会社設立時の資本金の決め方!最低金額の目安をいくらにすれば税金が一番おトクになる?

会社設立・独立・起業アドバイザーのごはんつぶ(@gohaotsubu)です。これまで通算1000件を超える会社設立や起業。労務関係やコーチングにも詳しいです。

会社設立時の資本金とは会社の元手となるお金です。実は会社設立時の資本金をいくらにするかによって会社運営のしやすさや税金対策の内容に大きな影響を与えます。

そこで会社設立時の資本金はいくらがベストなのか?最低額の決め方について紹介します。

この記事でわかること

・会社設立時の資本金の最低金額の決め方

◆会社設立時の資本金の最低額を決める時の注意事項

結論から先に言ってしまえば、税金的にも会社運営的にも一番ラクな資本金の金額は1円から999万円の間になります。

この金額幅で自分たちの規模に見合った資本金額を算出すれば良いのです。なぜ1円から999万円の間がオススメなのか?その背景について整理します。

(1)会社設立時の資本金が持つ2つの役割

会社設立時の資本金とは何か?を考えた時、私は2つの役割があるのではないかと考えています。「会社の元手になるお金」と「会社の信頼性の尺度」です。

1、資本金とは会社の元手になるお金

資本金とは、会社の元手になるお金のことです。会社の運営には資金が必要です。本来であれば売上から運転資金をまかなえれば良いのですが、会社設立してスグだと売上が入金されるのは数ヶ月後でしょう。

売上が入ってくるまでの期間に、会社を運営するお金の元手になるのが資本金となるわけです。ちなみに、資本金はずっと会社に置いておかないといけないと勘違いしている人もいますが、事業に使うためなら使って全然OKです。

2、資本金とは会社の信頼性の尺度

資本金には会社の信頼性を測る「ものさし」としての役割もあります。当たり前ですが資本金が多ければ多いほど信頼が高いです。

極端な話をしてしまえば、売上がなくても資本金が多ければある程度の期間は食いつないでいけます。資本金があれば新しいことへ挑戦もしやすいです。

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(2)会社設立時の資本金は1000万円未満の方が節税対策になる

会社設立時の資本金は1円から999万円の間にした方が良い一番の理由は最初の二期間は消費税の課税事業者にならないからです。

おおもりくん

消費税の課税事業者にならないってどういうこと?

しゃもじい

本来は売上に含まれる消費税は、預かっているだけなので国に納税しないといけません。でも資本金1000万円未満なら最初の二期間は国に納めず売上に含めてOK!という特別ルールのことだよ。

たかが消費税、されど消費税、売上の額によって無視できない税金です。それが最初の二期の間だけでも免除になるのはなんとも嬉しい特別ルールです。

実は資本金1000万円未満で会社設立をしても、消費税が免税にならないケースがあるので必ず注意してください。

消費税免除を確実にするポイントを整理

消費税免除を確実にするために必ず注意しなければいけないポイントがあります。詳細は「資本金1000万円未満で会社設立をして消費税免除にする具体的な方法」の記事をご覧ください。

(3)1円の資本金からでも会社設立はできるが要注意

今は法律が変わって資本金は1円からでも会社設立ができるようになりました。(昔の株式会社は資本金が1000万円ないと会社設立できませんでした。)

ただし1円の資本金で会社設立をすると、もしかしたら銀行口座が作りにくくなるかもしれません。もしかしたら融資を受けにくくなるかもしれません。資本金を1円にするリスクとしてこのような可能性を考慮に入れないといけないのです。

資本金1円の時の資金繰りには要注意

会社によって状況は様々なので一概には言えませんが、資本金を最低額の1円で設定したとしても、売上がスグに立つようなビジネスモデルであればその資金を運転資金に回せるので問題はありません。

資本金1円で資金が足りなくなるようであれば、金融機関から融資を受けたり、自分の持っているお金を会社に貸したりして事業を運営していくことになるでしょう。

会社設立後に絶対に法人口座を作る方法

資本金1円で会社を作ったとしても絶対に法人口座を作れないわけではありません。法人口座を開設するノウハウについては「法人口座を開設しやすい金融機関の決定版!」の記事をご覧ください。

資本金1円で融資を受けるには工夫が必要

資本金1円で会社設立をして融資を受けたい場合は少し工夫をしないといけません。具体的な方法は「自己資金0円でも創業時の融資を成功させる方法」の記事をご覧ください。

◆会社設立時に必要な資本金の最低金額の算出方法

おおもりくん

会社を作る時の資本金は1円から999万円の間が良いのはわかったけど、その中で具体的にいくらが良いの?

しゃもじい

資本金は創業時の資金繰りがうまく回るように設定するような決め方が一番良いと思うよ。

創業時の資本金がいくらがベストなのかは、状況によってケースバイケースです。一つの目安として会社設立直後の資金繰りがうまく回るような金額設定にすることが多いです。

具体的にどうやって算出するのかを一緒に考えていきましょう。

(1)会社を立ち上げるタイミングでかかる費用を計算

まずは会社を始める時にスポットでかかるような金額をすべて洗い出します。たとえば設備にかかる金額や、法人登記にかかる金額などです。

1、会社設立時に事務所やオフィスを借りるとき

もし会社設立時に事務所やオフィスを借りる場合は「敷金」や「保証金」が大きな出費となるので、それが大体いくらぐらいなのか把握しておきましょう。経費のシミュレーションを立てるコツは少し多めの数字を考えておくことです。また、借りた事務所やオフィスの内装や外装を工事する場合はその金額も会社設立時に出て行くお金として計算しておきます。

2、会社設立時に準備する備品など

会社設立後の事業スタートに必要な備品などをそろえるお金はいくらでしょうか?仕事に使う机やイスを買ったり、パソコンも必要かもしれません、電話やFAXを引きますか?書類を入れる棚などは用意しますか?それらも全部、会社設立時に必要な費用として考えておきましょう。

3、会社設立時や開業時にかかる仕入れの費用

もし、何かを仕入れて売るようなビジネスモデルの時は最初に仕入れるお金も計算しておいて下さい。どれぐらいの在庫を持つことになるか等は業界によって異なるので先輩経営者に直接お話を聞きに行く必要もあるかもしれません。

4、その他に設備にかかるお金

これまでピックアップした以外に会社設立時にかかるお金はありますか?ホームページを作成するお金とか、車を購入するお金とか、どこかの団体に加入する費用とかを考えて洗い出しておきましょう。

(2)会社の運営に必要な毎月のお金を計算してみよう!

次に毎月会社から支払わないといけないお金を計算します。なるべく現実感のある情報を集めて細かく計画を立てていく異

1、毎月の仕入れに必要な費用

これは毎月の仕入れや材料が必要なビジネスモデルの時に考えます。たとえばキムチを仕入れて店舗で販売するならキムチを仕入れる必要があるし、キムチを作るならキムチを作る材料費が必要なわけです。

2、販売費や一般管理費と呼ばれる費用

次に俗にいう販管費について毎月かかるお金を計算していきます。販管費はざっくり項目をあげると次のような感じです。

(1)役員報酬:役員に支払う報酬
(2)従業員給与:従業員に支払うお給料
(3)法定福利費:社会保険料や労働保険料です
(4)旅費交通費:いわゆる交通費のことです
(5)外注費:いわゆる外注に支払っているお金
(6)地代家賃:オフィスや店舗の家賃
(7)通信費:電話代やネットの通信費
(8)広告費:広告をするならネットでも紙でも何でも
(9)水道光熱費:オフィスや店舗の水道光熱費
(10)交際費:取引先やお客様との飲み食い等にかかるお金
(11)会議費:外で会議した時にかかったお金(1人5000円以内)
(12)保険料:会社で入っている保険のお金
(13)消耗品費:ノートやペンをはじめとした消耗品
(14)支払報酬料:たとえば税理士顧問料など
(15)新聞図書費:新聞や本に支払っているお金
(16)租税公課:いわゆる税金など国や自治体に支払うお金のこと
(17)リース料:設備をリースで購入した時のお金
(18)雑費:その他に会社で支払ったお金

こちらに当てはまる費用を出していき大体の月にかかるお金を計算してみましょう。

3、その他にかかる費用

上記以外にお金が出て行くことがあるのであれば、そちらも毎月の費用に加味して下さいね。たとえば銀行から融資を受けた時の返済のお金や金利の支払いなどです。

(3)売上の計画を立ててみよう!

次に売上の計画をなるべく堅実に予測していきます。

・売上の考え方は「売上=客数×単価×頻度」

最後に売上のシミュレーションを立ててみます。会社のビジネスモデルによって売上の出し方は様々です。ただ、一般的には「売上=客数×単価×頻度」で計算できます。月によってどんな動きを見せるか仮説を立てながら売上シミュレーションを作ってみましょう。

・もしカウンセラーの一日の売上を計算しようとするなら・・・

例えば私がカウンセリング業務で会社設立をするとして、一時間のカウンセリング料金を1万円で設定したとします。一日に4人をカウンセリングすれば一日4万円の売上です。一ヶ月に二十日間働いたとしたら月80万円の売上になるってことです。イメージとしてはそのように1年〜3年ぐらいの売上シミュレーションを立ててみましょう。

(4)黒字になる月までの赤字金額が資本金でまかなえると良い

これまでの作業を通じてどの月に黒字になるかシミュレーションができますよね。そうすると黒字になる月までの赤字部分は、基本的に資本金や役員の資金でまかなう事になるわけなんです。

一般的に会社設立した事業スタートした会社が黒字になる目安は3ヶ月から6ヶ月ぐらいだから「会社設立してから3ヶ月ぐらいは売上なくても会社を運転できるぐらいの資金を資本金の目安にしてください」とよくアドバイスされる所以なんですね。まぁ、売上がすぐ発生して順調に軌道に乗るなら全然少なくても大丈夫です。今は資本金1円からでも会社設立できますからね。

◆その他に会社設立時の資本金で最低限気をつけること

最後に会社設立時の資本金の最低金額を決めるうえでの注意点を「会社運営」と「税金対策」以外で気をつけておくべきポイントを紹介しておきますね。

(1)資本金の額に関すること

資本金の金額について追加で知っておいて欲しいポイントを紹介します。

1、資本金1000万円より低くして安い法人住民税を適用

資本金を1000万円未満にしておくことによって、消費税免税だけでなく法人住民税なるものも安く済みます。

会社設立をすると会社が赤字でも必ず「法人住民税」という税金を納めないといけません。これが年間で最低7万円なのですが、資本金が1000万円を超えてしまうと18万円に跳ね上がってしまうんですね。要注意です。

2、資本金は1億円を越えないように要注意

資本金が一億円を超えてくると法人税の税率が変わったり、他にも一億円以下だから受けることの出来ていた税金的なメリットが受けられなくなります。資本金一億円を超える企業はそうそういないと思いますが一億円をボーダーラインに税金のルールがガラリと変わることだけは知っておいて下さい。

3、許認可の要件になる場合があります

仕事によっては行政から許認可をもらわないと出来ない仕事があります。その中に資本金の金額を条件に入れているものがあったりするので注意が必要です。例えば派遣会社を設立して派遣業をしようと思ったら資本金は2,000万円以上必要になってきます。そのように自分がこれからやる仕事が許認可が必要かどうか、必要であれば資本金に条件があるかどうかを調べておくようにしましょう。

(2)その他の資本金に関する注意点

今まで紹介した内容以外で資本金を決める上で注意したい点を整理します。

1、会社設立後に資本金の変更をするとお金がかかります

会社設立後に資本金の変更をする場合は変更登記代がかかります。法務局にお金を払わないといけないんです。基本的に資本金を増やしますので、増資と呼ばれています。この増資にかかる法務局へ手続きするための費用が約3万円です。なので、すぐに変更なきように資本金の金額は設定しておいた方が良いでしょう。

2、現物出資に関すること・資本金の払込みに関すること・法人が出資する場合

会社設立の実務に関することなのですが、資本金を出資する場合はお金じゃなくても大丈夫です。お金以外の何かで出資することを現物出資と言います。また、資本金の払込み方法について間違いが多いので要注意なのと、法人が出資をすることも可能です。

すべて他の記事で紹介しているのでそちらを参考にして下さい。

資本金を現物出資する

資本金をなるべく大きくしたいけど、現金がない。そんな時は現物出資という方法が一つの選択肢としてあります。詳しくは「現物出資をして会社設立をするメリット&デメリット」の記事をご覧ください。

会社設立時の資本金の払込方法

会社設立時に資本金の証明書類を作らないといけません。口座への払込方法がわかりにくいので、なるべく簡単にまとめてみました。詳細は「会社設立時の資本金の払込方法!通帳振込のタイミングは?スグ引き出して大丈夫?」の記事をご覧ください。

法人が資本金を出資する方法

出資するのは何も個人だけではありません。会社も出資者として資本金を出すことができます。具体的な方法は「法人が発起人として資本金を出資する方法」の記事をご覧ください。

◆「会社設立時の資本金の決め方」まとめ

会社設立タイミングで資本金をどれぐらいにするのか、税金のこと、資金繰りのこと、様々な切り口で考えながら決めていかないといけません。

1円の資本金からでも会社設立できるようになったことで、設立しやすくなったのは確かです。だからこそ、資金繰りについても十分考慮に入れた上で永続する事業作りに専念したいものです。

まとめ

・会社設立時の資本金は1円から999万円の間で決めるのがオススメ
・会社の売上が軌道に乗るまでまかなえるぐらいの資本金がベスト

資本金と登録免許税の関係

凄い細かいお話なのですが資本金の金額によって会社設立費用が高くなってしまう事があります。株式会社の場合は、そこまで意識する必要はないのですが、合同会社を設立する時は頭の片隅に置いてください。詳細は「資本金857万円以上で合同会社設立する時は登録免許税に注意」の記事をご覧ください。