「営業目標の立て方がわからない」
「与えられた営業目標を達成できない」
「営業の仕事に対してモチベーションを維持できない」
「営業目標達成方法や行動・プロセス・施策が組み立てられない」
一つでも当てはまる人がいたら是非知って欲しいことがあります。
どんなに営業がつまらないと思っていても、工夫次第でガラリと結果が変わることを。
私も営業として社会人生活をスタートしました。
そして全然ダメダメな営業マンでした。
今では、人並みぐらいには成長できたと思っています。
その経験からあなたを少し勇気付けることができるかもしれません。
営業ってなんか大変そう。ボクには絶対にムリだなー。
ある意味で営業ほど仕事の喜びを実感できる職種はないぞい。
◆営業という仕事の素晴らしさを再定義して目標設定に活用する
具体的な営業目標の設定方法を見ていく前に、そもそも「営業とは自分にとってどんなものか?」の定義づけが大切だと思っています。
たとえば「営業とは苦しい仕事」という観点から営業目標を設定しても行き着く先は苦しいものかもしれません。
まずは紙とペンを手に取り営業という仕事について真正面から向き合ってみてください。
(1)目標設定の前に今現在の営業観を棚卸しする
(2)営業に対する考え方を再定義して目標設定に活用する
(1)目標設定前に今現在の営業観を棚卸しする
最初にやって欲しいのは営業という仕事について、今現在どんなイメージを持っているのか思いつくまま紙に書き出してみて下さい。
具体的なエピソードでも良いし、感情に任せた情報でも構いません。
1、営業とはあなたにとってどんな仕事?目標設定前に考えてみましょう
「営業とは辛く苦しいもの」
「営業とはたくさんお客様から否定されるもの」
「営業とはお客様の課題を解決する仕事」
「営業とはお客様のありがとうを集める仕事」
ポイントはとにかく手を動かして思いつくままに書き出していくことです。
ワクワクした気持ちになっても良いし、ドンヨリした気持ちになっても大丈夫です。
もうこれ以上絞り出すことが出来ないという所まで言葉に現していきます。
2、書き出した営業に関する観点を整理して分類する
改めて紙に書いた文字情報を眺めてください。
同じような事を言っている内容や、違う言葉に言い換えた方が自分の気持ちにしっくり来るようなものは、まとめたり、書き直したりして下さい。
その上で営業に対して自分が定義づけしている観点を、「自分にプラスで働きかけてくれる内容」と「自分にマイナスで働きかけてくる内容」に分類していきます。
例えば、営業とはお客様を喜ばす仕事、という観点があればプラスに働きかけてくれる内容です。逆に営業とは憂鬱なもの、というのはマイナスに働きかける内容です。
3、「営業とは」で書き出した観点が生み出されたエピソードを深掘りする
次に「営業とは」で書き出した観点が自分のどんな経験・エピソードに紐づいているのか分析します。
どんな観点も過去の体験が信念として脳みそに刷り込まれています。
例えば営業とは辛く苦しいものという観点を持っているとしたら、営業を辛く苦しいものと感じさせるようになった決定的な体験があるはずです。
それは営業マンとして目標達成できなく上司からも同僚からも冷たい目で見られた経験かもしれません。お客様からもらったクレームかもしれません。
記憶にフタをして思い出しにくい事もあると思いますが、改めて、自分の経験をここで丁寧に書き出してみて下さい。
自分の営業に対する定義づけが勝手に生まれたものではなく、ちゃんと原因がある事だと実感できるはずです。
プラスに働きかけてくれる営業の観点も、同じように体験やエピソードを深掘りしえみてください。
(2)自分の営業に対する考え方を再定義して目標設定に活用する
実は自分が今現在与えている営業に対する意味付けが何で、どこから(どんな体験から)やってきたのかわかれば、このワークは半分以上終わったようなものです。
1、自分が営業につけた価値観は絶対的な真理ですか?
もう一度、紙やノートに書いた「営業とは」と「それを生み出した自分の体験」を読み直して下さい。
「あー、この営業に対する感情は、やっぱこの体験が原因だったのかもしれないなぁ。」みたいに、しみじみ感じることはできましたか?
その感情は、同じような体験をした人なら、100人中100人が持つような感情だと思いますか?
当たり前ですが、そんなわけないですよね。
営業目標を6ヶ月間連続で達成できなくて、周りからも冷たい目で見られたという体験が、あなたに目標を持つことの恐怖を与えているかもしれません。
同じような体験した人でも、目標を持つことに恐怖を感じない人もいるはずです。
あくまで自分が自分の体験から勝手に意味付けた価値観なのです。
もちろん、あなたにとっては絶対的な真実かもしれませんが、宇宙の真理ではない事がわかると、違う立場から営業という仕事を考える余地が生まれていきます。
永久不変で絶対的なものと凝り固まった観点から、このように「ちょっと違う捉え方ができるかもしれない・・・」という可能性を開くことが大事なのです。
ほとんどの人は自分がどんな信念や観点を持って生きているのか知りません。
自然にそうなったと思っています。営業に対しても然りです。
だからこそ、今回の紙に書く作業を通して営業を深掘るするのが大切。
営業に対して新しい意味付けをする可能性を手にれることができると思います。
2、営業に対する信念とは「自分が生み出したもの」と実感すれば新しい意味付けができる
この段落で紹介したワークで、営業という仕事に対する意味付けや価値観は、自分が勝手に生み出したものと理解していただければ幸いです。
自分がくっつけた意味や価値ですから、違う意味や価値を付け加える余地が出てきます。
新しく付け加える意味や価値はあくまで自分にポジティブな働きかけをする内容を考えてみて下さい。
自分の営業に対する意味付けを前向きなものに置き換えたい時にはどうすれば良いのでしょうか?それは営業を通して手に入れる明るい未来をでっちあげでも良いので想像し続けることがポイントです。
あくまで妄想ですから、真実である必要はありません。「営業で社内1位になって家族をハワイ旅行に連れていく」でも良いし、「営業で業界ナンバーワンになりヘッドハンティングされて年収3000万円を目指す」とか「営業でお客様を喜ばせすぎて◯社から引き抜きに会う」などワクワクするような内容ならなんでも良いです。
このワクワクするようなでっちあげの未来を自分の中にたくさん創ることによって、自然と営業に対してプラスの信念や価値観を持てている状態になります。
◆息を吸って吐くように目標達成するための営業目標記入例
まず最初に「営業に関する信念」について整理しました。意識的に自分の思考の癖をつかむ事で、新しい意味付けを意図的にできるというものです。
このようなテクニックを駆使することで、まずは営業に対する向き合い方を変えます。営業についてポジティブな情報を充満させた上で目標設定してみましょう。今まで思いつかなかったアイデアが湧き出てくるかもしれません。
具体例を元にして順に見ていきましょう。
(1)営業目標の立て方:営業戦略から落とし込む
会社の営業目標は全体の売上を決める大切な要素です。どんなに大きな会社であっても一つ一つの営業活動による取引先一社一社からの売上が全体の売上になるわけです。
その売上を決めるのは営業戦略に紐付きます。新しいマーケットを作っていくかどうか?既存の市場に対してシェアを拡大していく動きをとるかどうか?で考え方や動き方は全然違います。
これは大きな会社であれば経営層やマーケティング部隊が担うかなり上流の仕事になります。そして事業部やチームへチャンクダウンされた営業目標が、さらに個々人の営業目標へと細分化されるのです。
このように全体像から個々人に降りてくる営業奥表を考えると、必ず会社の戦略やビジョンに紐づいた意図があることに気づくと思います。
自分の受け持つ営業目標をただの数字と捉えるだけでなく、このような会社の上流から見れるような視座を持つことは、営業への情熱を燃やし続けるためにも重要な要素だと思います。
(2)営業目標の立て方:営業の個人目標を具体的に落とし込んでいく
現場の営業目標は、上流である経営層で考えられる経営戦略からチャンクダウンされています。後はシンプルに事業部へ、チームへと下流へ落とし込まれていきます。
営業メンバー一人一人には、このように意味のある数字が細かく分けられていきます。まるで人間の体が一つ一つの細胞から構成されているのと同じように、会社は一人一人の社員から構成されて機能していからこそ動いていることがイメージ湧きますよね。
1、年間の営業目標→クオーター毎の営業目標→月毎の営業目標
営業職の人は会社から年間の営業目標が「与えられる」ことが多いと思います。さらには、そこからクーオーターの目標や月の目標までは会社の事業部ごとで追いかけるべき数字として定められていることが多いです。
このような仕組みですと現場の営業職は、自分が納得できない数字を押し付けられているような気持ちになったりもします。だけど会社としての営業目標の決まり方がわかれば、違う視点から営業目標に対して違う見方ができるかもしれません。違う見方ができれば、いつもと違う観点で自分を仕事にモチベートする可能性が生まれてきます。
2、月毎の営業目標→週毎の営業目標→日毎の営業目標
営業マンが自分で調整できる可能性が広がるのが月の営業目標に対する行動計画です。月の目標を、週毎の目標へ落とし込み、週の目標を日毎の目標に落とし込むわけです。
わかりやすく凄い極端なお話をすると月300万円の売上が目標であれば一日10万円の目標でも良いわけです。(20営業日で考えれば一日15万円です)。
商品別で考えれば、一契約あたりの単価が30万円であれば、月10件の契約が必要です。4週間で考えれば週2.5件の契約を取るための行動をすれば良いわけですね。
このように営業目標を数字に落とし込んで、期日と一緒に考えることで、具体的な行動を考える頭に切り替わっていきます。
(3)営業目標の立て方:売上目標に対して営業戦術を自由な発送で組み立てる
月の売上目標や、週の売上目標から日々の売上目標へと落とし込むことができると具体的な行動のイメージが湧いてきます。
ただし営業は勘やフィーリングで動くことは危険です。成果が出たとしても再現性がないからです。そのため、営業計画を立てる段階から科学的・論理的に物事を組み立てていく必要があります。
1、契約数を構成する要素である「アプローチ数×商談率×契約率=契約数」を最大化する
営業目標は科学的に達成させることで、再現性の高い行動計画を作ることができるようになります。たとえば契約件数を指標として追いかける時に、契約数を構成する要素を分解してみます。
契約数は「アプローチ数(電話などで接点を持つ機会)」と「商談率(商談につながる確率)」と「契約率(商談で契約につながる確率)」の掛け算であることがわかります。一つ一つの係数を最大化することで契約数を上げることができます。
数字の遊びになってしまいますが、10件の契約数を追いかけているとして、過去の実績から契約率が50%であれば、20件の商談をしないといけません。商談につなげる確率である商談率が15%だとしたら、134件の見込み顧客にアプローチしなくてはいけないことが明確になります。
2、分解した要素から目標達成に向けたプロセスのアイデアを書き出す
例えば上の具体例を使えば134件の見込み客に対して電話や手紙や紹介などでアプローチをしないといけません。どうやって134件と接点を持つのか?は一つの考え方です。
もう一つの考え方とし、15%の商談率を上げるにはどうすれば良いのか?ですとか、50%の契約率を上げるにはどうすれば良いのか?という軸で検討してみるのです。
商談率が15%から25%になって、契約率が50%から60%になったとして、10件の契約を取るには67件の見込み顧客にアプローチする事で達成可能です。134件から半分の接点数で済むわけです。
このように馬車馬の如く、成り行きの数字から接点を稼ぐ方法と、目標数字を構成する要素を上げる方法の両軸で考えることが大切なのです。
もうわかってもらえたと思いますが、行動計画を作る時は無闇矢鱈にアイデアを出すよりも、上で整理したカテゴリーでアイデアを出す方が精度の高い行動計画を作ることができるでしょう。例えば以下の切り口です。
(1)見込み顧客へのアプローチ数を上げるためにはどうすれば良いのか?
(2)商談率を上げるには、どのような行動を取れば良いのだろうか?
(3)契約率を上げるには何をすれば良いのだろうか?
各項目に対してとにかくアイデアを全部書き出していきましょう。一人でやるのに限界があるのであれば、先輩や同僚を巻き込んでアイデア出しをしてみてください。アイデアとして出た行動計画から優先順位を付けて行動に乗り出せば良いだけです。
◆目標達成に向けて強烈に動機付けしてくれる営業に関する本
営業職として成長の機会は様々ありますが、環境に依存せず誰にでも用意できるのは本によるものだと思います。
本は著者が全人生をかけて真剣に書いてある質の高い本を選ぶべきです。内容の薄い本も多数ありますが、駄目な本に当たらないためにオススメの営業本をここでは紹介します。
(1)営業として目標達成へ導いてくれる本
目標達成に向けて具体的に行動レベルで参考になる本があります。同じ業種・業態でないと参考にならないという方もいるかもしれませんが、一文字一文字丁寧に読むことによって自分の営業活動に必ず役にたちます。
1、『営業の魔法(中村信仁)』
私が何度繰り返し読んだかわからない本です。営業の技術を教えてくれると同時に、営業という生き方を導いてくれる本です。アマゾンのレビューの多さや評価の高さを見てもらえれば、どれだけ素晴らしい本かはわかると思います。私自身、レビューを読んでみて、一つ一つ嘘はなく真摯に評価がなされています。
物語仕立てで営業の技術を教えてくれます。コミュニケーションにおける間の意味や大切さ、相手からNOをもらった後の対応方法、営業として本当に大切な姿勢など紡がれる一つ一つの言葉が胸に突き刺さります。読後感も爽快で営業を頑張ろうと思える本です。
2、『かばんはハンカチの上に起きなさい(川田修)』
プルデンシャルの超有名な営業マンの書いた本です。お客様先でカバンを置く時にハンカチの上に置く気遣いの深さがそのまま本の題名になっています。営業としての考えを深掘りできると同時に、本当に目の前の人を大切にする気遣いが行動レベルに落としこまれるとこんな風になるというエピソードが満載です。
実は営業セミナーでお会いした時に、生命保険に入ろうと思って著者の川田さんに営業をかけてもらいました。申し訳ないことに私が仕事で待ち合わせ時間に遅れてしまったのですが、川田さんは「遅れてくれて丁度良かったです。溜まったてた仕事をしなくちゃいけなくて助かりました」と言うではないですか。人によっては嫌味と受け取られるかもしれないのですが、川田さんの人間力や温かみから居心地の良い安心感しか感じませんでした。
3、『大商談を成功に導く「SPIN」営業術(ニール・ラッカム)』
世界の大手企業が導入していると呼ばれる営業テクニックを紹介しています。特に大規模な商談を成約に結びつけるには、その場で結論を求めるような小さな商談とはアプローチが違います。質問を使い分けることによって、相手が本当に求めているものを明確にします。
見込み顧客のニーズを育てるという観点はとても大切です。相手が気づいていない課題や問題点を顕在化させていくのです。大型商談にしか使えないわけではなく、潜在ニーズを顕在化するアプローチはどの商談でも役に立つスキルです。
(2)営業目標を達成するために動機づけてくれる本
営業目標を必ず達成させるためには、行動の動機となるパワーが大切。人それぞれやる気スイッチがどこにあるかはバラバラですが、本を読む事でどんなに辛い営業でも頑張ろうと思える力に変換することが可能です。
営業職の人を勇気付けてくれる本を紹介します。
1、『手紙屋(喜多川泰)』
手紙屋は物語仕立ての就職活動を扱った本です。ただし、働くとはどういうことなのか?お金を稼ぐというのはどんなことか?を探求できる本です。
営業を仕事として選んだからには、なぜ営業という仕事を選んだのか?を追求することはもちろん大切ですが、さらにもう一段階深めて働くとは?というテーマで自分を見つめ直すことができる本です。働く全ての人のモチベーションを上げてくれる本だと思います。
2、『僕は明日もお客様に会いにいく(川田修)』
「カバンはハンカチの上に置きなさい」の本でも紹介した川田修さんの本です。若手保険営業マンを題材にした物語形式の本です。
営業に対して辛いとか、競争で疲弊するとか、そんな時に読んで欲しい本です。ただの営業本ではなく、川田さん自身がトップ営業マンだからこそわかる細かい営業の描写にまるで自分の事のように読み進めることができます。読んだ後は、お客様に会いたくなります。
3、『私はどうして販売外交に成功したのか(フランク・ベドガー)』
営業の本としては長く読み継がれている古典的ベストセラーです。著者のフランク・ベドガーは元プロ野球選手で、怪我で引退をして保険の営業に転職をします。その後、トップセールスマンになるまでの軌跡を描いた本です。
中でも細かいテクニックだけでなく、一番大切な事は仕事に注ぐ「熱量」という部分は根性論とかそういう事を超えて、気持ちの置き方で行動に向かわせるパワーを知らしめてくれます。「人を動かす」という本で有名なデール・カーネギーもオススメしている本だそうです。
営業としてだけでなく、どんな仕事も目標設定時には自己啓発を導入すると目標達成しやすくなるのではないかと考えました。詳しくは「自己啓発を使って目標設定をする極意!具体例の書き方をマネして必ず会社の目標を達成する!」の記事をご覧ください。
◆「営業目標達成のための目標設定」まとめ
私の好きな「営業の魔法」という本には、営業とは選ばれた人にしかなれない仕事と書かれています。そして、今営業の仕事をしている人は選ばれた人なのだから、大丈夫というメッセージも投げかけてくれます。さらに営業とは、お客様の問題を解決して、一緒に成長の喜びを分かち合える仕事と書いてあります。
私も日々、営業の現場では疲弊することもあるし、落ち込むこともあります。本当の目標設定をしておけば、いつでも原点に立ち還れるはずです。本物の営業として常に自分を磨き続けたいと思います。
・目標設定をする前に営業としての意味付けや信念について整理する。
・営業目標は科学的・論理的に数字をベースにして行動目標を組み立てていく。
・いつでも自分のモチベーションを上げる仕組みや工夫をしておく。
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