目標を最短距離で達成するには「目標管理シート」があると便利。
目標管理シートとは、目的地へ向かうための地図のような役割を担ってくれます。
たくさんある目標管理シートのうち、事務職や営業職、製造職、企画職など様々な職種に対応できるような概念と記入例を紹介します。
確か会社員のときも、目標管理シート書かれたなぁ。
目標管理シートも、目的を持ってしっかり運用したらすごい役に立つんじゃよ。
目標管理シートの役割
軽視されやすい目標管理シート。
もしかしたら、本来の意味が使う人に届いていないのでは?と思い、そもそも目標管理シートの役割を整理しておきます。
(1)目標管理シートとは?
有名な経営学者であるピーター・ドラッカーは経営管理の概念を打ち出しました。
そこから生まれたのが目標管理制度、いわゆるMBO(Management By Objectives)です。
目標は基本的にどう決まるかというと、会社の目標→部署の目標→チームの目標→個人の目標といった具合です。
MBOは原則として個人を対象としており、全社戦略や組織目標を組織構成員ヘブレークダウンする上で重要な役割を果たすことが期待されている。
組織として実現したい大きな目標を叶えるために、そこで働く一人一人が高いパフォーマンスで働いてもらう必要があります。
それを効果的に行うために目標管理という考えがあり、目標管理を徹底的に行うためのツールとして目標管理シートがあるといった具合です。
(2)目標管理シートはコミュニケーションツール
いちメンバーからすると、概念として自分の目標は組織の目標につながっているというのはわかります。
でも、そんな実感を持って目標と向き合っているメンバーなんて少くありませんか?
そこで会社側といち従業員が一枚岩になるためのツールとして目標管理シートがあるのです。
経営層と、メンバーでは見ている景色は違うもの。共通言語の一つとして目標管理シートを使います。
(3)目標管理シートを活用すれば組織のパフォーマンスが上がる
目標管理とは組織目標と個人目標を統合し,各従業員に自主管理させていくことによって組織目標を達成する手法である。
この技法の背景には,個人の目標を本人の欲求と調和させれば個人は外側からの指示・命令によってではなく,内側から自分自身の行動を管理し自律的・意欲的に責任をもって行動するようになるという考え方がある。
目標管理シートのデメリットは、上から一方的に押しつけられた目標だと、パフォーマンスが下がってしまうということです。
組織の目標と、個人の目標が一致するからこそ、一人だけじゃ達成できないような成果が手に入るのです。
経営者側と従業員側との目標が調和できれば、高いパフォーマンスが期待できるということです。
目標管理シートの基本ルール
目標管理シートを作成するために、どんな要素をそろえておくのか確認します。
(1)目標管理シートで決めるべき5項目
目標管理シートの雛形は多くありますが、5つの条件をクリアしていれば活用しやすいフォーマットになるはずです。
1、評価対象期間
目標を評価する期間を設定します。
いつからいつまでの目標に対して評価するのかって話ですね。
目標管理シートは一年とか半年を評価対象期間にすることが多い気がします。
2、ミッション(ビジョン)
ミッション(ビジョン)というのは、目標よりもさらに高い概念です。
会社や個人として、どんな価値を世の中に提供したいのか?という問いの方がわかりやすいかもしれません。
「新規契約100件」という目標ではなく、「新規契約100件を獲得することによって何を実現したいのか?」という問いに答えるのがミッション(ビジョン)です。
自分の気持ちや行動にブレが出たら、このミッションに立ち戻ることによって軌道修正が可能です。
組織と個人のミッションやビジョンも共通します。自分の仕事がどう組織につながるのか明確になりやすいので、高いモチベーションを維持しやすいです。
具体的な目標を考える前に、ミッション(ビジョン)の共通認識を持つようにしましょう。
3、ミッションを実現するための具体的目標
ミッション(ビジョン)の共通認識ができたら、具体的な目標に落とし込んでいきましょう。
目標についても、大きな目標からブレイクダウンしていく小さな目標と様々です。
定量的な目標だとわかりやすいですが、評価や振り返りをしやすいように、定性的な目標でも言語化しておくようにします。
目標を設定したら、どんな行動を通して
4、評価基準の設定
どんな評価方法をとるのかを、あらかじめ設定しておきます。
一般的な目標管理シートの評価には、本人の評価に加えて、直属の上司の評価が点数化されます。
他にも360度評価として、一緒に働く人たちから評価をもらうケースもあります。
評価方法として、何段階の評価なのか?その点数をつける基準は?文章の評価を付け加えるのか?などを先に決めます。
5、評価とフィードバック
事前に決めた目標管理シートの運用ルールにもとづいて評価とフィードバックをしています。
本人の評価と、上司の評価にギャップがあるようなら、面談を通してそのギャップを埋める必要があります。
お互いの納得度が高まるにつれて、個人も組織も最高のパフォーマンスが出せるようになります。
(2)目標管理シートを運用するときのポイント
目標管理シートの運用ルールには、さまざまな方法がありますが、効果的なポイントを紹介します。
1、目標に関する頻繁なコミュニケーション
目標を設定するとき、目標管理シートを使って評価のフィードバックを受ける時には必ず上司と面談をします。
効果的に目標管理シートを運用するには、それ以外にも頻度高く目標についてコミュニケーションがあると常に目標が意識されている状態にすることができます。
普段の仕事のコミュニケーションも目標管理シートの内容が共通言語となっているのがベストです。
2、目標管理シートはいつも見れる状態に
目標が達成でいない理由の一つに目標を設定したら、やりっぱなしというのがあります。
目標管理シートを作成したら、手元に置いて、いつでも見れるようにしてください。
最初のうちは朝昼晩ぐらいのペースで目標管理シートと、行動計画を見直すぐらいすると良いでしょう。
3、目標達成に向けて刃を研ぎ続ける
目標達成するには、達成するための基本能力を磨くことも大事。
ただ即効性があるわけではないので、どうしても優先順位としては「緊急性は低いけど、重要なこと」に位置付けられ後回しにされがちです。
しかも自分は具体的にどんな能力を伸ばせば目標達成力が上がるのか個々人で違うのも難しくしている要因の一つです。
実務としての経験なのか、コミュニケーション能力なのか、専門知識なのか、目標管理シートを作り上げる中でブラッシュアップしてください。
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目標管理シートの書き方・記入例
実際に使われている目標管理シートの書き方や記入例を見ていきます。
(1)ランクアップノートを目標管理シートとして使う例
ランクアップノートとは東川広伸さんの『人生も仕事も愉しくできる人に成長しよう』の中で提唱されている手法です。
この本では日本人が苦手な「自ら考え行動する人」になるための方法論について触れられています。
1、目標管理シートに目標を落とし込む
ここで提唱されている仕組みは会社に導入することが前提ですが、私はこの本を読んでみて個人に当てはめてみると面白いと感じました。自分を会社のように経営した時に目標を行動レベルに目標管理シートとして落とし込みPDCAサイクルを回すのです。
この本で目標管理シートと同じ意味なのがランクアップノートと呼ばれているわけです。
目標管理シートに目標を落とし込むためには、作成した年間目標を、月間目標に落とし込み、さらに習慣目標、そして日々の目標に細分化していくのです。
2、目標管理シート(ランクアップノート)は明日以降のやるべきことを考え続けること
PDCAサイクルを回すことと同じなのですが、日々の行動に落とし込んだ目標に対して目標管理シート(ランクアップノート)は自分の頭で考えて書くということを毎日繰り返していく必要があります。脳みそがちぎれるぐらい考えて、負荷をかけていくことで成長を実感できると覆います。
3、月間目標の目標管理シート(ランクアップノート)への記入例
月間目標を考えたら、目的・内容・結果の数値化・金額・何をするのか・・・などを超具体的に書いていきます。だからここでいう目標管理シート(ランクアップノート)のフォーマットはある意味で何だって構いません。具体的な目標を考えたら超具体的に書き、最後に結果・反省を記入できるスペースがあれば良いのです。
振り返りは特に具体的に月目標に紐づくものでなければいけません。売上が目標であれば行動はすべて売上に繋がる内容でなければいけないし、感覚で振り返りをするのではなく、数字で振り返りをしなければいけません。
4、月間目標を週間目標や一日の目標へ目標管理シートを落とし込んでいく
月間目標が具体的に決まれば自動的に週で行わなければいけないことや、日々行わなければいけない行動が出てきます。目標管理シート(ランクアップノート)では日々の行動を結果に対して毎日毎日振り返りとして反省を書き込むことが必要です。同じく数字を元にして全てが月間目標に紐づいているかどうかを一番に意識しながら取り組んでください。
(2)オープンウィンドウ64を目標管理シートとして活用する例
目標達成の権威として有名な原田隆史さんは目標が達成できない理由を三つあげています。
・達成するにはどう行動すれば良いのかが明確ではない。
・目標を達成するのに適したツールがない。
・目標が偏ってしまっている。
そして、この目標達成できない原因を解決してくれる案としてオープンウィンドウ64を提唱しています。この考え方や作成方法については原田隆史さんの『一流の達成力』という書籍で紹介されています。この手法はメジャーリーグで活躍している大谷翔平選手も取り入れている手法です。
9×9のマスの書いたシートを活用した目標管理の技術をオープンウィンドウ64と言います。大谷翔平選手がこの目標管理シートを活用しているとニュースになり話題になりました。
まずは9×9の目標管理シートを準備し、真ん中に一番達成したい目標を記入します。真ん中のマス目の周りには8つのマス目があると思いますので、目標を達成するために必要な細分化した項目をそこに記入します。ポイントは「心・技・体・生活」という幅広い項目で目標を作る点です。
さらに8つの項目を周りに展開をして、さらに細分化した8つの項目を周りに書くのです。こうすることによって一番真ん中に書いた目標に対して行動にまで落とし込んだ目標管理シートとして活用できるようになるわけです。
(3)リクルートで利用されるWCMという目標管理
人材輩出会社と名高いリクルートではWCMという目標管理手法を取り入れています。
WCMとは「Will、Can、Musut」の略です。
従業員ひとりひとりが主体的に仕事のできる仕組みを、WCMで体現しているのです。
Will:自分のありたい姿
Can:自分の強み
Must:その上で何をすべきか?
リクルートで運用しているWCMシートはこの「Will→Can→Must」を考えるサイクルを半年ごとに行っているとのことです。
(4)日誌を目標管理シートとして活用する
私は毎日日誌を書いています。
日記ではなく、日誌です。
日記は毎日の出来事や感想を書くのですが、日誌は事実から目標達成に向けた情報を整理するためのものです。
私は手書きで毎日振り返りとして、この日誌を書き続けています。
毎日書くものなので、お気に入りのモレスキンのノートを使っています。
今月の目標を達成するための、今日一日の行動として何をしたのか?その行動は目標に近づいたのか?至らなければ何が原因で、どう改善するのか?などを書くようにしています。
まとめ/目標管理シートの書き方・記入例
目標管理シートを活用して、意図的に自分の行動を目標達成につなげるのは理想的です。
ランクアップノートやオープンウィンドウ64、WCMシートなど各企業に合わせた目標管理シートが存在するのも、組織の目標管理に絶対的な正解がないことを証明しています。
目標管理シートを丁寧に運用することで、組織も個人も高いパフォーマンスが手に入るので、自社に合った運用をPDCAを回しながら取り入れていきましょう。
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