会社設立日と事業年度にはどんな関係があるのでしょうか?

会社設立の準備をしていると、事業年度という言葉が出てきます。なんとなーくわかるようなわからないようなこの事業年度ですが、会社設立時や会社を経営する上で思いのほか重要な役割を担っていたりします。

私が以前勤めていた会社は12月決算で、1月から12月までの事業年度でした。それが途中で3月決算で、4月から翌年3月までの事業年度に変わったんですね。この決算月や事業年度が変わった背景はなんなんでしょう?この記事を読んだ後にはそんな事も「なるほどー!」と思ってもらえるように、なるべく噛み砕いて書いていくことにしますね。

それでは今回は会社設立日と事業年度の関係に関してです。

◆会社設立日とは何でしょうか?

会社設立日とは法務局に登記の申請をした日のことを言います。

つまり会社設立の書類を作成した後に、その書類を法務局に渡した日が会社設立日となるわけですね。ちなみに、会社設立日から約一週間後ぐらいに登記簿謄本と呼ばれたりする履歴事項全部証明書を受け取れるようになります。これが登記完了日となりますので、会社設立日と勘違いしやすいので気を付けてくださいね。

◆事業年度とは何でしょうか?

それでは次に事業年度について考えていきましょう。

事業年度とは、会社の業績を計算するための区切りとする期間のことです。私たちが小学生の頃を思い出して下さい。学校は4月から授業が始まっていました。そして、翌年の3月に一年間が終わり、その年の4月から次の学年に進級したと思います。この4月から翌年の3月末までの一年間(十二カ月)のことを年度と言ったりしませんか?会社の事業年度もこれと同じ考え方になるわけですね。

別に4月からでなくてもいいのですが、たとえば4月1日が会社設立日であれば、翌年の3月末までが会社としての事業年度となるんですね。この事業年度があるおかげで、会社としての区切りができるわけです。

事業年度の期間で売上や使ったお金などを計算して会社の業績が決まりますし、納める税金もそれによって決まるのです。今は説明しやすいように、事業年度を一年間として説明しましたが、事業年度は一年以内であれば自由に決めて大丈夫です。とはいえ税金が安くなる特別ルールの期間とも関係があるので「株式会社設立後に消費税免税を受けるポイント」も合わせてご覧ください。

◆事業年度と決算月(決算日)の関係

まずは決算月(決算日)の意味からみていきましょう

決算月(決算日)という言葉はどこかで聞いたことがあるかもしれません。事業年度とも関わりが深い単語なので詳しくみていきましょう。決算月とは事業年度の最後の月のことを指します。事業年度の最後の日であれば決算日ですね。

よく家電量販店で「決算セール」という広告を目にしたことはありませんか?事業年度が会社の業績を決める区切りであるので、その最終月である決算月にあの手この手で売上を上げようという会社が多くあります。その一つの方法が「決算セール」なわけですね。それでは町の電気屋さんを例に、さらに深く事業年度について考えてみましょう。

例えばあなたが町の電気屋さんの経営者だったとしたら・・・

たとえばあなたが町の電気屋さんを経営していたとして、たくさんテレビを仕入れたけれど在庫がまだ残ってしまっている状態を想像してみてください。今月が決算月だとしたら、事業年度の最後の月なので何とか売上を大きくしたい。それに、この在庫テレビを売り切らなければ現金が手元に残らなくてお金がうまく回らない、なんてことがあるかもしれません。

そんな時に決算月が近づいてきたら「決算セール」とか「在庫処分セール」とか銘打ってなんとか在庫を売りさばこうとするのではないでしょうか。

最後の追い込みをかけるのも決算月・・・

他にも、一年の最後の月に目標売上に達していなかったりすると、決算月にいろんな方法(キャンペーンやセールなど)を使って、なんとかして売上目標を達成しようという企業はあるかもしれませんね。

私も昔はバリバリの営業会社に勤めていたので、決算月にはキャンペーンで金額を安くしたり、いろんなものを無料セットで付けて販売をしていた頃が懐かしいです。上場企業であれば、株主や世間からの評価があるので、最初に立てた目標を達成するために事業年度最後の月である決算月は勝負の月とも言えます。わざと、繁忙期を決算月にすることによって社員たちのモチベーションに火をつけようとする会社もあると聞いたことがあります。

◆会社設立日が決まれば、事業年度も自動的に決まる?

ときどき、会社設立日が決まると、自動的に事業年度も決まってしまうと思っている方がいますが、決してそういうわけではありません。

色んなメリット・デメリットを考慮して、会社設立日から丸々一年間を事業年度にしている人が多いという印象はありますが、事業年度は自由に決めて大丈夫なのです。ですので、これから会社を立ち上げるという人は、事業年度を決める上でのメリット・デメリットをちゃんと考慮して決めるようにしてくださいね。

◆消費税がおトクになるように会社設立日と事業年度を決める

事業年度について、ざっくりとかもしれませんが概要はつかんでいただけたかと思います。では、次に事業年度をどうやって決めるのが、一番良いのかを一緒に考えていきましょう。

最初の事業年度はなるべく長く取った方がいいです

実は、会社設立をする時に一定の条件に当てはまると最初の二年間(厳密には一期目と二期目)は消費税を納めなくても良い特別ルールが適用されるのです。

二年間と間違われやすいですが、厳密には二期間です。最高で一期目と二期目の消費税を納めなくても良いかもしれないと覚えておいて下さい。ここでひたすら一期目やら二期目やら強調させて頂いているのは、もし会社を設立した最初の事業年度を一年より短く設定すると一期目が短くなるという事ですよね。つまり一期目を8ヶ月という事業年度で設定した場合、まるまる一年とった12ヶ月と比べて4ヶ月も消費税を納めなくて良い特別ルール適用期間が短くなってしまうのです。

今は8%ですけど、ゆくゆくは10%になる予定の消費税はバカにならない金額ですので気をつけたいところです。

どんな場合に消費税を納めなくて良い特別ルールが適用されるのでしょうか

一定の条件を満たせば消費税が免除とお伝えしてきましたが、ここで少し事業年度の話とは逸れてしまいますが、消費税の免除がどの場合に当てはまるか見ておきましょう。

1、会社設立時に資本金が1,000万円未満

会社を設立する時の最初の資本金が1,000万円より少なければ、最初の二期間は消費税を納めなくても大丈夫です。まるまる二期間の消費税免除の権利を手にするには、次に紹介する関門もクリアしていかなければなりません。

2、一年目の途中で資本金を1,000万円以上に変更しない

せっかく資本金を1,000万円より少なくして設立したのに一期目の途中で資本金を1,000万円以上にしてしまったら二期目は消費税を納めなくてはいけなくなってしまいます。どうせだったら二期目まで我慢しましょう。

3、設立してから半年の売上が1,000万円を超えるかどうか

資本金を1,000万円未満で設立しても、設立から半年の売上が1,000万円を超えてくるとそんなに儲かっているのなら二期目から消費税を納めて下さい!というルールが適用されてしまいます。とはいえ順調な売上をこれによって抑えるのもおかしな話です。でも安心して下さい。次の項目が適用されれば二期目も消費税免除なはずです!

4、設立してから半年の人件費の合計が1,000万円を超えるかどうか

半年の売上が1,000万円を超えても、安心して下さい。半年の人件費の合計が1,000万円未満にしておけば一期目も二期目も消費税免除です。これは役員報酬の金額も従業員のお給与も半年分を全部足して1,000万円なので注意して下さいね。特に役員報酬は最初に決めたら一年間は変更してはいけないので本当に要注意です!!

売上も人件費もどうしても半年で1,000万円超えてしまう人は次の項目を参考にして下さい。

◆消費税免除の特別ルールが適用されない時は、事業年度を工夫

これまで少し整理すると、資本金1,000万円未満で小さくスタートする会社はきっと資金繰りとか大変だろうから最初の一期目と二期目は消費税をお客さんから受け取ってもそれは国に納めずに売上に入れといて良いですよという特別ルールがありました。でも、半年の売上が1,000万円を超えて、支払う人件費も1,000万円超えるようならその事業は順調ですよね。それなら消費税も二期目から払って下さいよ!というのが、国の立場なんだろうなぁと思って下さい。

どうしても半年の売上&人件費が1,000万円超えるのなら一期目を7ヶ月に・・・

会社を設立する前から間違いなく半年の売上は1,000万円も超えるし、半年の人件費も1,000万円を超える場合にはもう二期目から消費税を納めないといけないのかぁと思うのはまだ早いです!一期目の事業年度を7ヶ月以内にすることで、消費税を納めなくて良い期間を少しでも長くすることが出来るのです。

どういう事かというと細かい説明は省きますが一期目が7ヶ月以内だと半年の売上や人件費によって特別ルール適用するかどうか・・・すらも関係ない状態にできるわけなのです。ですので設立半年の売上・人件費1,000万円超えてても大丈夫です。一期目が7ヶ月+二期目はまるまる12ヶ月までは消費税課税免除となるわけです。二年間の24ヶ月と比べたら少ないですが、一年だけと比べればいくらかおトクですよね。

◆決算月が繁忙期と重ならないように事業年度を検討してみる

その他にどのような点に気をつけて事業年度と会社設立日を考えておかばいいのでしょうか。

決算月から二ヶ月ぐらいは税金関係の業務が忙しくなります

会社の業績をまとめる期間の区切りとして事業年度があるとお伝えさせて頂きました。事業年度の最後の月が決算月ですね。会社は一年間の総まとめである決算の申告をすることで、その事業年度に納める税金の金額を確定します。

この決算の申告は、決算月から二ヶ月以内に申告しなければいけません。3月決算の会社であれば5月末までに申告して税金が発生するのであれば納税しなければいけないってことなんですね。

実はこの決算月から決算の申告までの期間は、追加の資料をそろえたり税理士の先生と打ち合わせをしたり、棚卸しをしたりと本業以外でやることが目白押しだったりします。もし、この決算月からの二~三ヵ月間が、本業の繁忙期と重なってしまったらどうでしょうか。めちゃくちゃ忙しくてパンクしてしまうかもしれません。ですので、事業年度を考える際に一般的には繁忙期や忙しい時期を決算月や申告タイミングから逆算して避けることもアリだと思います。

一年の計画が立てやすいように事業年度を設定する

もう一つ、繁忙期と決算月が重なるような事業年度の立て方だと「計画が立てにくい」というデメリットがあるかもしれません。これは安定して繁忙期の売上があるような会社であれば、さほど問題はないのですが、「繁忙期と予測して大きな売上が立つと見込んでいたのに、全然売上が上がらなかった」なんてことになると、リカバリーをするための期間が全くないということにもなってしまいます。

逆に、決算月と繁忙期が重なるような状態で、「予想していたよりも大きな売上が出た!」なんて嬉しいことがあっても、もし利益がたくさん出るようなら節税の対策をしたいものですが、残りの期間が短いため、打てる対策も限られてくるかもしれない・・・というわけです。

上場している小売業の会社は二月を決算月にしていることが多い?

ちなみに、上場している会社で小売業の会社は二月を決算月にする会社が多いそうです。これは、二月と八月は二八(にっぱち)と言って売上が落ち込む時期だからだそうです。

理由はわかりませんが、お盆休みや寒い時期と重なるとお客さんの動きに影響があるのだと思います。あとは、繁忙期は一年でも忙しく動きも多い分、売上がたくさん入ったり、出ていくお金も多かったり利益の変動が大きな時期といえるかもしれません。もし思ったよりも売上が上振れて利益がたくさん出てしまったら、たくさん税金を払わなけらばならなくなるかもしれません。逆に思ったよりも売上が下振れてしまったら、赤字になってしまうかもしれません。

そんなわけで、設立日というか事業年度を考える際には繁忙期を避けた方がいいのかどうかもよく検討した方がいいのかもしれませんね。

◆お金に余裕のある時期と無い時期を見極めて、事業年度を検討する

これは決算月を決めるときに、繁忙期を避ける時と同じような考え方です。会社設立日からの一年間事業を行って、決算月から二ヶ月以内に決算申告をして税金を納めるというお話をさせて頂きました。この決算申告のタイミングで儲かっている会社であれば、ある程度の税金を支払わなければなりません。まとまったお金が申告のタイミングで出て行くかもしれないわけですね。

ある程度一定の税金を支払う時期は決まっているので、その時に会社のお財布のお金がすっからかんということが無いように調整するのも一つの手です。具体的には、事業として大きな支払いが発生するタイミングや、ボーナスを従業員に支払うタイミング、売上自体が少ないタイミングなどは申告の時期とずらした方が資金繰りがうまくいくでしょう。ちなみに会社経営上、大きなお金が出ていくタイミングとは以下のようなものがあります。

▼ボーナス・賞与(6月~7月、12月~1月)

最近だと出ない会社もあるかもしれませんが、大体の会社でボーナスや賞与はこの時期に支払われます。大きな金額が出ていく時期ですので注意が必要です。

▼半期源泉の所得税納付(7月、1月)

従業員にお給料を出すとき、ほとんどが所得税を差し引いた金額を手取りのお給与として渡していると思います。その元々のお給料(源泉)から差し引いておいた所得税は、お給料を支給する人数が10人未満の場合は半年に一回、半年分集めておいた所得税を納めて下さい、というルールがあるのです。従業員の数や支払っているお給料の金額によってはまとまった金額が出ていくので注意が必要ですね。

▼雇用保険や労災保険の納付(6月~7月)

従業員を雇うと必ず雇用保険や労災保険に加入しなければいけません。その支払いが大体毎年6月~7月に発生するのです。これも従業員の数や、支払うお給料の額によって変動があります。

◆会社設立日と事業年度にはどんな関係があるのでしょうか?のまとめ

いかがでしたでしょうか。ここまで、「事業年度」がいつがいいのかという点をさまざまな角度で考えてきました。とはいえ、会社設立をする背景がいちばん大事なのではないかなと思います。いろんな理由でなるべく早くに会社設立日を設定したいとか、思い出の日時を会社設立日に設定したいなど様々ですからね。会社設立日と事業年度については、大切なことを並べて優先順位をつけて考えてみてください。

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株式会社設立の際、最初の事業年度はどうやって決めますか?