現物出資を使って会社設立をするメリットとデメリット!具体的な手続き方法について

会社設立・独立・起業アドバイザーのごはんつぶ(@gohaotsubu)です。これまで通算1000件を超える会社設立や起業、さらには採用や社員教育・コーチングのお手伝いをしてきました。

会社を設立するときには資本金が必要です。普通は現金で資本金を準備するのですが、ときどき自分が持っているパソコンや車を会社に譲るから、その分のお金を資本金に充てたいという人がいます。

現金以外のモノを資本金にすることを「現物出資」と言います。でも少し謎のベールに包まれていますよね。

現物出資のメリットやデメリットを整理して、これから会社設立するときにベストな選択ができるようになればと思っています。

この記事でわかること

・会社設立するときの現物出資のメリットやデメリット。
・現物出資を使って会社設立する具体的な手順。

◆資本金と現物出資の基本事項を整理

資本金を理解した上で、現物出資のお話をした方がわかりやすいと思います。

(1)資本金の基本事項を整理

資本金は会社の元手となるお金です。商売はモノを仕入れて売るとか、サービスを提供するとか、業種や業態、ビジネスモデルによって様々ですけど、必ずお金が必要となりますよね。

株式会社設立時にそれに充てるお金が資本金です。また、何かあったときにその資本金が使われるわけですから、その会社との取引先を守るという意味合いもあります。

今は1円の資本金からでも会社設立はできるようになりましたけど、安心安全な取り引きや、経済活動をするためにも資本金って大事なんですね。

株主の影響力

株式会社設立時には発起人がお金を出資します。そして、出資したお金はそのまま株式となり、発起人は株主となるわけですね。

株主は会社の持ち主で、株主総会などを通して実質的に会社に影響を与えることができます。お金を出資するということは、その会社の株主になるということも押さえておきましょう。

(2)現物出資の基本事項を整理

現物出資は、お金ではなくてモノを資本金にすることです。パソコンや自動車などのモノを時価に置き換えて資本金にするわけですね。

時価というのは辞書で調べてみると「その時々の値段」とあります。今、この瞬間に売買するとしたらいくらになるのかってことですね。自動車やパソコンであれば今の中古販売の価格を調べてそれを資本金の額にするというわけですね。

◆会社設立時の現物出資のメリットとデメリット

おおもりくん

現物出資でモノの価値を資本金に置き換えることができるのはわかったけど、どんなメリットがあるんだろう。デメリットもあるのかな?

(1)現物出資で会社設立をするメリット

現金以外のモノを資本金にすることで手に入るメリットを整理します。

1、現物出資することで資本金の額を増やすことができる

手持ちの現金で会社設立するよりも、現物出資をすることで資本金を増やすことができます。

資本金が大きくなることで、対外的な信用が高まりますので事業を進めやすくなるでしょう。融資を受けるとき、新しく取り引きを増やすための営業活動、優秀な人を雇うための採用活動、これらもろもろの会社としての活動に資本金という信用が増すことでぐっと底上げがされるわけですね。

あわせて読みたい

資本金の役割や特徴について、もっと深掘りしたい時はこちら

会社設立時の資本金の決め方!最低金額の目安をいくらにすれば税金が一番おトクになる?

2019.06.01

2、現物出資で税金を安くすることが出来るかもしれない

現物出資するモノを経費として考えることが出来るかもしれないということです。かもしれない、ということは出来ないかもしれないという点に気をつけて下さいね。

これは現物出資したものが減価償却できる場合に当てはまるものです。ん?減価償却って何?という声が聞こえてきそうですけど、減価償却とは、ある一定のモノについて買った際に一度に経費にするのではなく減価償却のルールにのっとって数年に分けて経費にしていくことです。

たとえば私が10万円以上のパソコンを買ったとして、その耐用年数は4年ですから10万円を4年に分けて経費にしていくわけですね。

すでに経費として全て計上し終えているものだと対象にならないのですが、まだ減価償却中で経費にできる余地が残っている!というモノでしたら株式会社設立時に現物出資することで、残りの分を減価償却して会社の経費として乗っけることができるわけですね。

あわせて読みたい

減価償却について詳しくはこちら

減価償却を上手に活用すると税金対策になるかどうか徹底検証!

2017.09.24

(2)現物出資して会社設立するデメリット

現物出資することでマイナス面もありますから、ちゃんとデメリットも見ておきましょう。

1、現物出資をすることで税金を追加で求められるかもしれない

現物出資をして会社設立のデメリットとしてまず考えられることは、税金を追加で納めないといけなくなるかもしれないということです。

出資をする人が会社に現物出資のものを買い取ってもらうという扱いですかあ譲渡益が発生して、その金額が大きいと税金が課されてしまうかもしれないわけですね。

たとえば現物出資するのが不動産で、時価で会社に出資するので不動産の価値が上がっている状態であれば、その分譲渡益が出てそこに課税されるかもしれないというわけです。

2、ちゃんと手続きしないと発起人や取締役に責任がくる

現物出資はあくまで時価を手続きする側が調べてそれで書類を作って会社設立の手続きをします。

本来は、その価値がないのに、あたかも高い金額で現物出資をして実態とかけはなれていることがわかった場合は、発起人や取締役で責任をとって下さいね、ということになります。

つまり、足りない分は発起人や取締役で資本金として現金を入れておいて下さいね、なんてことになってしまいます。

3、会社設立の手続きの手間がかかる

現物出資は手続きの手間がかかります。通常の会社設立の手続きよりも追加で作る書類などもあり少し面倒になります。

現物出資するモノの時価も調べなくてはいけなくなりますし、メリットをあまり享受できないわりに時間がかかって大変だったなんてことにならないように気をつけて下さい。

◆現物出資で会社設立をする時の注意点

なんでもかんでも現物出資できるわけではないですし、モノの価格を自由に設定できるわけでもありません。

基本的ルールを抑えて現物出資できるようにしましょう。

(1)現物出資できるモノの範囲

現物出資できるものは、貸借対照表という帳簿に載せられるもので譲渡可能なものと言われています。

自動車やパソコンや機材や設備などから、商品の原材料まで、他にも有価証券だったり土地や家などの不動産、営業権などの知的財産権や無形固定資産など多岐にわたります。ほとんどのモノが現物出資の対象となると考えていいでしょう。

ローンが残っているものはNG

譲渡可能というのは、法人に譲ることができる状態という意味です。

そのため、ローンを組んで支払いの済んでいない自動車などは現物出資の対象にはできないので気を付けてください。

書類上は登記できてしまうのですが、その後速やかに名義を個人から法人に変えないといけません。ローンが残っていると登記後に、名義を変更できないわけです。

スグに問題になるというよりも、決算を組むときなど本来あるべき状態ではないので、よく考えるようにしてください。

(2)現物出資するモノの価格

現物出資するモノの価格は時価とされています。今、この瞬間に世の中で売買されている値段のことですね。自動車なども同じ型番で中古で流通している金額を参考にするといった具合です。

インターネットなどで中古価格を調べて、設定することが多いです。

(3)500万円以上の価値があるものを現物出資するときは要注意

現物出資の金額が500万円以下の場合には問題ないのですが、500万円を超えてくるときには検査役と呼ばれる人たちに現物出資するモノの金額が妥当かどうかをチェックしてもらわないといけません。

この検査役と呼ばれる人は裁判所の選んだ弁護士や公認会計士のことを指します。

(4)現物出資をして合計1000万円を超える資本金になると要注意

会社設立時の資本金は、1000万円以上になると一期目から消費税を収める立場になるというルールがあります。

そのため、ほとんどの会社が1000万円未満の資本金で会社設立をするのです。現金と現物出資で会社設立をするときには、合計で資本金が1000万円を超えないように注意しましょう。

あわせて読みたい

会社設立後の消費税を免税にするノウハウは、その他にも注意点があります。

資本金1000万円未満で会社設立して消費税免除する具体的な方法&注意点

2019.01.30

◆「現物出資をして会社設立」まとめ

私が知っている現物出資では、石鹸を現物出資している人がいました。これは美容石鹸を設立前に作った人だったので、特別なケースかもしれないのですが、石鹸も現物出資できるんだと驚きでした。

こう聞くと何でもかんでも現物出資して、資本金を大きく見せたり、メリットを享受した方がおトクじゃん!と思うかもしれませんが、ちゃんとルールに沿って、戦略的に現物出資を考えないといけません。