株式会社設立したら知っておきたい社会保険加入のポイント

会社を設立すると社会保険に加入しなくてはいけなくなります。起業を志す人たちの中には、こうした少し小難しい社会保険に関して知っている人が少なかったり、よくわからないまま手続きをしている・・・なんて方が多いような気もしています。

今回は株式会社設立時の社会保険加入について一緒に考えていきたいと思います。

まずは社会保険って何?というところから、社会保険加入の手続きまで、聞いたことはあるけど実体がわからなくて困っている人たちに向けて説明させて頂きますね。

◆社会保険とは何?

まずは、社会保険って何?ということなんですが、これは大きく分けると、(1)健康保険(医療保険)、(2)年金保険、(3)介護保険の三つに分かれています。

つまり、国が私たち国民が安心して生活できるように医療・年金・介護という分野を国で面倒を見て、国民生活(社会)がうまくいくようにしているわけですね。

もっと大きく広い意味で捉えるこの健康保険と年金保険と介護保険の三つに加えて、雇用保険と労災保険が入るようですが、今回は一般的に言われるように最初の三つを社会保険として考えていきたいと思います。それぞれの簡単なご紹介は以下になります。

健康保険について

私たちがケガや病気をして病院にかかっても安いお金で病院に行けるのは、この健康保険のおかげなんですね。基本的に日本に住んでいる人たちは皆んな健康保険に加入させられます。会社勤めの人なら一般的に言う健康保険に入り、個人事業主や無職などそれ以外の人たちは国民健康保険というものに加入するようになります。

年金保険について

これは引退したおじいちゃん、おばあちゃんが日々の生活のために受け取る年金のための保険ですね。今は少子高齢かでいろいろと問題にはなってしまっていますが、この年金は、働いている人たちから年金保険としてお金を集めるわけです。会社に勤める人なら厚生年金というものに入り、個人事業主や無職の人などそれ以外の人たちは国民年金というものに入ります。

介護保険について

介護保険は、その名の通り介護が必要な人をサポートするための保険制度です。訪問介護やデイサービスといったサービスを受けるためにお金がかかるのですが、一部をこの介護保険でまかなわれているわけですね。この介護保険は40歳を越えたら払わなくてはいけなくなります。

◆株式会社設立後の社会保険加入に関するQ&A

なるべくわかりやすくするために、株式会社設立後の社会保険加入に関する疑問をQ&A方式でまとめてみたいと思います。

1、どんな会社が株式会社設立後に社会保険加入しなければならないの?

基本的に株式会社設立をしたら、その会社には社会保険加入の義務が発生します。「基本的に」と表現したのは一定の職種は会社でも社会保険加入の義務が無い場合があるのですが、かなり稀なケースなので一般的に私たちが立ち上げようと思う業種に関する会社は、必ず社会保険に加入しなければいけないとお考え下さい。

2、社長一人でも社会保険に加入しないといけませんか?

社長が一人だけで株式会社設立をした時は、社会保険加入をしなければいけないのでしょうか?それには考え方が二種類あるので両方を紹介します。

・社長が役員報酬を受け取る場合

ときどき、社長が一人だけの会社だから社会保険加入は必須ではないのでは?と考える方もいらっしゃるようですが、基本的に一人だけの会社でも社会保険加入はしなければいけません。社長一人だけの従業員の会社の場合、加入しなくてもいいのは雇用保険・労災保険だけです。これと勘違いしてしまっているのかもしれませんよね。

株式会社設立をして、社長一人だけだったとしても、その社長にお給料(役員報酬)が発生するのであれば、社会保険には加入しなければなりません。

・社長が役員報酬を受け取らない場合

株式会社設立をした後に、社会保険加入が必要ないケースをあえて考えるとしたら、それは社長が一人だけで、かつその社長がお給料をもらっていない場合でしょうか。

社会保険料というのはお給料の額によって決まるので、お給料が0円だったら社会保険料の支払いようがありませんよね。かつ、その会社に社長しかいなくて、お給料(役員報酬)を払わないんだったら、社会保険への加入もしなくていいというわけです。とはいえ、株式会社設立の背景にもよりますが、せっかく作った会社で社長一人だけだったとしてもお給料を払わないなんてケースはあまりないんじゃないかなと思いますね。

3、株式会社設立後に社会保険加入しない事のデメリットは?

・社会保険加入していなくても通知が来たら即加入!

社会保険加入の必要があるのに、加入をしないでいると年金事務所から通知が来る場合があります。行政側としても、社会保険加入しているかどうか各機関と連帯して把握出来るようにしているみたいですね。これから会社の法人番号なんかも運用が徹底されていけば社会保険加入せずに済ますなんてことは出来なさそうです。

・社会保険加入をしていなくて悪質ならばペナルティで罰金も!

ときどき出会うのですが、株式会社設立をしたのに社会保険加入をしていない方々も、内容が悪質なら結構手痛いペナルティが待っています。まず、社会保険の手続きは年金事務所でやることになるのですが、この年金事務所は社会保険加入をしていない会社を調査してたりします。その調査で社会保険加入をしていないのが発覚したら、場合によっては2前にさかのぼって社会保険料を支払わされるかもしれません。社会保険料は半分は従業員本人が負担して、もう半分は会社が負担します。

会社が社会保険加入していなかったにもかかわらず、さかのぼって支払わされる従業員はたまったものじゃないですね。また、対象の従業員がその時点ですでに辞めている場合などは、会社が全額負担しなければいけません。さらに、悪質な場合には6ヶ月以下の懲役か50万円以下の罰金というものもあります。

◆社会保険加入をした後い負担する金額について

社会保険料は稼いでいる金額によって決まる

実際に社会保険料は会社からしてみても、従業員からしてみても大きな負担ではあります。実際はどのぐらいの負担になるのでしょうか?こちらのページからそれぞれの社会保険料をみることができます。それぞれ、お給料の金額によって等級分けがされて、それによって社会保険料が決まるわけですね。そして、健康保険も年金保険も、会社と従業員が折半で負担するわけです。

半分は本人負担、もう半分は会社負担

表をみてみると、たとえば30万円のお給料をもらっている人であれば、22等級という扱いになって40歳未満で介護保険を納める義務がまだ発生していない人であれば健康保険は9.96%で29980円ということになり、会社が14940円負担をし、個人がもう半分の14940円を負担するというわけです。また、年金保険ともなると18.182%もとられ、54546円もします。これを会社が27273円負担し、個人も27273円の負担です。

健康保険と年金保険の両方を合わせると、84526円にもなり、折半したとして42263円です。会社を経営する立場からすると、お給料30万円の人を一人雇うことに対して社会保険料が42263円もかかり、働く従業員からするとお給料の30万円から42263円も減らされるなんて、非常に痛い出費です。個人にとっても、会社にとっても大きな負担ですね。

◆株式会社設立後に行う社会保険加入の具体的手続き

最後に株式会社設立した後の、社会保険加入に関する具体的な手続きを見ておきましょう。自分でやる分には時間と手間がかかるだけですが、社会保険労務士さんにお願いすると手数料がかかりますが、丸投げ出来るので仕事の忙しさを加味して決めて下さい。

1、役員報酬を決める

株式会社設立後に社会保険加入するためには、自分の社会保険料がいくらになるか決まらないといけません。そのため、自分が受け取る役員報酬をいくらにするか決めないといけないのです。基本的には役員報酬は事業年度がスタートしてから3ヶ月以内に決める必要がありますが、社会保険加入のタイミングによってはすぐに決めなくてはいけません。

役員報酬の決め方に関しては、こちらの「即実践!役員報酬の設定で税金対策する方法」の記事に詳しく載せています。

2、健康保険・厚生年金保険の新規適用届を準備

次に健康保険・厚生年金保険の新規適用手続の届け出を準備します。雛形については年金機構のホームページから取得する事が出来ます。わからない場合は直接管轄の年金事務所に問い合わせると丁寧に教えてくれます。

3、新規適用届に添付する必要書類を準備

社会保険加入の手続きに必要な健康保険・厚生年金保険の新規適用届けが作成出来たら一緒に添付して提出するための書類の準備をします。以下の書類です。

・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の原本

社会保険加入の手続きをするためには、株式会社設立後に手に入れる事の出来る三ヶ月以内の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の原本を一緒に添えて添付します。法務局に行けば取得できますし、郵送でも手に入れる事が可能です。

※登記簿謄本に載る本店所在地と実際に活動をする事務所(オフィス)の住所が違う時には賃貸借契約書等のコピーの提出が必要になります。

・法人番号指定通知書のコピー

株式会社設立をした後に、一つ一つの会社に法人番号というものが設定されます。登記完了後の数日後に通常は郵送で法人番号の指定通知書が送られてしますが、専用のサイトでも検索をかける事が出来ます。こちらのコピーを社会保険加入手続きの時に提出します。

4、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を準備

社会保険に加入する立場の人を被保険者と言います。株式会社設立をした後には、まずその会社が社会保険に加入しますよ!という新規適用届を出すと同時に、その会社の中で誰が社会保険加入の対象になるのかを、被保険者資格取得届を出して明確にします。

5、被保険者資格取得届に添付する書類を準備

・賃金台帳の写しと出勤簿の写し

これは社会保険加入する被保険者が従業員の場合に必要なものです。ただし、株式会社設立したばかりで該当するものが出せない場合は提出の必要はありません。

6、郵送をするか窓口に持参して提出

これらの準備した書類を管轄の年金事務所へ郵送で送るか、直接窓口に提出して手続きは完了です。

◆株式会社設立をしたら知っておきたい社会保険加入のポイント、のまとめ

いかがでしたでしょうか。私たち国民の生活基盤を支えるものだとしても、少子高齢化の影響で年々負担は高まるばかり。

今後は健康保険のルールも変わるかもしれないですし、年金を受け取れる金額もさらに高年齢になっていくでしょう。とはいえ、私たちが事業をする上で、健全な日本社会はなくてはならないものです。仕事をする国の基盤が揺らいでしまえば、いくら仕事をしようとそれが成立しなくなってしまうかもしれません。極論ですが・・・。ですので、国を支えると思って、株式会社設立後はしっかりと社会保険加入をするようにしましょう。

株式会社設立をした後にはこうした社会保険に加入する事で、健康保険や厚生年金で生活が保障されていきますが、将来どうなるかそれでも不安という人は個別に年金保険等に加入する事になります。それが税金対策にもつながる事があるのですが、詳しくは「誰でもわかる!個人年金保険で税金対策する秘訣」をご覧下さい。