青色申告と白色申告。確定申告をしたことがある人なら聞いたことがあるはず。
これから個人事業を始めようと思う人であれば、必ず通る道。
とりあえず、皆んなが青色が良いって言うからやった・・・という方もいるはず。それで良いかなと思ったんですけど、私の性格的に細かい点が気になってしまいます。
そこで、そもそも青色申告って何?という点から解きほぐしていこうと思います。青色申告のメリット・デメリットや、白色申告との違いなんかも整理してみました。
これから個人事業主として独立するって人は、税務署へ開業届をだすタイミングには注意が必要。必要書類は、まるっと全部出した方がラク。以下を参考にどうぞ。
・青色申告と白色申告の違い
・青色申告のメリットとデメリット
・青色申告を利用するための手続きの仕方
個人事業主の青色申告とは?白色申告との違いを比較
青と白。青い空に、白い雲ってわけではなりません。
確定申告の方法に、青色申告と白色申告の二種類があります。この二つの違いについて、まずは噛み砕いて説明します。
確定申告とは、税金を確定して申告するってことです。会社からお給料をもらっている人は、会社が税金を計算してくれますけど、個人事業主は自分で計算しないといけません。
個人事業主で行う青色申告とは?
まずは青色申告。青っていうぐらいだから、何かが青かったんでしょう。
調べてみると昔は申告書が青かったから青色申告といったらしいです。わかりやすさ、大事ですよね。
白色申告は白い用紙を使っていたということなんでしょうね。
・青色申告とは複式簿記で申告する手続き
そもそも確定申告というのは、納める税金を確定して申告する手続き。
日本では、個人事業主は自分で売上や経費を計算して、利益がこんぐらいだから税金これぐらいになります!というルールで運営されている。
自分で税金を計算するわけです。
その時に、複式簿記という難しい方法で書類をつくって手続きするのが青色申告です。
・個人事業主の青色申告はメリットがいっぱい
複式簿記はお金の流れが綺麗に明記されるので、税務署側も正しく情報を把握することができる。
でも大変な作業を納税者にお願いするわけだから、青色申告してくれたら税金安くなる特典をあげるね、ってわけです。
個人事業主が行う白色申告との違いとは?
青色申告が難しい手続きであれば、白色申告はカンタンな手続き。イメージとしては、家計簿をつけるような感じで情報を整理しておく。
今は帳簿という、お金の詳細がわかる情報も残しておかないといけませんが、青色申告で求められる複式簿記は必要ありません。
・個人事業主が白色申告を選ぶメリットとは?
ひと昔前は、白色申告なら帳簿を作らなくても申告できていたので、税金の計算が苦手な人にはメリットがありました。
今はカンタンな方の帳簿を作っておかないといけないので、少しだけハードルが上がっている。
青色申告には二段階あって、難しい処理とカンタンな処理。もちろん難しい処理の方が税金安くなる特典が大きい。
でもカンタンな処理で青色申告しても
個人事業主の青色申告のメリット&デメリット一覧
個人事業主が白色申告ではなく青色申告をすることで、どんな税金的なメリットがあるのか一つ一つ紹介します。
1、青色申告特別控除で65万円を控除(差し引く)できる
確定申告で税金の計算をするときはシンプルに考えて売上から経費を引いて利益を出します。そして利益に対してさらに差し引くことのできる特典がいくつかあるのです。青色申告を出しておけば最大で利益から65万円差し引くことができるので税金的なメリットはとても大きいです。
青色申告で65万円控除を受けるには複式簿記を使った複雑な方法で帳簿を付けないといけません。でもカンタンな帳簿の付け方でも青色申告であれば10万円控除を受けることができるのです。
そもそも白色申告だとカンタンな帳簿を作りつつ10万円の控除もないのでデメリットしかありませんね。
2、赤字が出ても3年間繰り越すことで税金対策できる
個人事業主が青色申告で手続きをしておけば赤字を三年間繰り越すことができます。例えば今年の確定申告で赤字が100万円出ても普通ならそれで終わりです。青色申告であれば今年で赤字の100万円を来年、再来年、その翌年に繰り越すことができます。
向こう三年間の間に事業が黒字になれば赤字と相殺して税金を抑えることができるのです。白色申告にはこの特別ルールはありません。
3、青色専従者給与として家族に支払う給与が経費にできる
個人事業主は基本的に家族へ支払う給与は経費にできません。しかし青色申告をしている人で青色専従者給与の届出を出せば、親族へ払う給与も経費にできるというものです。
むやみに多額の給与を渡したりするのは危険ですし、他でパートをしていたり専業として事業を手伝っていなければ専従者給与として経費にすることはできません。
4、30万円未満の物品を買ったら全額経費にすることができる
通常は10万円以上の物品を購入すると一括で経費にすることができません。たとえば10万円以上のパソコンは買った年の一年間だけではなく、その後数年間は使うよね?という事で何年間使えるかは法律で平等にルールを決めてその年数(耐用年数)に分けて経費にしていくのです。これを減価償却と言います。
青色申告をしていれば10万円以上の物品を買っても、30万円未満ならいっぺんに経費にして良いですよ、という特別ルールがあるのです。税金対策を考えた時に大きな経費は減価償却せずにいっぺんに経費にした方がおトクな場合があります。
減価償却が税金対策とどう関係があるのでしょうか?詳細は「減価償却を上手に活用すると税金対策になるかどうか徹底検証」の記事をご覧ください。
◆個人事業主が青色申告する時の具体的な手続き
白色申告と青色申告の違いの概要をつかんでいただいたと思いますので、具体的に青色申告を利用するための流れや注意点を見直していきましょう。
(1)個人事業主で青色申告を利用するときの手続き・期限
個人事業主をスタートするときは必ず税務署へ開業届を出します。これは税務署に対して「自分は個人事業主だから確定申告しますんで、よろしくねー」と表明する書類です。この日から事業を始めんたんですね、という証明にもなる手続きです。
そして開業届を出すタイミングでほとんどの個人事業主が「青色申告の承認申請書」を出します。この届出を出しておけば青色申告をする権利を手に入れます。青色申告の承認申請書を出さなかったら自動的に白色申告をすることになります。
1、個人事業主の青色申告承認申請書の出し方
青色申告の承認申請書は管轄の税務署にあります。国税庁のホームページにて雛形をダウンロードできます。(法人の青色申告の承認申請書のあるので注意!「所得税の青色申告の承認申請書」を使うように)
この書類を上から順に記載して税務署に提出すればOKです。
・納税地:開業届に記載した納税地と同じにします。個人事業主であれば納税地は基本的に自宅です。
・上記以外の住所地・事業所等:納税地を店舗などの自宅以外にした場合にはこちらの自宅住所を記載します。
・名前や生年月日はそのまま住民票と同じ情報を記載。
・職業は事業で行う一般的な職種を書きます。屋号を付けたい場合は屋号の欄に記載しておきましょう。
・事業所又は所得の起因となる資産の名称及びその所在地:複数の事務所や店舗がある場合に記載します。
・所得の種類:個人事業主として事業をする場合には事業にチェックを付けます。
・その他参考事項:10万円の控除であれば簡易簿記で現金出納帳だけのチェックでOK。65万円の控除を受ける時には複式簿記で現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・預金出納帳・総勘定元帳・仕訳帳にチェックを入れておきます。
2、個人事業主の青色申告承認申請書の期限
新しく個人事業主で青色申告承認申請書を出すには開業日から2ヶ月以内に提出しないといけません。
今まで白色申告をしてきた人が青色申告をするには毎年3月15日までに開業届を出さないといけないので期限には注意してくださいね。
(2)個人事業主が行なう青色申告と白色申告の手続きの違い
今までのお話を整理すると青色申告の承認申請書を税務署に出しておけば青色申告ができる。出していなければ白色申告になる。
青色申告でもカンタンな書類で10万円控除になり、複雑な書類をくつれば65万円控除になります。白色申告はカンタンな書類でOKなんですが何にも特典がないので青色申告出しておいて10万円控除してもらった方がおトクという事ですね。
もし自分で青色申告をする時に65万円控除で難しい書類を作って出したいというのであれば会計ソフトfreee(フリー)を使って処理をしておけばボタン一つで自動的に難しい書類を作ってくれるのでラクですよ。
まとめ
個人事業主を始めた頃や、売上が軌道に乗らない時は青色申告の書類を作るのが面倒だから白色申告を選択する人がいます。
今回紹介したように、同じ難しさでも青色申告の承認申請書を出しておくだけで10万円控除が付くので開業時から青色申告はやっておいた方が良いですね。
事業が育ってくれば経理や会計の処理は自分で手に負えなくなってくるので、その時は自分に合った税理士や会計士を探せば良いと思います。税理士ドットコムを使えば納得がいくまで選ぶことが可能です。
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