妻の両親は年金をもらっています。ある日、妻の両親の元に税務署から確定申告をするようにという連絡がきました。
それを聞いて「あれ?年金もらっている人は確定申告必要ないのでは?」と思ったのですが、状況によっては正確な税金を納めるために確定申告をしたり、その方がお金が戻ってくるケースがあったり様々です。
そこで年金受給者の確定申告について詳細を調べていこうと思います。
・確定申告が必要な年金受給者について。
・年金をもらっている人が確定申告をする方法。
◆年金と確定申告の仕組みを知るために基本事項を整理
年金受給者が確定申告をする流れを理解しるために、それぞれの仕組みや意味をまずは整理したいと思います。
(1)年金とは何か?
年金とは、老後に働けない人に対して年金を払うことで、生活の支援をしたりします。他にも障害を負ってしまい働けない人や、一家の大黒柱を亡くした家族の支援をするために使われたりします。
働いている時に年金に加入してお金を支払っておけば、老後に年金をもらえる仕組みだよね。
世の中の人の多くの年金に対する理解は、老後の年金じゃな。これを老齢年金と言うんじゃ。他に障害を負ったらもらえる障害年金や、一家の大黒柱を亡くしたらもらえる遺族年金とがあるぞ。
なるほどね。国民みんなが加入している年金には、「老齢年金」と「障害年金」と「遺族年金」の三種類があることを理解しておけばOKだね。
年金の種類には国民年金と、厚生年金があり、この二種類を公的年金と呼びます。これに対して民間の生命保険会社が扱うような年金保険の仕組みを私的年金と呼んで区別しています。
(2)確定申告の仕組みを整理
確定申告は、一年分の収入を計算して所得税を納める制度です。所得税は超おおざっぱに説明すると、一年間の収入にかかる税金です。
ただし、サラリーマンや会社員などお給料をもらっている人は、わざわざ確定申告という作業をするのは大変なので、毎月お給料から所得税が天引きされています。気づいていましたか?
わー!本当だ!給与明細を見たら所得税という項目で税金を差し引かれているよ!
会社勤めの人は会社員でもアルバイトでも、経理担当や事務職の人が、お給料から所得税を引いているから税金を納めている感覚が少ないんじゃ。
ちなみに会社勤めの人なら毎年12月に年末調整という単語を聞いたことがあると思います。毎年会社側から年末調整するといって、生命保険の加入状況や扶養家族について情報を求められたことはありませんか?
これは毎年、お給料から天引きしている所得税を、年末に一人一人の状況に合わせて再計算する取り組みです。これによって、所得税を天引きされすぎていたら還付金として戻ってきまし、足りなければ徴収されるのです。
そして会社員やサラリーマンなど、お給料をもらっている人以外で、収入を得ている人は「確定申告」という作業をすることによって納める税金を明確にして正しい金額を支払うわけです。
それなので、個人事業主であれば確定申告をします。他にも副業をしていてお給料以外に収入のある人は確定申告しないといけません。
また、医療費控除や一部のふるさと納税などでは、お給料をもらっている人で年末調整をしていたとしても確定申告をすることで、納めすぎている所得税が戻ってくる可能性があります。
◆年金受給者で確定申告をするケースとしないケース
基本的に年金受給者は、年金を受け取るときに所得税が天引きされています。これはサラリーマンのお給料から所得税が差し引かれているのと同じような状態です。
この点を踏まえて、年金を受け取っている人で確定申告をしなくて大丈夫か、確定申告をすべきか見ていきましょう。
(1)年金以外に収入のない普通の老夫婦は確定申告の必要はない
年金を受け取っている人みんなが確定申告をしたら、作業に慣れていない高齢者は大変です。そこで、一定の基準を満たしている人は確定申告をしなくて良い仕組みとなっています。
これを「年金所得者の確定申告不要制度」と言います。そのまんまですね。
年金をもらっている人でも確定申告が不要なのは、年金の合計収入が年間400万円以下、年金以外の収入が20万円以下の人たちです。
以下の図に照らし合わせて考えるとわかりやすいと思います。もらっている年間の年金額が400万円を超えていますか?年金以外の収入が年間で20万円を超えていますか?両方超えていなければ確定申告必要ないよ!というわけです。
1、「公的年金等の収入額が400万円以下」とは?
年金が400万円を超えることは、ほとんどの年金受給者は当てはまることはないでしょう。よほど高収入でかなり多額の年金保険料を納めていたり、企業年金に入ってたりするともしかしたら超えてしまうかもしれません。
公的年金に含まれるのは、国民年金対象の人に対して出される国民基礎年金と、厚生年金に加入している人に対する厚生基礎年金や大手企業なんかだと独自の年金制度がありますので、この企業年金も合わせて考えます。
2、「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」とは?
年金の他に収入がある場合とは、年金をもらいながらアルバイトなどでお給料をもらっていたり、副業や投資で20万以上の収入がある場合には確定申告をしないといけません。
(2)年金受給者でも確定申告をすることで税金が戻ってくる人たち
公的年金の収入が400万円を超えてなくて、それ以外の収入が20万円を超えていなくても確定申告をした方が良い人たちがいます。
それが各種控除に当てはまる年金受給者です。天引きされている所得税が戻ってくる可能性があるので、当てはまるものがあれば必ず確定申告をしましょう。
1、医療費控除
控除とは所得税を計算する元の金額から決まった金額を差し引いてくれるものです。医療費控除でいえば年間10万円以上の医療費を支払っている場合には、10万円を超えた分について所得税率をかける元の金額から差し引いてくれる特典です。
この医療費控除を適用するには、年金受給者でも確定申告をしないといけません。
2、社会保険料控除や生命保険料控除
年金受給者は、もらえる年金から所得税が天引きされているものの、会社員のように年末調整で所得税額を正しく計算し直してはくれません。社会保険料を払っていたり、生命保険料を払っている場合には、確定申告をして正しい所得税額に直す必要があるのです。
3、住宅ローン控除
もし年金を受けている人が、まだ住宅ローン控除に当てはまっているのであれば確定申告をして税金の還付を受けなければなりません。住宅ローン控除とは、住むための家を買ったりするときに、融資を受けた金額によって税金が安くなる仕組みです。
4、寄附金控除
寄付をすることで、税金が安くなる仕組みを寄付金控除と言います。なんでもかんでも寄付すれば良いわけではなく、寄付の対象などルールが決まっているので、その中で寄付をした場合には確定申告を漏らさず対応しましょう。
5、雑損控除
知らない人も多いのですが、盗難にあったり、災害などで自分の資産に損失があれば、そのマイナス分から税金を安く計算してくれる制度が雑損控除です。この時も確定申告をしましょう。
6、扶養家族に変更があった場合
扶養家族を考慮した税金は、年金から天引きされるときに反映されているのですが、途中で扶養家族に変更がある場合には、各自で確定申告をして正しい数字に直さないといけません。
◆「年金受給者の確定申告」まとめ
普通に年金のみをもらって暮らしている人は、確定申告の必要はありません。
もし、年金に加えてプラスアルファの収入を持っている人、かつそれが20万円を超える人は確定申告をするようにしましょう。
他にも、各種控除に自分が当てはまる場合には必ず確定申告をして、還付金をもらえるようにしておきましゃおう。
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