株式会社設立時に必ず作成しないといけない定款を丁寧に読んだことはありますか?
私が起業の相談を受ける時の印象ですが、経営者の方ってあまり定款にこだわりが無いですよね。会社運営で一番大元になる大切な書類なのですが、雛形に当てはめてサクッと作ってしまう人が多いです。
ネット上では数多くの定款の雛形が共有されています。でもはっきり言って定款内容の一つ一つどういう意味かわかりますか?
会社の基本ルールを決めている定款を100%理解せずにネットの雛形を形式的に情報を差し込んで作っているのだとしたら、お見合い写真だけ見て一度も会わずに結婚を決めるのと同じです。
定款の内容についても最低限抑えておいて欲しい内容をどこよりもわかりやすく「株式会社設立時に必要な定款の雛形&記載例」としてまとめてみました。
◆株式会社設立の基本事項と定款の雛形と見本
まずは株式会社設立の基本事項を整理しましょう。この基本事項が定款に盛り込まれるので、その後に定款の雛形と記載例を見ていくほうが理解しやすいかな?と思います。
(1)株式会社設立の基本事項
株式会社は発起人と呼ばれる会社設立を企てる人がいろんな要件を決めます。会社名は何にするのか、事業目的はどうするのか、資本金はいくらにするのか、などなど。
具体的な内容は後半で紹介しますね。定款をひとつひとつ作り上げていく事が株式会社設立の要件を決めていくことにつながります。
株式会社の設立をするには発起人が商号や事業目的など様々な要件を決めないと定款を作れません。会社設立書類を自分で作る時の要件についてまとめましたので、「株式会社設立で発起人が決めるべき要件を徹底解説」の記事をご覧ください。
(2)株式会社設立の定款の雛形・見本がある場所
次に定款のありかを紹介しますね。まったくの無から定款を作るのは普通の人には不可能ですから雛形を使います。
大きく分けると法務局・公証役場での雛形を使うのが一般的です。最近は会社設立freeeという自動的に定款を作成できるサイトを利用する人も増えてきています。
1、法務局の定款雛形・見本
法務局は株式会社設立の手続きをしてくれる場所です。その法務局が定款の雛形を共有しているので、その雛形を使うことが多いと思います。
法務局で提供される雛形はこちらから取得してください。「取締役会を設置しない会社の発起設立」がいちばん多く設立しやすい体制だと思います。
恐らく小規模で会社設立するほとんどの会社は発起設立のスタイルを取ると思います。他に募集設立のスタイルがあるのですが、法務局の定款の雛形・見本には両方のフォーマットが用意されています。違いについての詳細は「株式会社設立は発起設立と募集設立のどちらが良いですか?」をご覧ください。
ここで少し「取締役会を設置する会社」と「取締役会を設置しない会社」の違いについてカンタンに説明しておこうと思います。
取締役会設置会社は取締役3名と監査役1名がいないと設置できません。ほとんどの小規模で設立する株式会社が取締役会を設置しない会社となります。1人からでも可能な株式会社設立方法です。
そのため取締役会非設置会社の場合は取締役会がないので、そこで決める内容は株主総会で決めることになります。
2、公証役場の定款雛形・見本
公証役場は定款を第三者の立場から「ちゃんとつくれてますね!」という証明をしてくれる場所です。株式会社設立ではこの公証役場による定款認証が必要です。
その公証役場でも定款の雛形が共有されていてコチラになります。
3、会社設立freeeの定款雛形・見本
会社設立freeeとはインターネット上で定款だけでなく会社設立書類を作成できるシステムです。もちろん無料で使えて、ネット上で項目を選ぶだけなのでカンタンに書類をつくることができます。超かんたんに定款つくれる会社設立freee
とはいえ、ひとつひとつの定款内容については最低限の説明があるって感じなのでこの後紹介する定款の記載例・見本などを参考にしてみて下さい。
◆失敗しない雛形&見本を使った定款作成テンプレート
具体的に雛形と見本を見ていきながら、具体的に失敗しない定款作成方法をみていきます。
ひとつひとつ丁寧に確認していくので、これを読むだけで定款を丸投げしている経営者から一歩頭抜き出ることができるはず!
ちなみに定款の雛形&記載例は法務局のものを使っています。また、総数が多いということで「取締役会を設置しまい発起設立」のパターンで考えています。
(1)表紙
○○株式会社定款
定款作成日○年○月○日
一番最初のページは「○○株式会社定款」として、下の方に定款作成日を記入します。株式会社は社名の前につけてもいいし、後につけても大丈夫です。
このような形で最初一ページ目はバランスよく配置してみて下さい。
また、少し面倒なお話ですが定款作成をした後に資本金の振り込みをしないといけません。必ず資本金を振り込む日付は、定款作成日の後になるように気をつけてください。
(2)第1章 総則
総則とは定款の中でいくと一番最初のグループで、会社の決め事の中でも結構重要な内容を決めていることになります。一つ一つ確認していきましょう。
・定款に記載する商号に関して
第1章 総 則
(商号)
第1条 当会社は,○○商事株式会社と称する。
定款の第一条では商号を決めます。いわゆる会社の名前ですね。同じ住所に同じ名前の社名は付けれないですが、ある程度自由い社名はつけることができます。
会社名を決める時には注意事項があるので気を付けましょう。正しい商号を決める時のアイデアも紹介しているので「会社設立時の商号について!後悔しない会社名の決め方」をご覧ください。
・定款に記載する事業目的に関して
(目的)
第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
1 ○○の製造販売
2 ○○の売買
3 前各号に附帯する一切の事業
事業目的とは会社の仕事内容のことですね。読んで理解できる文言を使って大丈夫です。
事業目的の文言の調べ方や、許認可を受ける時の事業目的の書き方には注意が必要です。詳細は「株式会社設立時の事業目的の決め方」をご覧ください。
・定款に記載する本店所在地について
(本店の所在地)
第3条 当会社は,本店を○県○市に置く。
定款の雛形では○県○市とまでしか書かないですが、もう少し細かく書いても構いません。ただ、○市とか○区までしか書かない会社がほとんどです。
同じ住所に同じ名前の会社を作ることができません。バーチャルオフィス等を利用するときは事前確認は必ずしましょう。
・定款に記載する公告の方法について
(公告の方法)
第4条 当会社の公告は,官報に掲載してする。
決算の情報や役員の変更など会社にとって重要な情報は公告というかたちで告知しないといけません。
公告は「官報」「日刊新聞紙」「電子公告」の中から選択します。この条項で公告方法を定めない時は自動的に官報での公告になります。
どれも費用がかかるので、一番コスト的にメリットの大きい「官報による公告」を選ぶことが多いです。
(2)第2章 株式
この章では、株式会社設立時の株式に関するルールを決めます。発行可能株式総数や株券を発行するかどうか以外ではフォーマット通りつくるのが一般的です。
・定款に記載する発行可能株式総数について
第2章 株 式
(発行可能株式総数)
第5条 当会社の発行可能株式総数は,○○○株とする。
発行可能株式総数とは「将来にわたって発行することが可能な株式の総数」という意味です。これから将来株を増やすこともあると思います。その増やせる株の上限を定款できめなくてはいけません。それを定めているのが発行可能株式総数というわけです。
株式会社設立時に発行している株数と間違える人が多いので注意してくださいね。取り分け1万株ぐらいに設定している人が多い印象です。1株1万円なら1万株発行したとして1億円まで資本金を増やせる設定というわけです。
・定款に記載する株券の不発行について
(株券の不発行)
第6条 当会社の発行する株式については,株券を発行しない。
株券というのは株主であることの証明書のようなものです。法律が変わって株券を発行しないで大丈夫になったので、最近設立する会社のほとんどが株券を不発行にしています。
ちなみに誰が株主でどれぐらいの株式を持っているのかなどは「株主名簿」で管理しています。株主名簿の作り方は「株式会社設立後に必要な株主名簿・株主リストについて」をご覧ください。
・定款に記載する株式の譲渡制限について
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を受けなければならない。
基本的に株の売買は自由なのですが、すでに株主である人たちにとって好ましくない人に株が渡るのを防ぐために株式を譲渡するのに制限をかけます。
これは会社の承認がないと株を譲渡しちゃダメですよ!ということを決めた規定です。
・株主名簿記載事項の記載又は記録の請求について
(株主名簿記載事項の記載又は記録の請求)
第8条 当会社の株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求するには,株式取得者とその取得した株式の株主として株主名簿に記載され,若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人が当会社所定の書式による請求書に署名又は記名押印し,共同して請求しなければならない。
株主名簿には①株主の氏名や名称と住所、②保有している株式の数、③取得日を記載しないといけません。これを株主名簿記載事項と言います。
これも難しく書いてありますが、株主名簿に新しく株を持った人や、譲り受けた人が情報を書き換える時には所定の手続きを踏まないとダメですよ!と決めている項目です。会社が望まない形で株式が移動してしまうことに対抗するための条項でもあります。
2 前項の規定にかかわらず,利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令に定める場合には,株式取得者が単独で株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求することができる。
ここでは株式取得者が単独で請求できるとしていますが、他にも「共同で」請求できるという設定にすることもできます。
・質権の登録及び信託財産の表示
(質権の登録及び信託財産の表示)
第9条 当会社の株式につき質権の登録又は信託財産の表示を請求するには,当会社所定の書式による請求書に署名又は記名押印したものを提出しなければならない。その登録又は表示の抹消についても,同様とする。
株式に質権の登録をしたり、信託財産の表示がどうなっているのか請求するには、ちゃんとした段取りを踏まないと手続きできないことを定めています。
・手数料
(手数料)
第10条 前2条に定める請求をする場合には,当会社所定の手数料を支払わなければならない。
上記の手続きをするためには、会社ごとで決めた手数料を支払うことを決めた項目です。
・基準日
(基準日)
第11条 当会社は,毎事業年度末日の最終株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主(以下,「基準日株主」という。)をもって,その事業年度に関する定時株主総会において権利行使すべき株主とする。ただし,当該基準日株主の権利を害しない場合には,当会社は,基準日後に,募集株式の発行,合併,株式交換又は吸収分割等により株式を取得した者の全部又は一部を,当該定時株主総会において権利を行使することができる株主と定めることができる。
2 前項のほか,株主又は登録株式質権者として権利を行使すべき者を確定するため必要があるときは,取締役の決定により,臨時に基準日を定めることができる。ただし,この場合には,その日を2週間前までに公告するものとする。
基準日は定款で必ず定めないといけない項目ではありませんが、ほとんどの会社で定めている項目です。
株主は、どのタイミングで株式を持っていれば議決権を持つ事ができるのか決めている内容です。第11条の雛形・見本では「毎事業年度末日」の株主名簿に記載されていることが必要としています。
これを定めておくことで、株主総会の前に株主の変更があった場合に、誰が議決権を持つのかわかりやすくなる効果があります。
・株主の住所等の届出
(株主の住所等の届出)
第12条 当会社の株主及び登録株式質権者又はその法定代理人若しくは代表者は,当会社所定の書式により,その氏名,住所及び印鑑を当会社に届け出なければならない。届出事項に変更が生じた場合における,その事項についても同様とする。
株主は会社で決められた手続きによって、氏名・住所・印鑑を会社に届けなくてはいけない旨を定めています。この届出た内容について変更がある時も同様の手続きをしてくださいと、定めています。
(3)第3章 株主総会
第三章は株主総会に関して取り決めた定款内容です。株式会社の重要な事項を決定する株主総会ですので、厳しいルールで運用することになります。
・招集
第3章株主総会
(招集)
第13条 当会社の定時株主総会は,毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し,臨時総会は,その必要がある場合に随時これを招集する。
2 株主総会を招集するには,会日より1週間前までに,議決権を行使することができる株主に対して招集通知を発するものとする。
株主の皆んなを集めて株主総会を開くルールを決めています。この雛形・見本では毎年、事業年度末の翌日(つまり新しい事業年度が始まってから)から3ヶ月以内に株主総会を開いてくださいと定めています。
3ヶ月以内に設定しておけば色々と便利です。基本的に決算の申告は、決算月の2ヶ月以内ですが、特別な理由があって税務署へ届け出れば3ヶ月以内に伸ばしてくれます。その際は、株主総会の招集の箇所は3ヶ月以内にしておく必用があるのです。
株主総会は勝手に開くことができないので、総会の日から一週間前までに株主たちに通知をしなければいけないと決めています。
・議長
(議長)
第14条 株主総会の議長は,代表取締役社長がこれにあたる。代表取締役社長に事故があるときは,あらかじめ代表取締役社長の定めた順序により他の取締役がこれに代わる。
株主総会を取り仕切る議長を決めないといけません。普通は代表取締役が議長を行います。
・決議
(決議)
第15条 株主総会の決議は,法令又は定款に別段の定めがある場合のほか,出席した議決権のある株主の議決権の過半数をもって決する。
2 会社法第309条第2項に定める決議は,議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
株主総会で、どうやって物事が決まるのかを明確にしています。法令や定款に準じますが基本的に過半数の議決で物事が決まっていきます。
会社法309条第2項で定める内容は、過半数の議決権ではなく、株主が3分の1以上出席した上で3分の2以上が賛成しないと決められない重要な項目を定めています。
これを特別決議事項と言うのですが、資本金を減少させる時や定款の変更をする事などが当てはまります。
・議決権の代理行使
(議決権の代理行使)
第16条 株主又はその法定代理人は,当会社の議決権を有する株主又は親族を代理人として,議決権を行使することができる。ただし,この場合には,総会ごとに代理権を証する書面を提出しなければならない。
株主は代理人を立てて株主総会で議決権を行使できる旨を定めています。その時は勝手にやらずに、株主総会ごとに書面で手続きしてくださいとしています。
(4)第4章 取締役
第四章では、株式会社経営に携わる取締役について定めています。取締役の人たちの要件や、会社経営するルールについて明確にする項目です。
・取締役の員数
第4章取締役
(取締役の員数)
第17条 当会社の取締役は2名以内とする。
第17条では取締役の人数を決めています。法務局の定款雛形・見本では、取締役2名以内としていますが、今は2名以内でも将来的に増える可能性があるのであれば、この項目は「当会社の取締役は1名以上とする」の文言の方が良いもしれません。
・取締役の選任
(取締役の選任)
第18条 当会社の取締役は,株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,その議決権の過半数の決議によって選任する。
2 取締役の選任については,累積投票によらないものとする。
取締役は株主総会で決定します。3分の1以上の株主が出席し、過半数のOKがなければ取締役を選任できないとしています。
累積投票にするかどうか定める項目もあり、この定款の雛形・見本では累積投票はしないとします。
・取締役の任期
(取締役の任期)
第19条 取締役の任期はその選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 補欠又は増員により選任された取締役の任期は,前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。
取締役の任期は、取締役会非設置会社であれば1年から10年の間で選ぶことができます。取締役は任期ごとに、同じ人がなり続ける場合も法務局へ再任の手続きをしなければいけません。
取締役の任期の途中で新しく取締役になった人も、元々の取締役の残りの任期に合わせるという条項になっています。
・代表取締役及び社長
(代表取締役及び社長)
第20条 取締役を2名置く場合には,取締役の互選により,代表取締役1名を定める。
2 代表取締役は,社長とし,当会社を代表する。
3 当会社の業務は,代表取締役社長が執行する。
取締役が2名以上いる場合は、その中から一名の代表取締役を定めます。代表取締役が会社の業務を取り仕切る旨がこの項目で定められています。
・報酬及び退職慰労金
(報酬及び退職慰労金)
第21条 取締役の報酬及び退職慰労金はそれぞれ株主総会の決議をもって定める。
会社経営者は自由にお給料を設定できるわけではなく、役員報酬という形で年間で同額給与を払わないといけません。つまり株主総会で役員報酬決めたら次の事業年度まで変更できないのです。
役員報酬は簡単に利益調整ができてしまうため、厳密なルールの中で運用されています。また薬医報酬の金額によって節税になる大きなポイントですから、報酬額を決める時には注意したいところです。詳細は「役員報酬と給与の違いとは?会社設立をした後の絶対に損をしない役員報酬の決め方」の記事をご覧ください。
(5)第5章 計算
第5章には会社のお金に関する事や事業年度に関するルールが取りまとめられています。
・事業年度
第5章 計 算
(事業年度)
第22条 当会社の事業年度は年1期とし,毎年4月1日から翌年3月31日までとする。
定款のこちらの項目で事業年度を決めます。事業年度とは会社の業績を集計するための、ひとまとまりの区切りです。基本的に一年間(12ヶ月)を事業年度の設定し、事業年度の最後の月を決算月と言います。
決算月から2ヶ月以内に税務署へ申告作業を行わなければいけません。会社設立時の事業年度の決め方によって節税になったりしますので要注意です。
事業年度の決め方次第で、会社の運営しやすさが決まったり、会社設立時の税金対策につながったりします。知らずに会社設立して後悔しないために、事業年度の決め方の基本事項は抑えておきましょう。詳細は「会社設立時の事業年度の一番効果的な決め方!税金でも運営でも一番トクする方法」の記事をご覧ください。
・剰余金の配当
(剰余金の配当)
第23条 剰余金は,毎事業年度末日現在における株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に配当する。
会社が決算をして、税金も納めた後に残るお金を株主に配当する場合があります。この剰余金の配当について定めたのが、こちらの項目です。
・配当金の除斥期間
(配当金の除斥期間)
第24条 当会社が,剰余金の支払の提供をしてから満3年を経過しても受領されないときは,当会社はその支払の義務を免れるものとする。
株主に剰余金を配当する時に、株主側が支払われていない配当金を請求できる期間を定めています。民法で定められている配当金の支払いを請求する権利お期限は10年になっています。
ただし定款で自由にこの項目は決めることができます。雛形・見本を見ればわかる通り、ほとんどの会社がこの配当金の除斥期間を3年としている事が多いです。
普通に考えて問題なければ(=公序良俗に反しなければ)、期間は何年でも大丈夫です。1日だけとかは、普通にあり得ないので、そのような設定はNGです。
(6)第6章 附則
最後は定款の附則についてまとめています。
・設立に際して出資される財産の最低額
第6章 附 則
(設立に際して出資される財産の最低額)
第25条 当会社の設立に際して出資される財産の最低額は,金○万円とする。
この条項では資本金の額を取り決めている内容です。設立時の資本金は消費税を免除してもらうために1000万円未満で会社設立するのがセオリーです。
会社設立時の資本金にはセオリーがあります。資本金で税金が安くなったり、自由に使えるお金が変わったりします。詳細は「資本金1000万円未満で会社設立をして消費税免除する具体的な方法&注意点」の記事をご覧ください。
・最初の事業年度
(最初の事業年度)
第26条 当会社の最初の事業年度は,当会社成立の日から令和○年3月31日までとする。
最初の事業年度は一年以内の間に決めます。基本的に12ヶ月で設定する会社が多いです。
・発起人
(発起人)
第27条 発起人の氏名,住所及び発起人が設立に際して引き受けた株式数は,次のとおりである。
○県○市○町○丁目○番○号 ○○○○ ○○株
○県○市○町○丁目○番○号 ○○○○ ○○株
発起人は株式会社設立を企てる人たちです。出資をするので、会社設立後は株主になります。発起人の氏名・住所・株数をこちらに記載します。
・法令の準拠
(法令の準拠)
第28条 この定款に規定のない事項は,全て会社法その他の法令に従う。
以上,○○商事株式会社の設立のため,この定款を作成し,発起人が次に記名押印する。
平成○年○月○日
発起人 ○○○○ ㊞
発起人 ○○○○ ㊞
最後に発起人がこの定款を法律にしたがって作成したことを記して個人の実印を押印します。
定款の作成が終わったら次の作業は公証役場で定款認証をします。詳細は「誰でもわかる!株式会社設立時に公証役場で定款認証する全手順」の記事をご覧ください。
◆「株式会社の定款に関する雛形・見本」まとめ
株式会社の設立で必用な定款は様々な雛形や見本が共有されているので、比較的自分で作成しやすいと思います。
雛形やフォーマット・テンプレートで定款が作れてしまうからこそ、定款一つ一つの条項を詳しく知る必用があるのではないかと考えています。
時間に余裕があるようであれば一つ一つの項目の意味を理解しながら時には内容を変更しながら自分の運営しやすい株式会社を作り上げるのは一つの方法です。その時には専門家の助けもいると思いますが法務局でも積極的に相談に乗ってくれるので活用しましょう。
もし自分の力で株式会社設立をしたいのであれば法務局を有効活用するに越したことはありません。特に電話相談なども無料で対応してくれるので使い倒しましょう。詳細は「自分で会社設立!法務局を有効活用して会社設立する方法」の記事をご覧ください。
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