日本は印鑑の文化なので、なにかと契約ごとには印鑑が必要になりますね。海外だと逆にサインが主流なのですが、兎にも角にも会社設立をする時には印鑑が必要です。
すると気になるのが会社設立時の印鑑の種類です。株式会社にせよ、合同会社にせよ、印鑑を作成する時の注意点はあるのでしょうか。これから合同会社設立しようとする方に向けて、印鑑をどこで作るなどの基本事項から注意点までまとめてみました。
・会社設立時に揃えておくべき印鑑の種類。
・会社の印鑑はどこで作るのが一番良いのか。
◆会社設立時に必要な印鑑の種類(代表印・銀行印・角印)
会社を設立する時は個人の実印と、会社の実印を準備しなければいけません。特に会社の実印はいくつか種類があるので注意しましょう。
合同会社の設立するには基本的に法人印セットを作成します。基本的には代表印と銀行印と角印の三点セットを法人印セットと読んでいます。
(1)法人の代表印(会社印・法人印・役職印)
会社の中で一番大切な印鑑です。対外的な契約をしたりする時に使います。株式会社でも、合同会社でも会社設立の手続き上は法人の印鑑はこの「代表印」を使うことになります。会社設立の手続き上はこの法人の代表印を法務局へ実印として登録して印鑑証明書を作成するわけです。
普通は法人の代表印と呼びますが、ときどき「会社の実印」とか「会社印」「法人印」「役職印」と表現することもあるようですね。
1、会社設立で必要な法人の代表印の形
こちらはハンコプレミアムさんの画像ですが、会社の代表印はこんな形をしています。開始点は印鑑の向きがわかりやすく、印鑑作成時に付けるかどうか選べるお店もあります。
外枠には会社名(商号)が入ります。「株式会社◯◯」とか「合同会社◯◯」と刻まれます。他にも法人組織によって、一般社団法人やNPO法人など様々です。
内枠はその法人を代表する人の役職が入ります。法人組織によって刻み込む役職名は様々ですので、わかりにくい場合はお店に相談してみましょう。この役職印の箇所が間違っているからといって、会社設立できないわけではありません。
株式会社や合同会社などによって会社の実印に表記する文言が変わります。以下はあくまで一例です。
1、株式会社:代表取締役之印
2、合同会社:代表者印・代表社員之印
2、会社設立時に利用できる法人印の大きさ
会社設立で利用する法人の実印にはルールがあります。ルールといっても大きさだけなのですが、「陰影の大きさが10mm以上、30mmの正方形に収まるもの」と決まっています。
この大きさの枠内なら、どんな形でも大丈夫です。普通は丸い形の印鑑を使いますが、私の知り合いでは四角い会社印で会社設立した人がいます。
3、法人の実印に使う文字の種類(書体)
こちらもハンコプレミアムさんの画像ですが、会社印(代表印・銀行印・角印)を作る時には文字の種類(書体)を選ぶことができます。普通に読める文字だと簡単に偽造ができてしまうので、難しい書体を使うらしいです。
会社設立で使う印鑑では「印相体」が一番多く使われる書体らしいです。印相体は文字の接点が多いので欠けにくく、偽造されにくいとの事です。
ちなみに篆書体も会社設立時の印鑑で良く使われる書体です。日本で最古の書体らしく、日本銀行のお札やパスポートで使われる書体もこの篆書体らしいですね。
法人の代表印を作成しようと思い、色んなお店を調べていくと様々な素材がある事に気づくと思います。しかも素材によって金額が全然違うので、どんな印鑑を作れば良いのか悩んでしまいます。代表的な印鑑の素材は以下です。
1、柘(つげ):会社の印鑑セットの中では一番ポピュラーな素材であり、一番安い金額で購入できる素材でもあります。木の素材なので特にポンコツ感はありません。
2、牛角・黒水牛:耐久性に優れているのが牛角や黒水牛の素材を使った印鑑です。柘よりも高級感があり、人気の素材でもあります。料金的には少し高めに設定されます。
3、チタン:耐久性は抜群で、少し重さもあるので押印する時の安定感もあります。金額的にも高めに設定されている事がほとんどで、あまり使っている会社をお目にかかることはありません。
(2)会社設立時に必要な銀行印(銀行の届出印)
銀行印とは、そのまんま銀行に届け出るときに使う会社用印鑑のことです。ちなみに銀行の届出印は、法人の代表印と同じにしても大丈夫です。
会社運営上のメリットやリスク対策の観点から、会社の代表印と銀行印は違う印鑑にすることが多いです。確かに誰かが代表印使っている時に、銀行印が必要になるケースがあるかもしれないですしね。
(3)会社設立時に必要な角印(認印)
角印はその名の通り、四角い形をした印鑑です。厳密に言えば、会社設立時にこの角印は必要ありません。むしろ会社設立後に実際に会社を運営するにあたり登場する事が多くなる印鑑ですね。見積書や請求書などに会社の正式な書類ですよと認めるための押す印鑑として利用する事が多いです。
(4)会社の法人印セットはどこで作るのが良いのか?
会社設立時に作成する法人印セットはなるべく安く済ませたいと思う一方で、一生に一度のことだから拘りの素材で高級感のある印鑑を作りたいと思うかもしれません。印鑑をどこで作ると良いのか良く聞かれますが、法人印購入の際は様々な価格帯と素材に対応した印鑑ドットコムがおすすめです。
会社設立するのに法人の三点セットが必要なように思いがちですが、実は会社の代表印一つだけでも設立可能です。その時は、会社の実印として代表印を登録しつつ、銀行の届出印も同じ印鑑を登録する事になります。たくさんの印鑑を作って管理が大変という方は一つだけでも良いかもしれませんね。
◆法人印以外で会社設立時に必要な印鑑
法人印の3本セット(代表印・銀行印・角印)の紹介をしましたが、それ以外で会社設立時に用意すべき印鑑があります。
株式会社設立時と、合同会社設立時で必要な印鑑が若干変わるので注意してください。
代表や個人の実印が100円ショップなどで買える三文判の場合はあまり好ましくはありません。特に鈴木とか佐藤とか、どこでも大量に手に入るようなものだと簡単に偽造される恐れがあるからです。
(1)株式会社設立時に法人印以外で必要な印鑑
株式会社を設立する時の登場人物に発起人と取締役がいます。それぞれ個人の実印が必要です。また印鑑証明書で登録している個人の実印を使わないといけません。
1、発起人の個人の実印
発起人とは会社設立を企てる人で、設立手続きを行う人です。もちろん資本金を出資するのも発起人ですから、会社設立後には株主となります。定款や発起人決定書といった設立書類に押印していきます。
2、取締役の個人の実印
取締役も個人の実印と印鑑証明書を準備する必要があります。会社設立書類の中に、取締役の就任承諾書があるので、そちらに押印する必要があるのです。また、代表取締役になる人は、法人の印鑑届出書にも押印する箇所があります。
株式会社設立時には発起人と取締役の印鑑証明書が必要です。どこに何の印鑑証明書を出すのか等注意点をまとめました。「株式会社設立で必要な印鑑証明書の通数や注意点」の記事をご覧ください。
(2)合同会社設立時に法人印以外で必要な印鑑
合同会社という組織を構成するのは社員です。従業員という意味の社員ではなく、会社設立時に資本金を出す人を社員と言います。
合同会社の社員は本来は会社経営の権利を持ちます。これを業務執行権と言うのですが、わかりやすく業務執行社員と呼んだりします。業務執行社員の中から代表社員を選ぶわけです。
そのため、合同会社設立時には社員(業務執行社員)の印鑑が必要です。合同会社設立時は代表社員の印鑑証明書だけで良いのですが、印鑑は社員(業務執行社員)全員分が必要です。
合同会社の印鑑証明書は代表社員だけの分で良いと言われています。ただし、業務執行社員の情報も設立書類には記載しますが、その証明はどうするのでしょうか?詳しくは「合同会社設立時の代表社員の印鑑証明書について」の記事をご覧ください。
(3)会社設立後に必要になってくるゴム印
会社設立時には必要ありませんが、会社設立後の運営にはゴム印があると何かと便利です。
たとえば申込書や書類に会社名や住所、電話番号、代表者名を書く機会は会社経営をしていると沢山あります。そこで会社名・住所・電話番号・代表者名のゴム印を作っておくことで地味に作業がラクになります。
ゴム印は情報の付け替えができる親子判が便利です。はんこ屋ドットコムでも購入できます。
今はネットで簡単に印鑑を底値で買えるようになりました。注意したいのは安い印鑑を購入する時には口コミなども十分に調べて欲しいという事です。以前、会社設立書類に押印をしている時に、自慢気に安い印鑑を買えたと言っている社長がいました。いざ押印をする時に、代表印の蓋が開かないのです。結局、蓋を壊して押印をすることができたのですが、安すぎる印鑑には注意しなければと思いました。口コミやHPで必ず質や実績を確認してください。
◆会社設立時・会社経営に必要な印鑑に関する注意点
会社設立時には、こんなにも多くの書類に印鑑を押すのか?とびっくりすると思います。会社設立後にも契約ごとには必ず会社の代表印を押すことになるでしょう。
そんな印鑑にまつわる注意点をまとめておきました。
(1)ハンコと印鑑とシャチハタの違い
印鑑について調べているとなかなか興味深かったです。ハンコと印鑑とシャチハタの具体的な違いって説明できますか?私はわかりませんでした。ハンコと印鑑とシャチハタの違いを念の為知っておきましょう。
1、ハンコとは何?
ハンコは印を押すための印影が彫られている印そのものを言うそうです(私はこのハンコのことを印鑑だと間違って認識していました)。「え!?木や象牙やら何か高級そうな石で作られている、あっちがハンコなの!」という驚きからスタートしました。
2、印鑑とは何?
印鑑とはハンコを朱肉に付けて押した後の印影のことを言うそうです。ですので、「代表社員の印鑑を持って来てください」ではなく「代表社員のハンコを持ってきて下さい」と言うのが本来あるべき伝え方なのですね。
3、シャチハタとは?
ちなみにシャチハタについてですが、朱肉をわざわざ付ける必要のない赤いインクがすでに本体に入っている印のことを言います。銀行への届け出や正式な書類へ押す印としては認められないので注意しましょう。
(2)会社印鑑の持つ法的効力に関して
法律を調べてみると実印を押すこと自体で法的な効力が生じるわけではないようです。契約書を作成し、その契約に同意したという意思表示があって初めて法的な効力が生じるという事らしいです。
つまり印鑑を押すという行為より口頭でも契約の意思表示があれば法的効力が発生する可能性が出てくるということです。そしてお互いの契約内容を明文化するために契約書があるわけです。
実印を押すことが法的効力が発生する絶対条件ではないのですが、印鑑には社会的に信頼があります。印鑑を押す文書は重要という共通理解がありますので、印鑑を押す文書は真剣に作ります。そのため公的な書類や、まさに会社設立書類などは書類一つ一つに多くの印鑑を押させるのです。
(3)印鑑を綺麗に押すコツ
会社設立時には、恐らく人生で一番数多くの押印をすることになります。中には指先に力を込めすぎて指がつってしまう方もいます。実は綺麗に印鑑を押すにはコツがあります。目一杯押さえつけなくてもくっきりと印影を残す押し方があるのです。
印鑑を綺麗に押す工夫点が動画で共有されていたので紹介しますね。
(4)印鑑の保管方法とメンテナンス
会社の印鑑は一生の付き合いになりますから、大切に使いたいものです。そこで長く使い続けるために保管方法やメンテナンスについて触れておきます。
1、会社印鑑の保管方法
会社の印鑑があれば対外的に正式な契約が結べてしまうので、代表印の保管には注意を払いたいところです。一番良いのは鍵付きの引き出しや金庫に保管しておく方法です。
例えば銀行印と通帳が同じ場所に保管して、盗難にあったら銀行から預金を奪われる可能性も出てきます。日頃から通帳と、銀行印は鍵のかかる別々の保管場所に置いておくのが一番のリスク対策です。
さらには会社の実印と、印鑑カード、権利関係の書類なども一緒に保管するのは危ないです。印鑑カードがあれば簡単に会社の印鑑証明書が手に入りますし、実印と権利関係の書類が盗まれようものならいくらでも悪い事に流用できてしまうからです。印鑑の保管はリスク分散して鍵をかけて保管を忘れないようにしましょう。
2、印鑑のメンテナンス方法
会社の法人印を長く使い続けるために、必ず朱肉を付けた後は綺麗に拭き取るようにしましょう。朱肉が固まって溝に溜まるなんて事が起こりかねません。
また柘の素材などは欠けやすい、壊れやすいので必ずケースに入れて保管するようにしましょう。お店では別料金になっている将来のことを考えると一緒に購入した方が良いと思います。
◆「会社設立で必要な印鑑」まとめ
会社設立時には「代表印・銀行印・実印」の法人印セットを購入することがほとんどです。会社設立することだけ、を考えたら代表印一本で何とかなります。
形についても1センチ以上、3センチ未満であればどんあ形でもOK。丸い印鑑でなく、四角い印鑑なんていうのも面白いですね。会社設立後には印鑑の保管方法などもリスク分散の観点から面倒なんですけど、注意した方が得策です。
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