出資比率によって会社への影響力が変わるわけではない点です。共同経営者がどれぐらいの影響力を持つかは定款によって設定されます。
たとえば全体の出資比率が10%だったとしても、半分以上の議決権を設定できるのが合同会社の特徴です。合同会社で共同経営をする場合は、定款の設定に注意しましょう。
会社設立では嘘だと思うようなことが良くあります。共同経営と見せかけた詐欺のような案件を目の当たりにした時にはビックリしました。
定年退職間近のサラリーマンが、共同経営をするということで会社設立の相談がありました。自分は経営初心者だからといって退職金を共同経営の知り合いに渡して、自分は代表取締役になると言います。
ん!?自分のお金を共同経営者に渡してその人が出資?それだと出資比率は100%相手になっちゃうし、そもそも出資という考え方からしたら危ない橋を渡り過ぎていると思って注意しました。
最終的に、その共同経営社とは折り合いがつかず、その会社設立は破断となったのですが、あのまま会社設立したら、きっとスグに会社を奪われてしまったんだろうなと思っています。
詐欺は言い過ぎかもしれないですが、世の中には大事なことを伝えずに甘い汁をすすろうとする人がいるのは事実です。
◆共同経営で会社設立するメリットとデメリット
そもそも共同経営には、どんなメリットがあるのでしょうか?逆にデメリットやリスクも知った上で会社設立に乗り出したいものです。
ここでは共同経営による会社設立のメリットとデメリットを整理します。
(1)共同経営で会社設立するメリット
共同経営をする時は、一人で足りない能力を補たり、責任を分散できたり、一緒に目標を追いかけるパートナーができることなどです。
1、自分の足りない部分を共同経営で補うことができる
共同経営の最大のメリットは、自分の足りない能力を補える点です。たとえば営業やマーケティングが得意な人と、エンジニアなどの専門職能力を持っている人なんかの組み合わせは比較的よくいくパターンかと思います。
過去の大企業を見ても本田宗一郎と藤沢武夫のコンビはあまりに有名でしょう。
2、信頼できる経営のパートナーを手に入れることができる
経営者は孤独とよく言いますが、共同経営者がいることによって、孤独から解放される可能性は高いです。
一人で責任を追う必要もなくなるわけですから、一人で独立や起業するよりかは心持ちはラクかもしれません。
経営における重要な意思決定をしなければいけない時に、相談できる相手がいることは心強いです。
(2)共同経営で会社設立するデメリット
共同経営にはもちろんデメリットもあります。実際に会社設立前には、共同経営のデメリットも吟味したうえで決断しましょう。
1、役割が曖昧だと意思決定や経営が混乱することがある
共同経営をする目的はなんですか?ちゃんと業務の役割分担をしていますか?ここら辺が曖昧だと意思決定をする時にもめるかもしれません。
資金の使い方から、重要な経営にかかわる決断を求められた時に、最終的にどうやって決めるのか、どの分野に対しては誰が責任を持つのか、などを明確にしておきましょう。
2、共同経営の相手側が自分より仕事をしていないように見える
人間は究極的には自分のことしか考えない生き物です。共同経営をして全てを平等にしようと言って、役員報酬を同じ額で設定したとしても、行う仕事内容はバラバラなはずです。
自分の方が会社に貢献しているのに、待遇が同じなんて不平等だ!という不満は良く出てきます。共同経営をする時は、ある意味それすらも飲み込む覚悟で進める必要があると言えそうです。
◆株式会社と合同会社で共同経営する時の注意点
株式会社と合同会社では会社に与える影響に違いがあります。正確には会社に影響を与える仕組みに違いがあるのです。
会社設立をして共同経営する場合は、この点に注意しながら準備をしないといけません。
(1)合同会社で共同経営をする場合
合同会社設立は株式会社設立と比べて設立費用が安くて済みますので、費用を抑えて会社設立したいという方には向いていますよね。
また、株式会社は出資の割合によって会社に与える影響力が変わりますが、合同会社の場合は出資の割合が違っても定款に定めることによって会社に与える影響力を自由に決めることができます。
たとえば株式会社をAさんとBさんが共同経営をする場合に一人50万円ずつ出資すれば会社に与える影響力は半分ずつですが、Aさんがお金を持っていない方で仮に10万円しか出資できないとして、Bさんが90万円を出資したとします。
株式会社の場合だと会社に与える影響力は90%を出資しているBさんの方が強くなるのです。合同会社の場合はこれを定款で決めますので、会社に与える影響力を半分ずつと決めてしまえばBさんは90%を出資していたとしても半分しか会社に影響を与えられないということになるのです。
(2)株式会社で共同経営をする場合
会社に与える影響力は株式会社は出資した金額の割合になります。影響力とかみ砕いて説明しましたが、具体的には会社の大事なことは「株主総会」で決めることになるのですが、その際に持っている株の数が株主総会の議決権に紐づいているわけです。
ですので、たくさん出資をしている=たくさん株を持っている=株主総会での議決権をたくさん持っているという流れです。
1、議決権の過半数を持つことで普通決議については決定権を持つ
株式会社では過半数の議決権を持つことによって、普通決議と呼ばれる内容については決定権を持つことができます。例えば取締役を誰にするかとか、取締役の報酬はどれぐらいにするかなどはこの普通決議によって決められます。
2、議決権の3分の2以上を持つことによって特別決議の決定権を持つ
定款の変更や、会社の合併・解散などは特別決議というもので決められます。特別決議は3分の2以上の議決で決まりますので、ここを抑えておけば会社運営上のほとんどの実権を握れると考えてもらえれば大丈夫です。
◆「共同経営で会社設立」まとめ
共同経営の最大のメリットは一人では発揮できないような、相乗効果が期待できる点です。お互いにある分野のスペシャリストであればなおさら共同経営というかたちを取れば、責任もやる気も倍増できるかもしれません。
逆に共同経営だからこそ、利益が凄い出た時や、売上が激減した時には人間の欲深さを垣間見るかもしれません。事前に必ず、仕事の決定事項の責任範囲や、株式や利益に配分については良く話し合っていた方が良さそうです。
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