MENU
スポンサードリンク

合同会社の代表社員の退社手続き!解任・除名・死亡による変更など様々な役員変更ケースを検証

合同会社は株式会社と比べても「会社設立費用が安い」「会社運営のルールが比較的ラク」という理由から最近では注目されている会社組織です。

合同会社のトップを代表社員と言います。この代表社員がもし引っ越しをしたら変更登記の手続きはどうすれば良いのでしょうか?他にも役員を追加したり、退任したりするのにも手続きが必要です。

具体的な合同会社の役員に関する変更登記の手続きを見ていきましょう。

目次

◆代表社員&役員の変更登記に関する基本事項

合同会社の役員に関する登記情報の変更について明確に理解するために、基本事項の整理をします。

「代表社員の追加・退任」「役員(業務執行社員)の追加・退任」「代表社員の住所変更」などが想定される合同会社の役員に紐づく変更です。

(1)合同会社の基本事項を整理

合同会社の説明をする時に混乱するのが、その呼び方です。社員とか出てきますが通常私たちが使う社員という意味では使っていませんので説明が難儀なんですね。ですので、まずは合同会社で使われる役職の呼び方を整理しますね。

・合同会社における社員

合同会社で使われる社員は、従業員という意味ではありません。ここで社員というと、合同会社設立にあたり資本金を出している人の事を社員と言います。合同会社でお金を出資する人は基本的に経営にも従事する事になっていますから、株式会社でいうところの株主と取締役の役割を持っている人を社員と言うわけですね。

・合同会社における業務執行社員

合同会社でお金を出資している人兼経営に携わる人を社員と呼びますが、少し細かく説明するとこの経営に携わる事を「業務執行権を持つ」と言います。実は合同会社の社員では、社員にはなるけど業務執行権を持たないと選択することも出来るのです。これを業務執行権を持た無い社員と良い、業務執行権を持つ社員を業務執行社員と言ったりします。

・合同会社における代表社員

合同会社での業務執行権を持つ業務執行社員が複数いる場合は、その中から代表となる人を決めます。これを代表社員と言います。株式会社でいうところの、代表取締役と同じ立ち位置だとお考え下さい。ちなみに、この代表社員は一名だけでなく複数名置くことも出来ます。

・合同会社における従業員

合同会社で言うところの従業員は一般的に、会社に雇用される立場の人を指すのでこれは一般的に意味と同じですね。

合同会社の代表社員の退任や退社の種類

合同会社の代表社員及び社員が退任・退社するには、いくつかパターンがあります。自分がどのケースに当てはまるのか確認して手続きをするようにして下さい。

1、任意退社(自分から代表社員を退任するケース)

合同会社の代表社員は基本的に6ヶ月前までに会社に報告して次の事業年度が切り替わるタイミングで退任・退社する事が可能です。それ以外でも「やむをえない事情」がある場合には、どのタイミングでも退社は可能となります。

やむをえない事情というのは明確な定義が無いのですが、たとえば私が会社設立時の高いモチベーションを保てなくなったという気持ちの問題だけではなく、私をとりまく状況や環境が著しく変化し当初約束していた通りの働きができなくなった時と解釈されるようです。

予告期間は定款で自由に設定できる

代表社員や社員の退任・退職の予告期間は6ヶ月と定められていますが、定款にて予告期間を設定しておくことで、6ヶ月よりも短い期間を予告期間として会社を運営する事も可能です。

2、法廷退社(法律で代表社員や社員の退任がルールとして決まっている場合)

ある状況になった場合に法律によって代表社員や社員が退任・退社となる事が決まっています。社員の退社を他の社員全員が同意した時や、その社員が死亡してしまった時などです。詳しくは以下のような状況ですよと会社法で定めています。

会社法六〇七条で決められた法廷退社のケース

・その社員が退社することについて総社員が同意した場合
・定款で定めた事由が発生した場合
・社員が死亡した場合
・合同会社の社員である法人が合併により消滅した場合
・破産手続きの開始の決定がなされた場合
・合同会社の社員である法人が上記前二項以外の事由により解散した場合
・その社員が後見開始の審判を受けた場合
・その社員が除名された場合

◆合同会社の代表社員が退任(退社)・変更する事に関して

(1)法務局への変更登記手続きが不要なケース

代表社員や社員が退任・退社する場合には基本的に法務局への変更登記の手続きが必要ですが、そうでない場合もあります。以下が変更登記が日通用なケースです。

・業務執行社員でない社員が退任・退社する場合

先にお金を出資している人を合同会社の社員と言うとお伝えしましたよね。その社員の中でも会社を経営する権利を持った人を業務執行社員であり、会社経営の権利を放棄した社員を業務執行権を持たない社員と言うわけです。そして、業務執行権を持たない社員は、法務局へ変更登記の必要はありません。

(2)法務局への変更登記手続きが必要なケース

なぜ法務局へ変更登記が必要なのかと言えば、法務局の登記事項証明書(登記簿謄本)の中に、合同会社の代表社員や業務執行社員が明記されているので、それを変更しなくてはいけないのです。

 ・代表社員が普通の業務執行社員となる

代表社員が普通の業務執行社員になる場合も、登記簿謄本でいうところの代表社員の名前と住所の書き換えが必要ですから、その変更をしないといけません。

・代表社員が退任する

代表社員が退任する時も、法務局への変更登記が必要です。代表社員がいなくなるため、他の人を新しく代表社員に登用しなくてはいけません。

・業務執行社員が退任する

業務執行社員も登記簿謄本に情報が乗っているので、退任する時には変更登記が必要ですね。

(3)持分の取り扱いについて

お金を出資して合同会社を設立したと思いますが、お金を出資した金額の事を持分と言ったりします。代表社員や社員が退任したりすると、この持分をどう扱うのかという問題もありますので、その種類ごとに整理しておきましょう。

・代表社員が退任する時に持分を譲渡

代表社員が退任する時に出資しているお金を次の代表社員や、すでにいる社員へ譲渡するケースが考えられます。この時は資本金に変更はいりませんよね。

・代表社員が退任する時に持分を払戻し

代表社員が退任する時に持分を払戻しするケースも考えられます。代表社員が100万円を持って退任する時にはそれを一緒に出して退任することですね。

◆合同会社の代表社員が退任・退社する時の具体的な手続き

それでは、合同会社の代表社員・社員が退任・退社する際の具体的な手続きを確認していきましょう。

(A)持分を譲渡して代表社員が退任する場合の手続き

合同会社の出資金額を持分と言いました。代表社員であれば必ず持分を出資しているわけですが、退任するにあたり、そのお金を他の社員(or 代表社員)に譲る場合を最初に確認します。

1、代表社員の退任・退職の事前予告をして次の事業年度で退社する

すでに説明した「任意退社」という手続きでは基本的に半年前までに退任する旨を会社に伝えないといけません。その後に時魚年度の切り替わるタイミングで代表社員の変更となります。この「いつまでに予告」というのは定款の内容を変更して調整も可能ですね。とはいえ、やむをえない場合はいつでも退任・退社できると考えて大丈夫です。

2、代表社員が変わったら2週間以内に法務局へ変更登記の手続き

代表社員が変わったら基本的には2週間以内に法務局へ、変更登記の手続きをしておいてください。具体的な手順は以下を参考にしてもらうと良いと思います。

代表社員が変わった時の変更登記の手続きに関して

3、持分の譲渡をする場合は資本金の変更は必要ない

代表社員の変更をする時に、退任する代表社員が出資しているお金(持分)を他の代表社員や社員に譲る場合は資本金の変更はしなくて大丈夫です。ですので、この場合の法務局への届出は代表社員の変更だけですね。

4、総社員の同意書の作成

基本的には持分を譲渡する時、今回代表社員を変更するにあたり、定款内容を変更する時には、総社員の同意が必要でそのための書類を作ります。社員といっても、会社法で言うところの社員なので従業員という意味での社員ではありません。ちなみに、こうした総社員の同意にするかどうかも定款で自由に設定ができます。

(B)持分を払い戻す時の変更登記の手続き

次に代表社員を退任する人が、すでに出資している自分のお金(持分)を譲渡せずに、そのまま払い戻しますよって時の手続きについて確認しておきましょう。

1、代表社員の退任を予告して手続き・・・ここまでは譲渡する時と同じ

半年前に代表社員退任を会社に予告しておいて、事業年度が切り替わるタイミングで変更するのは持分を譲渡する時と対応は変わりません。法務局への代表社員変更登記も同じですね。

2、持分の払い戻しをする

代表社員が退社する時の出資したお金(持分)の払戻しは、その時の会社の財産状況によっても変わってきます。例えば50万円の持分をそのまま払戻してしまうと、合同会社の運営がままならない場合があるかもしれません。そんな時は、ちょっと待って!と異議を申し立てることもできるのです。持分が50万円だったらそうそうないと思いますが、これがさらに大きな金額だった場合に、取引先やらの債権者に損害を与えてしまいかねないケースも起こり得ますよね。そうした債権者を保護するための特別ルールがあったりするのです。とはいえ、合同会社は定款によって、この辺の事も定められているので個々の定款を確認しながら進めていくことになるでしょう。

3、資本金の変更登記、代表社員の変更登記を法務局へする

代表社員の変更をして、持分の払戻しも完了したら、すみやかに法務局へ代表社員と資本金の変更登記を行います。

法務局に支払う変更登記の金額

法務局に支払うお金はいくらになるかというと、役員の変更、ここでいうところの代表社員の変更や、社員の退任というかたちであれば一万円で済みます。これに加え、持分の払い戻しによって資本金が変わる場合には資本金の変更登記ということで三万円が必要になるわけです。

◆一人設立の合同会社の代表社員が急に死亡した場合

最後に一つ付け加えておきたいのが、従業員もいないたった一人だけの合同会社をイメージして下さい。社員が一人で、自動的にその社員が代表社員の合同会社です。もし、この代表社員が亡くなってしまったら、会社はどうなってしまうのでしょうか。

合同会社は一人しかいない社員が死亡するとどうなるのか?

・社員が亡くなると法廷退社となる

先に説明しましたが、法廷退社の中に「社員が死亡したとき」という項目がありました。それを適用して、社員が死亡したら、その方は退社するという手続きを取る事になります。一人しか社員がいなかったら・・・その合同会社には社員がいないという事になりますね。

・社員がいない合同会社は解散・・・

合同会社は社員がいなくなると、解散してしまいます。ですので、たった一人しかいない代表社員(社員)が死んでしまえば、その会社は解散という事になってしまうのです。株式会社だと株主は相続人が引き受ける事があるようですが、合同会社の場合は相続によって誰かが社員になる事は基本的いはありません。

一人合同会社で代表社員死亡に対する対応策

1、定款に相続の項目を設けておく

基本的に合同会社での社員という地位は相続されるものではないですが、定款に相続人を社員とするような規定を設けておいて、もしもの時のリスクヘッジをする事もできます。

2、予め社員を複数にしておく

一人で合同会社を作るといっても、家族を一人入れておくなど、代表社員の急な死亡にも合同会社が存続するように、予め社員を複数にしておく事も考えておかなくてはいけません。

◆【自分で出来る】合同会社の代表社員の退任・退社・変更の手続きを徹底解説!のまとめ

合同会社の代表社員の退任には任意退社と法定退社とがある。
・持分を譲渡すると資本金は変わらないが、持分を払戻すと資本金が変わる。
・役員を変更する際には変更登記代がかかり、資本金の変更にもさらに変更登記代がかかる。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメント一覧 (8件)

  • 会社自体を清算する場いいは、会社のお金はどうなるのですか?

    会社の利益の配当が出来きた場合、代表社員は確定申告?

    • コメントありがとうございます。基本的には会社を清算する時は会社に残っているお金は支払うべき取引先や金融機関があれば弁護士と一緒に整理して返していくことになります。会社に利益が出て代表社員が配当を受けた時には確定申告をした方が良いでしょう。金額にもよるので具体的にそのような状況になった時には税務署に確認した方が良いと思います。

  • 代表社員a(業務執行社員a)・代表社員b(業務執行社員b)、事務員c子がいます。

    bと何の役職もないc子が退社となった場合は、
    ・同意書にa・b・c子のサインが必要
    であっていますか?

    会社にはaしか残らず、bの代わりになるものはいません。(話し合いは困難)

    その場合、
    ・bが退任し、aに代表社員と業務執行社員を一任できますか?

    ・定款に代表社員は業務執行社員の互選を持って定める。とある場合、必ず加入者が必要でしょうか?

    法務局へ行って指導を受ける前に不安を払拭したくてコメントいたしました。

    • コメントありがとうございます。
      c子がふつうの従業員であれば同意書への署名捺印は必要ないかと思います。
      そのため、aとbの署名捺印が必要です。

      ただ、bの署名捺印が取得出来ない場合は個別対応案件になるかと思いますので、直接法務局に確認をして頂いた方が早いです。

      また、定款に「代表社員は業務執行社員の互選を持って定める」とある場合、直ちに加入者が必要で問題になる事は無いと思います。
      気になる場合は代表社員が定めるとするか、複数いる場合は互選とする、といった文言の変更はして頂いた方が宜しいかと思います。

      • ブックマークを忘れてこちらのサイトに辿り着くのが遅くなってしまいました、すみません。
        丁寧なお返事ありがとうございます!
        あさって、法務局に書類提出しに行きます。
        なんとかaのハンコをもらうことができました。
        法務局にも足を運びましたが、おっしゃられた通り代表者が既にいるのですぐに加入者が必要というわけでなく代表であり業務執行社員であるbがやめるという手続きだけで完了します!
        ありがとうございました(^^)

  • こんにちは。
    質問させて頂けますでしょうか。
    Aさんと私の2人が業務執行役の合同会社を経営しております。
    この度、Aさんと折り合いが悪い事が原因でストレスで体調を崩し、とても一緒に働けるような精神状態で無いため、退社したいと考えています。
    起業時の国庫の借金があるため、Aさんは私に辞めてほしくないようで、退社にあたり同意をもらう事は難しいかと思います。
    そこで、「やむを得ない事由」として、1人で退社手続きを行おうと考えておりますが、これは可能でしょうか。 
    また、その場合に必要な手続きや書類などにはどのようなものがありますでしょうか。
    同意なく退社したい場合、会社の印鑑などは必要になりますでしょうか。
    もしよろしければ教えて頂きたいです。
    何卒よろしくお願い申し上げます。

    • 連絡が遅くなってしまい大変申し訳ありません。
      通常は「やむを得ない事由」があれば一方的な意思表示をして退社できるとされています。
      しかし、もう一人の業務執行社員の方が前向きでないことや、出資しているお金の処理などを考えると司法書士へ相談すべき案件だと思われます。
      定款上でどのような条件になっているのか、によって手続きも変わってくるためです。
      個別具体的な内容で複雑なものだと、なかなかお力になれず申し訳ありません。
      まずは管轄する都道府県の司法書士会の無料相談に連絡を取ってみてはいかがでしょうか。
      https://www.tokyokai.jp/consult/free_consult.html
      ↑たとえば東京都の場合では、東京司法書士会の無料相談がご利用できます。

      • ご返信いただきありがとうございます。
        司法書士さんに相談したいと思います。
        ありがとうございます。

コメントする

目次
閉じる