「会社設立日前に営業活動スタートして問題ありませんか?」
「会社設立してから活動スタートするまで時間が空くんですけど大丈夫?」
意外と会社設立日と事業開始日の違いについて心配している人が多いみたいです。
なにが会社設立日で、どこから事業開始日で、それぞれどんな違いがあるのか理解しておけば起業時のスケジュールは立てやすくなります。
会社設立日も事業開始日も一緒じゃないの?
似たようなもんだけど、厳密には違うぞ。
事業のスケジュールを立てる上でも、しっかり理解しよう。
◆会社設立日と事業開始日の違い
会社設立日と事業開始日は似たようなもんだけど、厳密には違います。
また、事業開始日と営業開始日はほとんど同じと考えてもらって大丈夫です。
(1)会社設立日とは?
会社設立日とは、登記申請をした日になります。
登記申請日は、法務局に設立書類を受け取ってもらった日です。
なんで法務局に受け付けてもらった日が会社設立日になるんだろう?
会社をつくるって言っても、あくまで書類上の手続きの話じゃからな。
法務局で会社をつくる申請を受理したっちゅうことで、会社設立日なんじゃろう。
会社設立日はあくまでも「法人」という器が出来上がった日だと思って下さい。
器できたということで、法人口座を作ったり、オフィスの契約をしたり、人材採用をするなど、準備に着手できるわけです。
もちろん、会社設立日と同時に事業スタートしてOK。
(2)営業開始日とは何でしょうか?
営業開始日とは、事業をスタートした日のこと。
事業スタートというのは、売上が発生する活動を始めた日と考えて差し支えないです。
会社設立日が法人という器の出来上がった日だとしたら、営業開始日は実際に事業をスタート(営業)した日ということになります。
ですから、必ずしも会社設立日と営業開始日は一致することはないんですね。
(3)パン屋さんに例えて会社設立日と営業開始日を説明
もう少しわかりやすく、もしもパン屋さんで会社をつくるとした場合を見ていきましょう。
1、会社設立をして法人の器をつくります
会社設立をして、パン屋を営む予定です。
会社設立を作ったのですが、すぐにはパン屋をオープンできません。会社の器ができただけで、パン屋を売る状態ではないからです。
会社を作ったことで、やっと会社(法人)としてパン屋を開くためのスタート地点に立てたわけです。
2、パン屋をスタートするための準備期間
パン屋をオープンするには準備が必要です。
ちゃんと会社として物件を契約して、内装工事をして、機材を入れて、パン屋に必要なものを買って、人を雇って、など準備することはたくさん。
数ヶ月に渡る準備期間を通して、パン屋がオープンできるわけです。このオープン日が事業開始日とか営業開始日です。
もちろん、店舗とか必要のないコンサルとかのビジネスなんかは、会社設立してスグ事業開始日になる感じです。
◆会社設立日から事業開始日までに何を準備する?
パン屋を例に、ざっくり会社設立日から事業開始日の流れを紹介しましたが、もう少し詳しく会社設立日と事業開始日の間に準備することを見ていきましょう。
(1)会社設立日までに準備すること
起業するにあたり、会社設立日前でも準備できることをピックアップしておきました。
1、創業融資の申請準備
融資が必要なときは、たぶん準備に1〜2ヶ月ぐらいかかるので会社設立前から着手しておくと良いです。
実際に法人で、融資の申請をするなら登記簿謄本が必要なので、イメージとしては会社設立して謄本取れたらスグ融資の申請ができる状態にするってのが正しいですね。
2、ホームページの作成、パンフレット・名刺の作成
ホームページやパンフレット・名刺などには会社を設立していないと作ってはいけないわけではありません。
デザインを決めたり、ホームページ作成にも数週間かかる事ですから会社設立日前から準備に取り掛かった方がいいでしょう。
3、会社設立前に支払った経費はちゃんと整理
会社設立前に使ったお金も、ちゃんと会社の経費として計上することができます。
印鑑を作ったときや、設立費用、ホームページの作成代金などは細かい話ですけど領収書やレシートは残しておきましょう。
創立費という経費は、経費にするタイミングを自由に選べる便利な項目ですので、忘れることのないように注意してくださいね。
(2)事業開始日までに準備すること
会社設立してから一週間ぐらいすると、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が取得できるようになります。
このタイミングから、事業開始日(営業開始日)までに、やっておくと良いことをまとめておきました。
1、法人の銀行口座をつくる
謄本が取得できたら、スグに法人口座を取得する手続きを始めましょう。
金融機関によって何を準備すれば良いのかは違いますので、会社設立前からでも電話などで問い合わせて準備しておくと良いでしょう。
ちなみに最近の法人口座開設にあたって、かなり審査が厳しくなっているのでスムーズに開設できるようこちらの記事も参考にしてください。
2、税務署への届出の作成
会社を設立したら、税務署にも「会社つくりましたよ〜!」と報告しないといけません。
そして自分に合った税金のルールを適用してもらうために、様々な書類を作成します。
設立届とか、青色申告の書類とかは聞いたことありますかね?これが6〜7種類ぐらいあるので一つ一つ確認しながら手続きしましょう。
ちなみに無料で設立書類をつくれる会社設立freee
どんな届出をどこに出すのかは、以下の記事も参考にしてみてください。
3、社会保険や雇用保険の手続き
役員報酬をもらうのであれば、一人だけの会社でも社会保険に入らないといけません。
従業員がいなければ、労働保険には入れないですけど、一名でも従業員がいるのであれば労働保険である雇用保険や労災保険に入らないといけません。
4、個人でしていた契約を法人に切り替え
もし会社設立準備中に、個人で契約しているものがあれば法人に切り替えていくと思います。
たとえば店舗を契約するときには、先に個人で仮契約をしておいて、設立後に法人に切り替えるなんてことがあります。
他にも、会社で使っている携帯とかは時期をみながら法人の方に切り替えていく感じです。
◆会社設立日と事業開始日に関わるお金の話
会社つくるときに知っておくと良いのが、「経費に関すること」「設立するタミング」の二つです。
両方ともお金(税金)に関わることなので、きちんと整理しておきましょう。
(1)会社設立日と事業開始日に関する経費について
普通、会社設立をしようとしたら、会社設立費用だけではなく準備にたくさんのお金がかかるものです。
それが、会社設立日と営業開始日との日付を区切りに考え方が変わってくるのです。
まず、大前提として会社設立の準備にかかったお金や、事業の準備にかかったお金はちゃんと経費になりますので、安心してください。その上で会社設立日と営業開始日の関係と、どのタイミングでお金を使ったのかで注意するポイントがあるので整理しておきましょう。
1、創立費とは
会社設立日までに使ったお金(経費)のことを創立費と呼んでいます。たとえば、定款を公証人役場で認証してもらう時に印紙代や、法人登記をする時に必要な登録免許税、会社設立を司法書士の先生に依頼したときにかかるお金や、会社の印鑑を作ったお金なんかは創立費となるのです。まだ会社が設立されていないので、領収書をもらうときは個人の名前で大丈夫です。ポイントは会社設立日までに会社設立に紐づく費用は創立費ということです。
2、開業費とは
次に、会社設立日の後に使ったお金で、営業開始日までのもの、つまり事業準備のために特別に使ったお金のことを開業費と言います。たとえば、お店をプレオープンする時にかけた広告宣伝費などです。人件費や家賃などは会社の経費にはもちろんなるのですが、開業費として取り扱うかどうかは細かくみていかないと判断できないので、具体的な事案があるときはお近くの税務署や関わりのある税理士の先生にご相談ください。
なぜ、創立費と開業費などというように、会社設立日と営業開始日とを区切りにかかった費用(経費)を厳密に分けて考えるのでしょうか。
ざっくりと話してしまえば、会社や事業に関わる使ったお金は経費になることに変わりはないのですが、この創立費や開業費というのが、経費にするタイミングはこちらで決めれる便利なものなのです。
創業当初は出て行くお金も多いので、創立費・開業費ともに経費に計算せずに、事業が順調に伸びていき、売上も多くなったタイミングでそれらを経費にしようなんてこともできるのです。
これから会社設立する人は、こうした創立費と開業費という便利なものがあるというのを頭の片すみに置いといてください。
(2)個人事業主から法人成りするタイミングには要注意
個人事業主から法人になることを、「法人成り」と言います。この法人成りの時は会社設立日と営業開始日について整理しておかないと申告の時に混乱してしまいますので要注意です。
1、個人事業主の確定申告
個人事業主の人が税金を納める手続きを確定申告と言います。1月1日から12月31日までの一年分の売上と経費を計算して税金を翌年3月15日までに決定して納めます。この一連の手続きが確定申告です。
2、会社の場合は決算の申告
これが会社になると決算の申告ということで確定申告のように一律で期間が決まっているわけではありません。会社設立日にもよるのですが事業年度を決めて、最後の月が決算月です。そこから2か月以内に申告をするというスケジュールです。
3、法人成りの場合は会社設立日ではなく営業開始日に事業を引き継ぐ
個人事業主が法人成りをしたら、その事業は個人から法人へ引き継いだという事になります。つまり売上についても経費についても、いつまでのものを個人事業主のものとして計算して、いつからの分を法人として計算するのか、その基準となる日が会社設立日ではなくて営業開始日というわけです。
4、たとえば私がパン屋を法人成りしたら・・・
例えば私が個人事業主でパン屋を営んでいました。売上が好調で、法人成りをしようと思い7月1日が会社設立日となる会社をつくったとします。まだそのタイミングでは銀行口座とか不動産の切り替えなどが出来ておらず営業開始日として事業をスタートできたのが7月16日です。たった15日間の差ですが、会社設立してからの15日間は個人事業主してパン屋をやっていたという事ですからその期間の売上・経費は個人事業主の分として計上します。7月16日以降の売上・経費は会社の分として明確に分けて処理しなくてはなりません。
◆「会社設立日と事業開始日」まとめ
会社設立日と営業開始日の違いを理解しておけば、事前にどんな準備をどのタイミングでしておけば良いのか見当がつきます。そして準備がスムーズにできればその分、営業開始日を早めることが出来るわけですから、あれやこれやと悩みながら時間を浪費するよりも良いスタートダッシュが切れるかもしれませんね。
また今回は会社設立日と営業開始日のお話でしたが、会社としては株式会社と合同会社の二種類があります。また個人事業主から法人成りのタイミングを検討するにしても、それぞれのメリットとデメリットは気になるところです。そちらを徹底的に比較した「完全版!株式会社設立のメリットとデメリットをわかりやすく整理」の記事をご覧ください。
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