会社設立時に事業年度や決算月を決めなければいけません。会社の事業を集計する時の一つの区切りである「いつからいつまで?」を決めるのが事業年度です。そして事業年度の最後の月を決算月と言っています。
この決算月ですが、会社設立後にちゃんとした手続きを踏めば変更することもできます。決算月がいつになるのかによってメリット&デメリットがありますのでよく吟味して決めるようにしましょう。
会社設立時に決めるべき決算月はよくメリット・デメリットを吟味しないといけません。詳細は「会社設立時の決算期の決め方!絶対に損をしない会社設立日と決算日の関係」をご覧ください。」
・初心者でもわかる会社設立後に決算月(決算日)を変更する手続き方法について。
>決算月が決まれば、あとは会社設立freeeを使って書類を作ろう!
◆決算月(決算日)を変更手続きをする時の注意点
▼決算月の変更手続きは登記変更がいらないのでお金は基本的に発生しません。
▼決算月の変更は事業年度の変更をするので一年間を超えて事業年度の設定はできません。
▼決算月の変更手続きは新しい事業年度の末日までに行わないといけません。
(1)決算月(決算日)は登記される情報でないのでお金がかからない
会社を設立するということは、あくまでも法務局に対して「私は会社を作ります!」という書類上の手続きだと考えることができます。会社がこの世に存在する証明書が「登記事項証明書(登記簿謄本)」です。
この登記簿の情報を変更する時は、法務局に手続きが必要なので大変です。しかも手続きに登録免許税というお金もかかります。ただし、決算月は登記簿謄本に載っている情報ではないのでこの面倒でお金のかかる手続きは必要ありません。
(2)株主総会を開いて定款を変更→税務署へ決算月変更の手続き
登記簿謄本の変更が必要ないなら、どうしたら決算月を変更できるのでしょうか?
基本的には株主総会を開いて、定款の内容を変更する手続きをします。その後、税務署に対して決算月を変更します!という書類を書いて提出すれば決算月の変更となるわけです。
ちなみに、株式会社を設立した時は定款を認証する手続きをしたと思いますが、今回のように決算月を変更するために定款を変更する場合は定款認証は必要ありません。
株式会社設立する時の定款認証は公証役場でするものです。会社の基本ルールを決めた定款がちゃんと作られているかどうかのお墨付きをもらうのが定款認証という作業です。詳しくは「誰でもわかる!株式会社設立する時の公証役場で定款認証する全手順」をご覧ください。
具体的な決算月変更の手続きの仕方については後半で説明しますね。
(3)決算月はいつまでに変更?手続きのタイミングは?
決算月とは、会社の事業年度の最後の月です。まずは事業年度は一年以内でじゃないと設定できません。「決算月を変更する=事業年度を変更する」という意味なので新しい事業年度は一年以上で調整はできないのですが、意外と陥りがちな勘違いなので注意してくださいね。
・決算月を変更するときの事業年度の設定は一年間(12ヶ月)を超えてはダメ
たとえば・・・4月1日〜翌年3月末日の「12ヶ月間の事業年度」の会社があります。事業年度を変更しようと思ったら4月1日〜翌年5月末日としたら14ヶ月間も事業年度をとるので、これはNGで認められません。どうしても5月決算月の会社にしたいなら4月1日〜当年5月末日の「2ヶ月間の事業年度」にまずは変更して、その後一年間の事業年度が続くようにするんですね。
・株主総会の決議は「新しく決めた事業年度の末まで」に行う
最後に気をつけておきたいのが、今まで話した手続きは新しく決めた事業年度の末までに行う必要があるということです。4月1日〜翌年3月末日という3月決算の会社を、4月1日〜当年5月末日という5月決算の会社に変更するときは、5月末日までに変更手続きを終えないといけないわけです。
次の項目では株式会社の具体的な決算月変更の流れを見ていきましょう。
◆株式会社設立後の決算日(決算月)の変更手続きの仕方
▼株式会社設立後の決算月をどのような流れで手続きをするのか。
(1)株主総会を開く
株主とは会社の資本金を出資している人ですよね。この株主は会社の大事な決め事を決める権利を持っています。その場が株主総会です。
株主が決定できる「会社の大事な決め事」の一つに定款の変更があります。定款は会社の基本ルールを決めた大切な書類です。だからこそ定款を変更するためのハードルは高めに設定されていて株主総会を開いてみんなからOKもらわないとダメですよー!としているのですね。
そして、定款の中に決算月(決算日)に関する内容は、事業年度を明記する箇所です。この部分の日付を変更するわけです。
(事業年度)
第22条 当会社の事業年度は年1期とし,毎年4月1日から翌年3月31日までとする。
(2)議事録の作成・定款の変更
・株主総会を開いたら、その場で議事録作成
でも株主総会と聞くとテレビで見るような仰々しいものを想像しませんか?あればめちゃくちゃ大きな会社の株主総会なので、小さな会社の株主総会は普通の会議のようなイメージです。それこそ、自分一人だけしか株主がいな時は自分で株主総会を開いて議事録を黙々と作成するだけです。
議事録のフォーマットは「定款の一部変更の件(事業年度の変更・決算期の変更)」の文例をそのまま参考にして作成してください。
・議事録の作成をしたらスグに定款変更
株主総会を行ったら速やかに定款の変更をしましょう。明確にいつまでという決まりはないですが株主総会をやったら、もうその場で定款の変更に取り掛かるぐらいでやらないと忘れてしまいます。
(事業年度)
第22条 当会社の事業年度は年1期とし,毎年6月1日から翌年5月31日までとする。
株式会社設立時に定款を作ったと思いますが、その定款のデータがあれば上記の部分を新しい事業年度の日付に書き換えておけばOKです。定款更新の日付も新しいものに直しておきましょう。
会社設立時の一番最初に作って公証役場から認証をもらった定款は、原子定款といって残しておきます。新しい定款と一緒に保存しておきましょう。
(3)税務署へ届け出を出す
株主総会を開いたらスグに税務署に「異動届出書」を提出します。税務署側では一社一社いつが決算月なのか等はこうした書面で変更の連絡をしないと把握してくれないわけです。
この異動届出書は議事録のコピーも一緒に添付して出すようにしましょう。他には税務署以外に、都県税事務所と、市役所にも届け出を出すことになります。
国税庁のホームページに異動届出書の説明したページがあります。細々とわかりにくく書いてありますが「事業年度の変更をする時にはこの書類を書いて管轄の税務署に出してください」ということです。
異動届出書の雛形はこちらのデータを利用してください。①管轄の税務署名を書く②提出法人の当てはまる箇所にチェック③本店所在地、納税地、法人名、法人番号、代表者氏名、代表者住所を記載。
最後に届出書の後半部分に「事業年度を更新した場合」という項目がありますので、そこに新しい事業年度を記載して管轄の法務局に提出します。
これだけで決算日の変更手続きはおしまいです。
◆「株式会社の決算月(決算日)の変更」まとめ
株式会社設立をした後の決算月の変更の仕方を説明させて頂きました。じゃあ、決算月はいつにすれば良いの?という質問に対しては「決算月は繁忙期を避ける」「資金繰りがうまくいくように調整する」という点を思い出してください。
決算月を決まるのに悩んだら、こちらの記事を参考にメリットやデメリットをよく吟味してください。詳細は「会社設立時の決算期の決め方!絶対に損をしない会社設立日と決算日の関係」をご覧ください。」
・株式会社設立後の決算月は費用をかけずに変更ができる。
・株主総会を開いて→議事録作成して→定款の変更をして→税務書へ届出書を出す。
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