株式会社設立で必ず定款認証という作業が必要です。これは定款という大事な会社のルールを決めた書類に対して公証役場からOKを出してもらわないと会社設立ができないのです。
これから株式会社設立するすべての人たちへ、定款認証の手順を整理します。
・会社設立時における公証役場の役割
・公証役場で定款認証をする時の全手順
◆株式会社設立時の公証役場の役割を整理
▼公証役場の役割の一つは「公に証明すること」
▼公証役場では定款の認証しないと株式会社設立できない。
(1)公証役場の役割とは何か?
・公証する役場が公証役場、公証してくれる人が公証人
公証役場とは呼んで字の如く「公証する役場」です。公証とは、「公に証明する」というものですから、書類や文書をちゃんとした法律のルールに従って作られているとか、偽造されていないとかを証明する場所です。その公証の手続きをしてくれる人が公証人という公務員です。
・公証役場ではどんな書類や文書を認証してくれるのか?
普段の生活で公証役場に行く機会なんてほとんど無いと思います。たとえば遺言なんかも、公証役場が間に入ることによって未然にトラブルを防ぐ役割があったりします。偽造したり、騙したり、そうしたことを防ぐために公正証書というかたちで遺言を残したりします。
このように公証役場では「公に認めた」というお墨付きをくれる場所ぐらいの認識で考えてください。株式会社を設立するときには、定款という大事な書類に対して「公に認めてもらう」必要があるわけですね。
・公証役場の管轄について
公証役場は全国各地にありますから、会社住所の管轄にある公証役場に行きます。一応、会社設立する場所の都道府県内にある公証役場ならどこでも大丈夫ですから自分が通いやすい公証役場を選ぶと良いでしょう。
(2)株式会社設立時の公証役場の役割
すでに話題に上がりましたが、株式会社設立時の公証役場の役割は定款の認証です。
会社設立は法務局に対して行う手続きなんですが、実は会社設立する時に大切な「定款」という書類は公証役場で認証してもらわないといけないんですね。公証役場で「この定款はちゃんとした法律に基づいて作られているから大丈夫だよ!」というのを証明してもらう事を認証って言うんですね。
ちなみに、この定款認証の手続きは合同会社には必要ありません。
合同会社はなぜ定款認証が必要ないのか・・・わかりやすく言うと定款認証しなくても未然にトラブルが防げる仕組みになっているからです。
株式会社は会社の持ち主(株主)と経営者は別れていてOKということです。株主もコロコロ変わるかもしれません。そうすると会社の経営に影響のある人の中に、一番最初の決められた定款の内容を知らない人もいますよね。でもちゃんと法律にそって適切な手続きを踏んで作られた内容なら後から問題にはなりませんよね。
合同会社は会社の持ち主(出資者)と経営層は一緒です。定款の内容を決める時もみんなで決めます。定款の変更する時もみんなで決めるんです。そうすると合同会社では定款の内容や変更について影響力のある人たちは「知っているはず」だから公証役場で定款認証は必要ない、という考えだそうです。
(3)株式会社設立の具体的な流れと定款認証の種類(紙と電子)
まずは株式会社設立の流れをおさらいしておきましょう。
(1)株式会社の要件を決める→(2)会社設立書類を作る→(3)定款を作成する(+必要書類に押印)→(4)公証役場で定款認証する→(5)資本金を振り込む(+資本金の書類に押印)→(6)書類を整理して法務局に提出、です。
基本的には定款を作成してから押印をして、認証をします。資本金の振り込み手続きはその後になります。会社印を作成する必要があるのでネットで高級会社印を格安で利用できるのがオススメです。
ちなみに定款認証には二種類ありまして、紙の定款によって行う方法と、電子定款によって行う方法です。電子定款の方が印紙税4万円がかからずに済むというメリットがあります。
・紙による公証役場での定款認証
公証役場で定款認証する方法の一つ目が紙による定款認証です。定款を作成して、事前に公証役場の公証人に定款内容に間違いが無いかどうか確認してもらいます。
OKだったら、定款の必要箇所に発起人の押印をして法務局にその定款を持って行くわけですね。発起人の印鑑証明書も一緒に持っていきますよ。その際は、紙による認証なので、印紙税が4万円かかるので収入印紙4万円分を貼って出さないといけないのです。
定款認証するだけで、なぜ4万円もの収入印紙を貼って出さないといけないのでしょうか。調べてみると、収入印紙で支払う4万円は一応税金らしいです。しかも、印紙税法という法律で定款も収入印紙貼ってくださいね、というのが決められているわけです。とはいえ、書類になんで印紙税が発生するのかは、文書作って取引関係が明確になれば、経済的なメリットがその背後にあるから、それに税金を課しますよ!という事らしいのですが、はっきり言ってよくわかりません(笑)
・電子による公証役場での定款認証
次に電子認証による定款認証の方法があります。超カンタンに説明してしまうと電子定款を作ってオンライン上で公証役場に対して定款認証の手続きをする事です。紙で定款認証しているわけではないので、実は収入印紙代の4万円がかからないのです。
電子定款で認証した方が4万円安くなる!どうしたら電子定款で認証をできるの?実はメリットとデメリットがあります。詳しくは「4万円がお得になる!電子定款を利用して株式会社設立をする方法」をご覧ください。
◆株式会社設立時の定款認証で公証役場に支払う費用
▼公証役場での定款認証には紙の認証と電子での認証の二種類がある。
▼電子定款で認証した方が印紙税4万円がかからないのでおトク。
(1)株式会社設立時に公証役場で定款認証について必要な費用
公証役場で定款認証にかかる費用は基本的には以下のように考えておけば大丈夫です。
(1)定款認証の手数料は5万円
(2)認証済みの定款発行する手数料は700円
(3)(2)の手数料に加えて定款の枚数×20円が必要
(4)電子定款の場合は電磁記録保存料として300円
これらを合計して約5万1000円ぐらいが定款認証にかかる費用になります。定款認証する時に、事前に公証役場へ定款内容を確認(ドラフト)してもらいますが、その時に費用がいくらになるか教えてくれます。
(2)電子認証をすれば収入印紙代の4万円がかかりません
電子定款で認証の手続きをする場合は、印紙税4万円は必要ありません。4万円も安くなるなら、電子定款の方がお得だと思いがちですが、電子定款で申請をするためには設備を準備するのに4万円ぐらいかかってしまいます。
結果的にそんなに変わらないのですが、電子認証含めて専門家にお願いする方がお得かもしれません。
専門家に会社設立のお願いをする時は3パターンあります。
(1)会計士にお願いする時:「どこよりも安い!?税理士や会計士に会社設立をお願いする時のメリット&デメリット」
(2)行政書士にお願いする時:「意外と安い?行政書士に会社設立をお願いする時の費用(報酬)を徹底調査」
(3)司法書士にお願いする時:「圧倒的安心感!会社設立の代行を司法書士にお願いした時の費用の相場は?」
◆株式会社設立時に公証役場で定款認証する全手順
▼公証役場で定款認証する全手順を理解する。
1、定款を作成する
まずは発起人が株式会社の要件を決めて定款を作成する事からスタートです。ちゃんとしたルールにのっとって作成しないといけませんが、今は法務局でも公証役場でも定款のフォーマットは共有されているのでそれを使えば大丈夫です。
会社設立書類を自分で作ろうと思ったらネットでダウンロードできる雛形を利用するのがラクです。定款の雛形は「わかりやすい株式会社の定款はこちら!初心者のための株式会社設立の教科書」
2、管轄の公証役場へ定款の事前確認をしてもらう
定款が出来たら、管轄の公証役場へ連絡して定款を事前確認してもらいましょう。その時は電子認証してもらうかどうかも合わせて相談します。定款に不備があれば、電話等で教えてくれるので、その通りに直して準備します。
3、定款に発起人の押印をする
定款を作って、公証役場の確認も済んだら次は必要な箇所に押印をします。発起人全員分の押印が必要です。割り印も忘れないようにしましょう。注意事項としては、発起人の印鑑証明書と同じ印鑑を利用して下さいね。印鑑を作るならハンコ屋どドットコムがオススメです。
4、押印した定款を持って公証役場へ認証の手続きへ行く
最後に押印した定款を持って公証役場で認証の手続きをします。電子定款で認証する場合は電子で申請をした後に押印した定款を持っていきます。紙の定款の場合は必要な部数分の定款と4万円の収入印紙を持って行きます。
どちらも発起人の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)を一緒に持っていき、認証済みの定款を受け取ります。
◆「株式会社設立で必要な公証役場の役割」まとめ
定款認証は株式会社設立の流れでは必ず実施します。直接管轄の公証役場に質問すれば意外と丁寧に教えてくれますので直接問い合わせてみるのも一つの手ですね。
・株式会社設立時に公証役場で定款認証するのに約5万1000円が手数料として必要。
・紙の定款で認証を受ける場合は追加で4万円の印紙税を払わないといけない。
<今日の名言>
「自分はまだまだ未熟ですよ」と思って生きるのを謙虚だと思っているかもしれないけど、「自信満々に生きている人が威張らない」のが謙虚なの。「自信がない人が威張らないのは卑屈なんです。謙虚に生きる人と、卑屈に生きる人とでは、自ずと結果は違ってきます。それと同じで、「大丈夫だ」と思って生きている人と、「大丈夫じゃない」と思って生きている人とでは、まったく人生が変わってくるんだよ。
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